平成2693日目

平成8年5月23日(木)

1996/05/23

【オウム真理教・麻原彰晃被告】第3回公判

オウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の第3回公判が23日、東京地裁で開かれ、起訴された計17事件のうち自動小銃密造(武器等製造法違反罪)サリン量産プラント(殺人予備罪)松本サリン(殺人、殺人未遂罪)の3事件などが審理された。麻原被告は「お話しすることはありません。留保します」と初公判と同様、起訴事実の認否を明らかにしなかった。

発言の趣旨を聞いた阿部文洋裁判長に対し「(黙秘を認めた)法律を無視するのか」と抗議する場面もあった。検察側は冒頭陳述で、麻原被告は平成2年の衆院選落選後、敵対者だけでなく一般人も「ポア(殺害)」の対象とし、教団の武装化を推進したと指摘した。

公判は午前10時5分開廷。検察側は3事件のほか、幻覚剤LSDなど3件の薬物密造事件の起訴状も朗読。松本サリン事件の朗読では、被害者151人の名前を読み上げた。薬物密造事件の認否は次回以降の公判となる。麻原被告の認否に先立ち、弁護側はサリン量産プラント事件については「罪となるべき事実がない」と主張し、公訴棄却を申し立てた。

冒頭陳述によると、麻原被告は「ハルマゲドン(最終戦争)」を予言し、教義実践のためには「ポア」と称して殺人も容認。敵対する坂本堤弁護士=当時(33)=らを殺害したが、衆院選落選で自分への帰依心が動揺したため「国家権力が妨害した。人類は悪業を積み重ねている」などとして無差別の「ポア」を推進したという。

教団の武装化はボツリヌス菌や炭そ菌など細菌兵器の開発から始まったが、うまくいかないため平成4−5年に自動小銃や化学兵器のサリン製造を指示。サリン生成に成功後はさらに毒性の強いVXの開発にも着手したとしている。

起訴状などによると、麻原被告は6年6月から7年3月にかけて元幹部広瀬健一被告(31)らと共謀し、ロシア製AK74を模倣した小銃1000丁を密造するため、部品を製造。試作品1丁を完成させた。

また元幹部早川紀代秀被告(46)らに「マホウ(サリン)プラントを急げ」などと命令し、山梨県上九一色村の「第7サティアン」などにサリン量産プラントを完成させ、不特定多数の殺人を準備した。《共同通信》

オウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)=本名松本智津夫=の第3回公判は23日午後も東京地裁(阿部文洋裁判長)で続行され、検察側は冒頭陳述で、自動小銃密造、サリン量産プラント、松本サリンの3事件も麻原被告の具体的指示で実行されたと指摘し、元幹部中川智正被告ら3人を証人申請した。

また事件に関与したとされる被告らの供述調書など1924点の証拠を提一出したが、弁護側が採用に同意したのは松本サリンの被害者の戸籍謄本など51点にとどまった。

第3回と30日の次回に予定された3事件の冒頭手続きがこの日で終了したため、30日の公判は取り消された。第4回は6月20日に開かれ、坂本弁護士一家殺害事件などが審理される予定。

午後の検察側冒頭陳述は、教団の武装化を総括した午前に続き、3事件それぞれについて犯行の経緯などが詳述され、麻原被告が繰り返し犯行を指示し、報告を受けていたことが示された。

自動小銃密造事件で、麻原被告は幹部らをホテルに集め「1、2カ月で作れ」と催促したり、試作品完成の報告を受けた際には「あとは弾だな」と指示。プラント事件でもホテルに幹部らを集め、それぞれの「ワーク」の分担を決めていた。

