平成1949日目
1994/05/10
この日のできごと(何の日)
【羽田孜首相】所信表明演説
羽田首相は10日午後1時から衆院本会議で初の所信表明演説を行い、新政権の基本理念や内政、外交の諸課題に対する姿勢を明らかにした。参院本会議でも演説した。
首相は「改革と協調の政治」を政権のキーワードとして掲げ「幅広い合意の上で政治を進める」と述べ、少数与党政権運営の基本に野党側との対話を据える考えを強調した。
永野前法相発言については「発言が撤回されたとはいえ、誠に残念」と遺憾の意を表明。その上で「新内閣の政治信条」として「わが国の侵略行為や植民地支配が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたとの認識を新たにし、後世に伝え深い反省の上に立ち平和の創造に力を尽くす」と述べ、過去の戦争責任問題について細川前内閣の方針を踏襲する意向を明らかにした。
政策課題では衆院選挙区画定法案について「次回総選挙が新制度の下で実施できるよう、可能な限り早い時期の成立を目指して努力したい」と述べ、間接的ながら現行制度での衆院解散・総選挙を否定した。
税制改革については「6月中に成案を得て年内に実現するよう最大限努力する」と指摘、連立与党が社会党の離脱前にまとめた間接税率引き上げの政策合意に沿って実現を目指す考えを強調、暗に社会党の連立復帰を促した。
経済運営では予算の「一日も早い成立」に協力を要請。規制緩和中心の市場開放や内需主導型の経済運営確立を通じ、日米経済協議再開を図る方針を示した。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発疑惑では「国連の方針が決定された場合、その方針を尊重するのは当然」と指摘、「憲法の下で緊急事態に備え、日米韓で繋密に、必要に応じアジアの関係各国と連携する」と述べて、有事立法検討に含みを持たせた。
国連安全保障理事会の常任理事国入りについては「安保理をはじめ国連の機能強化に自ら進んで関与し、成し得る限りの責任を果たしていく」と述べ、強い意欲を示した。
首相は長野県出身の文豪、島崎藤村の言葉を引用しながら「血につながる政治、心につながる政治、普通の言葉の通じる政治」との表現で自らの政治信条を表明。「簡素で賢明な政府」による「安心して生活できる国、日本人であることを誇りに思える国づくり」との目標を打ち出した。
さらに政治手法に関し「開かれた中での政策決定」を力説、対話協調による政権運営の基本姿勢を訴えた。《共同通信》
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【トヨタ・RAV4】発売
【ゴールド免許】登場
道交法の一部改正法が10日施行され、優良ドライバーに限り有効期間を現行の3年から5年に延長した「ゴールド免許証」の交付をはじめ、新兵器の「車両止め装置」を駆使した違法駐車の取り締まりなどがスタートする。
免許証ではゴールドのほか初めて免許証を取得した運転者用の「若葉免許証」もお目見えする。
ゴールド免許証はこれまで青色だった免許証の有効期間欄を金色にしたもので、有効期間は5年。継続して免許を受けている期間が5年以上で、その5年間違反がなく、6月10日以降に有効期間が満了となる優良運転者が免許を更新する際に交付される。《共同通信》
【羽田孜首相】税制改革実現に意欲
政府税制調査会(首相の諮問機関)は10日、第6回総会を開いた。総会であいさつした羽田首相は「6月中には、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革の具体案づくりに向けた指針をお願いしたい」と述べ、消費税率引き上げを念頭に置いた税制改革実現に強い意欲を示した。
