平成2102日目
1994/10/10
この日のできごと(何の日)
【自衛隊】ゴマで医療支援を開始
ルワンダ難民救援のためザイール南部のゴマに展開中の陸上自衛隊派遣部隊(神本光伸隊長)は10日、国立ゴマ病院に小林秀紀医務官らを派遣、救援活動の柱である医療支援を開始した。12日には本隊第二陣約120人がゴマに到着する予定で、自衛隊の救援活動がいよいよ本格化する。
同病院では、午前9時(日本時間10日午後4時)からの診察開始に先立ち、神本隊長が「準備はまだ不十分とはいえ、一日も早く当地のお役に立ちたい」と述べ、診療開始を宣言。これを受け、カルンゲロ院長が「ゴマによく来てくれた。今後は自衛隊と協力して診察に当たりたい」と歓迎のあいさつをした。
この日、ゴマ病院に派遣されたのは小林医務官ら11人。活動期限とされる12月末まで、午前9時から午後6時までの間、診察や外科手術などに当たる。重症、重体の救急患者の場合には午後10時ごろまで診療を続けるという。夜間は、陸自隊員が武装して医療チームを病院から宿営地に護送する。
原則として自衛隊が医療活動の対象としているのはルワンダ難民だが、小林医務官は診察開始に際して「非政府組織(NGO)などが急患を救急車で送り込んできた場合にはすべての患者を診る」と述べ、必要に応じてザイール人の診察も行うことを強調した。
今後準備が整えば、ほかの医官らを北キブ州立衛生試験所などに派遣する。神本隊長は、要請があれば難民キャンプに出向いて医療活動をすることもあり得ると話している。《共同通信》
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【オリックス・イチロー外野手】首位打者、最多安打、最高出塁獲得
プロ野球パ・リーグは10日、今季の全日程を終了した。4チームによるデッドヒートが繰り広げられたが、優勝は西武でリーグ初の5連覇を達成。2位にはオリックスと近鉄が並び、ダイエーは両チームを上回る69勝を挙げたが、勝率で4位。5位はロッテで、日本ハムが10年ぶりの最下位に落ちた。
個人部門ではイチロー(オリックス)が210安打の大記録を残して新設の最多安打のタイトルを獲得するとともに、最高出塁率と3割8分5厘のリーグのシーズン最高打率で首位打者に輝いた。本塁打王は35本のブライアント(近鉄)で2年連続3度目。最多打点は111打点の石井(近鉄)、最多盗塁は37で2年ぶり2度目の佐々木(西武)だった。
最多勝は15勝の伊良部(ロッテ)で239個の最多奪三振とともに獲得。15勝は1988年に渡辺久(西武)西崎、松浦(ともに日本ハム)の3人でタイトルを分けたときと並ぶ、最も少ない勝利数。勝率1位は郭(西武)。防御率はこの日規定投球回数に到達した新谷(西武)が2.91で、最優秀救援は33セーブポイントで赤堀(近鉄)が両リーグを通して初めて3年連続で獲得した。
観客動員数は混戦を反映して956万人のリーグ史上最多を記録。オリッククス、ダイエーは球団新記録をつくった。平均試合時間は3時間8分で昨年より3分長かった。《共同通信》
【イラク】軍撤収を発表
国営イラク通信によるとイラクのサハフ外相は10日、イラク政府がクウェート国境に近い南部のバスラ周辺に集結させていた軍部隊をほかの地域へ撤収させることを決定したと発表した。イラクのハムドゥーン国連大使も軍が既に撤収し始めたと言明しており、1990年8月に次ぐイラク軍のクウェート再侵攻という最悪の事態は当面、回避される見通しとなった。
しかし米軍はイラク軍撤収を確認していないとしている上、クウェート防衛のために派遣された米軍部隊がクウェートに到着し始めるど、湾岸の軍事的緊張はさらに続きそうだ。
