平成1073日目
1991/12/16
この日のできごと(何の日)
【ロシア・エリツィン大統領】米国務長官と会談
ロシア共和国のエリツィン大統領は16日、クレムリン大宮殿内エカテリーナの間でモスクワ滞在中のベーカー米国務長官と4時間にわたり、スラブ3共和国を中心に結成された「独立国家共同体」をめぐる情勢、今後のソ連圏での核管理問題を中心に会談。席上、エリツィン大統領は、共同体では核兵器が堅固な「一元管理下」に置かれることを米側に保証した。また、この会談にはシャポシニコフ連邦国防相も出席したが、これにはエリツィン政権、共同体に対する軍部の支持を米側に強調する狙いがある、とみられる。
会談後、ベーカー長官との合同記者会見に臨んだエリツィン大統領は、戦略核兵器が配備されるロシア、ウクライナ、ベラルーシ(白ロシア)、カザフの4共和国指導部がすでに、核拡散防止条約への加盟、ロシア以外の3共和国が段階的核廃絶を進める点で合意していることを明らかにした。一方で、最終的には、ロシアが核兵器保有を続ける方針をも確認した。
さらに、共同体加盟国が相互に「国防同盟条約」を締結、核戦力を中心とする「戦略軍」を統括する統合司令部が創設される、との方針を確認。「戦略軍」の総司令官には加盟国の指者ではなく軍人が任命される、とも明らかにした。また「戦略軍」には、戦略・戦術核戦力のほか、海、空、防空の3軍、「諜報機関」が含まれる。
一方、共同体の創設プロセスについては21日には、さらに6共和国が共同体合意に調印し、年末には「少なくとも10共和国が加盟する」との見通しを示した。
エリツィン大統領はベーカー長官との会談で、ロシアに対する独立国家としての承認を要請するとともに、独立国としての国連加盟、これまでソ連が持っていた国連安保理常任理事国の地位継承問題について、米国の支持を求めたことを明らかにした。
これに対してベーカー長官は、ロシア大統領の要請について、ワシントンへの帰着後、さらに検討する、と語った。《読売新聞》
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【ロシア共和国】ソ連最高会議の全資産を接収
情報紙「インターファックス」によると、ロシア共和国最高会議は16日、ソ連最高会議の全資産を同共和国の管理下に置くとともに、ロシア共和国最高会議を、「中央立法府の正統な後継者」とうたう決議を採択した。
これにより、1988年のソ連邦憲法の改正で、従来の最高の国家権力機関から議会制民主主義の場に衣替えしたソ連最高会議は、その存在に幕を下ろすことになる。
同決議に基づき、ソ連最高会議の建物、銀行口座などはすべてロシア共和国の管理となるが、その移行作業を進める特別委員会委員長に指名されたリャボフ氏は同日、「決議は、ソ連邦の解体、また、ソ連最高会議の活動に終止符を打った一めのものだ」と語った。
エリツィン・ロシア共和国大統領は同日、ベーカー米国務長官との会談後、記者団に対して、ソ連国営テレビも、ロシア共和国の管轄とする方針を明らかにした。《読売新聞》
【ソ連・ゴルバチョフ大統領】米国務長官と会談
ベーカー米国務長官は16日、クレムリンで、ゴルバチョフ・ソ連大統領と約2時間にわたって会談、「独立国家共同体」創設以降のソ連の現状について、幅広い意見交換を行った。
席上、ゴルバチョフ大統領は、「共同体」構想をめ一論議が、広範囲に、また合法的な枠組みの中で進められている事実を「前向きに受けめている」と述べるとともに、「共同体」が「将来、新世界秩序形成に被立つ有効な組織体となるよう、最大限の貢献をしたい」と強調した。
これに対し、べーカー長官は、ソ連国民への人道助問題を討議するため米国が提案している国際会議招集の構想について詳しく説明した。
ただ、グラチョフ大統領報道官は、会談後、ゴルバチョフ大競領の「共同体」の中での役割については話し合われなかった事実を明らかにするとともに、「ベーカー長官は、そのような問題は、あくまでも、われわれの国内問題と考えているようだ」と語った。《読売新聞》
【政府、自民党】国際貢献増税を断念
自民党税制調査会(武藤嘉文会長)は16日正副会長会議と小委員会を相次いで開き、政府、自民党首脳が来年度予算に導入を決めた国際貢献枠1兆3000億円の財源確保のための増税措置について協議したが、反対論が多数を占めた。このため、政府、自民党は来年度での国際貢献増税の実施を断念した。
宮澤首相は同日の政府、自民党首脳会談でも新たな国際貢献予算の必要性を強調しており、国連平和維持活動(PKO)協力法案の今国会での不成立確定に続く首相の指導力不足に対して党内外の批判はさらに高まることになろう。《共同通信》
【インド、中国】「国境」で協議継続
中国の李鵬首相は6日間のインド訪問を終え、16日夜、帰国した。李首相の訪問終了に伴い中印両国はニューデリーで共同声明を発表、両国の関係改善の継続に満足の意を表明した。
声明のなかで中印両国は最大の懸案である国境問題について「早期かつ相互に受け入れ可能な解決を見いだすよう努力する」とし、事務レベルの合同作業部会の第四回会合を来年早い時期にニューデリーで開催することで合意した。しかし具体的な解決策そのものについては触れられず、当面現状維持のまま協議を重ねていくことになった。
インドに11万人もの難民が流入しているチベット問題をめぐっては、中国側がインド国内でのチベット人による反中国活動について「懸念」を表明。インド側はこれを受けて「チベットは中国国内の自治区」という従来の見解を再確認、「チベットは中国の不可分の領土」とする中国側の主張をなかば容認したかたちとなった。
声明では国際新秩序も取り上げられ、両国は内政不干渉などをうたった平和共存5原則を国際秩序の基礎とすべきことで合意した。さらに国際新秩序構築のうえでの必須条件として、すべての国の意思決定への参加、南北間経済格差の克服などを挙げ、米国主導の秩序作りに暗に批判を加えた。
また人権問題では両国は「大半の発展途上国では生存及び発展の権利が基本的人権である」とし、西側の人権に関する考え方と違いがあることを明らかにした。《読売新聞》