平成337日目
1989/12/10
この日のできごと(何の日)
【米国、中国】関係回復で合意
ブッシュ大統領特使として訪中したスコウクロフト大統領補佐官は10日、最高実力者鄧小平氏ら中国首脳と相次いで会談、双方は米中の対立状態に終止符を打ち、友好関係を回復、発展させることで合意、ことし6月4日の天安門事件以来悪化していた両国関係の打開に動き始めた。
一連の会談について補佐官は「積極的かつ建設的、有益だった」と高く評価。「意見の不一致は存在するが、これを取り除くために努力し、米中友好関係を回復、発展させることに双方は同意した」と表明した。銭其琛外相は「双方はともに施策を通じて関係を回復、発展させるよう希望した」と述べ、米国の対中経済制裁、中国の戒厳令解除などについて何らかの話し合いがあったことを示唆した。
米中関係は天安門事件、反体制物理学者方励之教授夫妻の米大使館への避難、米国をはじめとする西側諸国による対中経済制裁などで険悪化。最近も在米中国人留学生の滞在延長措置に対し中国が「最大の感り」を表明したばかりだった。
しかしこの日、人民大会堂でスコウクロフト補佐官、イーグルバーガー国務副長官と会談した鄧氏は「訪中を感謝する」と最初に述べ「6月以来の論争に早急に終止符を打ち、両国関係を改善すべきだ」と関係打開を無んでいることを表明した。
鄧氏は「われわれと米国の間に論争や相違があっても、中国と米国の関係は改善すべきだ。良好な両国関係は、世界平和と安定のために必要である」と指摘。また「私は既に引退したが、友人であるブッシュ大統領の特使に会わないのでは、失礼であるし合理的ではない」と述べ、米中和解に向けて鄧氏自らが努力している点を強調した。
スコウクロフト補佐官も「引退しながら、しかも日曜日に会談できたことを大統領に代わって感謝する。(中国側の)見解に同意するとともに、関係改善をともに促進したい」と応じた。
鄧小平氏との会談に先立ち、李脚首相、江沢民総書記もスコウクロフト補佐官と会見。その際、李首相は「補佐官の今回の訪中は、現在悪化している両国関係に改善をもたらすシグナルである」と高く評価した。《共同通信》
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【チェコスロバキア】非共産党内閣が発足
東欧の民主化の波が押し寄せるチェコスロバキアで10日午後、非共産党員が多数を占める新内閣が発足した。また、新政権の成立を受けて、1968年の民主化運動「プラハの春」の圧殺後から87年まで共産党の指導者だったグスタフ・フサーク大統領(76)は辞任する。
チェコ共産党が48年に一党支配体制を固めて以来、共産党の閣僚数が過半数を割るのは初めてのことで、フサーク大統領辞任と併せ、先月17日以来、チェコ国内を大きく揺さぶっていた民主化運動は大きな成果を挙げたといえよう。《共同通信》
【プロ野球】
巨人の加藤、伊藤芳両スカウトは10日、大阪市天王寺区のホテルで、ドラフト1位指名した慶大の大森剛内野手(22)=187センチ、85キロ、右投げ左打ち=と契約金8000万円、年俸840万円で仮契約を結んだ。正式入団発表は22日に東京で行われる。
堺市に住む両親を交えての交渉はわずか約15分で終わった。大森はドラフト会談前から巨人入りを熱望していただけに、この日初めて提示された額ですぐ合意したそうで「本当に淡泊でした」とは伊藤芳スカウト。大森自身も「どのくらいもらったらいいとかお金のことは全然分からない。他の(ドラフト1位)選手のことも気にならない」と、金銭面にあっさりしたもの。
東京六大学リーグでは昨年春、史上6人目の三冠王に輝き、ソウル五輪代表メンバーにも加わったスラッガーに、加藤スカウトは「即戦力として活躍してくれると信じている」と太鼓判を押した。しかし、仮契約成立後の会見での大森は「ドラフト1位で入る責任というか、ブレッシャーを感じている」と神妙な表情。豪快な打撃とは打って変わり「長打を期待されると同時に、確実性のある打者になりたい。開幕一軍を目指して頑張る」と控えめに抱負を語った。(金額は推定)《共同通信》
◇
日本ハムがドラフト2位で指名した阪南大高・岩本勉投手(18)の入団が10日、決まった。宮本スカウトがこの日、大阪・八尾市内で本人と両親らを交えて2回目の入団交渉を行い、契約金5000万円、年俸480万円(ともに推定)で仮契約を結んだ。
岩本は今夏の全国高校野球大阪府大会は直前に発覚した部員の不祥事で出場を辞退したが、二年秋の鳥取西との練習試合で20奪三振をマークするなど、本格派右腕として注目されていた。《共同通信》
【ボクシング】
世界ボクシング協会(WBA)ウェルター級タイトルマッチ2回戦は10日、東京・水道橋の後楽園ホールで行われ、チャンピオンのマーク・ブリーランド(米国)が挑戦者の同級1位、尾崎富士雄(帝拳)に4回35秒TKO勝ちし、3度目の防衛に成功した。
これで日本のボクサー(日本のジムに所属する外国人選手を含む)の世界挑戦は19回連続失敗とワースト記録を更新し、昨年11月に世界ボクシング評議会(WBC)ストロー級王者だった井岡弘樹(グリーンツダ)が敗れて以来、日本人の世界王者は依然として不在。《共同通信》
【ダライ・ラマ14世】ノーベル平和賞受賞
ことしのノーベル平和賞に選ばれたチベット独立運動指導者でチベット仏教の最高聖職者のダライ・ラマ14世に対する同賞授与式が10日、オスロで行われた。受賞理由として、ダライ・ラマが長期にわたるチベットの中国からの解放闘争で非暴力の姿勢を貫いてきたことが高く評価された。
しかし中国政府は平和賞授与は内政干渉と強く反発、駐ノルウェー大使を帰国させる方針を明らかにしている。
ダライ・ラマはオスロ大学アウラ講堂での授賞式で「世界は一つであり、愛と非暴力が認められてうれしい」と語るとともに、「6月に北京の天安門広場で殺された人々は無益に死んだわけではない。中国人民の間で自由の精神は再燃した」として、中国がいつまでも自由を求める人々を抑圧できないことを指摘した。また、世界各地で吹き荒れている民主化の動きについて触れ、「中国はこの衝撃から逃れることはできない」と強調した。
ダライ・ラマは1940年に第14世に即位したが、59年にラマ僧らによるチベットの民族解放闘争が中国軍に鎮圧された後、インドに亡命、その後チベット独立運動の精神的最高指導者として活動してきた。
平和賞選考機関であるノルウェー議会ノーベル賞委員会は、ダライ・ラマの非暴力主義が全人類の音遍的な平和の哲学を発展させたとし、中国の反発は完全に無視する態度をとっている。ダライ・ラマに対する平和賞授与については、中国の天安門事件が大きく影響したとの見方もある。《共同通信》