平成4304日目
2000/10/20
この日のできごと(何の日)
【森喜朗首相】拉致疑惑「第三国で発見」を提案
森喜朗首相は20日午前のブレア英国首相との会談で、3年前の自民党総務会長当時に自民、社民、さきがけ3党訪朝団団長として朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問した際、日本人拉致疑惑の解決に向けて、北朝鮮以外の「第三国」で行方不明者として発見される方式での決着を提案していたことを明らかにした。
首相は同日夜、同行記者団に対し「与党で訪朝した時に正式に話した。だが今はそういう考えを持っているわけではない」と釈明した。しかし中川秀直官房長官は夕方の記者会見で「コメントは差し控えたい」としながらも「外交交渉はいくつもの選択があり、予断を持つべきではない」と指摘、今後も選択肢の一つになる可能性を否定しなかった。
首相が3年前のこととはいえ、真相をあいまいにしかねない形での決着方法に言及したことは、日本国内で波紋を広げており、野党幹部から批判が出ている。
首相はブレア首相との会談で「北朝鮮は大変メンツを重んじる国である」と指摘。「(北朝鮮側に)行方不明者と言う事でもいい。北京でもバンコクでも『そこにいた』という方法もあると言ったが、明確な返事はもらっていない」と述べた。拉致問題解決のためには、北朝鮮国内で解放と言うより、他国で見つかった形にした方が北朝鮮の前向きな対応を引き出しやすいと判断した提案だったとみられる。
中川長官は会見で「首相は拉致問題の解決に熱意を示したものと理解している」と擁護、「(提案は)総務会長時代の話であり現在政府は国交正常化交渉の中で粘り強くやっている」と述べた。
◇
民主党の菅直人幹事長は20日の記者会見で、森喜朗首相が示した「拉致疑惑打開案」について「現在首相をしている立場で、ほかの国の首相に話すのは非常に軽率だ。首相は功名心にとらわれている。大変重い課題であり、それなりにしっかりした戦略を持って対応すべきだ。日本の国益を危うくする」と批判した。《朝日新聞》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
情報量が少ない日は随時加筆中です。
引用記事は名前、住所など一部修正の上、抜粋してあります。
外国の方のお名前、地名などは現時点で一般的に通じるものに書き換えています。(例・ロシアのプーチン氏はかつてプチン氏と表記されていました)
古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。
【皇后陛下】66歳の誕生日
皇后さまは20日、66歳の誕生日を迎え、これに先立ち宮内記者会の質問に文書で回答された。今年は6月の香淳皇后(皇太后)逝去に伴う服喪期間中であることから、誕生日の祝賀行事は行われない。
皇后さまは、忘れられない香淳皇后の思い出として、結婚後まもなく武蔵陵墓地(東京都八王子市)で昭和天皇らと小梅を拾ったことを挙げ「明るい日差しの中で皇太后さまのお笑い声をうかがいながら、これからどこまでも後にお付きしていこうと思いました」と振り返った。
昨年末の皇太子妃雅子さまの流産には「流産は、たとえ他に何人の子供があったとしても悲しいものであり、はじめての懐妊でそれを味わった東宮妃(皇太子妃)の気持ちには、外からは測り知れぬものがあったと思います。体を大切にし、明るく日々を過ごしてほしい」と激励した。
ここ一年の出来事では、伊豆諸島・三宅島の噴火、東海地方の豪雨などの犠牲者を悼み、被災者を案じる思いを示すとともに、白川英樹筑波大名誉教授のノーベル賞受賞について「化学の基礎の分野に高いレベルを有することを誇らしく思います」と述べた。《共同通信》
【協栄生命】経営破綻
経営不振に陥っていた中堅生保の協栄生命(本社東京)は20日、自力再建を断念し、金融機関のための会社更生法である「更生特例法」の適用を東京地裁に申請、破たんした。
同地裁は申請を受理し、財産保全を命令した。同社は総資産約4兆6000億円、契約件数は約600万件で、負債総額(保険金支払いの準備金を含む)は4兆5297億円と10月9日に破たんした千代田生命を上回り、過去最大の生保破たんとなる。
協栄生命再建では米生保最大手のプルデンシャルが20日、支援を表明したほか、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の金融部門、GEキャピタルも名乗りを上げる方針を固め、日本の保険市場で事業拡大を目指して競う格好になった。
