平成4667日目

2001/10/18

この日のできごと(何の日)

【狂牛病問題】全頭検査開始

狂牛病問題で厚生労働省が導入を決めた食肉処理牛の全頭検査が18日、全国の食肉衛生検査所で始まった。本県産牛6頭も食肉処理後に金沢市食肉検査所で検査された。坂口力厚労相と武部勤農相は記者会見し「今後市場に流通するのは検査で安全が確認された牛の肉や内臓だけだ」として食肉の安全宣言を出した。

全頭検査で一通りの安全確保策は出そろったが、9月に千葉県で見つかった1頭目の艦感染ルートは判明しておらず、食品などの点検も終わっていない。生産者や業界を優先し課題を積み残したままの安全宣言に消費者から不安と批判の声が上がっている。

会見で坂口厚労相は「感染ルートの解明と肉の安全とは次元が違う話だ」と述べた。武部農相は「世界で一番安全な肉しか流通しない体制が出来上がった」と語った。

一次検査は感度が高く感染していなくても疑陽性になる場合がある。厚労省は当初、疑陽性が出れば速やかに公表する方針だったが、産地への影響を懸念する自民党などの強い反対で「確定診断後」に変更した。「疑陽性段階で公表する」とする自治体もあり、消費者の混乱も予想される。《共同通信》

全国で18日から始まった狂牛病の全頭検査で、早くも器具の操作ミスや不慣れによるトラブルが相次いだ。和歌山市が実施した一次検査では、9頭すべてに感染が疑われる反応が出たため再検査、最終的に陰性と診断された。千葉、山口、島根の各県でも再検査する事態となった。

陰性の数だけを公表する方針の厚生労働省は同日夜、午後6時現在、全国68自治体で796頭が陰性と判定されたと発表したが、検査ミスが出たことで坂口力厚労相らの「安全宣言」への信頼性は早くも揺らぐ展開となった。検査総数は2000頭前後とみられる。《共同通信》

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【日産自動車】営業利益1870億円

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は18日、都内の本社で記者会見し、2001年9月中間連結決算で、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比39%増の1870億円と過去最高になる見通しを明らかにした。

2000年4月から3カ年で進める経営再建計画「リバイバルプラン」が同日で発表から2年経過、進ちょく状況を報告した中で表明した。当期純利益も34%増の2300億円を見込む。

ゴーン社長は中間決算について、「以前『日産は復活した』と言ったが、将来は『日産は持てる力を100%発揮している』と言いたい」と総括した。

日産は01年3月期で当期純利益3310億円と過去最高を記録、V字型の急回復を果たしたが、02年3月期では当初予想の売上高6兆3000億円、当初純利益3300億円を変更しなかった。ゴーン社長は「本来なら通期で収益を情報修正しただろう。9月に米中枢同時テロが起きて以降、世界変動の中で慎重に成らざるを得ない」と説明した。《共同通信》

【テロ対策特別措置法案】衆院通過

米中枢同時テロに対する米軍などの軍事行動への自衛隊の後方支援を可能にするテロ対策特別措置法案は18日午後の衆院本会議で、自衛隊派遣を国会承認後と修正した上で、自民、公明、保守の与党3党などの賛成で可決、参院に送付された。19日の参院本会議で審議入りし、月内に成立する見通し。

自衛隊派遣を国会の事前承認とする民主党提出の修正案は否決された。戦闘状態継続中に自衛隊を海外派遣する日本の防衛方針の大きな転換で、成立すれば来月にも自衛隊が派遣され、後方支援とはいえ戦争に関与する戦後初めてのケースとなる。

自衛隊が米軍基地などを警備できるようにする自衛隊法改正案も与党3党と民主党などの賛成で、また不審船停止のため船体射撃を可能にする海上保安庁法改正案は与党3党と民主、自由、共産各党などの賛成でそれぞれ可決、参院に送付された。

民主党では後藤茂之氏がテロ対策特措法案に賛成、小林憲司氏が退席、今野東氏が自衛隊法改正案に反対するなど、党議拘束にジャンして造反者が出た。自民党では野中広務元幹事長、古賀誠前幹事長が起立採決に異議を唱え退席した。《共同通信》

