平成2607日目

平成8年2月27日(火)

1996/02/27

【オウム裁判】新実智光被告、全面否認

地下鉄、松本両サリンなど重大事件の大半に関与したとされるオウム真理教幹部新実智光被告(31)の初公判が27日、東京地裁(田尾健二郎裁判長)で開かれ、信者Oさん=当時(29)=リンチ殺害、元看護婦監禁、犯人隠置・隠避の3事件が審理入りした。

新実被告は人定質問で職業を「麻原尊師(麻原彰晃被告)の直弟子です」と答え、起訴事実については「共謀もしていないし、やってもいません」と全面否認した。

検察側の冒頭陳述による一と、新実被告は平成6年1月30日未明、山梨県上九一色村の教団施設で元信者Y被告の母親を救い出そうと侵入したOさんを取り押さえ、麻原被告に報告。Oさん殺害を共謀し、麻原被告の指示でY被告がOさんの首を絞めて殺害する際、ロープを用意したり手錠を掛けるなどした。

6年7月28日、教団から逃げた元看護婦(30)を山梨県内で車に押し込み、教団施設に連れ帰ってコンテナなどに3カ月間監禁した。一昨年3月23日ごろから4月8日ごろまでの間、元幹部M被告(30)が目黒公証役場事務長拉致の指名手配容疑者であることを知りながら石川県穴水町の貸別荘などにかくまった。

新実被告は捜査や元信者の証言からは冷酷な人物像が浮かび上がるが、愛知県内の出身中学の卒業文集には「いじめ」に苦しんだ同被告の体験が切々と記されている。 脱会者らから「武闘派」と恐れられた「自治省大臣」。その心の奥底には、他人からはうかがえない深い悩みがあったようだ。

文集に寄せた自筆文の一「WORRY 悩み」。それによると、新実被告は「体格が小さいこととやせている」ため「集中的にいじめられたり」「けんかを売られたり」し「一日一日がおもしろくないこともしばしば」あったという。

 

同被告はこれに対し、「辛うじてがまんしてきましたが、いつ、怒りが爆発して何が起こるかわからないようになるかもしれません」と追い詰められた心情を告白。 「人殺しでも起こしてしまってからでは、とりかえしができません」「力になってあげるか、せめて、かまわないであげてください」と悲痛な悩みを訴えていた。

同級生の一人は「いじめらしき行為はあったようだが、(彼は)抵抗はしなかった」とためらいがちに話す。しかし、当時の学校関係者は「よく覚えていない」「ごく普通の子」などと振り返った。

昭和61年秋、出家。新実被告は平成元年の坂本弁護士一家事件に手を染めて間もなく、いじめにおびえる高校生の相談に答える形で、教団出版物に回答を寄せている。 「今の状態を改善することは一見難しそうに見えるでしょう。しかし、私が修行によってそうした状態を改善していることから考えれば、決して無理なことではないのです」と。《共同通信》



【米・フォード】日本向け「トーラス」発売

米フォードは27日、10年ぶりに全面改良した主力乗用車「トーラス」の日本向け仕様を変更、同日から発売した。同社の右ハンドル車は3台目。価格を国産車並みに抑えた。フォードは、今年秋まで日本で販売する主力車種をすべて右ハンドル車にする方針である。

クライスラーも小型乗用車「ネオン」など5車種の右ハンドル車を今年末までに投入。ゼネラル・モーターズ(GM)もトヨタ自動車の販売店網を通じて日本仕様の乗用車「キャバリエ」を既に販売、来年前半に小型乗用車「サターン」の投入も予定しており、米ビッグスリーの対日戦略に一層、弾みが付く。

フォードは、今年の日本市場での車販売目標を3万5000台に設定。そのうちトーラスは1万3500台と強気の目標を立てている。

新型トーラスは、排気量3000cc。セダンとワゴンの2
種類。右ハンドル化のほか計器類、外観など日本向けに185項目の仕様を変更した。特に、方向指示器などは日本の車検制度に合うよう変更した。

トーラスの価格は、旧モデルに比べ18万5000円から28万5000円値下げし、国産車と競争力のある価格設定にしたという。全国統一価格でセダンのLXタイプが322万5000円、ワゴンのGLタイプが289万5000円。《共同通信》

【東京都】飲食費2億1900万円使わない

東京都財務局は27日、青島幸男知事が監査事務局の裏金づくり発覚で官官接待の原則全廃の方針を打ち出したのを受け、新年度予算に組み込んだ6億3700万円の会議費(食糧費)のうち、会議に伴う茶菓子代など以外の協議や打ち合わせの飲食費2億1900万円について使わないことを決めた。

