平成4164日目
2000/06/02
この日のできごと(何の日)
【神の国解散】
衆院は2日午後1時開会の本会議で解散された。これを受け、政府は臨時閣議で第42回総選挙の日程を「6月13日公示、25日投票」と決定、各党は公示を待たず、平成8年10月以来、3年8カ月ぶりの選挙戦に入る。
今回の総選挙は小選挙区比例代表並立制となって2度目。今年1月の公職選挙法改正に伴い比例代表が20削減され、定数480(小選挙区300、11ブロック比例180)をめぐって、激戦が展開される。
自民、公明、保守の与党3党が連立政権の成果を問う一方、野党の民主、共産、自由、社民の各党は与党を過半数割れに追い込み、政権交代を目指す。20世紀最後の年の選挙であり、21世紀の日本の針路を決定する重要な「ミレニアム選挙」となろう。
景気・経済対策や社会保障政策、財政再建、教育・青少年対策などが政策論争の焦点となるほか、野党側は森喜朗首相の「神の国」発言への批判を強め、「首相の資質」を争点の中心に据える構えだ。
政府は2日午前9時から定例閣議を開き、森喜朗首相が「景気対策、主要国首脳会議(沖縄サミット)もあるので、国民に信を問うため解散を決意した」と述べ、憲法7条に基づく衆院解散を決定した。
午後1時からの衆院本会議では、野党4党提出の森内閣不信任決議案が議題となったが、採決せず、解散詔書が伝達され、解散となった。
8年の前回総選挙後、首相は橋本龍太郎氏から小渕恵三氏、森氏へと続き、内閣は自民単独から自自連立、自自公連立、自公保連立と組み替わった。野党も二大政党制を目指した新進党が大分裂し、離合集散を繰り返した。今回の総選挙は漂流をなお続ける政治への審判でもある。《共同通信》
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森喜朗首相は2日午後の衆院解散後、国会内で開かれた自民党の両院議員総会であいさつし、「景気回復の基調が見えてきた。主要国首脳会議(沖縄サミット)も目前となっている。日本新生を目指して諸改革を進めるためにも、政局を安定させ、政権をより重くすることに尽きる」と総選挙の意義を強調。
「公明党と保守党との組み合わせが国の安定と発展につながる。自公保3党の枠組みが日本の政治の中心になるということをしっかり訴えて、ここに帰ってきてほしい」と述べた。《共同通信》
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野党各党の党首は2日午後、衆院解散を受け斉に街頭演説などを行い、「神の国」発言を材料に森喜朗首相の「首相としての資質」をそろって攻撃、自公保3党との対決姿勢を打ち出した。
民主党の鳩山由紀夫代表は横浜市内の街頭で「日本の民主主義は踏みにじられている。そのような政権に鉄ついを下す。『神の国』発言をみても、首相の資質がないことは言うまでもない」と訴えた。
共産党の不破哲三委員長はJR東京駅前で「勝手放題の無駄遣いをして、穴があいたら消費税増税。これが公明、保守両党が応援団に入った自民党政治の実態だ」と指摘。さらに「今の政府はとんでもない首相を担いだ。戦前と戦後のけじめがつかない人は、政治を担う資格がない」と断言した。
社民党の土井たか子党首も水戸市内の集会で「『神の国』発言への批判を恐れて(内閣不信任決議案の採決をせず)解散し、言論を封殺した。民意を握りつぶした」と批判した。
自由党の小沢一郎党首は、記者会見で「今まで通りでうまくいくならいいが、それではうまくいかない」と改革の必要性を強調した。《共同通信》
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【小渕優子氏】「身の引き締まる思い」
衆院解散を受け、事実上の総選挙がスタートした2日、話題の新人候補は熱い戦いを続けた。
急死した小渕恵三前首相の後継として、群馬5区から出馬する二女優子さん(26)は、地元の同県吾妻郡を中心に、支持者へのあいさつ回り。衆院解散が決まると、時折笑顔を見せながら「緊張と同時に身の引き締まる思いです」と語った。
出馬表明こそ5月下旬と遅れたが、選挙運動では父親の後援会組織をフル活用。「話し方も日に日に上達している。さすが首相の娘」と秘書も目を細める。
支持者の間では「前首相の弔い合戦」というムードも広がるが、後援会幹部は「単なる同情票で当選しては意味がない。志半ばで死んだ父親の政治遺産を引き継ぐということを全面に出したい」と力を込めた。
