平成1076日目

平成3年12月19日(木)

1991/12/19

【ロシア】クレムリンを接収

エリツィン・ロシア大統領は19日、ソ連権力の中枢であるモスクワのクレムリンを同共和国が接収するとの大統領令を出した。独立国家共同体の発足を待って年内辞任が確定しているゴルバチョフ・ソ連大統領は、退陣を前に本拠地を奪われた。

これに対し、ソ連大統領府当局者は共同通信に「クレムリンの管理権はロシアに移ったが、ゴルバチョフ大統領は20日もクレムリンで執務を続ける」と語った。

ロシア通信によると、大統領令はソ連大統領府に所属する建物や施設などの不動産をはじめ、外貨を含む金融資産のすべてを同日からロシアが管理するとしている。《共同通信》



【自民党】税制改正大綱を決定

自民党は19日の税制調査会総会、政調審議会、総務会で、1992年度(平成4年度)の税制改正大綱を決定した。来年度予算の歳入不足に対する財源対策として総額7370億円の増収を図ることにしたほか、日本のあらたな国際貢献のための財政措置を真剣に検討する必要性をうたっている。

大綱によると増税措置は(1)税率2.5%の法人特別税創設(4040億円)(2)来年1月から実施される地価税の初年度税収の一般財源化(2000億円)(3)普通乗用車に対する消費税特別税率4.5%の適用(800億円)(4)赤字法人の欠損金繰り戻し還付の停止(500億円)などが盛り込まれた。法人特別税、乗用車消費特別税、赤字法人の欠損金繰り戻し還付停止はいずれも92年4月から2年間の時限措置。《共同通信》

【社会党・田辺誠委員長】政界再編に意欲

田辺体制の再スタートとなる社会党の第58回定期全国大会が、19日午前10時過ぎから三日間の日程で、東京・九段会館で始まった。田辺委員長はあいさつの中で、「イデオロギーや理念による連帯の時代から、生活要求と政策の一致による共生の時代に入っている」との認識を示したうえ、「社会民主主義勢力をはじめとする広範な政治勢力の総結集に大胆に踏み出す時」と強調、保守リベラルとの提携も含めた政界再編に積極的に取り組む意欲を表明した。

大会初日は、田辺氏のほか山岸章・連合会長ら来賓のあいさつ、山花書記長の党務報告などが行われ、午後から各報告に対する質疑が行われる。

二期目の田辺執行部の人事は21日に決まるが、大半の役員の留任が固まっている。田辺氏は、今大会の論議の焦点である政界再編に関連して「“時は動く”だ。90年代の政界は予想をはるかに超えた流動と変革の時代に入る」と指摘。その中で社会党が「リーダーシップを発揮し得る有利なポジション(位置)」を確保する必要があるとし、その一環として、来年夏の参院選での選挙協力実現に全力を挙げる考えを示した。

また、国際情勢に関連して田辺氏は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対しても、核査察を受け入れるよう「政治的決断」を求める考えを表明した。さらに、わが国の外交方針として、真っ先に「日米関係の重視と再構築」を掲げ、対米重視の姿勢を一段と鮮明にした。《読売新聞》

社会党大会は、初日の19日午後から山花書記長の党務報告に対する質疑が行われ、「日の丸問題」や参院選広島選挙区の候補者調整、リクルート事件に関する宮沢首相秘書の証人喚問問題などをめぐり、地方代議員から厳しい執行部批判が相次いだ。

とくに批判が集中したのは、シャドーキャビネット(影の内閣)委員会の島崎譲文化教育委員長が先に発表した「条件付きで日の丸を国旗として認める」との見解。計15人の発言者のう6六人が取り上げ、「日の丸は戦時中の日本の侵略のシンボルであり、容認できない」「学校教育の現場からみれば、島崎見解は青天のへきれき」などと強く反発した。

これに対し、山花書記長は「手続きが不十分だった点は反省する」とし、「大会の意見を踏まえて党見解をまとめたい」と応じたが、代議員側からはさらに、田辺執行部の目玉である影の内閣そのものに対する批判も噴出、島崎見解の波紋の大きさを浮き彫りにした。

また、広島選挙区の候補者選考問題では、党本部が広島県本部の公認申請を受理しなかったことに対し、広島をはじめ島根、兵庫などの代議員が「党内民主主義のうえからも許されない」などと突き上げた。《読売新聞》

【オーストラリア】新首相にキーティング氏

ホーク首相(63)の要請で19日午後6時半(日本時間同4時半)からキャンベラの国会で開かれたオーストラリア労働党の特別上下両院議員総会は、労働党の新党首(豪州の新首相)にホーク首相に代わってポール・キーティング前副首相兼蔵相(47)を選出した。

8年9か月もの長期政権への「飽き」から世論調査でジリ貧状態にある労働党にキーティング氏の強力なリーダーシップを導入して、活性化を図り、93年の総選挙に備えようというのが、狙いである。しかし1930年代以来の深刻な不況の中で、労働党の狙いがかなうかどうかは極めて不透明な状態にある。

コーカスと呼ばれるこの総会では、まずホーク同党党首が辞表を提出した後、再出馬を表明した。これに対しキーティング氏が挑戦、秘密投票の結果、56対51票の5票差でキーティング氏が党首、首相に選出された。

キーティング新首相は20日朝、ヘイドン総督のもとで正式に就任、同国史上最年少の首相となる。《読売新聞》

【NATO】対ソ救援で声明

北大西洋条約機構(NATO)外相会議が19日、ブリュッセルのNATO本部で開かれ、対ソ緊急食料、医療援助活動を側面から支援する旨盛りんだ声明を発表し、閉会した。

声明は、ソ連における食料や医薬品の欠乏に対し、「欧州の安定への深刻な脅威」との危機感を表明し、「人道的援助を目的とした緊急輸送、配給を支援するため、NATOの特殊技術と能力を活用する計画を策定する」とし、加盟各国軍がソ連及び各共和国軍と共同で救援活動を行うことも提案。

声明はその一方で、ソ連と各共和国に対し、軍備管理、軍縮条約など国際的取り決めの順守、核兵器の安全管理を求め、その面での現実的な支援要請に応ずる用意を表明している。声明はとくに、「核兵器その他の輸出を阻止する厳しい描置を取るよう」注文をつけている。

NATOは冷戦終結とともに政治的役割の強化への変容を迫られており、対ソ緊急人道援助への取り組みは、その機能転換を強く配象づけるものとなろう。《読売新聞》



12月19日のできごと