平成1494日目

1993/02/09

この日のできごと(何の日)

【朝日新聞】「不適切取材」と陳謝

朝日新聞が昨年11月15日付朝刊一面(大阪本社発行分)で報じた鳥取県淀江町の上淀廃寺に関する記事について、同社は9日付朝刊で「取材方法、過程に不適切な面があった」として淀江町教育委員会に陳謝した、とする記事と「おわび」を掲載した。

問題の一面記事は「鳥取県の上淀廃寺 法隆寺と同時創建?」との見出しで上淀廃寺近くの古墳の盛り土から同寺に使われたとみられる平瓦の破片が見つかり、古墳築造時に混入したとすると、同寺の創建がこれまでの推定より半世紀以上さかのぼり法隆寺とほぼ度次期となる、と報じた。記事は東京、名古屋本社発行分でも第二社会面で掲載された。

この記事について、9日付朝刊は「米子支局の記者が地元の郷土史家の案内で同古墳に出かけたところ、郷土史家が崩れた斜面で瓦を見つけた。同記者は早く記事にしたいと考え翌日、町教委の関係者と現場に行き、自分がこの瓦を初めて見つけたことにして、そのことの確認をしてもらった形をとった」ことを明らかにした。その上で「この行為は適切な取材活動から逸脱し、本社もチェックできなかったことを深く反省するとともに、同町教委をはじめ関係者にご迷惑を掛けたことをおわびします」としている。

同町教委上淀廃寺跡出土遺物検討委員会は「この瓦は、上淀廃寺の創建年代を特定する史料とは関係ない」との見解を示している。《共同通信》

昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。

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古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。

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【小和田雅子さん】外務省にお別れ

皇太子さまとの婚約が決まった小和田雅子さん(29)が9日午前、約6年間勤務した外務省を訪問、渡辺外相や北米二課の上司、同僚らにお別れのあいさつをした。雅子さんが外務省に姿を見せるのは、婚約がオープンになる前の1月4日以来、約1カ月ぶり。

雅子さんは1月5日以降、風邪などのため休暇を取り、皇室会議が開かれた同月19日付で外務省を退職した。北米二課で担当していた日米経済外交関係の事務引き継ぎは既に自宅などで終えている。この間、雅子さんは皇室会議を挟んで計6回、皇太子さまとのデートを楽しんだが、外務省の上司、同僚らへのあいさつは延び延びになっていた。《共同通信》

【仏・ミッテラン大統領】ベトナム訪問

フランスのミッテラン大統領は9日午後、特別機でハノイ郊外のノイバイ空港に到一着、西側首脳として初めて統一後のベトナムを公式訪問した。統一以前も含め、フランス大統領のベトナム訪問は初めて。

ミッテラン大統領は、レ・ドク・アイン国家主席との会談に臨み、ベトナム側が進めている経済改革は人権問題を含む政治改革と並行して行われるべきだと述べ、政治面での開放を一層進める必要があるとの考えを示した。

共産党一党支配下での経済開放政策を進めているべトナムは、経済的安定を最優先とし、複数政党制など政治面での改革には一貫して否定的な姿勢を取り続けている。ミッテラン大統領の発言は、この点について西側首脳として初めて注文をつけたものといえる。

大統領報道官によると、アイン国家主席との会談でミッテラン大統領は「人権への敬意は今や全世界で共通であり、経済発展と両立するものである。発展と民主主義は共に進むものでなくてはならない」と述べ、経済開放と政治改革の両立が必要との考えを強調した。《共同通信》

【自民党】小沢氏喚問を受け入れ

国会は9日午前、衆院予算委理事会を舞台に、佐川急便事件の証人喚問問題について大詰めの与野党折衝に入った。自民党は小沢元幹事長の証人喚問に応じる意向を公式に示すとともに、15日からの週に証人喚問と公聴会を実施するとの打開案を提示。野党側が要求している竹下元首相ら残り5人の招致については、審議と並行して協議するよう申し入れた。

野党側は社会、公明、民社の3党理事らが協議した結果、「この時期に及んで小沢氏一人とはどういうこととだ」(公明党)などと強く反発、自民党案は受け入れられないと回答した。このため折衝は難航、同日の委員会審議も終日空転する見通しとなった。

自民党は折衝を通じ、15日からの週の早い段階で証人喚問を実施、その後、公聴会を開く考えを示したもようだ。しかし野党側は、小沢氏以外の国会招致についての具体的な回答がなかったことに強い不満の意を表明。加えて自民党側に16日の旧平和相銀疑惑をめぐる「金屏風訴訟」の口頭弁論以前に、証人喚問日程を設定しようとする意図が読み取れるとして反発している。

野党側は、金屏風訴訟の口頭弁論で竹下氏の関与取りざたされる政界工作について新証言があるのではないかと注目、この口論を受けて喚問をしたい者えで、喚問の人選とともにその日程も改めて折衝の大きな焦点として浮上してきた。《共同通信》

【政界談話室】

〇…宮澤首相は9日、予算審議の空転が続いていても終始上機嫌。自民党の熊谷政調副会長が首相の経済政策など批判した論文を月刊誌に寄稿したことについて、記者団が感想を尋ねても「経済にはいろんな説があるからなあ。いろんな説が出て当たり前だな」と笑みを浮かべながらさらりと受け流し、質問した記者に「何を慌ててんの」と切り返す場面も。このところ四面楚歌状態にいる赤松社会党書記長の原発容認発言に対しても「だんだん常識に近付いていると思うんだけどな」と“援護射撃”。空転の中のこの奇妙な余裕、果たしていつまで続くか。