【小泉純一郎首相】森喜朗前首相にインド訪問を要請

小泉純一郎首相は18日午後、首相官邸で森喜朗元首相と会い、首相特使としてインドを訪問するよう要請、森氏も承諾した。米軍などによるアフガニスタン攻撃が続く中、インドとパキスタン両国がカシミール地方の領有権をめぐり緊張が高まっているため、自制を呼び掛けるとともに、テロ撲滅に向けた協調の必要性を訴えるのが狙いだ。《共同通信》

【APEC】反テロ協力強化で一致

アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国は18日朝、米中枢同時テロを受けた外相による特別会合を上海市内で開き、テロの抑止に向け国際的な協力を強めることで一致した。

テロ組織への資金供与の防止や航空の安全、税関体制の改善などが具体的な課題に上がっており、首脳レベルで21日にあらためて議論した上で「反テロ声明」を採択、APECとしての強い決意をアピールする方針。反テロ包囲網の形成で強力なリーダーシップを発揮したい米国は、パキスタン、インドを歴訪したパウエル国務長官が出席。日本政府筋によると、9月のテロ発生後の米国の対応などを各国に説明した。

植竹繁雄外務副大臣は、自衛隊派遣についての法律改正作業や最大1億2000万ドルの難民対策への支援など日本の取り組みを表明。中国の唐家璇外相も「テロは国際社会の平和と安全に対する脅威」と述べ、「国際条約や国連決議を誠実に実行し」テロに反対していく重要性を強調した。《共同通信》

【米・炭疽菌事件】CBS職員も発症

米CBSテレビは18日、同テレビの著名キャスター、ダン・ラザー氏の女性スタッフが同日、炭疽症を発症していることが分かったと発表した。

リッジ国土安全保障局長によると発症者はこれで5人となった。女性は菌が皮膚を侵す皮膚炭疽を発症、抗生物質治療を受けており、順調に回復しているという。同テレビはニューヨークにある。

既に職員が発症しているNBCテレビ、職員の生後7カ月の乳児が発症したABCテレビに続きCBSテレビ職員も発症したことで、炭疽菌事件は米三大ネットすべてに拡大した。《共同通信》

【えひめ丸事故】2人目の身元確認

米ハワイ・ホノルル市郡検視局は18日午後、17日にホノルル国際空港沖の実習船えひめ丸から収容された遺体は、実習生N君=当時(17)=と確認した。家族が米海軍に提出してた歯型の記録が決め手になった。死因は水死。

9人の行方不明者を出した2月9日の米原潜衝突事故以来、遺体の身元が確認されたのは17日の通信長Sさん=当時(60)=に続いて2人目。

海軍は18日、新たにもう1遺体を発見、さらに17日にN君とともに見つけた1遺体を収容した。16日からの船内捜索で4遺体が発見され、3遺体が収容された。

米海軍は18日朝から、えひめ丸に潜水隊員を投入し、3日目の船内捜索を続行した。捜索には海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」の潜水隊員30人も参加。作業拠点の大型平底船に乗船に、船内から送られてくるビデオ映像を見ながら米外郡の隊員に助言を与えた。

残りの不明者は5人だが、当初から船内に取り残されたのは5−7人といわれており、米海軍は発見可能なのは1−3人とみている。《共同通信》

【MLB】

米大リーグのア・リーグ優勝決定戦(7回戦制)マリナーズ−ヤンキース第2戦は18日、シアトルで行われ、ヤンキースが3−2で勝ち、2連勝した。

ヤンキースは二回、一死一、二塁からブロシアスの左翼線二塁打とノブロックの中前打で3点。これを先発ムシーナから3投手のリレーで守り切った。マリナーズは三回まで毎回、得点圏に走者を進めながら無得点。四回にハビエルが中越え2点堡塁打して追い上げたが、その後の反撃を封じられた。イチローは第1打席が中前打、三回の第2打席は中飛失策、五回の第3打席は左飛、七回の第4打席は二死二塁から敬遠四球で3打数1安打だった。《共同通信》

【この日の民主党】

憲政史上初、視覚障害を持つ堀利和・参院環境委員長デビュー

18日朝、参議院環境委員会が開かれる参議院33委員会室に多くのマスコミが駆けつけた。 憲政史上初めて、強度の弱視というハンディキャップを持つ民主党の堀利和参議院議員が参議院環境委員会の委員長に就任して、最初の委員会が開かれたからだ。

