平成4790日目
2002/02/18
この日のできごと(何の日)
【小泉純一郎首相】米・ブッシュ大統領と会談
小泉純一郎首相は18日、日本を初めて公式訪問したブッシュ米大統領と外務省飯倉公館で会談した。首相は構造改革について「改革を推進する決意に揺らぎはない。改革の手綱を緩めないし、加速させていく」と決意を表明。大統領は「日本経済が強靭であることが世界にとって重要だ。改革を全面的に支持する」と強調した。
焦点のデフレ対策に関して、首相が「金融面での措置や不良債権処理を含め総合的な対策をとる」と説明、大統領は「何をすべきか知っている。改革実現に全幅の信頼を置いている」と述べ、景気回復に強い期待感を表明した。
テロ対策に関連し、大統領は「悪の枢軸」と呼んだイラクなどへの対応について「平和的に解決したいと考えており、外交努力を続ける」としつつも「すべての選択肢を排除しない」と述べ、武力行使の可能性を留保した。
両首脳は会談後に共同記者会見。首相は「悪の枢軸」発言に関して「テロへの毅然たる決意を表明したもの。大統領は冷静かつ慎重だ」と対テロでの米国支援の立場を鮮明にした。《共同通信》
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来日中のブッシュ米大統領は18日午前、小泉純一郎首相との首脳会談に先立ち、東京都渋谷区の明治神宮を訪れ、小泉首相とともに流鏑馬を見物した。
来日後、初めて首相と顔を合わせた大統領は「ナイス・トゥー・ミート・ユー・アゲイン(また会いましたね)と首相と握手。馬上から放たれた矢が的に命中すると「グレート!」と声を上げ拍手をおくった。
午前9時10分ごろ、明治神宮に到着した大統領は出迎えの人や報道陣に「グッドモーニング。イッツ・グレート(ここは素晴らしい)などと声を掛けた。
内拝殿で一礼した後、外拝殿で記帳。流鏑馬会場では仮設の観客席の中で、小泉首相と並んで座り、首相が通訳なしで手ぶりを交えて説明、笑顔で会話を交わした。《共同通信》
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小泉純一郎首相とブッシュ米大統領は18日午後、首脳会談を受け、首相官邸で共同記者会見を行った。首相は「日本経済再生に向けて、構造改革路線は揺るぎない。路線を転換するのではないかとの声はあるが、あり得ない」と改革路線を堅持する方針を表明。デフレ対策、金融緩和策について「改革とデフレ対策、どっちを優先させるかということ自体、認識に誤りがある。構造改革を加速するための手段だ」と協調した。
大統領は「私は助言するためでなく、支援するために来ている。私は首相を信じる」と首相の取り組みを全面的に信頼していることを明らかにした。これに先立つ会談で大統領は、テロ対策の観点から「悪の枢軸」と呼んだイラクなどへの対応について「平和的に解決したいと考えており、外構努力を続ける」としながらも、「すべての選択肢を排除しない」と述べ、軍事行動の可能性を留保していることを明らかにした。《共同通信》
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小泉純一郎首相は18日夜、ブッシュ米大統領夫妻らを東京・西麻布の和風レストランでの夕食に招いた。元首級来日の際には迎賓館や首相官邸で夕食会を開くのが通例だが、今回は「日本の若者文化に触れたい」という大統領側の意向をくみ、普段は若者がデートなどによく使うしゃれた居酒屋風レストランを使い、慣例にとらわれない「小泉流」の接待となった。
夕食会で首相はノーネクタイにグレーのジャケット。ジャケット姿の大統領とローラ夫人が店内に入ると、1階にいた若者らから歓声が沸き、3人は握手攻めにあった。
一行の座席は1階を見下ろせる2階席。大統領は「みんなが食べているのを見るのもいい」と隣の首相に話し掛け、記者団には「最後に出る人が(食事代を)払うから…」と、お得意のジョークを飛ばした。メニューは茶わん蒸しや天ぷら、神戸牛のヒレステーキなど。《共同通信》
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【民主党・鳩山由紀夫代表】米追従と首相批判
