平成5143日目

2003/02/06

この日のできごと(何の日)

【小泉純一郎首相】民主党・菅直人代表と論戦

小泉純一郎首相と民主党の菅直人代表は6日の衆院予算委員会で、論戦の「第2ラウンド」(菅氏)に臨んだ。先の初戦では、首相が公約違反をめぐる失言で傷を負い、失地回復のチャンスだったが、淡々とした答弁に終始。菅氏は短期間に日産自動車を再建したカルロス・ゴーン社長と比較しながら、首相の公約不履行を批判し、優勢勝ちを収めた格好だ。

菅氏「ゴーン氏は再建計画を立て、1年半後に黒字にできなければ辞めると言った。首相は1年9ヵ月で何一つ計画が成り立っていない」

首相「私は『2、3年は痛みに耐えていだだきたい』と言って首相に就任した。確かに成果はまだ出ていない。これから進める改革が、将来必ず大きな果実となって現れるよう不断の努力を続ける。いずれ国民が審判してくれる」

「第1ラウンド」で首相の公約違反をただした菅氏は、らつ腕の外国人経営者との対比で首相の「無策」を浮き彫りにすることを狙った。

「就任直後は『自民党をぶっ壊す』と言っていたが、政治姿勢が変化した。改革のための首相ではなく、首相であり続けるための首相になってしまったのではないか」と畳み掛ける菅氏に、首相は「自民党は改革に協力してくれている」。首相は「大したことない発言」で「かなり懲りた」(自民党幹部)のため、批判を受け流す「春風作戦」を続け、今回も意識的な笑顔づくりに努めた。

6日夜、記者団の質問に答えた首相は「穏やかだったでしょ。『丸め丸めよ、わが心、真ん丸丸く、丸く真ん丸』」と一句。「丸く穏やかに」と心境を語り、勝敗についても「そんなのとらわれないよ」と強調した。《共同通信》

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【衆院予算委員会】

小泉純一郎首相は6日午後の衆院予算委員会で、イラクが大量破壊兵器に関する昨年11月の国連安全保障理事会決議1441を順守しなかった場合の米国などによる対イラク攻撃について「もう一つの新しい安保理決議がなされることが望ましい」との考えを明らかにした。

これに関し、川口順子外相は「(1998年の米国などによるイラクへのミサイル攻撃で根拠にした)国連安保理決議78が使われるということは論理的にはあり得る」と述べ、新決議なしでの対イラク攻撃も可能との見解を示した。

首相は構造改革について「成果はいまだ出ていない」との認識を表明。その上で「これから進める改革は将来必ず果実となって表れるよう不断の努力を続けたい。いずれ国民が審判してくれると思う」と強調した。

首相は基礎年金の国庫負担率引き上げ問題に関して「徹底した行財政改革を進めるのが先だ。その中で税金をどれだけ投入するか。消費税以外に間接税、所得税いろいろある」と述べ、所得税増税なども財源の選択肢との考えを示した。

首相はミサイル防衛構想の導入について「国際情勢を勘案して総合的に検討した上で判断すべきものだ」と述べ、慎重に判断する考えを示した。

坂口力厚生労働相は特関殊法人の年金基金運用基金が公的年金積立金の株式運用で出した巨額損失の責任問題について「最終的には厚生労働相の責任になる」との考えを表明。運用の在り方について「株式に委ねるかどうかが一番大事なところだ」と指摘し、近く結論を出す考えを示した。民主党の菅直人代表、前原誠司氏らへの答弁。《共同通信》

【大阪高裁】前京都市長に26億円賠償命令

京都市西京区のポンポン山(約678メートル)のゴルフ場予定地を同市が92年に業者から約47億6000万円で買い取ったのは不当に高すぎるとして、市民約900人が当時の田辺朋之市長(故人)らを相手に、独自調査に基づく適正価格との差額約43億5400万円を市に支払うよう求めた住民訴訟の控訴審判決が6日、大阪高裁であった。武田多喜子裁判長は高額の支出を認めた田辺前市長の過失を認め、約26億1200万円を市に支払うよう前市長に命じた。《朝日新聞》

【連合・笹森清会長】自民幹部と会談

連合の笹森清会長らは6日夜、自民党の山崎拓幹事長ら同党五役と都内のホテルで、食事をともにしながら会談した。

笹森氏は「私たちの最大の関心事は雇用の改善だ。政労使が一致してやっていかねばならない。自民党とも話し合っていきたい」と述べ、同党に雇用問題への取り組み強化を求めた。

