平成338日目
1989/12/11
この日のできごと(何の日)
【新日鉄堺・野茂英雄投手】近鉄と初交渉
新日鉄堺の野茂英雄投手(21)は11日午後、大阪市天王寺区のホテルで新人選手としては破格の条件提示を受けたが「相談したい人もいるので考えさせてほしい」と即答を避けた。
本人を交えての第一回交渉は午後3時から約1時間で、近鉄からは島田編成部次長と河西チーフスカウト、新日鉄堺からは元永野球部副部長、中川前監督が同席した。この日、野茂サイドは希望条件は出しておらず、次回の交渉(日時は未定)から本格的な条件面の詰めに入ることになった。
史上最高額の契約金1億円、年俸1000万円については、既に近鉄と新日鉄関係者の間で本人不在の下交渉が進められてきた。8球団が1位指名で競合したアマ球界のエースだけに、今後の条件面の上積みを巡って成り行きが注目される。《共同通信》
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【上宮高・元木大介内野手】ダイエーと初交渉
上宮高の元木大介内野手(17)は11日午後、大阪市北区のホテルで初めてダイエー球団関係者との交渉に応じたが、会談後の会見でも「まだ「白紙です」「(行くか行かないか)どっちにも領いていま「せん」と、従来通りの言葉を繰り返した。
ドラフト会議から16日目で実現した元木とダイエーとの“初顔合わせ”は午後3時45分から約30分間。ダイエーからは坂井球団代表、杉浦球団取締役、堀井スカウトが、元木側は本人に上宮高の山上監督、両親が出席した。条件提示は行われず、ダイエー側は指名のいきさつ、球団の姿勢、ツインドームの建設計画などの球団事情を説明し、入団を熱望していた巨人に指名されなかった元木に「(入団を)前向きに考えてほしい」と要請した。
これに対し、元木は依然としてはっきりとした意思表示はしなかったものの「設備は素晴らしいと思った。ダイエーというところが分かってきた」と話し、今後も交渉に応じる考えでいることを明らかにした。《共同通信》
◇
元木は約100人の報道陣を前にしての会見。この日は、条件面の話は出なかったというが、元木は杉浦取締役からプレゼントされたボールペンを披露し「次に会う時は別の話(条件)になるが、落ち着いたら考えたい」。気持ちはプロ入りに傾きつつあるようだ。《共同通信》
【消費税廃止法案】参院通過
第116臨時国会最大の焦点となった野党共同提案の消費税廃止関連9法案が11日午後、参院税制特別委員会、同本会議で採決の結果、社会、公明、連合参議院、民社の四会派など野党の賛成多数で可決され、直ちに衆院へ送付された。
衆院では会期末が16日に迫っている上、継続審議に自民党が反対のため、9法案は今国会で審議未了、廃案は確実な情勢だ。しかし、野党提出の与野党対決法案が一院(参院)を通過するのは戦後国会史上初めてで、参院の与野党逆転時代の到来を鮮明に印象付けた。《共同通信》
【政界メモ】つい本音
○…海部首相は 11日の衆院決算委員会で、社会党の渡部行雄氏から「解散について自民党の派閥領袖がどんどん発言、首相はこけにされているのでは」と挑発的な質問を受けた。
首相は淡々とした表情をつくり「いろいろな意見があるのは報道を通じて承知している」と答弁。「解散権の刀を他人に抜かれていいのか」との追い打ちには「(解散時期の)判断はしていない」とかわし「かよわい首相では駄目。強くなるにはどうしたらいいと思うか」との質問にも「頼りがいのある首相になっていきたい」と懸命に、平静を装った応答。
しかし終了後、記者団に「新聞報道をそのまま言ってるんだから、質問が間違ってるよ」と吐き捨て、心中の不快が思わず外に―。
○…この日の参院税特宏の締めくくり審議で、社会党の前畑幸子氏が消費税廃止9法案の発議者に同法案の参院通過の感想を求めたのに対し、連合参議院の笹野貞子氏は「参院選では女性が大きな役割を果たした。私も廃止に向け一層努力したい」、公明党の峰山昭範氏も「参院可決は大きなインパクトになる」と強調。
しかし、社会党の久保亘氏は「この(閣僚)席に1カ月余り座り、真剣な審議をいただき、可決いただけるなら誠に感無量」とひと味違う答え。発議者8人のリーダー格を務めた久保氏だけに出口にたどり着いた安心感を漂わせていた。《共同通信》
【ブルガリア】党の指導的役割を放棄
ブルガリアのムラデノフ共産党書記長は11日開かれた党中央委総会で基調報告を行い、憲法から「党の指導的役割」規定を削除する方針を示すとともに(1)来年5月末までに自由選挙を実施(2)来年末までに新憲法を制定(3)来年3月26日に臨時党大会を招集―の政治改革日程を提案した。
「党の指導的役割」の放棄は、早ければ14日招集の人民議会で可決されるとみられる。東ドイツ、チェコスロバキアに続くもので、これでルーマニアを除く東欧諸国の足並みがそろった。
国営BTA通信によると、書記長は基調報告の中で「人民議会に対し、新たな自由かつ民主的選挙を来年5月末までに実施するよう提案する」と述べ、自由選挙の前提となる憲法1条の「党の指導」条項の見直しについて「党の指導的役割は行政的に宣言すベきでなく、国民の信頼によらなければならない」と言明した。党スポークスマンは、同条項の削除を人民議会に提案すると補足説明している。《共同通信》
【東ドイツ】再統一の要求拡大
東ドイツでは11日夜、各地で恒例の月曜デモが数十万人規模で繰り広げられた。この日のデモでは先週ライプチヒで出されたドイツ再統一要求のスローガンが全国に拡大、国営ADN通信によると、カールマルクスシュタットでは来年5月の総選挙前にドイツ再統一の是非を問う国民投票の要求まで掲げられた。
東ドイツ国家の主権を前提にした上で民主的な社会主義を目指して登場したばかりのキジ社会主義統一党党首と、再統一を否定した上で西ドイツとの協力強化を図っているモドロウ首相にとって大きな圧力になりそうだ。
ADN通信によると、カールマルクスシュタットでは4万人がドイツ再統一を求めてデモをした。集会演説者の多くがドイツ民族の再統一を訴え、コール西ドイツ首相の10項目提案を支持した。また武装民警組織の解散と12月15日までに社会主義統一党の企業組織を解散せよとの要求も出された。
ライプチヒのデモには約10万人が参加。教会での礼拝に引き続いて中心部のカール・マルクス広場で行われた集会では、民主運動グループが旧幹部の汚職問題で市民に追及の行き過ぎや暴走を戒める呼び掛けを行った。《共同通信》