平成2466日目

1995/10/09

この日のできごと(何の日)

【田沢智治法相】辞任

田沢智治法相は9日午前、辞任した。立正佼成会からの2億円借り入れに絡む野党との質問裏取引疑惑による政治混乱の事実上の責任を取った。村山富市首相は直ちに後任法相に参院自民党の宮澤弘氏(74)を起用した。同日午後2時から皇居での認証式に臨んだ。

田沢氏は辞任後、法務省で記者会見し「良心に誓って裏取引はないが、補正予算を一日も早く成立させる必要があると判断した」と強調した。

法相交代について、野坂浩賢官房長官は記者団に「内閣は微動だにしない」と指摘したが、8月の内閣改造からわずか2カ月での閣僚辞任は、宗教法人法改正の審議など今後の国会運営や連立政権の安定度にも微妙な影響を与えよう。

野坂官房長官は9日午前の記者会見で「田沢氏の裏取引疑惑はなかったものと考える。今後、調査することはない」と言明。宮澤氏を新法相に起用した理由については「県知事などを務め、法律に詳しく慎重な人だ」と述べ、最終段階に入ったオウム真理教への破壊活動防止法(破防法)適用問題などを念頭に置いた人事であることを示唆した。

宮澤氏も首相官邸で会見、破防法適用問題に関し「法と証拠に基づいて慎重に検討したい」と述べた。

田沢氏は2億円借り入れ問題を代表質問で取り上げないよう野党・参院平成会(新進党、公明などで構成)に働き掛けた疑惑に加え、野党との対決法案の宗教法人法改正に消極的であることに与党内から批判が強まっていた。

このため首相や橋本総裁は11日からの衆院予算委員会を前に、田沢氏の「自発的辞任」で決着させた。《共同通信》

法相に就任することが決まった宮澤弘参院議員は9日午前、首相官邸で記者会見し、オウム真理教への破壊活動防止法適用問題について「関係当局からいろいろ話を聞かなければならない。国民の基本的人権に大変関係のある重要問題で、法と証拠に基づいて慎重に検討したい」と述べ、慎重な姿勢を示した。

また宗教法人法改正問題については「政府で改正すべく検討し、手続きを進めている段階だ。そういうことで進んでいくと理解している」と述べ、改正に前向きの姿勢を示した。

田沢智治前法相の辞任の引き金になった代表質問裏取引」疑惑については「田沢氏がそういうことはないと言っている以上、私がとやかく言うことではない」と語った。

死刑制度の存廃については「法治国家として、制度がある以上はそれに基づいて対応していく」と、存続の考えを強調した。《共同通信》

国会質問「裏取引」疑惑による混乱の責任を取って法相を辞任した田沢智治氏の後任に起用された宮澤弘氏(74)=参院広島選挙区=は、9日午後、皇居での認証式を終え、首相官邸で村山富市首相から正式に辞令を交付された。

これにより、政府与党は宗教法人法改正など懸案を抱える臨時国会や、オウム真理教への破壊活動防止法(破防法)適用問題を乗りきるための「万全の態勢」(首相)を敷いたと判断、11日からの衆院予算委員会に臨む。

首相は9日午後、田沢氏の疑惑について、調査は終了したとの認識を表明。野坂浩賢官房長官も記者会見で「調査する必要はない」と述べ、同問題は決着したとの立場を明確にした。

しかし、疑惑を否定したまま田沢氏が辞任に追い込まれた理由が国民には分かりにくく、政治不信がさらに高まるのは必至だ。与党内でも、さきがけが真相究明を求めるなど対応の違いが表面化、政府与党内にしこりを残した。《共同通信》

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【政界談話室】

○・・・自民党の橋本龍太郎総裁は9日午前の記者会見で、田沢智治法相辞任について「責任のある進退と受け止めている」。参院・平成会との裏取引疑惑の解明は「それぞれの立場で考えるだろう。(田沢氏を)信じたいと思う。これ以上調査することはない」と木で鼻をくくったような答え。加藤紘一幹事長も記者団に「党として田沢氏の釈明を『了』とした」「迅速な対応ができて良かった」とそっけない返事ばかり。ある自民党幹部は「裏取引がなかったとだれも信じてはいないさ。これが自民党的な解決法だ」と解説。新執行部が目指す明るい自民党はどこへ…。

