この日のできごと(何の日)

平成2356日目

1995/06/21

【全日空857便ハイジャック事件】

6月21日のできごと(何の日) 全日空857便ハイジャック事件

21日正午すぎ、警視庁に入った連絡によると、羽田発函館行き全日空857便ボーイング747(乗客350人、乗員15人)が山形県上空でハイジャックされた。犯人の男はオウム真理教の信者を名乗り、機内で乗務員を縛った上「尊師を解放しろ」と教祖の麻原彰晃被告の解放を要求。北海道警によると、犯人は複数との情報もある。同機はそのまま飛行を続け、ほぼ定刻の午後2時42分、函館空港に着陸した。

全日空によると、犯人は、機長に「外部の者は機内に近付くな」「客室内に仲間がいる」とし、双眼鏡と給油、東京に戻ることを要求しているという。同社によると、同機から「客室内にプラスチック爆弾があるようだ」との連絡があったという。

運輸省などによると、男は機内のコックピットには入っておらず、2階の客室でスチュワーデスにアイスピックを突き付け脅したという。

道警によると、男の1人は「オウムのコバヤシサブロウ」名乗っているという。乗客には幼児7人が含まれている。

全日空は同日正午すぎ、羽田空港内に対策本部を設置。警視庁と北海道警は航空機乗っ取り事件とみて捜査を始めるとともに、男がオウム真理教の信者かどうか確認を急いでいる。

乗っ取り機は、函館空港に到着後、間もなく主滑走路から誘導路に移動。空港は閉鎖された。函館市消防本部は、万に事態に備え、救急車や特別救助隊員らを出動させた。

全日空によると、857便は11時20分に羽田空港を出発、午後0時40分に函館に到着する予定だった。《共同通信》

羽田発函館行き全日空857便ボーイング747(乗客350人、乗員15人)がハイジャックされた事件で、犯人とみられる男は21日午後、捜査当局からの人質解放要請を拒否、水と食料の差し入れについても受け入れを拒絶した。乗っ取り機が駐機している函館空港では、幼児7人を含む人質解放のめどが立たないままこう着状態が続き、乗客の健康が気遣われる事態となっている。

機長から同日午後、全日空に入った連絡では、機長ら数人を除き乗員、乗客が縛られ、男はジャンボ機の操縦席に入り、直接機長と交渉しているという。また、富山市の旅行会社「新日本ツーリスト」によると、同機に乗っている同社の添乗員が携帯電話で「全員無事。みんな目隠しをされ、手を縛られている」と伝えてきた。

「コバヤシサブロウ」と名乗る男は当初、オウム真理教の麻原彰晃被告の釈放をスチュワーデスに求めたとされ、一時は運輸省などから「犯人はオウム信者を名乗っている」との情報が流れた。しかし警視庁など捜査当局は「未確認」として否定的な見方を示し、慎重に調べている。

また乗務員が「犯人は1階客室にも仲間がいると言っている」と連絡しており、複数犯の可能性もあるとみて犯人の特定などを急いでいる。

調べによると、男は「給油して東京に行け」「飛行機に近づくな」「双眼鏡をよこせ」と要求している。これに対し、対策本部を設置している政府は「き然たる対応も必要」と給油を拒否、同機は函館空港の駐機場に止まったままの状態が続いている。

麻原被告の解放要求については、政府の対策本部の会合でも「政府として未確認。オウムの犯行との証拠はない」(玉沢防衛庁長官)とされた。

全日空によると、機長は午後2時すぎ、警察からの①犯人と直接話したい②乗客を飛行機から降ろしてほしい③病人がいれば病院に運びたい−との申し入れを犯人側に伝えたが、犯人はこれを拒否したという。

これまでの調べでは、男は客室内でスチュワーデス一に長さ約40センチのアイスピックを突き付けて同機を乗っ取った。機長に対し、要求をのまなければ客室内にあるプラスチック爆弾をセットする、などと脅したという。

現場では、万一の場合に備えて北海道警の機動隊員や函館市消防本部の隊員などが出動。自衛隊も北部方面隊から化学防護隊60人が待機した。《北國新聞》

政府、対策本部を設置

政府は21日午後、「全日空機ハイジャック事件対策本部」(本部長・五十嵐官房長官)を設置、首相官邸で断続的に同本部会合を開いて状況の把握に努めた。同日午後7時半からの会合では「乗客乗員の安全を第一に考えて対処すると同時に、き然とした態度で対応する」との政府の基本方針を確認した。