飲食費がどうしても必要なケースについては、その都度支出を認める。

財務局によると、飲食費の配分が最も多かったのは同局の3800万円。以下、建設局3400万円、総務局3100万円と続き、この3局で全体のほぼ半分を占めていた。《共同通信》

【池田行彦外相】「1年以内に漁業協定」

衆院予算委員会は27日午前、外交、安全保障問題について集中審議を行った。池田行彦外相は、国連海洋法条約に基づく200カイリの「排他的経済水域設定」に伴う中国、韓国との新漁業協定について「与党の考えは念頭に入っている」と述べ、1年以内の妥結を目指して交渉を進める意向を示した。

外相はまた、韓国との間で対立している竹島の領有権問題について「切り離して漁業問題を考えていく」との方針を強調。同時に「既成事実によって領有権が生じることはない」と述べ、韓国側の竹島実効支配は認められないとの考えを示した。

橋本龍太郎首相は「水域設定で一部水域を除外することは考えていない」と述べ、竹島を起点とした水域を設定する方針を強調した。

排他的経済水域設定に関連し、政府筋は中、韓両国に対し外交ルートを通じ、早期の漁業協定交渉開始を申し入れたことを明らかにした。先の閣議了解では、「合理的期間」内に妥結を目指すとしているが、与党責任者会議では「1年以内」と解釈することで了承した。

首相は沖縄の米軍基地問題について「先の日米首脳会談で米大統領は沖縄の気持ちをきちんと考慮、最善を尽くし、柔軟性を持って対応したいと述べた」として、米国側が積極的に応じる用意があるとの認識を示した。

3月1、2日の両日、バンコクで開かれるアジア欧州首脳会議(ASEM)について、首相は「アジアと欧州連合(EU)双方と対話を持ってきた日本として、2度、3度と開かれるようにすることが私の役割だ」と述べ、同会議での主導権発揮に意欲を示した。大野功統、鈴木俊一(ともに自民)、細川律夫(社民)各氏の質問に答えた。《共同通信》

【長尾立子法相】元エイズ班長告訴「関心高く適正対処」

長尾立子法相は27日午後の衆院予算委員会で、昭和58年当時厚生省のエイズ研究班班長だった安部英・前帝京大副学長らが殺人罪などで告訴されていることについて「東京地検が受理し、捜査中だ。生命にかかわる重大かつ社会的関心の高い問題であることを踏まえ、法と証拠と正義に基づき適切な対処をすると思う」との考えを示した。

橋本龍太郎首相は東京、大阪両地裁での薬害HIV(エイズウィルス)訴訟への対応として「和解が成立した段階で、約束を誠実に実行したい」と述べ、医療体制や生活支援などの恒久対策を含め、和解内容の実現に全力を挙げる意向を明らかにした。《共同通信》

【代理署名訴訟】橋本首相「期限後も米軍が使用」

衆院予算委員会は27日、外交、安全保障問題についての集中審議を行った。橋本龍太郎首相は、沖縄の米軍基地強制使用をめぐる代理署名訴訟に関連し、「わが国として条約上の義務を履行できない状態が起きないよう努力したい」と述べ、訴訟の行方にかかわらず、使用期限後も引き続き米軍に使用させる意向を示した。

米軍の不法占拠を回避するために首相として最大の努力で臨む姿勢を示したとみられる。

池田行彦外相は、在日米軍4万7000人の評価について「一義的に責任を持っている米側の判断を打倒なものと考えている」と述べ、現有兵力は適切との認識を示した。ただクリントン米大統領来日の際の「日米共同宣言」に4万7000人の数字が盛り込まれるかについては「決まっていない」と述べた。《共同通信》

【新進党】「住専」対案を決定

新進党は27日の役員会と総務会で、住専処理の対案として、6850億円の住専予算削除と「市場原理に基づく自己責任の大原則」などを明記した「住専問題に関する基本方針」を決めた。 このほか米国の整理信託公社(RTC)に倣い、金融機関等の破産・更生手続きの申し立て権と管財人機能、刑事訴追権を持つ「不良債権処理公社」を国家行政組織法3条に基づいて設立し、刑事・民事上の責任追及と債権回収に当たることなどが特徴。