これに対し、山崎幹事長は1月の自民党大会に連合会長として初めて笹森氏が出席したことに謝意を表明し「雇用問題など共通の認識で取り組める課題について、今後も忌憚のない意見交換をしていきたい」と述べた。

笹森会長が自民党大会に出席したことを受け、山崎幹事長が会談を呼び掛け、連合側からは笹森氏や草野忠義事務局長、有力産別労組のトップら計10人が出席した。

笹森氏は「雇用を守ることが労組の最大の責務」との考え方から、政策協議を再開するなど自民党との関係正常化を模索してきた。連合によると、自民党幹部との懇親会は1996年に開かれて以来。《共同通信》

【米・ブッシュ大統領】イラク「ゲームは終わった」

ブッシュ米大統領は6日、ホワイトハウスで声明を発表し、イラクが国連査察を欺いていると非難、「フセイン(大統領)が土壇場でも欺まんのゲームを繰り広げるのは疑いない。だが、ゲームは終わった」と査察の長期引き延ばしは認めないと強く警告した。

大統領はまた、イラクの武装解除が保証されるなら「新たな国連決議を支持し歓迎する」と表明。一方で「米国は数を増やしつつある同盟国とともに自らを守るためいかなる行動もとる」と強調、国連の支持なしでも米国と一部の国の連合軍で早期の武力行使に踏み切る決意を示した。

声明は、イラクに対する米国の忍耐が限界に達していることを強く示唆。また、パウエル国務長官によるイラクの機密情報に関する証拠開示を経て、依然としてイラク攻撃に慎重なフランスやロシアなどを強くけん制したとみられる。《共同通信》

【この日の民主党】

菅代表、経済・外交で対案を明示

衆院予算委員会で6日午後、2003年度予算案に関する質疑が行われ、民主党の菅直人代表が小泉首相と2度目の論争を戦わせた。終始、論点を整理して執拗に追及・提案する菅代表に対し、小泉首相はじめ閣僚は説明責任を回避した、不明確な答弁を重ねた。

菅代表は冒頭、民主党版平成15年度予算案を作成したことを報告。「本来なら民主党の予算案を国会に提出し、内閣提出の予算案とどちらがいいか議論したいところだが、残念ながら現憲法ではかなわない。そこで予算委員会での質疑を通じて、民主党案を国民に示し、小泉内閣案とどちらが日本の将来にとって望ましいか、議論したい。逃げないで真正面からの答弁を」と呼びかけた。主な論点は以下の通り。

●イラク情勢への日本の対応

菅代表はイラク情勢への川口外相の考え方を質問。午前中の同委員会で「イラク査察で疑惑を裏付ける証拠が出ないのは、イラクが協力しないことに問題がある」といった主旨の答弁をした川口外相に対し、菅代表は「つまりは予め『有罪』を断定したうえで、自白しないのはおかしいと迫っていることに論理的にはなる」と指摘。政府が大量破壊兵器の査察の実行ではなく、あらかじめイラク政権の武装解除を求める立場をとっていることを問題視した。

また、6日未明にパウエル米国務長官がイラクの査察妨害に関する録音・写真を公表したことをめぐって、「ロシアやフランスも結局のところ、査察の継続が必要だとの認識を示している。日本は新たな国連決議なしの米国の軍事行動を支持するのか」と質した。それに対して小泉首相は「イラクが懸念を払拭していない。むしろ深まったと認識する。国連の査察委員長がイラクを訪れて協議した結果、その後の国連安保理での議論などをふまえ、日本としての最終判断を下す」とした上で、「もうひとつの安保理決議が出されることが望ましい」とした。

●北朝鮮に対する姿勢

菅代表が「北朝鮮に対する韓国の太陽政策に対し、首相は支持を打ち出していた。現在もそうか。必ずしもそれが悪いとは言わないが、イラクと北朝鮮に共通する大量破壊兵器の開発疑惑を見ると、北朝鮮の方が日本にとって大きな脅威ではないか」と追及。これに対し小泉首相は、「イラクと北朝鮮は似ているが、経緯が違う」などとし、北朝鮮に対しては「平和的解決に向けて関係国と緊密に連携して働きかける」とする一方、「イラクはクウェートに侵攻した後、停戦決議に10年以上違反し、大量破壊兵器を使用した経緯がある」と強調し、国際社会と協調した対応が必要だとした。菅代表は日本の首相であるならば、イラクより北朝鮮の脅威を重く受け止め、それをいかにして取り除くかに心血を注ぐべきではないかと注文。また川口外相に対し、北朝鮮における人権抑圧について、国連の人権委員会など国際的な機関に対し、現地調査の実施を強く働きかけていくべきだと提案した。