松本サリン事件では、現場にいた幹部新実智光被告(32)に電話し、犯行が終了したかどうか確認したり、使用した車の証拠隠滅工作を指示したという。

冒頭陳述後の証拠調べで検察側が証人申請したのは中川被告のほか、新実被告と元幹部遠藤誠一被告(35)。

検察側は弁護側にほとんどの証拠採用に同意しない理由をただし、弁護側は「サリンの毒性なども検討したい。争点を絞れる段階ではない」と回答した。

4月の第2回公判でも、検察側提出の証拠1万2551点のうち、弁護側が同意したのは70点だけ。弁護側は「反対尋問の機会のある証人調べで事実を明らかにしたい」として、事件に関与したとされる被告らの供述調書に同意しない方針を明らかにしている。《共同通信》

河野義行さん「有罪推定は怖い」

「2年前の経験がなければ、私も麻原被告を責めていたかも」。松本サリン事件の第一通報者で会社員河野義行さん(46)は23日、麻原被告の第3回公判を傍聴後、午後7時すぎから東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、感想などを話した。

冒頭、河野さんは、事件の発生当時、マスコミに「犯人扱い」されたことに触れながら「私の身近な人たちからも『麻原被告をすぐに死刑に』など、過激な話が頻繁に出る。振り返ると、(麻原被告は)2年前の私の状況と近い」と述べ、その原因は過熱した報道にあると指摘。「警察やマスコミは有罪推定のようで怖い。(無罪推定の)原点に戻って冷静に報道してほしい」と訴えた。

麻原被告については「歩く様子がとぼとぼしていてエネルギーを感じない。パワーが落ちていると思った」。自らの経験から「(裁判で)はっきりするまでは批判するべきではないと決めている」というが、「事実はどうなんですかと聞いてみたい」とも漏らした。

起訴状や冒頭陳述の朗読中に自分や家族の名前が読まれた時は、被害を受けて病院に運ばれた当時の苦しみを思い出した、という。「(入院中の)奥さんにはどのように報告しますか」との質問には、「公判が行われた事実を話します」と右手を目頭に。最後に「オウムの信者には偏見は持っていない」と述べて、会見を締めくくった。《共同通信》



【大相撲夏場所】12日目

大相撲夏場所12日目(23日・両国国技館)若乃花、貴ノ浪の両大関が敗れ、1敗を守った横綱貴乃花が今場所初めて単独トップに立った。若乃花は平幕玉春日の一直線の押しに屈し、貴ノ浪は横綱曙に送り出された。2敗は関脇の魁皇を含めた3人になった。貴乃花は関脇武双山を左四つから寄り切った。武双山は4敗目で場所後の大関昇進が絶望となった。

大関武蔵丸は土佐ノ海を右下手投げで下し、通算34場所連続、幕内では28場所連続の勝ち越しを決めた。土佐ノ海は2場所連続の負け越し。貴乃花、貴ノ浪を倒した剣晃も負け越した。十両は新十両の栃東が10勝2敗で依然単独トップ。《共同通信》

【天皇陛下】お田植え

天皇陛下は23日午後、皇居・生物学御研究所わきの水田で、恒例の田植えをされた。

陛下はベージュのジャンパーにグレーのズボン、長靴姿で水田に入り、4月に自らもみまきしたニホンマサリ(うるち米)などの苗を植えた。秋に収穫し、皇居で行われる新嘗祭などに使われる。《共同通信》

【北朝鮮】29歳大尉が戦闘機で韓国に亡命

韓国国防省スポークスマンは23日、朝鮮民主主機人民共和国(北朝鮮)のミグ19戦闘機が23日午前11時10分ごろ、韓国の黄海領空を通過して亡命して来たと発表した。同機はソウル郊外の水原の空軍基地に着陸した。

パイロットは1人で、平安南道の温泉飛旅団所属のリ・チョルス大尉(29)という。亡命の動機などは明らかでない。

北朝鮮からの韓国への亡命は相次いでいるが、飛行機での亡命は1983年の2月に北朝鮮の李雄平大尉がミグ19で亡命して以来13年ぶり。対話が中断し冷却している南北関係にも影響を与えそうだ。

