平成4335日目
2000/11/20
この日のできごと(何の日)
【加藤の乱】失敗
野党4党提出の森内閣不信任決議案は21日未明の衆院本会議で、自民、公明、保守3与党の反対多数で否決される見通しだ。内閣不信任案に賛成を表明していた自民党加藤派会長の加藤紘一元幹事長、山崎派会長の山崎拓元政調会長は20日夜の本会議開会直前に、本会議欠席に転換したためだ。加藤、山崎両氏は主流派の激しい多数派工作の結果、それまで見込んでいた賛成票を切り崩され、加藤派も分裂状態に陥ったことから、内閣不信任案に賛成しても可決できないと判断した。《共同通信》
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政治決戦の舞台のはずだった20日夜の衆院本会議。内閣不信任案への賛成を言明していた加藤、山崎両派の大多数は欠席した。
「ここは名誉ある撤退をし、力を蓄えようと山崎(拓)さんと相談した」。同日夜の加藤、山崎両派の合同集会で、加藤紘一元自民党幹事長が約40人の議員に欠席決断の経緯を説明した。「私と山崎さんと二人だけで(不信任案に)賛成してきます」と続けた。
会場からは「話が違う」「そりゃ駄目です」の声が飛んだ。石原伸晃氏や谷垣禎一氏ら十数人が壇上に挙がって加藤氏を取り囲み、腕をつかむ。「オレも行く」と涙ぐむ議員も現れた。加藤氏は口を真一文字に結び目を潤ませた。
続いて登壇した山崎氏が「皆さんに言われたので今回は(出席を)自重する」と述べると「よーし」と拍手がわき起こった。
集会の冒頭、加藤氏は「残念なことに現在のところ数の見通しは極めて微妙。突っ込んでいって必ずしも勝利が確定できる状態ではない」と力なくあいさつした。
これに先立ち、本会議開会直前の午後8時半すぎには、国会近くのホテルで会談を終え、相次いで姿を見せた両氏。
山崎氏は「欠席」とぽつり。加藤氏は、うつろな目で「小里貞利(総務会長)さんと話し合った結果、われわれは欠席することにした」と話した。
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【保守党・松浪健四郎議員】ヤジに立腹、水をまく
森内閣不信任決議案の採決のため開かれた20日夜の衆院本会議は、内閣不信任案の反対討論に立った保守党の松浪健四郎衆院議員が午後10時20分ごろ、壇上から野党席に向かってコップの水をまいたことから、野党議員が演壇に詰め寄って激しく抗議し、大混乱となった。このため、議事進行が不可能になり、共産、社民両党の賛成討論を前に約30分間にわたり審議が中断した後、綿貫衆院議長が休憩を宣告した。
衆院本会議は約15分後に再開され、綿貫議長が「松浪氏の行動は議院の秩序を乱し、品位を傷つけた」として、職権で衆院懲罰委員会にかける意向を伝え、松浪氏に退場を命じた。しかし、野党側は納得せず、演壇付近で抗議を続けた。《読売新聞》
【森喜朗首相】安どの表情
森喜朗首相は20日夜、衆院本会議で内閣不信任決議案の採決直前に、自民党加藤派の加藤紘一会長ら非主流派が欠席を決め、不信任案否決が確実になったことに安どの表情を見せた。
福田康夫官房長官は「びっくりだ。党執行部が粘り強く交渉してくれた。感謝したい」と大喜び。記者団が加藤氏らに「条件」を示したのかと迫ると「無条件だ」と強調した。
首相は午前中から夕方まで衆院予算委員会に出席。記者団には「大事な補正予算案を通すだけで頭がいっぱいだ」と述べ、審議に集中する姿勢を示した。
それでも記者団が繰り返し不信任案に関する質問をぶつけると、首相は「朝から何度も言ってるでしょ」といら立ちも。予算にが終了後、国会内で公明党の神崎武法代表、保守党の扇千景党首を相次いで訪ね、不信任案否決に重ねて協力を要請した。