総会後、記者会見した加藤寛政府税調会長は5月末までに複数の選択肢を示し、世論の受け止め方を見た上で、6月中に答申をまとめる方針を表明した。しかし、少数与党内閣の新政権下では消費税引き上げは困難で、新政権の最重要課題である所得減税を含めた増減税一体の抜本税制改革が年内に実現できるかどうか、予断を許さない情勢だ。
首相は「細川前首相の諮問を私自身の諮問として受け取ってもらいたい」とし、税制改革に対する取り組みに変更がないことを強調した。首相発言の中には「消費課税の充実」という言葉が初めて登場し、「所得、消費、資産等のバランスのとれた安定的な税体系づくり」を求めた前首相の諮問内容から踏み込んで、消費税率引き上げを鮮明に打ち出している。
さらに、首相は平成7年以降の本格所得減税の継続を含め、速やかに税制改革の実現を図るとした3月末の国会決議を引き合いに「税制改革を年内に実現することは国民的課題」と語り、世論の理解と支持を強く求めた。
首相は「年内に税制改革の実現を図るという与党の合意が成立し、政府も同じ方針を閣議決定している」とも述べ、社会党が政権から離脱したものの、当時の連立与党の政策合意に沿って、税制改革を進める考えを示した。《共同通信》
【社会党、新党さきがけ】連携を確認
社会党の村山委員長と新党さきがけの武村代表が10日午前、さきがけ党本部で会談し、今後、政権離脱をした両党が連携を取り協力していくことを確認した。さらに国会運営や政策担当者同士の連絡会議を設けて定期的な協議を続けていくことで一致。両党の議員同士の政策勉強会を開いて交流を深めるとともに、必要に応じて今後も両党首の会談を行うことを決めた。
会談は村山氏と久保書記長がさきがけ党本部を訪れて行い、会談後、さきがけの議員と約50分間懇談した。12日には武村氏が答礼の形で社会党本部を訪れ、社会党の三役と懇談する予定で、両党の連携強化は政局を一層流動化させるとともに、今後の政界再編にも大きく影響しそうだ。
この日の懇談の中では、さきがけの田中秀征代表代行が「社会党の綱領はどうなっているか」と、社会主義路線の党内での位置付けをただした。これに対し村山氏は「歴史的資料だ」と答え、同党が「社会主義」的な方針をすでに放棄していることを強調。懇談後、田中氏は記者団に「社会党が大きく変わっていこうという意欲は見えた」と評価した。
さきがけ側には、社会党との間で安保、防衛問題など基本政策の隔たりが依然大きいとして連携に慎重意見もあり、今後の両党の政策協議の課題となる。
◇
自民党の森幹事長は10日午前の記者会見で、羽田首相が与野党党首会談の開催に意欲を示したことについて「(連立与党の)党首とはだれなのか。羽田首相に実際の権限があるとは思えないし、党首会談をやっても意味をなさないのではないか」と述べ、否定的見解を明らかにした。 その上で、河野総裁と村山社会党委員長、武村新党さきがけ代表の3人による野党党首会談の開催に前向きに取り組む考えを示した。《共同通信》
【政界談話室】
○…羽田首相は10日、衆参両院で所信表明演説を行い「心につながる政治」を訴えた。演説後、記者団に出来を聞かれると「自分の演説に点数はつけられない」と言いながらも「割と普通の言葉でね」とまんざらでもない表情。しかし、「少数与党のため議場内はしらけていたのでは」と聞かれ「そんなことはないよ。やじは少なかったけど」とむっとした様子。「代表質問ではやじが出そうだが」と水を向けられると「それはそうだよ。やじは議場の花」とやじ歓迎の弁。拍手も少なめの少数与党にとってはやじでもいいからにぎわいが欲しいところ?