また、現地の状況に進展が見られないことから①犯人と直接話し合う②人質の病人、子どもの解放③機内に医師を入れることを犯人に要求する−を当面の対策の柱とし、事態打開と事件解決に全力を挙げることを確認した。

村山首相は五十嵐長官、亀井運輸相と協議し、函館「空港の現場と対策本部との連絡などに当たるため、同日夜、細谷治通運輸政務次官を現地に派遣することを決めた。

首相は五十嵐長官から随時報告を受け、「あらゆる可能性を考え、全力を挙げて取り組み、乗客の人命をしっかり守るように」と指示したほか、官邸を訪ねた渡辺社会党総務局長に「人命救助を第一に何としても解決したい」との意向を示した。

政府は今後、関係閣僚を各省庁に待機させ、ハイジャック犯の動向を注視しながら、必要に応じて対策本部を招集して協議する方針。また犯人の目的などがはっきりしないことから、引き続き動機や目的についての情報収集を急ぐ。

ハイジャックについて政府は昭和53年8月に「人質の安全救出への努力はもとより、法秩序の維持のため、犯人の不法な要求に対しては断固たる態度をもって臨む」との対処方針を決めている。

政府へのハイジャック事件発生の第一報は同日午後0時17分に入り、首相官邸で開かれていた政府与党首脳連絡会議に伝えられた。五十嵐長官は同25分、会議を途中退席し、坪井内閣安全保障室長らと対応策の協議に入った。《共同通信》

オウム真理教「心当たりはない」

羽田発函館行き全日空機ハイジャック事件で、犯人とみられる男がオウム真理教の信者を名乗っているとされることについて教団広報部の担当者は21日、「心当たりはない。コメントする以前の段階だ」と話した。

オウム真理教の上祐史浩緊急対策本部長は21日午後記者会見し「コバヤシサブロウという名の信者は在家、出家ともにいない。要請があれば捜査に協力する」と語った。《共同通信》

「でっちあげだ」「信者がやるはずがない」―。全日空機乗っ取り事件が起きた21日午後、山梨県上九一色村のオウム真理教施設や東京都港区南青山の東京総本部では信者らが事件との関連を強く否定した。

上九一色村の「第6サティアン」近くで車を運転していた男性信者(33)は「ラジオで聞いたが、裁判で無罪になるものを、信者がわざわざハイジャックして『尊師を釈放しろ』などとやるわけがありません」と淡々と話した。

「第2サティアン」近くにいた女性信者は「どうせオウムを犯人にでっちあげているだけですよ」とうんざりしたような表情を見せた。

東京総本部には事件の一報が入った昼すぎから100人を超す報道陣が続々と詰め掛け、夜遅くまでぴりぴりしたムードに包まれた。午後4時半には、教団杉並道場(東京都杉並区)から戻った上祐史浩緊急対策本部長が総本部のビル3階で会見したが、ビル内へ入る記者らを信者が入念にボディーチェックするなど物々しい警戒ぶり。

黄緑色の法衣をまとった上祐氏は「犯人に心当たりはない。もし信者としても外部からのスパイではないか」と強調したが、表情は終始こわばったままだった。《共同通信》

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【Jリーグ・サントリーシリーズ】第18節

Jリーグ・サントリーシリーズ第18節(21日・カシマスタジアムほか=7試合)横浜マリノスが3−2でジュビロ磐田に、逆転勝ちし、勝ち点40(13勝5敗)で首位をキープした。2位の鹿島アントラーズは2−3で横浜フリューゲルスに逆転負け。勝ち点で4差をつけられ一歩後退。ベルマーレ平塚は3−1で浦和レッズを下して3位を守った。

清水エスパルスはPK戦の末、ジェフ市原を破った。ヴェルディ川崎は6ー3でセレッソ大阪に圧勝し、名古屋グランパスは1−0で柏レイソルを、サンフレッチェ広島も1−0でガンバ大阪をそれぞれ下した。《共同通信》