竹下登元首相の引退を受け、衆院島根2区から出馬予定の弟亘氏(53)は、公認証書をもらうため、東京・永田町の自民党本部へ。森首相に「頑張ってください」と声を掛けられ公認証書を受け取った。亘氏は「(兄が)昭和33年に初めて公認されたときの証書と並べたい。新人ですので、一生懸命やるだけです」と緊張した表情で語った。《共同通信》
【この日の民主党】
[衆院解散]事実上の選挙戦がスタート
衆議院が2日午後、解散され、事実上の選挙戦がスタートした。
「森総理の『日本は天皇を中心とした神の国』発言は、明確な憲法違反・憲法否定であり、総理大臣としての資格と資質を全く欠く」として、民主党など野党4党が提出していた内閣不信任案は、与党の「敵前逃亡」(石井一副代表)で提案理由説明も討論もおこなわれなかった。午後1時から開かれたこの日の本会議は、青木官房長官が伝達した解散詔書を、伊藤議長が読み上げ、わずか数分で終了した。
民主党はこれを受けて両院議員総会を開会。必勝を期して「互いにがんばろう!」のシュプレヒコールをあげ、それぞれが選挙区へ飛び出した。
鳩山代表は、解散に先立って開いた常任幹事会で、「いよいよ、私たちが長く主張しつづけ、待ちに待った解散だ。『神の国解散』とか『森隠し解散』とか『森のおそまつ解散』ともいわれている。国を愛する気持ちをこの選挙にぶつけてほしい。きのう発表した「15の挑戦」では、相当厳しい内容も盛り込んだ。日本の未来のためには、甘いささやきではなく、厳しいことを言う必要がある。日本再生に向けて協力を!」と述べ、政権交代実現にかける強い意気込みを示した。
鳩山代表が国民へのアピールを発表~誇りの持てる国づくりをしよう
民主党の鳩山由紀夫代表は2日の両院議員総会後の記者会見で、(1)「依存」ではなく、「自立」を選ぼう(2)「甘い言葉」ではなく、「苦い言葉」も聞いてみよう(3)日本人として誇りの持てる国づくりをしよう――と国民に呼びかけるアピールを発表した。
国民の皆さんに訴える
民主党代表鳩山由紀夫
2000年6月2日1.「依存」ではなく、「自立」を選ぼうではないか。
私は、人間の幸福のためだと称して、一人ひとりに依存心を埋め込んでいく社会や仕組みを憎んでいます。それがお上であり、官主導であっても、どんな形であれ、「依存」の構造は人間から“誇り”や“自尊心”や“気概”を奪い取るものだからです。もうそろそろ、私たちは、依存の構造、依存心を植えつけるシステムから自由にならなくてはいけないと考えています。
私が、補助金中心の公共事業を批判してきたのも、それが創り出す無駄とおもねりの構図をとらえてのことです。 国民の皆さんに、私は強く訴えます。政府に依存するのではなく、政府ととともに何ができるかを共に考えようではありませんか。
2.「甘い言葉」ではなく、「苦い言葉」も聞いてみようではないか。
私は、この国が21世紀の新しい日本に向かう備えができていないことに強い不安を覚えています。これから2025年までの四半世紀に日本は、歴史上どの国も体験したことのない高齢社会を迎えます。にもかかわらず、今日の政府は、国民に対して正直に語らず、小手先の年金改正や医療制度の見直しで有権者の歓心を買おうとしてばかりいます。
国民1人当たり500万円を超えた巨額の財政赤字は数年後にはさらに膨らみ、国民1人に1000万円の借金となって山積みにされることになります。一体、誰がこの膨大なツケの責任をとるというのでしょうか。それが森内閣でないことは明らかです。
私は、民主党の代表として、1人の良心ある政治家として、この無責任を認めるわけにはいかないと感じています。 だから、国民の皆さんに私は訴えたいのです。これ以上政治家や政党の「甘い言葉」に振り回されることなく、一体、誰が「正直な言葉」を使っているのかを見極めて欲しいということです。無責任という名の慢性疾患に陥ったこの国を救うのは「甘い言葉」ではなく、良薬の如く「苦い言葉」にも耳を傾けなくてはいけないと思うのです。
3.日本人として誇りの持てる国づくりをしようではないか。
国際社会から驚きと厳しい非難の声を受けた森総理の「神の国」発言や様々なスキャンダルが大騒ぎになる以前から、日本という国は、お金以外のことで世界から信頼されることはなくなっていました。それにつれて、私たちの心の中にも日本人としての誇りが失われつつあります。