冒頭、堀議員が新委員長のあいさつを行ったあと、点字で打たれた進行書を指で一つひとつ追いながら議事を進める。傍らには補佐の参議院の職員がつくが、ほとんど助けをかりることなく、大臣所信聴取のこの日の委員会を無事終了した。

来週からは本格的審議が始まるが、視覚障害を持つ堀議員の委員長運営に注目が集まる。というのも、これまでの慣例を大きく変えるからだ。

定足数の確認や発言者の指名、採決での賛否の数の確認等などの際、堀委員長には見えないので第三者による確認作業が必要になる。また、法案、要綱などの点字訳も必要など、ルール変更が不可欠。福山哲郎環境委員会筆頭理事などの働きかけで、参議院事務局や環境省に点字プリンターや点字ソフトを入れさせるなど条件整備を進めてきた。

福山議員は「小さいようだが大きく新しい1ページが日本の政治に加わった」と、堀委員長デビューを喜んだ。

総務省の横断的調整機能は重大だ~松井孝治参議院議員が初質問

る 参議院の委員会質疑で18日、この夏の参院選で初当選した議員が続々と委員会デビューを果たした。 民主党の松井孝治参議院議員は、参議院総務委員会で初めての委員会質疑を行った。

松井議員は、通産官僚として行政改革会議の事務局に籍を置き、省庁再編の裏側まで知り尽くしている経験を生かし、行政改革や特殊法人改革に鋭く切り込んだ。

まず、松井議員は、「総務省は分担管理事務を担うだけでなく、まさに横断的調整を果たす役所だ」と主張。今年6月に成立した「政策評価法」のもと、総務省が行おうとしている政策評価と従来の行政監察や会計検査との違い、評価体制について質した。

松井議員は「自らの政策を正当化するためにお手盛りになりがちな各省庁の自己評価に対し、客観的な再評価を行う政策評価法は重要で、総務省の役割は極めて大きい」と指摘し、その上で、具体論として、政策評価法の最も典型的な対象分野である公共事業の評価について質問。 まず、国土交通省と農水省の事業について、総務省が両省の評価を待たずに積極的に評価を行うのか否か、答弁を求めた。

遠藤総務副大臣は「基本方針を審議中だ」とし、その審議を待って公共事業についても検討すると答えたが、松井議員は「そもそも総務省の事務として政策評価はある。基本方針を待たずに行えるはずではないか」と問題提起した。

さらに松井議員は踏みこんで、小泉首相から国土交通省に対して出された“道路公団の民営化、平成11年に整備計画が決定された9342キロの高速道路整備計画の検討”に関し、「国土交通省として総理指示に忠実に従い、具体的な見直しを行っているのか」と質した。

国土交通省の大石道路局長は経緯説明を長々と繰り返したが、何ら明確な答弁はなかった。松井議員が「9342キロの見直しを行うという前提か、行わないのが前提か」と迫ると、「閣議決定を経て国民に9342キロを整備すると約束したもので、高速道路建設かどうかは別として、9342キロの高規格ネットワークを整備する必要がある」と答弁。松井議員が「要するに見直さないということか」と重ねて質すと、「道路公団の高速道路として整備することは50年、3000億円という国費投入が必要なので、むずかしくなる。しかし、ちがう方法を考える必要がある。ネットワークとしては必要だ」と分かりづらい議論をくり返した。 松井議員は「閣議決定を経て、国民に約束した公共事業でも、それが必ずしも正しくない状況が発生し、見直しを求める議論が起こってくる」と指摘。そうした議論をしないまま、計画の見直しに明確な対応も示さない道路局長の姿勢を言葉を強めて批判した。

このやりとりを受けて、遠藤総務副大臣は「まさに政府内で大激論中。予算編成時期までには結論を出さなければいけない」とし、片山総務相は「極めて高度の政治問題」としつつも、「特殊法人改革のなかで、道路4公団は改革を先行する」との姿勢を示した。