保険会社の同法適用申請は千代田生命に次ぎ2例目で、生保破たんは6社目、今年に入って4社目。生命保険契約者保護機構の資金援助を受けて、平成13年3月までは死亡保険金などは全額支払われる。《共同通信》
【三菱自動車】品質管理部門の人員増強
三菱自動車工業(東京)がユーザのクレームを隠ぺいしていた問題で、同社は20日、クレーム情報を扱う品質管理部門の人員を11月から増やして体制を強化するとともに、社長直属の「品質監査委員会」を設置し全社レベルで業務監査をするなど、再発防止に向け改善策をまとめ運輸省に報告した。
このほかの改善策として品質の不具合に対する基準を明確にし、クレーム情報の処理システムを改善。通し番号をつけて書類(商品情報連絡書)をコンピューターに登録し、二重管理できないようにする。企業倫理や法令遵守に関する社員教育も見直すという。
三菱自動車は「一日も早くユーザーの信頼を回復するよう努力したい」としており、改善策の一部はすでに着手している。《共同通信》
【イスラエル・バラク首相】和平交渉、無期限停止も
ヨルダン川西岸などで20日、パレスチナ人などイスラエル治安部隊の衝突が相次ぎ、パレスチナ人9人が死亡、約250人が負傷した。この事態を受け、イスラエルのバラク首相は同日夜、地元テレビとのインタビューで、パレスチナ側の暴力行為が続いた場合、21日からカイロで開かれるアラブ首脳会談後に、和平プロセスを無期限に停止して全面的に見直すと表明した。
これに対し、パレスチナ自治政府のアラファト議長は21日、「イスラエルによるアラブ諸国への挑発であり、アラブ諸国はそれに対抗するすべを知っている」と反発した。
17日のエジプト・シャルムエルシェイクでの緊急中東首脳会談での合意は崩壊の瀬戸際に立たされた。
緊急中東首脳会談では、2週間以内に和平交渉再開のための協議を行うことで合意していたが、事態が沈静化しなければ、バラク首相は協議に応じない意向だ。首相は、イスラエル側からパレスチナとの関係を断つ「一方的分離」策を検討しており、こうした政策が採用されれば、1993年のパレスチナ暫定自治宣言以来の和平プロセスは完全に崩壊することになる。《共同通信》
【サッカー・アジア杯】第9日
サッカーのアジアカップ第9日は20日、ベイルートなどで1次リーグC組最終戦の2試合を行い、既に1位で準々決勝進出を決めている日本はカタールと1−1で引き分け、サウジアラビアはウズベキスタンに5−0で大勝した。
サウジは勝ち点4で2位となり、8強進出。カタールは勝ち点3で3位となりA−Cの各組3位のうち準々決勝に進出できる上位2チーム(勝ち点で決定)に食い込み、ベスト8が出そろった。各組3位の勝ち点はA組のタイが2、B組の韓国が4だった。
第1戦のサウジ戦の先発とは9人を入れ替えて臨んだ日本は前半22分、オバイドリに約35メートルの直接FKを決められ、38分には海本が退場処分となる苦しい展開。しかし後半15分、小野の折り返しを西沢が押し込み、同点に追いついた。《共同通信》
【この日の民主党】
審議ボイコットから転換、徹底審議で与党を追いつめる
国会は20日、参院比例代表に非拘束名簿方式を導入する公職選挙法改正案が参院を通過したのを受け、与野党攻防の場を衆院に移した。しかし、20日正午から行われた衆院議院運営委員会では、同法案の取り扱いをめぐって、与党側が本会議での趣旨説明と質疑を省略して、倫理選挙特別委員会に直接付託することを押し切り、徹底審議を求める野党側と、法案成立を急ぐ与党側とのせめぎ合いが強まっている。
民主党は20日午前10時から両院議員総会を開き、審議ボイコットから徹底審議への転換について、幹部が説明し理解を求めた。
まず、久保亘参議院議員会長が3週間にわたる参議院での闘いを振り返り、「マスコミの論調においても、国民世論の動向を見ても、われわれはけっして敗者ではない。むしろ、われわれは民主主義の敵を明らかにし、その正体を暴露する中で、われわれに課せられた民主主義を守る闘いを果敢に前進させることができた」と成果を強調した。
菅直人幹事長は、「これからの闘いは、徹底的に衆議院でこの法案を議論し、審議する形に大転換する。満身創痍になっている与党の今の姿を国民の前に明らかにして、攻めて攻めて攻めまくっていくという意味だ。最終的には非拘束名簿方式を廃案に追い込んでいく」との意気込みを示した。