●財政健全化の目標と実績

菅代表は、小泉首相が就任以来、「骨太の方針」等で、2010年初頭のプライマリーバランスの黒字化を目指すとしてきた点について、「前進しているのか、それとも後退か」と塩川財務相に質問。塩川財務相は「一時後退したが、2013年をめどにプライマリーバランスをゼロにする方向で進めている」となどとした。菅代表は小泉首相就任後のプライマリーバランスの推移をパネルで見せ、「(方針は繰り返しだされているが)実際には一度として上にあがってはいない。これで前進といえるのか」と指弾。併せて、こうした後退が1年9ヶ月まえに発表した税収見通しの誤りに起因することを明らかにした。

この点への答弁を求められた塩川財務相は、最初、椅子から立ち上がらず答弁を回避しようとしたが、議長に連呼されてしぶしぶ起立。「骨太の方針を出した折りの税収見通しは少し間違っていたのは事実」として、見通しの誤りを認めた。

●デフレ克服・行財政改革の現状

まず菅代表は、2002年の初頭に出された「改革と展望」と03年になって出された改訂版との違いを確認。02年版では、02年の1年間の集中調整期間ではデフレ克服が最重要課題と位置づけられ、その後は「物価上昇はプラスに転じると見込まれる」とされていたが、今年の改訂版では集中調整期間をまず1年延ばし、その上で見通しを「デフレは克服できると見られる」と修正していることを明らかにし、「だいぶ腰が引けてる」と政府の姿勢を批判した。

菅代表は民主党版平成15年度予算案に盛り込んだ「100万人創出予算」「地方分権推進予算」「住空間倍増予算」などについて具体的に説明し、国民の現状に即した税のあり方について小泉首相はじめ閣僚に提言した。

「今日は提案型で質問した」菅代表

03年度政府予算を審議している予算委員会で民主党からトップバッターとして質問に立った菅直人代表は、質問後に記者団から感想を問われ、「本日は攻撃型というよりは提案型で質問させていただいた。小泉内閣の飛車角である塩川財務相、竹中金融経済財政担当相に、小泉内閣のもとでの経済後退を認めさせたことは成果だった。民主党の予算案を一部とはいえ国民の皆さんにご説明し、披露できたことも意味があった」と述べた。

「予算委の現場でとことんやってもらう」野田国対委員長

民主党の野田佳彦国会対策委員長は、6日の定例記者会見で、同日から03年度政府予算の審議が衆議院予算委員会で本格的に始まることに関連し、「審議がストップする場面もあるだろうが、国対として『もういいでしょう』と納めることはしないので、とことん現場でやって欲しい」と述べ、同日の菅代表、前原議員の厳しい追及への期待感を表明した。

また、前日まで衆参両院で3日間行われた代表質問については「毎日、予定よりも1時間から1時間半短く終了した。答弁が短かったということ。簡潔で要領を得た答弁ならいいが、簡潔で要領を得ない答弁ばかりだった」と感想を述べた。

パウエル米国務長官によるイラク問題報告を受けて(談話) 2003/02/06

民主党外務ネクスト大臣 伊藤英成

本日、米国のパウエル国務長官は、国連安全保障理事会で米国が入手しているイラクの大量破壊兵器及びテロリズムへの関与についての報告を行った。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)は、イラクにおける査察を継続し、今回の米国の情報を速やかに検証すべきである。

イラクは国連査察に全面的に協力するだけでなく、今回の報告で指摘された事実関係に対し、積極的かつ誠意ある対応で大量破壊兵器に関する疑惑を払拭し、関連安保理決議の全面的な履行を果たすよう強く求める。

民主党は、イラクの大量破壊兵器問題についても、国際社会の総意は、平和的・外交的解決であると認識し、米国が単独主義的行動をとらぬよう、政府が積極的に働きかけを行うことを改めて求める。また、万が一、米国等がイラクに武力行使する場合であっても、国連中心主義を掲げてきた日本は、新たな国連決議の採択なしで、「支持」を行うべきではない。《民主党ニュース》



2月6日 その日のできごと(何の日)