松井議員は「国土交通省の所掌事務であっても、それに対して評価を行い、場合によっては勧告などまで行える権限が総務省にはある」と重ねて言及。その権限を活かさない限り、官邸機能の補佐・支援という重要な任務を行うべく総務庁をつくった意味がないと指摘した。

続けて、松井議員は行政のスリム化として打ち出された国家公務員の10年間で25%削減する点について質問。99年に閣議決定されたが、その後、25%のうち、15%分は公務員型の独立行政法人への移行である点を松井議員は問題視。「改めるべきではないか」と主張し、公務員型の独立行政法人は非公務員型に改め、本来の国家公務員縮減の形に近づけていくのが総務省の大きな責任だと問題提起した。また、国の研究機関などで働く研究者など、非公務員型の方が自由で採用しやすいといった指摘もあるとして、検討を求めた。

さらに松井議員は、公務員の定員管理について、「今回の省庁再編は各庁の定数のアンバランスを是正する絶好のチャンスだった」と指摘。「公共取引委員会や環境省など、あきらかに定数が少なく、新しい行政ニーズとの間でミスマッチが起きているものは、政治のリーダーシップで是正していくべきだ」と主張。ここでも総務省の役割を協調した。

行政手続の電子化については、「各省まかせでなく、総務省がリーダーシップをとって横断的な横ぐしを入れ、整合性あるものにすべき」と主張。片山総務相も「通則法的な法体系を来年の通常国会に出したい」と意欲を示した。

政治の目的は庶民の幸せ大きくすること~辻泰弘参議院議員が初質問

参議院厚生労働委員会で18日、先の参議院選挙で当選した民主党の辻泰弘議員が初の委員会質疑を行った。 辻議員は「政治の目的は庶民のしあわせを大きくすることにある」とし、それが自らの信念でもあると主張。坂口厚労相に対して質問した辻議員は「消費者・生活者の立場からの行政につとめてほしい」として、その視点から、省庁再編後10ヶ月を経過して、2つの省庁合併をどう評価しているか質した。

坂口厚労相は「縦割り行政ではできえなかったスムーズな流れができた」として、地域と職域の医療の一本化、仕事と子育ての両立支援の一本化などを例にあげた。一方、組織が大きくなった分、全体をまとめるには困難が伴うとした。

辻議員は坂口厚生労働相のこうした率直な意見に対し、「それだけ生活に密着しているひとつの現われだろう」と分析。消費者・生活者の立場からの行政につとめるよう、重ねて要請した。

次に、“経済主体の効率の追求が全地球的規模で行われること”と定義されるグローバリゼーションの流れが世界中をおおっているが、先のジェノバ・サミットで明らかになったようにグローバリゼーションには光と影があると辻議員は分析。「その影の部分を見つめ、充分に対応していくのか政治の責任だ」との考えを示した。また、辻議員は「競争原理の貫徹の上に人間のしあわせはない」とし、弱肉強食の激流に庶民が巻き込まれないようにすることが政治の使命だとした。

続けて構造改革における骨太の方針について、経済合理性の追求が前面に出すぎ、競争・効率の論理に偏っているのではないかと指摘。“構造改革なくして景気回復なし”とするキャッチフレーズが端的に示すように、景気回復・経済成長自体が目的化しすぎていると分析。「それらは国民の生活を良くするための手段であって、目的化してはならない」と強調した。

同時に、庶民の生活・雇用問題を理解しているとは思えない発言をくり返す小泉首相をきびしく批判。8月28日に失業率5%になった途端、翌日に雇用対策国会として位置づけると表明した小泉首相の姿勢にも辻議員は「5%は確かに象徴的ではあるが雇用情勢がきびしいことは6~8月とも変わりはなかったはず」とし、一国の首相としては見識が乏しすぎるときびしく指摘した。

また、医療制度改革試案については、「経済政策とは別の範疇に属するが、国民負担増を求めることで景気への影響はないか」とし、経済動向を直視しながら医療改革を進めるべきと提起した。

続けて、補正予算の概要について雇用・社会保障面両面について質問。「それによる雇用創出はどの程度増えるのか」と迫り、あくなき雇用問題追及への姿勢を示した。

辻議員は改革先行プログラムでは新公共サービス雇用などが検討され、資金確保の方針も出されている点にふれ、雇用創出につながる前向きな取組みを要請した。また、学校における少人数学級の推進、保育・介護・看護従事者の人員確保など、雇用創出に資する政策実現を求めた。