〇…北海道、沖縄開発庁の北長官はこの日、閣議後の記者会見で、北海道開発庁が不必要との記事が週刊誌に掲載されたことについて「開発庁は総合的な事業を行ってきた。さらに努力していく必要がある」と強い口調で反論。北海道選出で酪農家の北長官は「百年前に一鍬一鍬(土地を)開いた。これまでは開拓でこれからが開発。その役割を果たす」と力説。ところが「21世紀になれば必要ないのでは」と記者団に突っ込まれると「明日のことも分からないのに20年後のことはお答えできない」とトーンダウン。《共同通信》

【渡辺美智雄外相】将来はPKO拡大を

自民党の三塚政調会長は9日、外務省で渡辺外相と会い、国連平和維持活動(PKO)やコメの市場開放問題などについて意見を交換した。外相は当面、カンボジアでのPKO活動を重視する考えを示しながらも「PKO、平和維持軍(PKF)を含め機会が多くなっている。全体にアプローチしないといけなくなる」と述べ、将来的にはPKO活動の拡大の必要性を強調した。

三塚氏はこの席で、自民党のシンクタンク「総合政策研究所」がまとめた「当面の日米関係に関する提言」を、外相が訪米の際にクリントン米大統領に手渡すよう依頼した。提言はエイズなど地球規模の問題について共同で取り組む「日米共通課題議員会議」の設置などを提唱している。《共同通信》

【自民党・梶山静六幹事長】PKO協力法見直しに慎重

自民党の梶山幹事長は9日午後の都内の講演で、国連平和維持活動(PKO)協力について「日本の憲法に合致する範囲内でどのようなPKOをなすことができるのか、安全保障委員会や予算委員会で見据えてやっていかないと、間違いをしてしまうと思う」と述べ、現時点で平和維持軍(PKF)参加の凍結解除などPKO協力法を見直すことに慎重な考えを強調した。

梶山氏は「カンボジアの情勢は必ずしもいい方向には至っていない。アフリカその他の国でも日本のPK0活動を要請している国が一ある」との認識を示しつつも「不完全なPKOであっても、カンボジアを一つのテストケースにして、本当のPKOとは何なのか、よく見定めるべきだ」と述べた。《共同通信》

【社会党】赤松氏発言をめぐり討議

社会党は9日午後、衆院議員会館で代議士懇談会を開き、赤松書記長のコメ自由化発言や原発更新容認発言をめぐって討議した。出席者約120人中、27人が発言し「これまで積み上げてきた党の方針を完全に壊した」と赤松氏の“独走”への批判が続出。一部には書記長の責任を追及する意見や、山花委員長の指導力を疑問視する声も出た。

原発問題では、原発を抱える地域の議員を中心に「現地から抗議が来ている」(青森)「コメと原発のダブルパンチだ」(宮崎)と激しく反発。逆に「議論を展開する意味で積極的なきっかけになる」と赤松氏の問題提起を評価する声は2人にとどまった。

赤松氏は30年後の原発全廃を条件に、更新も認めるという自らの見解そのものについて「自説を曲げることほなかった」(出席議員)ものの、今後の対応として「党の運動の積み重ねを踏まえ、党機関で検討したものをきちんと発言する」と約束せざるを得なかった。

これを受けて、川崎寛治代議士会長が執行部に対して「シャドーキャビネット(影の内閣)と総務会を早急にきちんとしてほしい」と党内議論の受け皿整備を求めた。《共同通信》

【NHK・川口幹夫会長】「やらせ」で陳謝

NHKの経営委員会が9日午後、東京・渋谷のNHK放送センターで開かれ、NHKスペシャル「奥ヒマラヤ 禁断の王国・ムスタン」での「やらせ」などの問題について川口幹夫NHK会長が陳謝、経過説明した。NHKは15日に、臨時の経営委員会を開いて、調査委員会の調査結果を基に最終報告する。

出席した委員によると、委員会では川口会長が「お騒がせして申し訳ない」と陳謝した後「やらせ」とされた部分について具体的に説明。委員からは「チェックシステムに問題があるのではないか」などの指摘があった。《共同通信》

【カンボジア・シアヌーク殿下】帰国

カンボジア最高国民評議会(SNC)議長のシアヌーク殿下は9日午後、病気療養のため滞在していた北京から朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の特別機でポチェントン空港に到着、約3カ月ぶりに帰国した。

これを受け、SNC会合が10日、プノンペン市内の王宮で開かれる。今回会合には、1月28日の北京での会合に欠席したプノンペン政権のフン・セン首相や、旧シアヌーク派を率いるラナリット殿下も出席する予定で、ポル・ポト派のキュー・サムファン議長らも加え久々に各派の主要メンバー全員が顔をそろえる。

SNC関係者によると、10日の会合では、5月23−25日の総選挙に向けた選挙運動の方法や、中立的な政治環境の確立、主にポト派の財源となっている木材・宝石の輸出禁止問題などが討議されるとみられる。キュー・サムファン議長から、西部パタンバン州で1月下旬行われたプノンペン政権軍によるポト派への攻撃が議題として提起される可能性もあるという。

シアヌーク殿下を擁立する大統領選挙については、殿下の希望を受け、現段階では「総選挙の3カ月後」(外交筋)実施が有力視されているが、殿下は最近「立候補しないこともあり得る」と述べており、主要議題から除外されている。

国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)報道官によると、西部プーサット州バカン地区で8日深夜から9日未明にかけて、UNTAC関係の建物やラナリット派の「民族統一戦線」事務所など計6カ所がロケット弾などの攻撃を受け、住民5人が死亡、14人が重軽傷を負った。《共同通信》



2月9日 その日のできごと(何の日)