平成1619日目

平成5年6月14日(月)

1993/06/14

【宮沢喜一首相】「政治改革法案」今国会成立を断念

宮沢首相は14日、政治改革法案の今国会成立を事実上断念した。自民党内の調整が不調に終わり、党執行部は15日午後の総会で「単純小選挙区制の党議決定堅持」を確認する方針を固めたことから、これを党総裁としても受け入れざるを得ないとの判断に傾いた。

梶山幹事長も14日午後、党内各派閥の領袖を訪れ、20日の会期末で国会を閉幕し、改革法案を継続審議とする方針を伝えるなど、最終的な党内調整に入った。

首相の方針転換に自民党羽田派や改革推進派は強く反発。野党側も、公約違反として内閣不信任決議案を提出し首相の政治責任を追及する構えを見せている。これに対し首相周辺や党執行部は「不信任案が出れば解散だ」と対抗姿勢を示しており、会期末に向け与野党間の攻防が激化するのは必至の情勢だ。

首相は14日も政府、自民党首脳会議や参院決算委で政治改革の今国会実現に重ねて強い意欲を示した。しかし、梶山幹事長は「単純小選挙区制が党議決定である以上、これを基本に対応したい」と述べ、党議決定の変更は極めて困難との認識を表明した。こうした情勢から首相に近い政府筋は同日夜、「首相は総務会の決定を受け入れるだろう。ここ数日間で与野党合意ができるとは思っていない」と言明した。法案の具体的な会期末処理について自民党執行部は、15日の総務会で一任を取り付け、野党側との折衝に入る。

継続審議とする方針の下、衆院議長の下に協議機関を設置し与野党間で協議する構想が取りざたされているが、野党側が消極的なことから、衆院政治改革調査特別委での閉会中審議案も出ている。

政府筋によると、16日または17日に与野党国対委員長会談を開き、それを受け幹事長・書紀長会談を開催する案が想定されている。野党側が要求している党首会談については、これらの成り行きを見た上で応じる構えという。

党内の最終調整のため梶山氏は14日午後、河本敏夫、加藤六月、羽田孜、渡辺美智雄の各氏、夜には三塚政調会長の順に実力者を回り、党分裂の回避のためには改革先送りがやむを得ない選択、として理解を求めた。《共同通信》



【政界談話室】

○…「私はやるんです」の名せりふで政治改革実現に大見えを切った宮沢首相だが、情勢われに利あらずと見たためか、14日は逃げとだんまりに終始。昼の政府、自民党首脳会議に自民党の塩川政治改革推進本部長代理が呼び込まれたことから、記者団は「最終的な首相の意思表明があるのでは」と色めき立った。しかし、首相の返事は「近藤さん(官房副長官)に聞いてください」。梶山幹事長の今国会での改革法案成立断念発言についても「聞いてないな」。「明日までにまだ、いろいろありますよ」と、思わせぶりに大逆転の秘策をにおわせるのが精いっぱい。

○…この日、社会党の赤松書記長は、東京・三田の慶応大で講演。「衆参両院の国会議員で慶応出身は52人いるが、社会党には、残念ながら2人で、少し寂しい」と述べた後、自分の母校・早稲田大は「国会議員75人。首相(経験者)も海部、竹下と早稲田が頑張っている」と、よその党まで持ち出して早稲田優位をチラリ。もっとも、これでは失礼と思ったのか「慶応には自民党の小沢一郎(元幹事長)橋本龍太郎(同)小泉純一郎(郵政相)と次代を担うと思われる人たちがいる。10年たつと日本は慶応閥に占領されるのではないか」これでは、政権交代を実現する社会党の悲願はどこへやら。《共同通信》

【平均8860万円】全国会議員の資産を初公開

国会議員全員を対象とした資産が14日、初めて公開され、衆参両院で資産報告書の閲覧が開始された。今月1月1日現在で保有する土地、建物の固定資産税課税標準額、預貯金・株式額面など「公開価格」による資産総額の全議員平均は8860万円で、10億円を超えたのは12人に上った。