○・・・フランスの核実験に抗議する与党議員団がこの日午前、成田空港から出発したが、新党さきがけの田中秀征代表代行が予定の飛行機に乗り遅れる珍事。同党の簗瀬進氏は結団式で「交通渋滞に巻き込まれ、身動きが取れない」と困惑した表情で釈明。鳩山由紀夫代表幹事も「フランス料理を召し上がりながら、フランスをのみ込むぐらいの気持ちで頑張ってほしい」と冗談を飛ばしたが、落ち着かない表情は隠しきれないまま。田中氏は1時間遅れの別便で追いかけたが、反核で独自色を出そうと苦労しているさなかのミスに、さきがけ関係者は頭を抱えるばかり。《共同通信》

【世界体操】

’95世界体操鯖江大会は9日、男女の種目別決勝が始まった。つり輪など5種目が行われ、あん馬で畠田好章(紀陽銀行)が2位に入り、リュブリャナ大会以来同種目としては25年ぶりの銀メダルを日本にもたらした。3位以内に入るのも10年ぶり。

各種目には、団体の成績をもとに、それぞれ8人が出場。日本勢は、あん馬の畠田のほか、田中光(同)があん馬とつり輪の2種目に出場した。

畠田は切れ味鋭い演技で9.737と今大会最高の得点をマーク、スイスのドンファ・リには及ばなかったものの、中国の黄華東と並んで銀メダルを獲得した。《共同通信》

【ヤクルト・野村克也監督】来季も指揮

ヤクルトの野村克也監督(60)は9日、東京・東新橋のヤクルト本社で桑原オーナーにリーグ優勝を報告した際、留任を要請され、承諾した。正式契約は日本シリーズ終了後で、同オーナーは契約期間について「2年、プラスアルファ」と明らかにした。今季は2度目の3年契約の最後のシーズンだった。

野村監督は1990年、監督に就任し、6シーズンで3度のリーグ優勝、93年には日本シリーズも制した。正式に続投が決まり「まだまだ指導力の力不足を感じる。野球は頭でするものだということを、さらに徹底したい」と意欲をのぞかせていた。《共同通信》

【大相撲・貴乃花関】国連麻薬撲滅大使に

大相撲公演でウィーンに滞在中の横綱貴乃花が、国連国際麻薬統制計画(UNDCP)の親善大使に任命され、9日、国連機関が入っているウィーン国際センターでの任命式に列席した。

UNDCPは世界の麻薬の不正使用撲滅を目指す国連の機関。ジョルジョ・ジャコメリ事務局長から任命書を渡された貴乃花は「大変光栄です。できる限りのことをしたいです」とあいさつした。

貴乃花は親善大使の最初の仕事として、引き続き同センター前の広場で行われた「平和および麻薬撲滅の鐘」設置式典に、出羽海理事長(元横綱佐田の山)夫妻、クルト・ワルトハイム前オーストリア大統領らと出席した。《共同通信》

【大和銀行巨額損失事件】大蔵省、米への通報40日遅れ

大和銀行巨額損失事件で、大蔵省は大和銀側から8月8日に一報を受けたににもかかわらず、米国監督当局への通報が約40日後の9月18日になるという、極めて緩慢な対応を最っていたことが9日、明らかになった。

連絡の遅れは、日本の金融システムの欠陥が「官民ぐるみ」との印象を与えかねず、日米金融当局間の信頼関係を損ない、国際的な不信感を一層助長する恐れも出てきた。

大蔵省、大和銀によると、藤田前頭取が8月8日、西村銀行局長に懇談を申し入れ、銀行課長らも同席する場で同行ニューヨーク支店職員から巨額損失の告白状が届いたことを伝えた。その際大蔵省側は「大変なことだ」として、早急に実態把握に努め報告するよう指示したという。

その後、同行は9月12日に頭取が電話で銀行局長に損害額や処理方針などを説明、同月18日に文書で正式報告した。大和銀から米当局への報告も18日で、大蔵省、日銀も米当局へ同日連絡した。

しかしニューヨーク州の銀行規定は、金融機関に不正があった場合「直ちに」報告するよう定めている。連邦法も同様に規定している。

大蔵省は大和銀の全容解明に時間がかかったとしているが、規定を熟知している同省が、米当局に事態を連絡する一方で情報開示を大和銀に促したり、早期に特別検査に入ることも可能だったとの指摘もある。《共同通信》



10月9日 その日のできごと(何の日)