その後も福田氏ら森派幹部から情勢を聞き、票読みなどに追われた。だが加藤氏らが野党の不信任案に賛成せず、本会議欠席に戦術転換するとの「朗報」が入ると、首相周辺の空気は一変した。本会議前に開かれた自民党代議士課に向かう途中も首相は記者団の質問を一切無視したが、表情は緩みっぱなしだった。《共同通信》
【共産党・第22回党大会】開幕
共産党の第22回党大会は20日午後、静岡県熱海市の党施設「伊豆学習会館」で代議員ら約1000人を集めて開幕し、不破哲三委員長が冒頭であいさつ、志位和夫書紀局長が中央員回報告を行った。5日間の日程で、有事の際の自衛隊活用論を盛り込んだ党大会決議案と、「前衛政党」などと位置づけた党規約前文の削除などを柱とする同規約改正案を最終日の24日に採択する予定。
不破委員長はあいさつで「大会の任務の第一は21世紀の早い時期に民主連合政府を建設することにある」と強調。志位書紀局長は「自民党政治を21世紀早々に終わらせることが、いよいよ切実な課題となっている」と、衆院解散・総選挙に追い込み自民党内閣を打倒する決意を表明した。
【東海再処理工場】運転再開
平成9年3月の火災・爆発事故で操業を停止していた核燃料サイクル開発機構(旧動燃・茨城県東海村)の東海再処理工場が20日、約3年8カ月ぶりに運転を再開。東海村臨界事故で、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の現場から抜き取られた高濃縮ウラン溶液(ウラン重量20キロ)の処理を始めた。
同工場では、同日午前10時50分、周辺時自治体関係者と報道陣が見守る中、工場当直長が「(運転を)開始してください」と指示。処理が始まった。計画によると、今回の運転期間は来月19日までの予定。今月27日からは既に貯蔵している敦賀市の新型転換炉原型炉ふげんの使用済み核燃料の再処理を始める見込みで、ウラン約3トンプルトニウム約15キロを回収、工場内に保管する。
【広島県警】巡査長、3年間無免許運転
広島県警広島中央署地域課の巡査長(30)が三原署警備課に勤務していた平成9年3月から今年3月までの3年間、約70回にわたり無免許で公用車を運転していたことが20日、明らかになった。県警監査官室は近く、巡査長を道交法違反(無免許運転)で書類送検し、当時の上司らを処分する方針。
監査官室によると、巡査長は当時、運転免許を持っておらず、同僚や上司から「免許を取れ」と勧められた。このため、8年春ごろ、周囲に「免許を取った」とうそを付き、身上調査表にも「普通免許取得」と記載した。
巡査長は同年秋ごろ、自家用車を購入して運転。「いつも助手席ではおかしいし、申し訳ない」と、9年3月ごろから公用車の運転を始め、熊本県まで運転したこともあった。
巡査長は保有する資格などを記載する自己申告書を署内向けだけに改ざんし、免許を持っているように装っていたが、上司は偽装に気付かなかった。また、公用車の運転には県警の技能試験合格が必要だが、巡査長は試験を受けていなかったという。《共同通信》
【この日の民主党】
「選挙恐れず、国民に信を問う」菅幹事長が代議士会で檄
民主党は20日午後4時30分から国会内で代議士会を開き、今後の日程について伊藤忠治衆院議運委理事、赤松広隆国対委員長が説明した。
菅直人幹事長は、「今回の政局は自民党内の争いが注目されているが、先の衆院選で民主党など野党4党が190議席を持っているという構造が基本にある。かつては、自民党内の動きに対して、野党が刺身のつまのように翻弄されていろいろな場面が生まれたことはある。しかし今回は全く違う。選挙を恐れているのも与党であって、私たち民主党は選挙を恐れるどころか、今こそまさに国民の信を問うて、森内閣を選ぶのか、それとも民主党中心の政権、鳩山内閣を選ぶのかの闘いに追い込んでいく」と檄を飛ばした。