戦後日本は、平和憲法を基礎に勤勉な国民性を生かして世界にもうらやまれる経済大国を築いてきました。しかし、その背景には、国際社会の平和が多くの国々の努力によって実現してきたという事情がありました。すなわち、私たちは国際社会の恩恵によって支えられてきたのです。
物質的に豊かになった日本が、今度は国際社会のために自ら努力し、日本人としての誇りを取り戻す大切なときを迎えています。私たちの好きな言葉で言えば、いわば世界への「恩返し」のときであります。
私は、国民の皆さんに訴えたいのです。「自国のことのみに専念することなく」、世界のために何ができるか、もっと真剣に考えようではありませんか。そして、私たちの心の中に日本人としての誇りを取り戻そうではありませんか。
そして、私たちと共に、「信頼できる政府」をつくりましよう。
鳩山代表が横浜駅前で遊説、政権交代への決意のべる
民主党の鳩山由紀夫代表は2日の衆院解散後、横浜駅西口で行われた党神奈川県連の街頭演説会に駆けつけ、集まった700人あまりの聴衆に「民主党の候補者は命を賭けて21世紀の日本を作るため闘う」と述べ、党への支持を熱っぽく訴えた。神奈川県選出の民主党の佐藤謙一郎、田中慶秋、池田元久、葉山峻各前衆院議員、斎藤勁、浅尾慶一郎各参院議員らも共にマイクを握った。
鳩山代表は冒頭、内閣不信任案が提出されたのもかかわらず、森首相が本会議での提案理由説明も討論も行わせないまま逃亡したことを批判するとともに、「国民を信頼しない森首相に国民が不信任をつきつけよう」とアピール。
続いて「内閣誕生をめぐる正統性や『神の国』発言など様々な問題があるが、最も重大なのはこの3年8ヶ月何が行われたかだ」と述べ、国の借金が200兆円拡大し、自殺者が4割、失業者が5割、凶悪犯罪が3割それぞれ増大したと例を挙げて自民党の失政を糾弾した。
さらに「森首相に党首討論でこうした数字を示したら、『しょうがない』『関係ない』という返答が返ってきた」と首相の無責任ぶりを厳しく批判しながら、「公共事業バラまき、政・官・業ゆ着の自民党に改革はできない。失うものはない民主党こそが強い経済を作り、財政再建を実行できる」と述べ、政権交代に向けた民主党の決意を力強く表明した。
鳩山代表、羽田幹事長らが街頭で訴え
2日の夕方、鳩山代表はじめ、羽田幹事長、菅政調会長ら党幹部は東京都内や近郊の街頭に飛び出し、道行く人々に「今度の選挙は、国会議員を決めると同時に、みなさんの1票で首相をだれにするのか?どういう政権にするのか?が決められる選挙。自公保(与党3党の予定候補者)への1票は、森内閣への信任票になることを肝に銘じ、みなさんの決断で森内閣を退陣に追い込みましょう」(菅政調会長が東京・新宿で)と呼びかけた。
■鳩山代表演説(骨子)~神奈川県・横浜駅前で
「私は今日の本会議で、内閣不信任案の趣旨を発言する予定だった。しかし森首相は党首討論や予算委員会から逃げ回ったのみならず、不信任案の討論・採決からも逃亡して衆院を解散した。これは、民主主義を踏みにじる具体的な表れにほかならない。最後まで国民を信頼しなかった森内閣に国民から不信任を突きつけよう!
森内閣には、正統性や『神の国』発言など様々な問題があるが、最も重大なのはこの3年8カ月で何がおこなわれたかだ。国の借金は200兆円拡大し、自殺者は4割、失業者は5割、凶悪犯罪は3割増えている。首相に党首討論でこれらの数字を示したところ、『しょうがない』という無責任きわまりない答えが返ってきた。公共事業をバラまき、政・官・業ゆ着の自民党に改革はできない。
失うものがない民主党こそ強い経済をつくり、財政再建を実行できる。 民主党の候補者は全員、命をかけてこの選挙を戦う。私利私欲でなく、国民生活と21世紀の日本を切り開くため、政権交代に迫っていく民主党への支持を心から訴える」
■羽田幹事長演説(骨子)~埼玉県・大宮駅前で
「政治は、政党のものでも政治家のものでもない。本来、国民の生活をよりよくするためのものだ。しかし、失業、倒産、財政赤字など何を見ても、今の政治は右肩下がりだ。これでは若い人は希望がもてず、お年寄りは安心ができない。
『政治には安定が必要』という与党の言い分はインチキだ。政権交代が政治に緊張を生み、それが活力につながる。
小選挙区制は、政権を変えられる制度だ。カナダでは157議席を有していた与党が2議席に滑り落ち、日本でも宇野首相の時の参院選挙で、自民党は1人区で議席を23から3に減らした。 今回も、激変の可能性はある。政権を変えるため、いまこそ、みんなで立ち上がって政治を変えよう。」《民主党ニュース》