平成5001日目

2002/09/17

小泉純一郎首相、北朝鮮・金正日総書記と会談

小泉首相と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記は17日、平壌市内の百花園迎賓館で約2時間半、会談した。北朝鮮側は会談に先立ち、拉致されたと見られていた8件11人を含む計14人の消息を明らかにした。内訳は8人が死亡、生存は5人、該当なしが1人だった。


https://www.kantei.go.jp/

会談で首相が「強く抗議する」と述べたのに対し、金総書記は拉致の事実を認めたうえで「遺憾なことだった。率直におわびしたい」と謝罪した。両首脳は国交正常化交渉の再開を柱とする「日朝平壌宣言」に署名。10月に第12回の交渉が開かれることになった。ただ、拉致された人の多くが亡くなっていたことで、国内には北朝鮮に対する反発が強まっており、交渉は難航しそうだ。



北朝鮮が明らかにした死亡者は、横田めぐみさん(当時13)、有本恵子さん(同23)ら8人。生存者は拉致被害者として警察庁が認定していたうちの4人と、日本から調査依頼のなかった未確認者1人。石川県で行方不明になった久米裕さんは「(北朝鮮に)入国していない」とされた。

横田さんの娘は平壌に生存しているという。

金総書記は「数十年の敵対関係があるが、誠に忌まわしい。70~80年代初めまで、特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走ってこういうことを行った」と語った。

また「特殊機関で日本語の学習ができるようにするためと、日本人の身分を利用して南(韓国)に入るためだと思う」と述べ、拉致にかかわった責任者をすでに処罰したと言った。

北朝鮮側は(1)生存者の家族、親族との面会に便宜を図る(2)生存者が希望する場合、帰国や一時帰国を実現できるよう便宜を保証する(3)死亡者の家族に経緯を説明する――ことを約束した。


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首相は平壌市内のホテルでの記者会見で、交渉再開について「重大な懸案は引き続き存在するが、諸問題の包括的な促進が図られるめどがついたと判断した」と強調。そのうえで「問題解決を確かなものにするためにも、正常化交渉を再開させる」と述べた。10月の交渉再開に先だって、生存者4人の一時帰国実現を求める。

首相は、「拉致という国家的犯罪行為への賠償をどう考えるか」との質問に対し、「正常化交渉の場で議論していきたいと思う」と述べた。

平壌宣言はまた、拉致問題や不審船など日本人の命や安全にかかわる問題について「遺憾な問題」との表現で、「再び生じることがないよう、適切な措置をとる」ことを確認した。不審船について首相は、金総書記が「軍部の一部が行ったものと思われる」と認めたことを明らかにした。

米国が重視している核・ミサイル開発問題では米朝枠組み合意など、「関連するすべての国際的合意」を順守するとし、北朝鮮が03年までと期限をつけているミサイル発射実験の凍結も、金総書記が「03年以降も継続する」と表明したため、宣言に盛り込まれた。

一方、北朝鮮が求めてきた「過去の清算」のうち、謝罪については「朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えた」としたうえで、「痛切な反省と心からのおわび」を明記した。

「補償」については、日本が65年の韓国との国交正常化の際にとった「経済協力方式」を北朝鮮が受け入れ、正常化後に、無償資金協力▽低金利の長期借款供与▽国際機関を通じた人道的支援――の形で実施することで合意。小泉首相は会談の中で、「これらの経済協力は、地域の平和と安定に資するべきものだ」と述べ、軍事転用を防ぐために、内容に条件をつける考えを示した。

宣言はこのほか、日朝間に安全保障の対話の場を作ることでも合意。正常化交渉と並行して、協議をすることを決めた。《朝日新聞》

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致で北朝鮮の金正日総書記は17日、小泉純一郎首相との初の日朝首脳会談で「数10年の日本との敵対関係の中で起きた忌まわしい出来事。遺憾なことで率直におわびしたい」と拉致の事実を認め、謝罪した。柏崎の蓮池薫さん、奥土祐木子さんら5人の生存と横田めぐみさんら8人の死亡、1人の行方不明が伝えられた。家族や支援団体は北朝鮮と日本政府に対し、経過説明、責任追及、謝罪と補償を求めるなど反発を強めている。

再会を信じ、朗報を待つ家族に悲しい知らせが入った。警察庁が拉致と認定したのは8件11人。北朝鮮が生存を伝えたのは、1978年7月に柏崎で行方不明になった市内土合、当時大学生の蓮池薫さん(44)、市内平井、同美容指導員の奥土祐木子さん(46)ら4人と、日本から調査依頼のなかった1人。新潟市で下校途中に行方不明になった中学生・横田めぐみさん=当時(13)=、欧州留学中に失跡した有本恵子さん=同(23)=ら8人は死亡が伝えられ、石川県で行方不明になった1人は「入国していない」とされた。

金総書記は拉致について「1970年代から1980年代初めまでわが国の特殊機関の中に妄動主義、英雄主義があった。理由は、日本語の学習をするため、韓国に侵入するためだ」と説明。「私が承知するに至り、責任者は処罰を受けた。これからは絶対にない」として自らの関与は否定した。

家族らは前日、首相官邸で福田官房長官、安倍官房副長官に面会し、東京・日比谷公会堂で開いた2,000人規模の集会で全面解決、全員の無事救出を訴えたばかり。17日は国会議事堂前の衆院第一議員会館でテレビニュースを見守った。家族17人は午後3時過ぎ、東京都港区にある外務省飯倉公館に移り、福田官房長官からそれぞれ個室に呼ばれ、安否情報を聞いた。

死亡が伝えられた横田めぐみさんは、娘が平壌に生存しているという。父親で被害者家族連絡会代表の滋さん(69)は午後6時前から始まった会見で、「いい結果を楽しみにしておりました。しかし、死亡という残念なものでした」と目をうるませ、「めぐみには女の子の子供がいると聞かせてもらいました。どういう形で北朝鮮に行き、どう結婚し、なぜ死亡したのか、正確に確認してほしい」と述べた。涙でせき込み、言葉がとぎれた。母親の早紀江さん(66)は「いつ死んだかも分からないものを信じるわけにはいかない。めぐみは犠牲になり、使命を果たした、濃厚な足跡を残した、と思うことで頑張ります。でも、まだ生きていることを信じ、闘い続けていきたい」と涙をぬぐった。

蓮池さんは北朝鮮の研究所で翻訳の仕事をしており、奥土さんと結婚し、子供が2人いると知らされた。父親の秀量さん(74)は「私たち8件11人は今まで家族だと思ってやってきた。許しておかれません。余りに残酷で言葉もない」。母親のハツイさん(70)は「24年もやってきて、15分か20分で生死が分かるなんて。悔しい。私たちの子供も実際に見たわけではない。生死が分からないのに、なぜ小泉首相は簡単に正常化に応じられるのか」と怒りをぶつけた。

兄の透さん(47)は「24年間何もせず、お宅は死んでいる、お宅は生きていると伝えられる当局の神経が信じられない。もし、死んでいたら殺人だ。責任を追及して帰ってくるのが国家というものだ」と外務省、政府の対応を批判。「拉致の首謀者は金正日そのもの。国交正常化交渉の再会は拙速だ」と述べた。

奥土さんの父親一男さん(75)は「涙の会見になるとは思わなかった。何しろ24年という歳月。もう10年早かったら、全員生存していた。対応が遅れた」と険しい表情。「私たちだけ喜んでいられない。私たちの子供も実際に会ってみないと(生存は)分からない」と述べた。《柏崎日報》



9月17日のできごと