さらに、労働分野の規制改革について言及。労働分野の規制改革に先立ち、パートや派遣社員などに対する公正労働基準を均等待遇にしていくことこそが先決だと主張。増大しているパート・派遣・短期雇用者が不利になる制度は早急に改善すべきだと重ねて要請した。同時に、短期勤続者が相対的に不利になる退職所得控除の算出方式の改善の必要性も指摘した。

最後に、医療改革による難病対策の制度化、小児・救急医療の充実、病院の看護体制の強化、介助犬・盲導犬の法律上の位置づけを明確にすることによる社会的認知の向上などについても問題提起し、質問を締めくくった。

日銀金融政策の要点を質す~大塚耕平参議院議員が初質問

民主党の大塚耕平議員が18日、参議院の財政金融委員会で行われた日銀報告に関する質疑で、当選後初めての質問に立った。 大塚議員は、元日銀マン。その経験にも踏まえながら、参考人として出席した日銀幹部に対して、現時点の金融政策とその問題点をめぐる鋭い質問を浴びせた。

まず大塚議員は、日銀のゼロ金利政策について質問した。日銀は1999年2月からゼロ金利政策を採用し、昨年8月に解除。その後、IT産業を中心とする景気の急激な減速を受けて、今年、当座預金残高の調整を軸とした金融緩和政策に転換した。こうした経緯を確認した上で、大塚議員は、昨年8月のゼロ金利政策解除は時期尚早だったのではないかという認識を示し、当時の政策判断の根拠となったデータについて質した。

速水日銀総裁は、当時、企業収益が増加し、設備投資も増え、さらに賃金も増加して雇用環境の改善が見られるなど経済全体が上向きだったと指摘。さらに、ゼロ金利政策を解除したといっても、金融緩和の基調の枠内で若干の調整を行った程度だったと述べた。

次に大塚議員は、日銀の現在の政策について質問。景気減速をもたらしている循環要因と構造要因のうち、前者に対する対応としてインフレターゲティングと国債購入額の増額を取り上げ、これらに対する現在の日銀のスタンスを質した。

速水総裁は、インフレターゲティングについては「採用する気持ちはない」と明言。国債買い入れの増額についても、長期国債を月に4000億円購入しており、さらに増やす必要はないと考えている、と述べた。

景気減速の構造要因をなす不良債権の処理をめぐっては、日銀が整理回収機構(RCC)への直接融資を行う考えがあるかを質した。速水総裁は、「確かにRCCは民間金融機関からの借り入れだけで大丈夫なのかという指摘はある」としながらも、RCCは預金保険機構の下請け機関であり、日銀としてはあくまで預金保険機構への融資という形で間接的に資金供給を行うことになる、と述べた。

また大塚議員は、銀行保有株式取得機構の設立を検討した金融庁金融審議会部会の報告書に日銀の担当者が名前を連ねていたことを取り上げ、RCCや株式取得機構の問題は国民負担の増大という政治マターの問題につながりかねないものであって、日銀が早々にコミットするべきではないと指摘。速水総裁も、「同感だ。通貨の価値を守るという使命からして、慎重であるべきだと思う」と述べた。

[テロ対策3法案]「国会の事前承認」修正案提出実らず、与党修正案可決、参院へ

民主党はテロ対策特別措置法案の修正をめぐる15日の党首会談で、与党側が「国会での事前承認」を受け入れなかったことから、翌16日、緊急のネクストキャビネット会議を開き、同法案に対する修正案をまとめ、提出した。しかし、16日の同委員会での審議終了後の採決では賛成少数で否決され、18日の衆院本会議でも与党の修正を経た法案が可決され、参議院に送られた。

修正案の内容は次の通り。

第5条 基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動、捜索救助活動又は被災民救援活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき、国会の承認を得なければならない。ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該協力支援活動、捜索救助活動又は被災民救援活動を実施することができる。

2 前項ただし書の規定により国会の承認を得ないで協力支援活動、捜索救助活動又は被災民救援活動を実施した場合には、内閣総理大臣は、速やかに、これらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならない。

3 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該協力支援活動、捜索救助活動又は被災民救援活動を終了させなければならない。