韓国政府は23日、ミグ19戦闘機で亡命した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)軍のリ・チョルス大尉(29)の身柄を情報機関に移し、詳しい亡命動機などの調査を始める一方、青瓦台(大統領官邸)を中心に事件の分析と対策協議に入った。

リ大尉は到着した水原空軍基地で記者会見し、亡命動機について「北の体制では生きていけないので南に来た」とだけ語った。また、到着直後に「北の体制への嫌気と自由へのあこがれで亡命した」とも話した。

最近、北朝鮮軍の将校や、高官の子弟であるザンビア駐在の外交官夫妻ら、北朝鮮の特権階級に属する人物の亡命が相次いでいる。軍人の中でもエリートとされる戦闘機操縦士の亡命は、エリート層の体制離れが進んでいることをさらに裏付けた。韓国では北朝鮮の体制が危機にあることの証明と受け止められている。《共同通信》

【新進党】船田総務会長代理を解任

新党結成に意欲的な発言を繰り返している新進党の船田元氏が23日、党四役会議の辞任勧告を受け、総務会長代理を辞任した。執行部は船田氏が鳩山由紀夫・新党さきがけ代表幹事との新党結成に強い意欲を示したことに態度を硬化させ、事実上解任したものだが、党内の波乱要員ともなりそうだ。

船田氏も同日夜、記者団に対し「自発的辞任ではなく解任ということを確認した上で受諾した」と強調したが、今後の行動については「新進党の一兵卒として党の内部改革、党勢拡大や党内外の人との接触に努力する」と当面、離党する考えのないことを明らかにした。

船田氏は22日の講演で「鳩船新党」への意欲まで踏み込み、23日の総務会で「総選挙を控え、利敵行為だ」などの批判が相一次いだ。渡部恒三総務会長は「反党的発言が度重なっている。足手まといだ。辞めてもらいたい」と自発的辞任を促したが、船田氏は「ここで辞めると自分の言動を否定し非を認めることになる。処分するなら解任してほしい」と拒否、処分問題を党四役に任した。

これまで同氏は「保保連合」に触れたり、住専国会をめぐる執行部の対応を批判した言動などで反発を招き、渡部氏がとりなし穏便に収めてきた。しかし「こう何度も繰り返した以上、けじめを付けるべきだ」(西岡武夫国対委員長)との強硬論が噴出した。

船田氏が所属する羽田元首相支持グルーブ「興志会」の23日の総会でも、江田五月氏らが「党内の融和を目指しているので自重すべきだ」とクギを刺しており、党内には「船田氏にはだれも付いていかないだろう。好きにやればいい」(幹部)と冷ややかな声も多い。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・自民党の山崎拓政調会長は23日、都内のホテルで講演、住専処理問題について「与野党が角を突き合わせていれば、それだけ処理が長引いて悪影響が出てくる」と審議の遅れに懸念を示しながら「もっと理性的な常識ある話し合いができないものか」と矛先を新進党に向けた。しかし、肝心の処理策の自己評価となるとトーンダウン。「これほど国会審議で苦しむことになると予測していたわけではない。目測力に欠けていたなと思うこともしばしばだ」と反省の弁も語り、処理策に批判的な世論にはさすがに気を使っていた。

○・・・新進党の米沢隆幹事長はこの日、来日中のフィゲレス・コスタリカ大統領との朝食会で、サッカーの2002年ワールドカップ(W杯)開催国決定で日本への投票を要請、大統領から「尽力したい」との好意的な回答を得た。下馬評では同国は韓国寄りと見られているが、米沢氏は記者団に「昨年10月の同国訪問時に続き2度目のお願いをした。開催国が日本に決まったら新進党の努力によるものだ」とちゃっかりPR。「コスタリカの青空は日本の秋晴れの-うに素晴らしい」と晴れ間のない国会をよそにすっかりご満悦だった。《共同通信》



5月23日のできごと