平成866日目
1991/05/23
この日のできごと(何の日)
【中国・チベット自治区】「解放」40周年
中国のチベット自治区は23日、厳戒体制のもとで中国軍による「解放40周年」を迎えた。チベット独立の動きはなお根強く、40周年を機に再び民族運動が激化すれば、中国の人権侵害を非難する欧米との関係も再び後退しかねない。
80年代後半から、分離、独立を求める動きは盛り上がりを見せている。87年、亡命中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマが米下院人権小委員会で中国軍の撤退を求める演説を行ったのがきっかけとなり、ラサで大規模なデモ、暴動が発生した。その後も89年3月、チベット暴動30周年記日に、死者16人、負傷者100人(中国当局発表)を出す暴動が起こり、中国政府は同年3月8日から90年4月まで、ラサに戒厳令を敷く事態となった。この間89年9月にはダライ・ラマがノーベル平和賞を受賞、独立機運にはずみをつけた。
23日の「40周年記念日」を前に、危機感を抱いた中国は、徹底的な治安維持活動を行った。中国の法律専門紙「法制日報」(5月15日付)によると、ラサ市では、約300人の警察幹部を動員し、局長クラスを指揮官とする三つの治安工作隊を組織、さらに、民間人718人を集め67の治安維持共同防衛組を組織し、犯罪摘発網を作り上げたという。
この結果、3、4月に、59件の重大事件を含む161件の刑事事件を摘発。この中に独立を求める政治事件が何件含まれるかは不明だが、チベット自治区の日刊紙「西蔵日報」によると、チベットの民兵は、最近、騒乱指導者5人、360人の刑事犯罪者を逮捕、2件の分離主義者による暴動計画を摘発、2560枚の反動的ビラを押収したという。
また、中国当局は、ダライ・ラマが分離運動を放棄すれば、対話に応じ帰国を許可するとの従来の政策には変化はないとしているものの、「チベットは解放前、遅れた封建奴隷制社会だった。そこに人権はあったか」(5月15日付解放軍報)、「ノーベル平和賞のダライ・ラマの統治時代チベットでは、人民は最も自由な幸福と十分な人権を享受していたと、人々は当然信じるであろう」(5月15日付人民日報)と皮肉っぽい書き方で、解放前「属民」と呼ばれたチベット人奴隷の人身売買契約書も掲載、反ダライ・ラマのキャンペーンを展開している。《読売新聞》
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【明大替え玉入試事件】なべおさみさん「仲介者は親しい人」
明治大学(東京都千代田区、木村礎学長)で発覚した替え玉入試事件で、長男の合格を取り消されたタレントのなべおさみさん(52)が23日午前、都内のホテルで弁護士とともに、事件発覚以来二回目の記者会見を行った。
なべさん側は、前回の会見で語った「楽屋を訪ねて来た見知らぬ紳士に誘われるまま、願書を書いて渡したら、突然合格通知が来た」との釈明を「事実と反する」と取り消し、「親しい人から明治大学に強い人を紹介され、甘い話に乗ってしまった」と語ったが、その人物の氏名など詳細については説明を避けた。
会見の冒頭、顧問の椎名啓一弁護士がこの事実を説明したうえで、「替え玉受験(が行われること)はまったく予想しておらず、不正はしていない」と、不正工作への直接関与を否定、なべさんも「ずっと推薦入学と信じていた」「受験料以外には何も支払っていない」と、前回の発言を繰り返した。
さらに、なべさんは「子供のことを思うあまり、話に乗ってしまいました。私の親バカが、社会的な問題となり、反省しています」と謝罪。約15分間の会見の後、新宿コマ劇場新けいこ場で始まった同劇場出張公演「一心太助」のけいこに、座長として参加した。
この日、なべさんはレギュラー出演していた日本テレビのワイドショー「ルックルックこんにちは」水曜日の「ドキュメント女ののど自慢」の司会を降りることを同局へ申し出た。
同局では、「社会的影響が大きい」ことからこれを了承した。《読売新聞》
【大相撲夏場所】12日目