内閣不信任案は今日の衆院予算委の質疑が終了する直前の午後5時45分に提出された。それと同時に衆参両院のすべての委員会審議がストップすることになる。不信任案を採決する衆院本会議は20日午後9時から行われることが、夕方の衆院議院運営委員会理事会で決まった
午後8時30分からは4野党党首が会談し、最終的な意思確認を行う予定。
森内閣内閣不信任決議案を採決する衆院本会議は20日午後9時から始まった。
まず不信任決議案の提案理由説明に民主党の鳩山由紀夫代表が立ち、まず「圧倒的多数の国民が森内閣は一刻も早く退陣すべきとしている。景気も外交もこの内閣では好転するはずもなく、このような最悪の内閣は20世紀中に幕を引かないかぎり、新しい世紀における日本の展望は開けない」と前置き。
続けて、誕生以来疑惑にまみれてきた森内閣の運営について「発足以来、密室の中で談合した仲間たちの顔色をうかがい、いかに自分たちの権益を守るかに主眼がおかれてきた」と指摘。数々のスキャンダルを列挙して、「森内閣誕生以来の軌跡はまさに恥の上塗りの繰り返し」と断じた。
そして、自民党内の不信任案をめぐる攻防を、「国民から見れば、実につまらないコップの中の嵐。こんな内閣を守る価値をどこに見いだすのか」と切り捨て、「この不信任を党内の単なる権力争いの序幕と考えるのではなく、新たな政治改革の第2幕と位置づけること」が、本当に価値ある選択だと主張した。
鳩山代表は最後に、「不信任案が可決されなければ、それは国会と国民の意思が乖離していることを示すことに他ならない」と述べ、決議案への賛同を求めて演説を終えた。
森内閣不信任案を審議した20日の衆議院本会議で、民主党・無所属クラブから不信任案の賛成討論者として石井一副代表が登壇した。
石井副代表は、「森政権、自公保政権が存続して国滅ぶ、であってはならない」として、まず賛成の理由として、森内閣の存続が民主主義の崩壊を招くことに他ならないと主張。かつて在籍した自民党を指して、「今の自民党に、自由も民主主義もない」「理性のかけらもなく、もはや恫喝としか言いようのない行為が公然と行われている」と痛烈に批判した。
また、経済政策の失政を2番目の理由としてあげ、「市場はこの内閣の一刻も早い退陣を切望している」と指摘した。
さらに3つ目の理由として、石井副代表は「わが国の国際的地位の低下」をあげ、北朝鮮問題やロシアとの平和条約締結交渉、日米関係でも、理念も戦略性もない外交で国益を損ねているのは明白だと主張した。
石井副代表は最後に、「自民党の執行部の強権、脅かしの政治は時代錯誤、アナクロニズムに過ぎない」と再度自民党の姿勢を批判。また、不信任案に賛成すると表明しながら土壇場で本会議を欠席した自民党の加藤紘一氏らを「その言明が果たせないのであれば、国民に対する公約違反であり、背信行為だ」と厳しく批判し、討論を終えた。
この後本会議は、反対討論をした保守党の松浪健四郎議員が、演壇から野党席に水をかける暴挙を行ったため、野党議員が演壇の周りに詰めかけ猛烈に抗議。にもかかわらず、綿貫衆院議長が議事を強引に進めようとしたため、民主党は議長不信任案を急きょ提出した。
本会議は日をまたいで延会され、衆院議運委理事会が議長不信任の取り扱いを協議。本会議再開後、議長不信任案の討論と採決が行われ、小沢鋭仁国対委員長代理が趣旨説明。起立採決の結果、不信任は否決され、内閣不信任案の討論が再開された。《民主党ニュース》