2003 平成15年11月29日(土)　イラク日本人外交官射殺事件

平成5439日目

2003/11/29

この日のできごと(何の日)

【イラク日本人外交官射殺事件】

イラク北部ティクリット近郊で29日午後(日本時間同)、移動中の日本大使館用の車が銃の乱射を受け、長期出張中の奥克彦在英国大使館参事官(45)と在イラク大使館の井ノ上正盛書記官(30)、イラク国籍の運転手の3人が死亡した。福田康夫官房長官は30日「テロの可能性が強い」と述べ、旧フセイン政権派ら反米武装勢力によるテロの犠牲になったとの見方を示した。

政府は、川口順子外相を本部長とする緊急対策本部を設置。小泉純一郎首相は「テロに屈してはならない。日本はイラクの復興支援でやるべきことはやらなければならない」と述べ、自衛隊派遣の方針を変更しない意向を示した。

3月20日のイラク戦争開戦以降、日本人の同国での死亡は初めて。政府は自衛隊派遣のタイミングなど安全対策で慎重な検討を迫られる。

奥氏らは非政府組織(NGO)も参加して29日からティクリットで開催の北イラク復興支援の会議に向かう途中、ティクリットの南十数キロのムカイシファ近郊で襲撃された。3人は病院に搬送されたが、井ノ上氏は既に死亡しており、奥氏は搬送後に死亡した。米軍は犯人は複数との見方を明らかにした。

車は黒の四輪駆動車で、窓ガラスは防弾仕様。日本大使館用とは分からないように、国旗やナンバープレートは付けていなかった。警備員はついていなかった。

外務省幹部は「食料を買うため車を降りたところを襲われた」と述べたが、目撃者によると、29日午後0時半(日本時間午後6時半)すぎ、銃声が聞こえた後、車は幹線道路を外れ畑に突っ込み止まった。多数の銃弾のあとが残った車内には3人が血まみれになって倒れていた。

現地警察は所持品が盗まれていないことから、強盗ではなくテロとの見方を強めている。日本政府の要請を受けて、米軍は30日に遺体をバグダッドへ向け搬送した。

ティクリットはバグダッドの北約150キロに位置するフセイン元大統領の出身地で、反米感情の強い「スンニ・トライアングル」と呼ばれる一帯にある。

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イラク各地で11月29日から30日にかけ、日本人外交官2人のほかにもスペイン情報機関員ら7人と韓国の民間人2人も死亡するなど、イラク支援国関係者が相次いで襲撃を受けた。

スペイン政府は29日夜、同国軍情報機関員ら8人の車列がロケット弾やライフルによる待ち伏せ攻撃を受けて7人が死亡、1人が軽傷を負ったことを明らかにした。AP通信によると、現場は首都の南約45キロのヒッラー付近の道路。3台の民間車両で移動中だった。

韓国外交通商省によると、死亡した2人の韓国人は30日、北部ティクリットを車で移動中に襲撃された。別の2人も負傷。米国企業の下請けとしてティクリット付近で送電塔の工事を請け負っていた。バグダッドからティクリットへ向かう途中で事件に遭遇したとみられる。ロイター通信によると、現場は、日本人外交官らが殺害されたのと同じ幹線道路。《共同通信》

【J1】横浜マリノスが完全優勝

Jリーグ1部(J1)第2ステージ最終節(29日・横浜国際総合競技場ほか＝8試合)横浜Mが後半ロスタイムに久保の劇的な決勝ゴールで首位磐田を2−1で破り、第1ステージに続く4度目のステージ優勝と、昨年の磐田に次ぐリーグ史上2度目の完全優勝を達成した。

勝てば優勝の可能性があった鹿島は後半ロスタイムに同点とされ浦和と2−2で引き分け。同じく市原は2−0で東京Vに快勝したが、得失点差で逆転Vを逃した。

残り1枠となっていたJ1残留争いは、大分が1−1で仙台と引き分け、京都が1−5でG大阪に敗れたため、大分の残留が決定。京都と仙台が来季J2降格となった。得点王には22得点を挙げた名古屋のウェズレイが輝いた。《共同通信》

【フィギュアスケート】

フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終第6戦、NHK杯国際競技会第3日は29日、北海道の旭川大雪アリーナで行われ、女子は村主章枝(新横浜プリンスク)が自由演技で逆転し、165.52点でGP初優勝を果たした。

恩田美栄(東海学園大)も3位に入り、村主と荒川静香(早大)とともにGPファイナル(12月12−14日)進出を決めた。GPファイナルの同一種目に日本選手3人が出場するのは初めて。太田由希奈(京都醍醐ク)は6位だった。

