平成3806日目
1999/06/10
この日のできごと(何の日)
【コソボ紛争】NATO、空爆停止
北大西洋条約機構(NATO)のソラナ事務総長は10日、ユーゴスラビア連邦軍が同日、NATOとの撤退協定に従ってコソボ自治州から撤退を開始したため、2カ月半以上に及んだユーゴ空爆を停止した、と発表した。11日間の期限で撤退が完了すれば、正式に空爆終了を宣言する。
80万人以上の難民を出したコソボ紛争は、空爆に反対したロシアも加え、国連の管轄下で恒久和平への道を探ることになった。
事務総長は空爆停止をアナン国連事務総長に通告した。国連安全保障理事会は10日、今後のコソボ和平の枠組みとなる決議案を採択。NATOを核とする国際治安部隊約5万人の第一陣が11日に展開する。
焦点は、空爆開始前も含め100万人近いアルバニア系難民と数十万人の避難民の帰還に移る。ソラナ事務総長は「コソボのあらゆる勢力は非軍事化しなければならない」と述べ、コソボ独立を要求するコソボ解放軍の事実上の武装解除を求めた。
国際治安部隊には、米国、英国、フランスなど約30カ国が参加、ユーゴ軍が撤退した地域に逐次投入する。ロシアがNATOから独立した指揮権を求めて混乱の火種を残している。
NATOは3月24日、初めて国連安保理の武力行使に関する決議なしに主権国家を攻撃、圧倒的な軍事力でユーゴのミロシェビッチ政権からほぼ全面的譲歩を引き出した。50周年を迎え、冷戦後の使命を地域紛争への対応としたNATOは、一応の面目を保った形だ。
NATO推定では、空爆開始以来、ユーゴ部隊の死者は5000人以上、負傷者は1万人以上に達した。NATOは目標を軍事施設に限ったとしているが、中国大使館などの誤爆も頻発。一般市民の犠牲者数は不明だ。《共同通信》
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北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴスラビア空爆の停止を受け、国連安全保障理事会は10日(日本時間11日)公式協議を開催、ユーゴ・コソボ自治州への国際部隊派遣などコソボ紛争の政治解決を目指した和平決議を賛成14、棄権1(中国)で採択した。決議採択を受け、国際治安部隊が11日にもコソボ入りする見込み。2カ月半にわたったユーゴ空爆の停止をきっかけに、コソボ紛争は、停戦維持、約100万人のアルバニア系難民らのコソボ帰還を目指し、国際的合意に基づく政治解決に向け動きだした。
協議の場でユーゴは、国際部隊が無期限にコソボに駐留しないよう求めるとともに、将来のコソボ独立の可能性に強い警戒感を表明、紛争の最終決着までには依然、多くの困難が予想される。《共同通信》
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【埼玉県所沢市】高1男子、防衛医大寮に立てこもり
10日午前7時40分ごろ、埼玉県所沢市並木、防衛医科大学校の敷地内にある学生寮一階の一室に男が窓から侵入、部屋にいた同医大2年Bさん(21)と1年Aさん(19)にスプレーを吹き付けた。Bさんは入り口から逃げたが、男は果物ナイフを持っており、Aさんをロープで縛り人質にして立てこもった。
埼玉県警は約160人を動員、所沢署員らが部屋の前で人質を解放するよう男への説得を続け、約5時間半後に男を逮捕監禁の現行犯で逮捕、Aさんを無事保護した。
調べでは、男は20歳ぐらい。所沢署が動機などを追及する。男は学生からの通報で駆け付けた教官に窓から約20センチの鉄パイプと「日本国憲法破棄」などと書いた手書きのA4判のビラを投げつけたという。部屋は二人部屋で、侵入当時、窓が開いていた。
同医大は全寮制で、大学入り口の門で警備員が学生証などをチェックしており、一般の人は入れない仕組みになっているという。《共同通信》
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埼玉県所沢市並木の防衛医科大学校学生寮で男子学生を人質にして10日朝から約5時間半立てこもり、所沢署が人質強要処罰法違反などで現行犯逮捕した男は、同県草加市に住む県立高校定時制1年の少年(15)と分かった。
調べに対し、少年は「一人でやった」「中学のころ、憲法を変えなければならない思い、卒業後は社会を変えたいと思うようになった。騒ぎになれば報道されて分かってくれる人がいると思った」などと供述、同署が詳しい動機を追及している。
同署は現場の部屋から、火差を詰めたとみられる鉄バイプ(長さ約20センチ)の爆発物7本を押収した。同日午前11時25分ごろ、一本を外に投げて爆発。一本は立てこもり直後に投げたが、不発だった。計9本を持ち込んだとみられる。少年は「自分で作った」と話している。同署は少年宅を捜索、打ち上げ花火数十本を発見、押収した。