野党各党は18日、イラクなどを「悪の枢軸」と呼び「あらゆる選択肢を検討している」と表明したブッシュ米大統領に対し、小泉首相が一定の理解を示したことに関して「(大統領を)単純に評価したことに大きな問題がある」(鳩山由紀夫民主党代表)などと一斉に批判した。
鳩山氏は記者団に「日本が(軍事力行使に)道を開くことになってしまうのではないか」と懸念を表明。経済構造改革の推進についても「米国に宿題を背負った形になったが、(自民党内の抵抗勢力の反発で)中途半端に終わるに違いない。言葉より実行だ」と述べた。《共同通信》
【ソルトレークシティー冬季パラリンピック】日本代表選手結団式
3月7日に開幕するソルトレークシティー冬季パラリンピックの日本代表選手結団式が18日、東京都新宿区の全国身体障害者総合福祉センターであり、選手、役員ら約70人が参加。アイススレッジホッケー主将の加藤正選手(32)=長野県=が「家族や職場の方々の理解と支援に感謝し、悔いの残らないよう全力で闘います」と述べた。
これに先立ち、激励に訪れた小泉純一郎主将は「スポーツ選手が健闘する姿は、普通のドラマ以上に大きなドラマを生む。皆さんが健常者に勝るとも劣らない難しい競技をし見事代表になったことは、多くの人々に勇気を与えている」とあいさつした。
冬季パラリンピックには、日本から41人の代表選手が出席する。選手団は今月下旬から3月上旬にかけて現地入りする。《共同通信》
【ガザ】銃撃、3人死亡
イスラエル・テレビによると、ガザ南部のユダヤ人入植地近くで18日夜、パレスチナ人の男が入植者の車を銃撃、入植者の女性とイスラエル兵2人の計3人が死亡、兵士4人が重軽傷を負った。男は射殺された。
パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの武装組織「アルアクサの殉教者旅団」が犯行を認めた。
同日夕には、エルサレム郊外にあるヨルダン川西岸の入植地付近で自爆テロがあり、イスラエル国境警備隊員と犯人が死亡したばかり。この事件についても同旅団が犯行を認めた。
シャロン同国首相は同日夜、軍幹部らと対応を協議。これを受けて軍は19日未明、ガザ南部のラファと西岸ラマラのパレスチナ治安施設を空爆した。ラファでパレスチナ警察の警官2人が負傷した。《共同通信》
【この日の民主党】
枝野議員「小泉内閣に行政改革の理念なし」
18日、衆議院予算委員会の質疑で質問に立った民主党の枝野幸男議員は、外交政策、行政改革、経済・金融政策などをめぐって政府の見解を質した。
枝野議員は冒頭、台湾のWHO加盟問題について質問。台湾がオブザーバーを含めた何らかの形での参加を求めていることに対する日本政府としての立場を質した。しかし川口外相は「加盟国のコンセンサスが重要」と答えるのみ。枝野議員が、台湾と交流の深い国として、中国の代表権に抵触しない形での同国の参加をめざすべきではないか、と提起したことに対しても、何の考えも述べなかった。枝野議員は「国家としての方向性が何もない」と外交の不在を指弾した。
次に、行政改革に逆行する諸問題について追及。まず、政府の特殊法人等整理合理化計画において、官僚OBの「天下り」を人事院承認事項から外し各省大臣の承認制に切り替えたことを取り上げ、「縦割りで予算と権限を握っているトップに天下りの権限を戻すとはどういうつもりか」と質した。石原伸晃行革担当相は、「政省令で厳格な基準を示す。信頼してほしい」としたが、枝野議員は「もともと行政が信頼できるなら行政改革など必要ない」とし、小泉内閣の改革姿勢に大きな疑問を投げかけた。
また、BSE問題に関連して退任した農水省の熊沢次官が食肉業界団体に天下っていた問題も取り上げ、「これだけの問題を起こしても、大臣以下誰も責任を取らないから、まだなおこういうことが繰り返されるのではないか」と厳しく批判。武部農水相は「弁解の余地はない」としながらも、やはり自ら責任を取る考えは示さなかった。
金融機関経営健全化をめぐっては、特に中小企業向け貸出状況について質問。貸出が増えていない現状を指摘し、資金注入にもかかわらず貸し渋りが解消できなかった場合の責任問題についても質した。柳沢金融担当相は、「貸出不振は資金需要低迷の反映」とし、責任問題については「ケースバイケースだ」などと逃げた。