赤松広隆国会対策委員長は、「当初はこの問題に関心の低かった世論を、この3週間の徹底した闘いの中で盛りあげることができた」として、今後も衆参一体・野党の結束を保った闘いを続けるよう要請した。
続いて石井一副代表が、「国会の情勢はわれわれが思っているより厳しい。むこうは聞く耳を持たず、重武装し、数で押し切り、時間が来たら処理する態勢だ。マスコミは参議院で通ったからもう成立したと報道している。うかうかしていたら、あっという間に成立してしまう」と気を引き締め、「あとはわれわれの勇気と決意と知恵にかかっている」と檄を飛ばした。
最後に鳩山由紀夫代表が、「国民は2000年10月19日に何が起きたか知っている。来年の参院選が楽しみだ。自壊現象を繰り返している自公保の息の根を止め、墓標をうち立てる日がまさにその日だ」と述べ、国会論戦で与党を徹底的に追いつめていくよう訴えた。
野党側が公選法改正案について本会議で趣旨説明と質疑を行うように求めたのに対し、正午から開かれた衆院議院運営委員会で、与党側が特別委員会へ直接付託する動議を提出。
これに対し、民主党の伊藤忠治同委筆頭理事が、「公職選挙法は1票の有権者の立場に立って作られるべきものであり、広く国民の声に耳を傾けるべき。少数意見に耳を貸さず、参院同様の暴挙を繰り返そうとしていることは絶対に看過できない」「本会議での趣旨説明要求法案として扱うことを与野党が合意している。それを無視して直接当該委員会に付託することは、議運委レベルにおける与野党合意のあり方を真っ向から否定するもの」「今国会の会期は12月1日まであり、審議の時間は十分余裕がある。充分な審議を高めることが国民に理解を得るためにも大切ではないか」などの理由を挙げ、動議に反対した。しかし、与党側の賛成多数で、委員会への直接付託が決まった。
この後、4野党の国会対策委員長は、与党に対し、(1)公選法、少年法、警察法、健康保険法、医療法の各改正案について慎重かつ十分な審議を行うこと。あっせん利得処罰法案と永住外国人地方参政権付与法案を直ちに審議入りすること(2)KSD問題、中川官房長官の疑惑問題などを審議するため速やかに予算委員会を開会すること(3)クエスチョンタイムを定例で開催すること–の3項目を、12時30分からの与野党国対委員長会談で申し入れた。これに対し、与党側は、法案審議については慎重に取り扱うと回答したが、予算委員会の早期開会については難色を示した。
少年法改正で修正案まとめる=年齢引き下げで厳格運用求める
民主党は20日のネクストキャビネット会議で、与党が提出している少年法改正法に対する民主党の修正案を決めた。引き続き小川敏夫司法ネクスト大臣、佐々木秀典法務部会長、平岡秀夫衆院議員が記者会見し、法案の内容を説明した。
民主党案では与党案に対し、被害者への配慮や保護処分終了後における救済手続きの整備など、賛成できる部分があるとしながら、次の相違点を上げている。
(1)与党案が最大の柱としている「刑罰対象年齢の16歳から14歳への引下げ」は容認した上で、「罪状が重大で、刑事処分以外の措置では矯正の目的を達することが著しく困難な場合」と限定した。
(2)「家裁では(1)の決定の際、少年に弁護士である付き添い人をつける」として、厳格な判断を家裁に求めた。
(3)与党案で「16歳以上の少年による人の命を奪う犯罪では原則として刑事裁判を受けさせる」としているが、民主党案では「人を殺した罪」と変更。殺人の故意がある場合に限定している。
(4)懲役や禁錮の言い渡しを受けた少年は、16歳まで少年院に収容するとした与党案の改正規制を削除。「16歳未満の受刑者は、少年刑務所において、所定の作業に代えて、必要な教育を授ける」と修正。
(5)少年審判における事実認定能力の強化については、「検察官が少年裁判に直接関与する」と規定した与党案を否定。家裁のなかに、刑事裁判と同じように検察官と弁護士が事実究明を争い、裁判官によって判断する「事実認定裁判所」を新設する。これに伴い、与党案の「裁判官を3人にする裁定合議制」や「検察官に高裁に対する抗告受理申立制」の必要性を否定し、削除を求めた。記者会見では、小川NC大臣らは、「少年犯罪は単なる少年法改正だけでは解決し得ない」として、被害者に配慮した「犯罪被害者基本法」や成年年齢の引下げ等に関する法律案と関連づけて考える必要性があると述べた。《民主党ニュース》