平成2608日目

平成8年2月28日(水)

1996/02/28

【薬害エイズ事件】血液製剤の危険認識

薬害エイズ問題で、血液製剤によるエイズウイルス(HIV)感染の実態を調べている厚生省プロジェクトチームは28日、記者会見し、当時の関係者へのアンケートや資料、文献を基にまとめた中間報告書を公表した。

報告書は、昭和58年当時はエイズが血液を介した感染症との見方が一般的で、同省も「血液製剤の危険性を指摘した米国政府機開の勧告などを知っていた」と認定。

同年7月に厚生省が加熱製剤の緊急輸入を検討しながらわずか1週間で方針転換したとされる点は、関係者の意見に食い違いが見られ、引き続き調査するとしている。報告書の全体は事実関係を列挙するにとどめ分析や判断を避け省内調査の限界も示している。

「血液製剤によるHIV感染問題を深く反省」との姿勢を見せたが、製薬メーカーと大学研究者との関連なども触れられておらず、HIV訴訟原告被害者は「見るべき内容はない」と批判している。

報告書は65人の関係者、製薬会社5社、業界団体に対して質問、その回答を11の項目ごとに検討した。

緊急輸入していれば被害拡大が防げたとされる加熱血液製剤について、郡司篤晃・元厚生省生物製剤課長(現東大医学部教授)が58年当時は「輸入はまったく考えていなかった」と回答。エイズ研究班員は「提案はなかった」「郡司課長が提案し、強い印象を受けた」と意見が分かれている。

加熱処剤の評価では「臨床試験なしで緊急輸入するとの意見と、正式な臨床試験を経て認可すべきだという意見が出た」(研究班員)と、内部でもかなり認識が違っていた。

また後にエイズ患者と認められる帝京大の症例が、班会議で認定されず「エイズ隠しでは」と疑念が持たれている件では、報告書は「研究班は疑似または非典型的とされ、エイズを否定したわけでない」とした。

最後に「HIV感染を深く反省」し、「研究班という専門家の検討結果に頼りすぎていたのではないか」「血液製剤のメリットとリスクの比較考量の問題だったのなら、患者の自己決定を優先に」と具体的に提言した。

同プロジェクトチームは先月23日、菅直人厚相の指示で発足した。3日後には、それまで「ない」としてきた厚生省の資料を発見し、今月9日にはこのうち郡司氏の個人ファイルを公表。残る8冊も近く明らかにする方針だ。《共同通信》



【NY連邦地裁】大和銀行に罰金360億円

大和銀行(海保孝頭取)は28日、ニューヨーク支店の巨額損失事件で検察当局との司法取引に応じ、共同謀議、重罪隠匿など「組織ぐるみの損失隠ぺい工作」の有罪を認めた。ニューヨーク連邦地裁はこれを受け、同行に総額3億4000万ドル(約360億円)の罰金刑を下した。

大和銀は起訴後一貫して「当行は事件の被害者にすぎない」と無罪を主張してきたが、裁判が長期化した場合、住友銀行との合併を含めた今後の経営戦略が停滞することを懸念、早期収拾に踏み切ったとみられる。《共同通信》

【日経平均終値】2万円割れ

28日の東京株式市場は、取引終了前に金利上昇や円高傾向を嫌気した売り物が増えて、平均株価(225種)終値は続落、今年初めて2万円の大台を割り込んだ。終値は前日終値比80円43銭安の1万9919円97銭。出来高は約3億4600万株。平均株価終値の2万円割れは、昨年12月29日の大納会以来約2カ月ぶり。

久保亘蔵相が今月半ばに、預貯金金利について「年金生活者に対する配慮が必要」と発言して以来、日銀の緩めの金融調節にもかかわらず、公定歩合引き上げ観測が台頭して市場金利の上昇傾向が続いている。さらに日銀の断続的な円売り介入もあまり効果がなく、当面円高傾向が続きそうなため、企業収益が圧迫され、景気回復に悪影響が及ぶとの見方が強まり、株価下落につながった。

「住宅金融専門会社の損失処理は財政資金投入で解決に向かう」との見方から日本株に積極的な買いを入れていた外国人投資家が、国会審議の難航して模様眺め姿勢を強めていることも株価下落の背景だ。

この日の株価は、為替相場の落ち着きなどを受けて、朝方はしっかりしていたが、午後に為替相場が円高方向に振れると売り物が出て、急速に値下がりした。金融、証券株や流通、食品株の下落が目立った。《共同通信》

【橋本龍太郎首相】野党首脳と会談

橋本龍太郎首相は28日午後、8年度予算案の衆院通過をにらみ首相官邸で新進党の小沢一郎党首、共産党の不破哲三委員長と個別に会談、住宅金融専門会社(住専)処理策として予算案に盛り込んだ6850億円の財政支出や予算案成立への理解と協力を要講した。