同級生の男子生徒(16)によると、少年は武器が好きで、花火を分解して爆弾を作っていると話していたほか、休み時間に「自衛隊の大学を乗っ取ってニュースになる」「来週実行する」などと犯行をほのめかしていたという。高校の教頭は、「まじめで目立たない生徒。授業中に騒いだりすることもなかった。今月7日からは風邪をひいたと欠席していた」と話していた。《共同通信》
【政府(小渕内閣)】地域戦略プランを認定
政府の地域プラン推進連絡会議は10日、小渕恵三首相が提唱した生活空間倍増戦略プランの一環で、市町村が広域的に連携して策定した460の「地域戦略プラン」を認定した。
同プランは5年間で総事業費4兆31億円。関係する自治体は全市町村の99%にあたる3219市町村。各省庁は認定を受けたプランの事業に、重点的に予算配分して支援する。《共同通信》
【この日の民主党】
現行の1府21省庁を2001年1月から1府12省庁に再編する中央省庁等改革関連法案17法案が10日の衆議院本会議で自民、自由、公明・改革ク、社民4会派の賛成多数で可決された。民主党は、内閣法改正案、首相府設置法案、内閣府設置法案の3法案を対案として提出したが、他会派の賛成が得られず否決され、政府案には「簡素・効率・透明な行政の実現からはほど遠い内容」として反対した。《民主党ニュース》
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民主党の羽田幹事長は10日、国会内で自民党の森喜朗幹事長と会い、政府が11日に閣議決定する「国旗・国歌」法案について、「会期末を1週間後に控え、この時期に法案を提出する行為は、あまりにも軽々しく唐突であり、拙速な法制化と断ぜざるを得ない」として、閣議決定を取りやめるよう求めた。
羽田幹事長は「国旗・国歌という国の根本にかかる問題を政争の具には断じて用いるべきではない」として、「慎重で真摯な論議のために、政府に審議会を設け、幅広く国民の意見をきくべき」と提案した。《民主党ニュース》
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10日、衆議院行政改革特別委員会で地方分権一括法案に対する締めくくり総括質疑が行われ、岩國哲人、中桐伸五両議員が最後の質疑に立った。
岩國哲人議員は「今回の分権法案は、明治維新以来の第3の改革と言われている。100年分の体系を変えようとするのに、たった5日にあたる時間で終えるのか。これでは一日千秋ならぬ一日千週のスピードだ」「公述人の皆さんも法案全文に目を通せなかったと告白している」と拙速な国会通過を目指す政府・与党を改めて批判した。
続いて、政府による行政コスト30%の削減目標について、具体的道すじをただし、野中官房長官が「政府のイニシアチブを示すものとして決定した。当面減量化を行い、合理化については、今後、各省別でなく省庁全体としてコスト減をめざす」と弁明。すでに実施中の具体例として、公共工事の削減や年金通知事務、会計処理事務の合理化をあげた。
次に、地方分権に伴う女性公務員の地位の確立にふれた岩國議員は、「地方ではいまだに封建社会が色濃く残っている。20%の採用ベースに対し、課長への女性登用は5%にすぎない。男女参画社会を実現させる強い意志を政府は本当に持っているのか」とただした。
野中長官は「まだ十分でない」との認識を示したが、具体的な目標値などについては何も答弁しなかった。 岩國議員は最後に「短い質疑時間で議論し尽くしていない恨みは残るが、一歩後退・二歩前進を期待したい」と述べて質疑を終了した。
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中桐伸五議員は、これまでの委員会質疑での各大臣の答弁について、小渕首相に再確認した。 まず、これまでの機関委任事務の経緯をふまえ、新たな「法定受託事務」についてついて、「どんどん拡大されては困る」「国による処理基準の通知制度が通達行政復活につながらないように」とクギをさした。「自治事務」についても「政府答弁で確認したが、改めて代執行の対象としないように」と念を押した。
また国と地方自治体の間の紛争処理機関として規定された「係争処理委員会」について、中桐議員は「設置場所が不明だ。また委員の任命は自治相が行うことになっているが、公正な審査が確保できないのでは」と鋭く追及。
野田自治相は「設置・会合場所は処理委員会の裁量でその都度決める。委員構成も公正中立を旨とする」と逃げた。 さらに中桐議員は「やはりおかしい。自治相は自分の任命した係争処理委員から事情聴取される。これで公正な審判が本当に可能か」と詰め寄ったが、野田自治相は「できるだけ自主性を持たせる」と説明するにとどまった。《民主党ニュース》