16日の衆議院テロ対策特別委員会では、玄葉光一郎議員が修正案の提案理由を説明し、答弁に立った。

民主党・無所属クラブの渡辺周議員の質問に答えて、玄葉議員は民主党が国会での事前承認を主張した理由について、(1)シビリアンコントロールをより徹底させたい(2)自衛隊の派遣に対して国会も政府とともに責任を負うべきだ(3)周辺事態法等との整合性–の3つをあげ、「今回の法案で、政府は具体的な活動や対応措置について明らかにしていない。周辺事態法では、具体的な対応措置について、実施の前に国会が議論することができる。PKFの本体業務などにおいても、武器の収集や停戦監視には国会の事前承認を求めている」と説明した。

これに対して、小泉首相は「新法自体が国会で承認をいただければ時限立法だから、国民の理解が得られるような自衛隊派遣が行われる」との立場をあくまでも崩さなかった。

テロ対策3法案の採決が行われた18日の衆議院本会議でも玄葉光一郎議員が修正案の提案理由を行ったのに続いて、民主党・無所属クラブを代表して渡辺周議員が討論に立った。

渡辺議員は、「テロ撲滅にむけたあらゆる外交努力、国内外における徹底したテロ対策を行うこととあわせて、国際協調の枠組みの中で、自衛隊の活用も含めた新たな対応が必要である」との民主党の立場を改めて表明。自衛隊の派遣については、「周辺事態法での議論を踏まえ、憲法の枠内で、しっかりとしたシビリアン・コントロールのもとに行うべき」との考え方を重ねて示した。

その上で、内閣提出法案と与党の「事後承認」とする修正案について、「PKO活動以外で戦後初めて自衛隊が海外で活動を実施するという、まさに歴史的大転換であり、しかもテロという新たな事態において、従来の後方地域という概念すら曖昧にした法体系の下での自衛隊の派遣については、極めて慎重に行うべき」と指摘。さらに、「外交的に、将来のアフガニスタンや周辺諸国の安定と復興に向けて、わが国が果たすべき役割を考えても、自衛隊の派遣には海外の理解を得られるべき」と主張して、国会の関与としての「事前承認」の必要性を強調した。

渡辺議員は、法案が成立すれば即座に基本計画が策定され、自衛隊派遣が想定されるにも関わらず、国会での政府側の答弁が終始具体性に欠けていたことに不信感を示し、「事後報告や事後承認では、自衛隊の海外展開が既成事実化している可能性が高く、国会がシビリアン・コントロールのもとに、歯止めをかけることが実質的に困難になる」と批判。「国民から選ばれた国会がしっかりと関与することは、かつて軍部の行動を国会が制御できなかった反省に立つ極めて重要な原則だ」と主張した。

また、「事前承認では機動性、柔軟性が危惧される」との与党側の主張に対しては、「民主党案でも緊急の場合の事後承認を容認しており、なんら法案として問題はない」と反論し、「なぜ、この修正案が与党に理解されなかったのか、政策論というよりも、与党何の内部事情以外の何者でもない」と厳しく批判した。

自衛隊法の一部改正案については、緊急性に考慮して政府案に「賛成」を表明。しかし、渡辺議員は、新たに設けられた自衛隊の「警護出動」については、「その対象、範囲、要件、警察との関係など、今後の国会審議でさらに検討すべき」とした。また、秘密保持への罰則強化については、「国民の知る権利や、報道の自由等の基本的人権を侵害しないよう運用すべき」と指摘した。

海上保安庁法の一部改正案については、不審船に対する必要な対応措置と認識して賛成した。

各会派の討論後、起立採決が行われた結果、3法案とも賛成多数で可決され、参議院に送られた。

鹿野道彦、中野寛成両副代表、議員在職25年で永年勤続表彰受ける

民主党の副代表をつとめる鹿野道彦、中野寛成両衆議院議員が18日の本会議で、議員在職25年の永年勤続表彰を受けた。

両議員はロッキード事件直後の1976(昭和51)年の総選挙で初当選し、現在9期目。数々の要職を歴任し、民主党の重鎮として、党の先頭に立って活躍中だ。《民主党ニュース》



10月18日 その日のできごと(何の日)