さらに①母体行は最大限の責任を果たす②農林系金融機関の再建・改革は国が全面支援する③国民の預貯金は国がすべて保証する−ことを掲げた。どちらに比重を置くか党内で意見が別れていた「法的整理」と「農林系優遇」の双方に配慮、農林系支援もうたった。さらに預金者保護も強調した。ただ、いずれも具体的な方策には言及していない。

この後、記者会見した小沢一郎党首は対案について「時限的措置で、数年か長くても5年前後をめどにやるべきだ」と説明した。

この日、新進党は朝から「明日の内閣」や三役会議を断続的に開き、対応を協議した結果、対案の取りまとめを小沢氏に任した。 これまでの党内論議では、法的整理を導入した場合、農林系金融機関の負担が増すのを懸念する農林系議員の反発もあって、「6850億円の削除を求めれば十分」との意見が一部で根強かった。

しかし、執行部は具体的な対案なしでは「責任野党としてかなえの軽重を問われる」(鳩山邦夫広報企画委員長)と判断。28日の橋本龍太郎首相(自民党総裁)との党首会談を前に、小沢氏主導で対案決定に踏み切った。

社民党の佐藤観樹幹事長は27日夜の記者会見で、住専処理に関する新進党の「対案」について「法的手続きによってどんどん処理していけば農林系金融機関は大変な負担を強いられる。(一方で)新進党は農林系機関を国が全面的に支援するとしており、6850億円どころか4倍も5倍も税金を出さなければいけなくなる」と強く批判した。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・前日の衆院予算委で、さんざん元秘書絡みのスキャンダルを追及された橋本龍太郎首相だが、27日の集中審議のテーマは外交安保問題とあって、すらすら答弁。最近、時折漏らす「疲れたよ」の愚痴もなく、昼休みにトイレに向かう際にも「生理現象にまでついてくるつもりか」と記者団に軽口をたたく余裕。しかし、記者団が、証券不祥事で辞任した日興証券会長ら幹部が復帰していることについて感想を求めると「民間会社のことだから言うことはない」と一転、険しい表情に。「証券不祥事」ではその元秘書の責任を取って蔵相を辞任しているだけに、思い出しても腹立たしい?

○・・・新進党の鳩山邦夫広報企画委員長はこの日の役員会後、住専処理の対案づくりの経過を説明。「明日の内閣で議論し、三役会議で検討した後、明日の内閣を再開。これに幹事長、総務会長も入って議論をし、その後、党首一任で原案をつくり、それが基本方針となって役員会で了承した」と、政策決定の混迷ぶりを裏付ける分かりにくさ。鳩山氏自身、前日は対案決定に悲観的な見通しを示していただけに、さすがに気になったのか「昨日のような考え方もあるが、対案なしとなっては責任ある野党として鼎の軽重を問われる」と抗弁。結果オーライの正当化に必死だった。《共同通信》

【動燃】改善策を報告

高速増殖炉原型炉もんじゅのナトリウム漏れ事故で動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は27日、科学技術庁から指摘を受けた事故時の対応の問題点14項目について改善策を報告。組織の意識改革と情報公開を徹底するため26日付で「自己改革推進本部」を設置したことを明らかにし、信頼回復に全力を尽くすと表明した。

動燃は、科技庁の指摘通り運転員の判断ミスや、マニュアルが分かりにくいことが事故を拡大、さらにビデオ隠しなど一連の情報公開の不手際が社会により大きな不信、不安感を与えたと認めた。

事故時の運転操作については、ナトリウム漏えい確認後に直ちに原子炉を止め、ナトリウムを排出していれば、漏えい量を抑えられたのは事故後の解析でも明らかになったと総括した。

動燃はこれらの対策として①運転員の判断をあいまいにさせたマニュアルの見直し②課長の指示がなくても当直長が直ちに対応できる体制③火災検知器の作動状況や現場の映像を中央監視盤で見られる設備の改善−などの措置をとるとした。

事故後の外部への対応では、地元や国への通報の遅れなど同庁が指摘した点について改善策を示した。さらに動燃独自に現場の判断で自治体へ速報できるよう規則を改め、現地と本社の情報の流れの一元化、全国の動燃事業所からの緊急時応援体制の強化などを進める。

今後の信頼回復と改善策一の具体化のために、理事長を本部長とする自己改革推進本部を設けたのを手始めに、本社広報室に情報公開課を新設。もんじゅの設計・施工にかかわる非公開資料の公開も検討する。《共同通信》



2月27日のできごと