大相撲夏場所12日目(23日・両国国技館)小錦は、外国人同士の対決で、もろ差しから寄り切って曙を下し、先場所の雪辱を果たすとともに、全勝を守った。曙の連続勝ち越しは18場所でストップした。旭富士は、小城ノ花のいなしに泳いだが、1敗を保った。
関脇琴錦は給金を直したが、小結寺尾は負け越し。《読売新聞》
【海部俊樹首相】EC・ドロール委員長と会談
来日中のジャック・ドロール欧州共同体(EC)委員長は23日夕、首相官邸で1時間15分にわたり海部首相と2回目の会談を行った。両首脳は日・ECの協力関係を地球規模の幅広いものに強化することで、一致、具体的な一歩として、今度、日本が提起している「日・EC共同宣言」に向け、事務レベルの準備作業を急ぐことで合意した。
また、海部首相は、日・EC関係を強化するために、①環境保護のための専門家会合の開催②政府開発援助(ODA)の理念についての密接な意見交換③科学技術分野での研究者交流―の3点を提案、ドロール委員長も基本的に歓迎の意を示した。このうち、環境保護の専門家会合について海部首相は、「森林保全を主要テーマに、六月下旬、東京で開催したい」と説明した。
一方、ドロール委員長からは、「湾岸」後の国際情勢に関連して、「産油国が石油収入でたくさんの武器を購入している問題をどうしたらいいか。第二のサダム・フセインが出て来るかもしれない」との問題提起があった。海部首相は「武器問題は日・EC双方で意見交換し、対策を考えていきたい」と答えた。《読売新聞》
【雲仙・普賢岳】マグマ一段と上昇
長崎県・雲仙の主峰・普賢岳(1395メートル)の火山活動の規模を調べている九州大島原地震火山観測所(所長・太田一也教授)と京都大などの合同即量班は23日までに、今回の活動の源となっている小マグマだまりが、火口下500−600メートルまで達していることを突き止めた。
普賢岳山頂の地獄跡火口に流出した溶岩は、成長、破壊を繰り返しながら、今にも火口外へ出ようとしており、専門家らは、この小マグマだまりがどこまで上昇を続け、いつまでマグマの供給を続けるのか、予知に全力をあげている。
火口の溶岩の隆起は同日早朝、地上からも観測されるようになり、体積は6、7万立方メートルにまで成長し、東側斜面で小規模な崩落が始まっていることも確認された。
小マグマだまりの位置は、これまでの地震計や水準測量、傾斜計、人工衛星を使った測量データを総合的に処理してわかった。特に、地震計による観測で、小マグマの活動を示す火山性微動を山腹の三点以上の観測点でキャッチ、小マグマから地震計に到達する縦波(P波)、後に来る横波(S波)の到達時間の差を計って誤差を処理した結果、すそ野付近から大幅に上昇し続けていることがわかった。《読売新聞》
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激しい火山活動を続ける長崎県・雲仙岳主峰の普賢岳(1359メートル)の地獄跡火口にせり上がった溶岩の一部の塊(約5メートル四方)が、23日午後1時45分、火口から東側急斜面に落下、その後も崩落が相次いだ。
火口内に盛り上がった溶岩は同日朝までに直径約100メートル、高さ70メートルまで成長していたが、崩落は初めて。噴煙活動も続き、火山性地震は、22日は5月になって最高の188回を記録した。長崎海洋気象台によると雲仙島原地方は24日は雨の予報で、溶岩塊が土石流となってふもとに被害を与える恐れがあり、厳重警戒を呼びかけた。
九州大島原地震火山観測所の太田一也所長が自衛隊機から行った上空観測などによると、5メートル四方の溶岩塊は、火口底からの新しい溶岩の隆起に押し出されるように東側斜面に落ち、7、80メートル転がって、火山活動で山肌に出来た逆三角形のくぼみの先端部で止まった。この後、同4時10分ごろまでに、1メートル四方の塊が二度崩落、最初のより上方のくぼみで止まったのがふもとから確認された。
同日午後6時50分過ぎの本社ヘリコプターからの観察では、溶岩塊1個が土煙を上げて転がり、火口からは高さ約100メートルの噴煙が噴き上げるなど、火山活動は依然として活発だった。《読売新聞》