小沢、不破両氏は「政府とは立場がまったく異なる」(小沢氏)、「母体行に負担させるべきだ」(不破氏)と拒否、住専処理予算の削除と予算組み替えを重ねて要求し、会談は物別れに終わった。

首相は与党内で協議している母体行負担増の追加措置について不破氏に「法律的になかなかできない」と、事実上断念する考えを示した。

会談後、与党側は「尽くすべき手は尽くした」(佐藤観樹社民党幹事長)とし、て予算案採決への手順は踏んだと判断、3月初旬の衆院通過を目指す。今後、与野党の攻防が激しさを増すのは必至だ。

会談では同席した梶山静六官房長官が小沢氏に「お互い宣戦布告して別れるのではなく、今後とも相談し合いたい」と提案。小沢氏も「大いに結構だ」と応じ、今後、必要に応じ自民、新進両党首脳が意見交換する場を持つことで一致した。

焦点の住専処理策について首相は「これ以上考えても知恵は出ない」と強調、政府としては最善の策をとったとの認識を示した。小沢氏は「自己責任原則に基づく法的処理」を行うよう要求。不破氏も「血税投入は道理がない。採決を強行すべきではない」と批判するとともに、与党の国会対応をけん制した。

一方、沖縄の米軍基地問題について不破氏は「日米安保条約の再定義とは切り離し、県民の要求に即した交渉をすべきだ」と注文を付けた。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・先週末の訪米や衆院予算委日程が続く橋本龍太郎首相は28日昼、国会内で記者団から「ハードスケジュールですね」と尋ねられ「うん」と一言。記者団が健康管理法について聞くと、「健康管理に気を付ける時間がないよ」と過密日程にうんざりした様子。さらに「はり(治療)に行くのが文字通り健康管理だろうな。もう一つは仕事に関係のない本を読んで気分転換をすることだな」と続けた首相はこの直前、エレベーターを使わずに珍しく国会の階段を歩いて上った。好きな登山もできないことから、せめてもの健康法だったのか?

○・・・この日、記者団を閉め出して開かれた新進党の両院議員総会後、米沢隆幹事長の代理で記者会見した渡部恒三総務会長は「あんたらに(総会に)入ってもらえばよかった」と、シャットアウト批判を先回りしてばつの悪そうな第一声。同席した山岡賢次副幹事長が「すみません余計なことをして。しかしマスコミがいないから(総会が)うまく行ったのかもしれません」と口を挟んだが、渡部氏は再度「大変失礼した」。さらに「幹事長は盟友だった山田精吾さん(連合初代事務局長)の葬儀で失礼する」と、ひたすら低姿勢だった。《共同通信》

【英・ダイアナ妃】皇太子との離婚に合意

ダイアナ英王妃(34)のスポークスマンは28日、チャールズ皇太子(47)の離婚申し入れにダイアナ妃が同意したと発表した。離婚同意で、1981年7月に「世紀の結婚」として世界の注目を集めた夫妻の結婚生活は幕を閉じることになった。

80年代後半に結婚生活の破たんが顕著になって以降、メディアを利用した人気取り合戦や、ダブル不倫告白で王室の権威をも揺さぶり続けた夫妻の泥仕合も終止符を打つ。

スポークスマンは、ダイアナ妃側の要求である①ウィリアム、ヘンリー両王子に関する決定のすべてに関与②皇太子妃の称号「プリンセス・オブ・ウェールズ」の維持③ケンジントン宮殿の居住権確保―などを皇太子側が受け入れたと述べた。

バッキンガム宮殿は、皇太子夫妻は28日昼の秘密会談で離婚の同意に達したことを確認したが、離婚後のダイアナ妃の役割を含む離婚条件の細部に関する話し合いはなかったとしている。ダイアナ妃側の離婚同意の発表は、バッキンガム宮殿に事前通知しない「抜き打ち」発表で、正式離婚に至るにはさらに時間を要するとみられている。

皇太子夫妻は92年12月に正式別居。皇太子は94年6月の英ITVテレビのドキュメンタリー番組の中で、カミラ・パーカーボールズさんとの親密な関係を打ち明け、昨年11月には、ダイアナ妃が英BBCのインタビューでヒューイット元近衛将校との不倫を告白した。

エリザベス女王は、夫妻双方の不倫と、皇太子の国王適格性に疑念を挟んだダイアナ妃の発言を憂慮し、昨年12月18日、2人に即時離婚を求める書簡を送っていた。

皇太子は女王勧告に同意し、ダイアナ妃に離婚を申し入れたが、BBCのインタビューで離婚の意思のないことを表明したダイアナ妃は弁護士との間で対応策を検討。双方は①2人の王子への自由な面会の権利②ダイアナ妃の離婚後の肩書と役割③財産分与と生活費―などダイアナ妃側の要求をめぐり、協議を続けていた。《共同通信》



2月28日のできごと