○…自民党の河野総裁はこの日、国会内で羽田首相の所信表明演説について記者団のインタビューに応じ、「普通の言葉でと言われてることは評価していいが大事なことは普通の言葉で語ると同時に自分の言葉で語ること。きょうは自分の言葉だったか問題だ」と与党内の権力の二重構造を暗に指摘。さらに永野前法相の辞任問題にも「(首相は)残念と言ってるが任命権者としての責任なのか、10日間で替えざるを得なかったことなのか、近隣諸国の批判を受けたことなのかはっきりしない」とバッサリ。《共同通信》
【ネルソン・マンデラ氏】南アフリカ第8代大統領に就任
新生南アフリカの初代黒人大統領に10日、アフリカ民族会議(ANC)のネルソン・マンデラ議長が就任した。マンデラ新大統領は就任演説でアパルトヘイト(人種隔離)と闘った人々をたたえた上で「(過去の)傷をいやす時が来た。国民を分断してきた深い溝を埋める時が来た」と宣言。「統一され、民主的で人種および性差別がなくなった南アフリカの初の大統領として、暗闇の谷から祖国を導き出す」と決意を表明した。
大統領は「白人と黒人の区別なくすべての国民が人間としての威厳を保ち、何も恐れず、胸を張って歩ける社会を築く」と述べ、多様な人種が平和的に共存できる「虹の国家」建設を進めることを約束した。
マンデラ議長の大統領就任宣言に先立ち、白人政権を代表して過去4年間、ANCとの政権移行交渉を重ねたデクラーク前大統領と、ムベキANC全国委員長が副大統領就任の宣言をした。
就任式は大統領官邸の中庭で開かれ、ガリ国連事務総長、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長、キューバのカストロ国家評議会議長、台湾の李登輝総統ら42の国・地域、組織の元首や代表を含む世界150カ国の代表らが出席した。日本からは政府特使として中西元防衛庁長官が列席した。
アパルトヘイト体制下では世界の孤児だった南アにこれほど多数の外国政府代表が集まるのは初めて。大統領は「南アは再び世界の人々に受け入れられた。二度と世界の嫌われ者になってはならない」と誓った。
就任式終了後、官邸前の公園で市民ら約15万人が集まり大音楽会を開催。人気黒人歌手ら3000人が共演、マンデラ賛歌を歌い上げた。マンデラ該長は1942年にANCに参加して以来、半世紀以上を反アパルトヘイト闘争にささげ、27年間の獄中生活を送った。4月末の全人種選挙でのANC大勝を受けての大統領就任で、政治における全人種平等を自らの手で完成させた。《共同通信》
【大相撲夏場所】3日目
大相撲夏場所3日目(10日・両国国技館)横綱、大関陣は3日連続の安泰となった。横曙綱は落ち着いた相模で三杉里を押し出した。大関貴ノ浪は北勝鬨を左すくい投げに仕留めた。大関貴ノ花は時津洋を寄り切り、大関武蔵丸は大善を押しで、圧倒した。関脇武双山は琴の若を送り出して3連勝。関脇琴錦は初白星を挙げた。元大関同士の一番、霧島ー小錦は霧島が勝った。幕内の全勝は1横綱、3大関と武双山に平幕の栃乃和歌を加えた計6人となった。《共同通信》
【サッカー・小倉隆史選手】オランダ留学から帰国
オランダにサッカー留学していたJリーグ名古屋グランパスの小倉隆史(20)が10日、帰国。同日開かれたJリーグの実行委員会で、再登録を特例として認められたため、早ければ6月1日のヴェルディ川崎戦(等々力)から出場できる見通しとなった。小倉は今季オランダニ部リーグ、エクセルシオールでリーグ戦32試合に出場し15得点をマーク。名古屋市内のホテルでの会見では「シーズンを通した結果には満足していないが、自分なりに納得して帰ってきた」とあいさつ。Jリーグでは「出られる試合から出て留学させてもらった分を返していきたい」と意気込みを示した。
この日、日本協会から発表されたアトランタ五輪代表候補(21歳以下)に選ばれ、「僕としても(五輪出場は)一つの大きな目標。結果を出さないと(代表に)呼んでもらえないから、頑張っていきたい」と抱負を語った。《共同通信》
【プレイステーション】発表
ソニーグループのゲーム機会社、ソニー・コンピュータエンタテイメント(本社東京)は10日、32ビット中央演算処理装置(CPU)搭載の次世代ゲーム機の名称を「プレイステーション」とすると発表した。ことしのクリスマス商戦に合わせ、11月末か12月初旬に発売する。価格については「5万円を超えてはゲーム機とはいえない」(徳中暉久副社長)としており、ことし3月に発売された松下電器産業の「3DO リアル」(5万4800円)に比べかなり安くなる。
ソフトは、三次元コンピューターグラフィックスの技術をふんだんに盛り込んだCD-ROM(コンパクトディスク利用の読み出し専用メモリー)で、本体の一発売当初に27本がそろう予定。価格も3DO用が8000円前後なのに対し、5000−6000円程度になる見通しだ。
32ビット機をめぐっては、松下がゲームのほかに音楽CDやビデオCDなども楽しめるマルチメディア機として市場に投入、今月までに15万台を販売している。セガ・エンタープライゼスやNECホームエレクトロニクスも年内に発売する計画で、クリスマス商戦に向けてゲーム機各メーカーが早くも火花を散らしている。《共同通信》