平成4320日目

2000/11/05

この日のできごと(何の日)

【旧石器捏造事件】発覚

約60万年前の前期旧石器時代の地層から多数の石器が出土したとされる宮城県築館町の上高森遺跡で、発掘調査団長を務めた東北旧石器文化研究所(宮城県多賀城市)の藤村新一副理事長(50)が自ら穴を掘り石器を埋めて発掘をねつ造していたことが5日、分かった。藤村氏は同日、宮城県庁で記者会見し「魔が差してやった。おわびの言葉も見つからない」と事実関係を認めた。

藤村氏によると、10月22日午前6時すぎ、上高森遺跡に人がいないことを確認した後、地面に数カ所の穴を掘り、自宅に保管していた同県内から出土した石器数点を並べ上から土をかぶせて足で踏み固めた。このほか別の日に数回、同様の行為を繰り返した。

調査団は同27日に上高森遺跡で、約60万年以前とされる地層から石器8点を発見したと発表し「国内最古の石器とみられる」と説明、同28日付の全国の新聞で取り上げられた。

今年出土した計65点の石器のうち61点を同氏が埋めたという。

前期旧石器時代の遺跡とされる北海道新十津川町の総進不動坂遺跡で、9月下旬から10月上旬の調査で見つかった石器29点についても「全部、自分で埋めた」と告白した。

しかし、上高森遺跡の約60万年前の地層から出土し、10月23日に発表された国内最古とみられる原人の建物遺構については「(人為的に)つくりようがなく、本物だ」とねつ造を否定。藤村氏は、埼玉県秩父市の小鹿坂遺跡や山形県尾花沢市の袖原3遺跡など他の遺跡では「ねつ造はない」と強調した。

上高森遺跡からは平成7年に約60万年前のものとみられる石器が出土しており、旧石器時代の遺物として記述している高校の日本史の教科書もある。これに関し同研究所の鎌田俊昭理事長は「出土状況をビデオで記録している」などとねつ造を否定している。

藤村氏は宮城県出身。アマチュア考古学者として会社勤めの傍ら約30年で全国160カ所の遺跡を発掘。前期旧石器時代の石器の大半は藤村氏が発掘したといわれ、「神の手」と呼ばれるほど有名だった。

藤村氏は「上高森遺跡が小鹿沢遺跡に比べ成果が劣っていた。焦っていた」と話し、出身地宮城県の上高森で国内最古の発掘成果を挙げたいとの思い入れが、自作自演劇に走らせたことを明らかにした。《共同通信》

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【大相撲九州場所】初日

大相撲九州場所初日(5日・福岡国際センター)3横綱はそろって白星発進した。2場所連続優勝を狙う武蔵丸は関脇貴ノ浪を長い相撲の末に寄り切り、曙は新関脇の追風海を豪快に突き落とした。休場明けの貴乃花は和歌乃山を落ち着いて寄り切った。大関は魁皇が新小結の栃乃花に、返り咲きの武双山は濱ノ嶋にそれぞれ寄り切られた。千代大海は新小結若の里を逆転で退けた。《共同通信》

【女子ゴルフ】ミズノ・クラシック最終日

ミズノ・クラシック最終日(5日・滋賀県瀬田GC=6423ヤード、パー72)はプロ5年目、24歳の不動裕理が通算10アンダーの206で3位に入り、国内ツアーの賞金女王に初めて輝いた。不動は今季、3試合を残して既に6勝をマーク、獲得賞金をランク2位・安井純子の約2倍の1億1200万円余とした。

優勝はローリー・ケーン(カナダ)で、今季米ツアー3勝目。ケーンはこの日66で通算12アンダーの204とし、初日から首位のソフィー・グスタフソン(スウェーデン)に並んだ。プレーオフ1ホール目で勝利し、賞金12万7500ドル(約1400万円)を手にした。福嶋晃子は4位。《共同通信》

【日米野球】第3戦

日米野球第3戦は5日、東京ドームで行われ、中村(近鉄)に日本勢初の本塁打が出るなど、全日本が20安打と猛打を爆発させ、14−2で大リーグ選抜に大勝。初勝利を挙げた。

1、2戦連敗の全日本は一回、新庄(阪神)の中越え三塁打など5安打を集めて5点を奪い、このシリーズ初めて先制した。二回には中村に左中間席への豪快な一発で3点を追加。その後も加点した。

大リーグ選抜は、三回にボンズ(ジャイアンツ)に2号本塁打が出たが、先発ヘルナンデス(ジャイアンツ)の不調が響いた。《共同通信》

【民主党・菅直人幹事長】加藤氏の動向、野党は巻き込まず

民主党の菅直人幹事長は5日のフジテレビの番組で、自民党の加藤紘一元幹事長が政権獲得への意欲を示していることに関連し「加藤氏が補正予算案に国会で反対すれば政権をともにできなくなり、自民党は割れる。内閣不信任案に賛成すると加藤派、山崎派が腹固めれば森喜朗内閣はつぶれる。しかし残念ながらそこまではできないだろう」と述べ、野党を巻き込んだ政権交代につながる可能性は少ないとの見通しを示した。《共同通信》

【自民党・山崎拓元政調会長】「入閣せず」明言

自民党の山崎拓元政調会長は5日午前のフジテレビ番組で、12月に予定される内閣改造で入閣を要請された場合の対応について「私は財政再建へ転換すべきだと考えているので(閣内には)入れない」と明言した。

内閣支持率の低下に関して「10%を切れば(首相)本人の(退陣の)決断が促されることになる」との見方を示し、森喜朗首相退陣の場合の後継総裁選びは両院議員総会で公開で行うべきだと主張した。

「ポスト森」の動きを強めていることについて「小泉(純一郎森派会長)氏が(官房長官で)入閣しなかったことが大きい。入らなかったのは、森内閣の(景気対策優先の)方針が変わらないということだ」と指摘。

政権への意欲を表明した加藤紘一元幹事長については「(党内には)交代要員がいると明確にした。自民党を救っている」と評価した。

【三宅島】村長らが視察

火山活動が続く伊豆諸島・三宅島で5日、東京都と三宅島の代表らが現地視察した。全員避難から2カ月以上たったが、火山ガスの大量噴出が続き、各地で泥流の被害も出ている。長谷川鴻村長は「被害のひどさに驚いている。島民が帰るのに長い時間がかかるのではないか」と語り、避難生活は長期化するとの見方を示した。

島の現状を、村の関係者が実際に見ることで今後の対策に役立て、情報が少なく不安な避難生活を送っている村民に最新の情報を伝えるのが目的。長谷川村長のほか、梅田政男三宅村村議会議長ら村議10人、東京都の宮沢正三宅支庁長ら約40人が参加した。

一行は午前8時20分、漁船3隻に分乗して神津島を出発し、同10時前に三宅島南東部の坪田漁港に上陸。島を一周する都道に沿い、車に分乗して島の4分の3を見て回った。

降り積もった火山灰は降雨のために流れ、外見上は異常のない建物が大半だった。しかし、都道が道端の半分以上も崩落したり、数軒の家屋が泥流の直撃で完全に壊れたりしていたほか、床上近くまで泥流が押し寄せた家もあり、傷跡の大きさを見せつけた。

視察後の記者会見で長谷川村長は避難の長期化を示唆する一方、一時帰島について「させたいが、今日のようなガスの出方だとちょっと無理」と語り、冬対策として義援金の配布を急ぐ考えを明らかにした。《共同通信》



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