枝野議員は、自民党幹事長などが整理回収機構(RCC)の不良債権買い取り価格を時価から簿価に引き上げる考えを述べている問題についても、閣僚の考えを質した。柳沢金融担当相は「市場価格より高く買うのは、一種の隠れ補助金になる」と否定的見解を示し、塩川財務相、竹中経済財政担当相も「時価が原則」とした。
さらに1月24日の鈴木宗男議員と外務官僚との密会問題では、密会の舞台となった自民党の松岡利勝議員主催の会合が、もともとシリア大使館の土地・建物をめぐるトラブルについての協議の場であったことに関連して、新たな疑惑を指摘。建物を競売で入手した民間会社に引き渡す際に、自民党の谷川和穗議員の秘書を名乗る人物が「外務省とは政治的決着がついているので、執行をやめてほしい」と働きかけていた問題について、外務省側に確認した。重家中東アフリカ局長は「そういう話はない」と否定した。
また枝野議員は、赤坂の料亭で行われた鈴木議員と外務官僚らとの会合には、粗官房参事官、谷崎官房総務課長ら国会担当の職員が参加していた事実を重視。国会質問への対応協議だった可能性が強い、と改めて指摘した。
金子議員、一連の外務省問題を徹底追及
18日、衆議院予算委員会で質問に立った民主党の金子善次郎議員は、外務省をめぐる報償費問題、プール金問題、NGO排除問題などを追及した。
金子議員は、昨年12月に情報公開法が施行されたが、外務省の全面開示率はわずか12%で他省庁と比べて開きがあるとして、外務省の隠蔽体質を指摘し、質問に入った。
まず、平成14年度予算と13年度予算を比較したペーパーを提示、20億9000万円増額されていることを明らかにし、「外務省報償費の上納問題で注目されたのが20億円だったが、まさかその分が増額されたのではないと信じたい」とし、追及した。それに対して福田官房長官は「新官邸の建築費用」とし、正確な情報はないが上納問題と関連させないでほしいなどとした。
また、外務省報償費・渡切費・旅費・交際費などの予算項目をめぐって、従来は必要なものとされていたのが、平成14年度予算案では廃止された点に言及。なくしたと言いながら、その実態は「関連経費が0・9%伸びている。削減といえどもあちこちに振り分けただけだ」と批判した。
さらに報償費について、「もともと省費でまかなえるものを報償費としてきたのか」と追及、その不透明性を改めて指摘した。川口外相は「定型化したものが出てきたので、他の関連経費と合わせて計上した」とし、かなりの部分が使途を非公開にするような内容ではないことを自ら暴露した。
プール金問題をめぐっては「昨年の外務委員会で田中前外相が調査結果を報告すると約束したが、どうなっているのか」と追及。予算項目の何がプール金の財源となり、どの企業にプールされていたのか、また平成14年度予算ではその関連予算をどう修正したかが明らかにならない限り、予算審議はできないと指摘し、会計検査院に再調査を要求した。
さらには、NGO排除問題に関連して更迭された野上事務次官が官房付として省内に残ることについて、「そうなると相変わらず外務省の一職員として仕事をし、ほとぼりが冷めれば復活するということか」と追及。川口外相が掲げる「外務省改革」の限界を浮き彫りにした。
4月創刊の新理論誌は「Discussion Journal 民主」
4月に創刊される民主党の新理論誌の性格と名称が18日の編集委員会で決まり、松沢成文広報・宣伝委員長と鈴木寛編集長、若林秀樹同代理が記者会見で発表した。名称は「Discussion Journal 民主」、性格は論争誌で、21世紀の政党、文化的多元主義を積極的に担うもの。創刊号では、経済と雇用の再生を特集する。
「行政全体の総点検を」羽田特別代表が会見
羽田孜特別代表は、18日の定例会見で、鈴木宗男氏と外務省との関係に象徴される族議員と行政との癒着関係について、政治行政のモラルハザードの典型とし、「同じ政党による政権が長く続き過ぎると、こうした問題が次々に起こるのだ」と指摘。長期にわたって自民党中心の政権運営がなされてきたことを批判した。
さらに羽田特別代表は、いわゆる外務省問題を氷山の一角であるとし、「行政全体の総点検に小泉首相が取り組むべきだ」と述べ、外務省だけの問題に矮小化してきた首相の認識の甘さを批判した。《民主党ニュース》