男子SPは昨季の世界選手権2位のティモシー・ゲーブル(米国)が首位。アイスダンスはアルベナ・デンコワ、マキシム・スタビスキー組(ブルガリア)が初優勝した。《共同通信》

【宇宙航空研究開発機構】偵察衛星の打ち上げ失敗

日本の偵察衛星である情報収集衛星の2号機が、29日午後1時33分、宇宙航空研究開発機構の種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケット6号機で打ち上げられた。しかし、トラブルが発生し、同機構は13分後、上昇中のロケットを指令破壊、打ち上げは失敗した。

宇宙開発事業団などを統合して10月に発足した宇宙機構としては初の打ち上げ。前回予定していた9月27日は、直前にロケットの姿勢を制御する慣性センサー装置(IMU)に故障信号が出て中止された。

1、2号機とも光学衛星とレーダー衛星の組み合わせで、今年3月に打ち上げた1号機と合わせた2組計4基で、北朝鮮の軍事拠点など地球上の全域を一日一回撮影可能にする。

H2A6号機の打ち上げは、固体ロケットブースターやバルブ駆動装置などに不具合が相次いで見つかり、当初の9月10日から3回にわたって延期された。

宇宙機構は、環境観測衛星みどり2が電源系の故障で、打ち上げから10カ月で運用断念を余儀なくされるなど、トラブルが続いている。《共同通信》

【自民党・青木幹雄参院幹事長】自衛隊イラク派遣支持

自民党の青木幹雄参院幹事長は29日、島根県玉湯町で講演し、自衛隊のイラク派遣問題について「国際的に日本は約束している。約束を守らなかったら、将来日本に万が一のことがあった時、外国に日本を守ってくれと言えなくなる」と述べ、派遣方針支持を明確に打ち出した。派遣時期に関しては「参院選との間に挟まっている」と述べ、来年1、2月ごろの可能性を示唆した。

青木氏はこれまでイラク派遣には「小泉純一郎首相が判断すること」として踏み込んだ発言を避けてきた。派遣方針支持を鮮明にしたのは、参院選への影響を考慮しても、国際約束を守る方が重要と判断したためとみられる。

小泉政権の課題については「統一地方選、衆院選、参院選と大きな選挙が(来年の参院選後は)3年間ない。安定した政権をつくって、憲法、教育基本法、税制などの問題をしっかりやっていけるかが大きな課題だ」と指摘した。《共同通信》

【政府】足利銀行の一時国有化を決定

政府は29日夜、首相官邸で開いた金融危機対応会議で、有力地方銀行の足利銀行(宇都宮市)の全株式を強制取得し、一時国有化することを決定した。今年9月中間決算で、1023億円の債務超過に陥り、破たん申請したため、預金保険法102条の特別危機管理措置を初適用し、地域の信用秩序維持を図ることにした。

持ち株会社あしぎんフィナンシャルグループ(FG)の社長を兼務する日向野善明取(55)は近く退任、政府は来月半ばにも新経営陣を選任する。経営トップには日銀出身者らが候補に浮上。複数の外資系ファンドが足利銀の受け皿となることに関心を示している。

金融庁は幹部で構成する経営監視チームを派遣し、新経営陣への移行期への混乱回避を図る。竹中平蔵金融相は会議後の記者会見で「新経営陣は(旧経営陣の)民事、刑事上の責任をきちっと追及してほしい」と強調した。

受け皿への資金援助などで総額1兆円超の公的資金が投入される見通しだが、竹中金融相は「どのくらいの金額になるか言うのは困難」とした。

小泉純一郎首相は記者団に「足利銀行の問題によって、他の金融機関はさらにしっかり経営体質を強化しなければならない」と、地方銀行などの経営強化の必要性を強調した。政府は、関係地域の金融、経済安定策を検討する関係省庁連絡会議を週内にも開催する。

足利銀の預金は全額保護、営業は継続する。日銀も臨時政策委員会を開き、資金繰り支援のため必要に応じ特別融資を実施する方針を決めた。《共同通信》

【サッカー】

20歳以下(U−20)によるサッカーの世界ユース選手権第3日は29日、ドバイなどで1次リーグ6試合を行い、初戦を迎えたD組の日本は、イングランドを1−0で破り、勝ち点3を手にして同組で首位に立つ好スタートを切った。

日本は6度目の出場で初戦に勝ったのは初めて。後半9分に坂田(横浜M)のヘディングシュートで奪った1点を守り切った。同じD組のコロンビアとエジプトは0−0で引き分けた。

E組はアイルランドがサウジアラビアに2−1、コートジボワールがメキシコに2−1で勝った。F組は米国が3−1でパラグアイを下し、アジア王者の韓国はドイツに2−0で快勝した。《共同通信》

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