【阪神高速・六甲アイランド大橋】橋げた再架設始まる

震災の衝撃で大きく横ずれした阪神高速道路湾岸線の六甲アイランド大橋の修復工事が21日早朝、始まった。修復工事は5月中旬に続いて2回目で、今後、補強工事などを進め、10月初旬には全面復旧の予定。

神戸市東灘区魚崎浜町と六甲アイランドを結ぶ同大橋は上下二層式、全長217メートル。地震で南端部が東へ3メートルずれ、前回の工事で修復に支障となる南側橋げたの一部を取り外した。

この日の工事はこの橋げたを再架設する作業で、午前中は下層の橋げた(長さ44メートル、重さ400トン)、午後には上層の橋げた(長さ約57メートル、重さ600トン)をそれぞれ大型クレーン船でつり上げ、元の位置に収める。《共同通信》

【阪神電鉄】全線開通へ走行試験

阪神電鉄は21日、阪神大震災で不通になったが復旧工事がほぼ完了した阪神本線御影−西灘間(3.1キロ)の一部区間で、営業用車両を走らせて安全確認を行う自主検査を実施した。

22日から4日間の日程で行われる運輸省の検査で問題がなければ、阪神本線は26日始発から、震災後約5力月ぶりに梅田−元町間が全線開通する。

午前9時すぎから行われたこの日の検査は、不通区間のうち高架部分が約2キロにわたって損傷した御影−大石間(2.5キロ)で実施。

満員電車の荷重を想定して土のうを積み込んだ6両編成の列車を上下線にゆっくりとした速度で並走させ、鋼板を巻くなどして補強した高架支柱や新設した橋げたの振動、ひずみ具合を入念にチェックするなどした。《共同通信》

【政界談話室】

○…自民党の梶山前幹事長はこの日、日本記者クラブで会見。月刊誌に発表し話題を呼んだ自らの政策提言について「まったく真っさらな文章のつもりだが、私の不徳の致すところか、マスコミが近視眼的にとらえたくて『決起宣言』とか、『踏み絵』とかの解説を付けて、きな臭い話に結び付けている」と、政局絡みの思惑はないことを強調。しかし続けて「私もバッジを着けている身だからまったくきな臭い事を考えていないといえばウソになる。神様じゃありませんし。いまの時期に出したというのも若干考えはある」。“武闘派策士”だけに衣の下のよろいは隠せず。

○…新進党の小沢一郎幹事長はこの日、地元・盛岡市で「政権を代えるのは、皆さんの一票、一票以外にない」と参院選候補の応援遊説。日ごろの強気はおくびにも出さず「皆さんの期待になんとしてもこたえなければ。あえて厳しいいばらの道、新進党を結成した意味がなくなってしまう」と、哀願調。「選挙の責任はひとえに幹事長にある。幹事長の地元はどうか、と全国の関心が集まってくる」と郷土意識をくすぐり、最後は「明治維新は日本の西南地域から起こったが、今日の危機を救う平成維新は東北の地から」と“東北一揆”の訴え。《共同通信》

【ロシア】内閣不信任成立

ロシア下院(定員450)は21日、野党民主党が提出した内閣不信任案を半数を上回る賛成241、反対72で可決した。エリツィン政権下で内閣不信任が成立したのは今回が初めてで、内政、外交両面で強権体質を前面に押し出してきた政治運営に対する強い警告となろう。

大統領は、憲法上は3カ月以内に再度不信任を突き付けられた場合、下院解散か、内閣総辞職の決断を下さなければならない。年末の下院選挙、さらには来年6月の大統領選挙を控えた大統領は厳しい政局運営に直面した。

チェルノムイルジン首相は不信任案の可決後に「辞めるつもりはない」と発言、大統領府も「不信任の根拠はない」とし、強気の構えを示している。

政府不信任問題は、同国南部で起きたチェチェン武装勢力による人質事件をきっかけに浮上、野党勢力による大統領政治への不満が一気に噴き出した。

大統領は、これまで首相を中核に据えて与党勢力を結集して下院選に臨み、大統領再選のてこにしたいとの考えだった。今回の不信任成立は、エリツィン政権の選挙戦略にも見直しを迫ることになろう。《共同通信》



6月21日 その日のできごと(何の日)