サハフ外相によると、部隊撤収の決定は数カ国と協議した結果で、一部の国はイラク軍の集結に懸念を表明し、米軍の介入の口実になると指摘した。
外相は今回の「危機」によって、湾岸地域の安定は、イラクに対する国連の制裁が続いている限り達成されないことが明白になったと強調、速やかな制裁解除を要求した。カイロのアラブ筋は「外相の発言で、イラクが制裁解除の圧力をかけるため今回の危機をつくったことが明白になった」と分析した。
一方、クウェートには10日、国境地帯に集結した8万人のイラク軍に備えるため、米本土から派遣された米陸軍部隊の第一陣300人が空路到着、国境に展開するクウェート軍1万5000人とともに、クウェート防衛の任務に就いた。英国、フランスもクウェートへの艦船と部隊派遣を決めた。《共同通信》
【ハイチ】軍司令官らが退陣
3年前のクーデターでハイチの実権を握ったラウル・セドラ軍司令官(中将)とフィリップ・ビアンビ軍参謀長(准将)の2人は10日午前(日本時間同日深夜)、正式に退陣を発表、出国の意思を表明した。ポルトープランスからのテレビ報道などによると、後任にはアリスティド大統領が昨年任命したジャンクロード・デュベルバル准将が軍の最高指揮官に就任、司令官らは今週中に国外へ退去する見通し。軍部首脳退陣により亡命中のアリスティド大統領の帰国と、民政回復の環境が整った。
セドラ司令官とビアンビ参鉄長は10日午前11時(日本時間11日午前0時)、ポルトープランスの軍司令部で国民に対し辞任を発表。「ハイチの新たな時代が始まる」と述べた。司令官ら2人と軍ナンバー3だったミシェル・フランソワ前首都警察長官(中佐)は、アリスティド大統領を国外追放した3年前のクーデターの首謀者で「トロイカ」と呼ばれていた。
軍政の間、大統領派政治勢力に対し弾圧を加え、4000人以上の政治的暗殺の疑いが持たれている。
司令官の出国先について、亡命を認めると表明したパナマか、司令官が居住を希望するスペインやイタリアが取りざたされている。前首都警察長官は4日、ドミニカ共和国に逃げるように出国した。米国とハイチ軍首脳部は9月、軍幹部が10月15日までに退陣、同日までにアリスティド大統領が政権に復帰することに合意していた。《共同通信》
【天皇、皇后両陛下】マドリードで晩さん会出席
国賓としてスペインを訪れている天皇、皇后両陛下は、10日夜(日本時間11日未明)、カルロス国王主催の王宮晩さん会に出席された。天皇陛下は宗教や人種を超えた普遍的な世界を説いた、16世紀のスペインの大学教授ビトリアに触れながら友好と平和を訴えるお言葉を述べられた。
晩さん会は星空の下で開かれ、招待客は男性がホワイトタイ、女性がイブニングドレスにそれぞれ勲章を着用した正装。ライトアップされた王宮は華やかな雰囲気に包まれた。
サマランチ国際オリンピック委員会会長や女子プロテニスのサンチェス選手ら約170人が招かれ、君が代の演奏の後、カルロス国王が「日本とスペインは支援を必要とする世界の地域のため力を合わせていかなければなりません」などと述べて乾杯。
続いて天皇陛下が16世紀の天正少年使節を例に両国の交流を紹介しながら「サラマンカ大学のビトリア教授は16世紀に既に普遍的な世界の法を説いていますが、この理想は今なお私たちの課題として残っていることを感じます」とあいさつされた。晩さん会は午後9時すぎから始まったが、終了は日付が変わった11日未明(日本時間同日朝)だった。
これに先立ち両陛下は10日午前(日本時間10日夕)、マジョルカ島・パルマから政府専用機でマドリード入りし、迎賓館のパルド宮で歓迎式典が開かれた。天皇陛下が国王とともに儀礼兵を巡閲した後、両陛下、国王夫妻らを前に100頭を超す騎馬兵の行進が行われた。《共同通信》