公開価格のトップは自民党の笹川堯衆院議員の42億4200万円だが、実勢価格では東京・新橋に土地を持つ河野官房長官が総額約124億円で最高額とみられる。《共同通信》

【ダイエー】傘下3社を吸収合併

スーパー最大手、ダイエーの中内功社長は14日午前、東京都内で記者会見し、首都圏の中堅スーパー忠実屋などグループ内のスーパー3社を来年3月1日付で吸収合併する契約書に調印したと発表した。合併後は売上高が2兆5900億円、店舗数361となり、業界第2位で売上高1兆5000億円強のイトーヨーカ堂に大きく水をあける。

合併するのは忠実屋のほかに九州全域を地盤とするユニードダイエー、沖縄に3店舗を展開する全額出資子会社ダイナハ。合併比率は忠実屋株、ユニードダイエー株各1株に対しダイエー株がそれぞれ1.2株と0.9株。

合併は商品納入業者に対する価格交渉力を増すとともに、既に着手している物流センターの相互利用や在庫管理のための電算システム一本化を徹底、コスト削減を図るのが狙い。

記者会見で中内社長は「時代に即応し日常的な販売価格の低下を実現するため日本初の全国チェーンを築くことにした」と合併の狙いを強調した。合併後の人員整理はしないことも明らかにした。

また、不動産業の秀和(本社東京)が買い占めた株をダイエーが買い取ることで昨年グループ入りしたばかりの忠実屋の谷島茂之社長は「競争激化の中で生き残るのは難しいと判断した」と述べ、従来の「自主独立」路線を断念した経緯を明らかにした。《共同通信》

【カンボジア】制憲議会を初招集

カンボジア総選挙で選出された120人の議員による制憲議会が初招集され、14日午前9時(日本時間同11時)すぎからプノンペンの国会議事堂で開会した。パリ和平協定に基づき、8月末までに新憲法を採択、新政府樹立に向け、立法議会に移行する。

制憲議会には、新議員のほぼ全員が出席。最高齢で仮議長を務めるソン・サン仏教自由民主党党首が、第一党となった民族統一戦線のラナリット党首、人民党のチア・シム議長、フン・セン副議長(プノンペン政権首相)など議員の名前を次々と呼び上げて紹介した。

続いてシアヌーク最高国民評議会(SNC)議長と、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の明石代表が演説した。シアヌーク議長は演説で「国民はあなたたちに国民和解と国家統一を通しての平和実現を託した」と制憲議会の意義を強調し「カンボジアは民主主義と複数政党制、そして市場経済の新しい時代に入る」と述べ、過去からの脱皮を訴えた。

明石代表は「すべての議員は国連と国際社会が自由で公正に実施されたと認知した総選挙で選ばれた」と指摘。「UNTACは新政府が樹立された後、その任務を終える」と呼び掛け、今後の円滑な議事進行に期待を表明した。

しかし、総選挙後のカンボジア情勢は、暫定政府構想をめぐる混乱や、プノンペン政権の人民党敗北の選挙結果を不満とするチャクラポン殿下らによる自治区設立などで不安定さを増しており、制憲議会でも紛糾が予想される。《共同通信》

【米・クリントン大統領】記者質問に激怒

マスコミとの和解に乗り出したばかりのクリントン米大統領が記者団の質問に激怒し、記者会見を一方的に打ち切る一幕が14日にあった。

大統領は同日、ホワイトハウスの中庭で記者会見し、最高裁判事に女性のルース・ギンズバーグ・ワシントン連邦高裁判事を指名したことを発表。同判事があいさつした後、質疑に移った。

真っ先に飛び出したのは「最高裁判事選考の決断で大統領は揺れ動いた印象だったが」との厳しい質問。大統領は途端に顔を紅潮させて「どうしてそういう質問をするのか理解できない」と、唇を震わせ、駆け寄ったヒラリー夫人と会見場を立ち去ってしまった。《共同通信》



6月14日のできごと