平成1994日目

平成6年6月24日(金)

1994/06/24

【天皇、皇后両陛下】パンチボールで献花

ハワイ滞在中の天皇、皇后両陛下は24日午前(日本時間25日早朝)、太平洋戦争の戦没者などをまつる国立太平洋記念墓地(パンチボール)を訪れ、天皇陛下が献花、哀悼の意を表された。戦後50年を来年に控え、政府はパンチボールでの慰霊を日米関係の歴史的な節目と位置付けている。

両陛下が到着すると、21発の礼砲が鳴り響き、白煙が立ち上った。ワイヘ工・ハワイ州知事、ラーソン米太平洋軍総司令官などのあいさつを受けた後、両陛下は赤じゅうたんの上を、白い石造りの献花台に向かって進まれた。 君が代と米国歌の吹奏に続いて、天皇陛下が献花台の前に進み、白菊をあしらった花輪さげられた。頭を下げて黙とうされると、3発の礼砲が鳴り、哀調を帯びた鎮魂歌がゆっくりと流れた。

献花の模様は地元テレビが生中継。早朝から両陛下を待ち受けた日系人市民ら約200人が、約15分間の厳粛なセレモニーを見守った。

パンチボールは旧日本軍の真珠湾攻撃などによる太平洋戦争の戦没者をはじめ、朝鮮戦争、ベトナム戦争の戦没者を合わせ計約3万8000人をまつっており、日系人部隊も含まれている。

外務省は当初、真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナの上に建つアリゾナ記念館を両陛下が訪れ、献花することを検討していた。しかし「天皇による謝罪となり、政治利用に当たる」など反対論が展開されたのをきっかけに方針を変更。パンチボールに訪問先を切り替えたいきさつがある。

ホノルル滞在中の天皇、皇后両陛下は24日午後(日本時間25日午前)、記者団からの質問に対し、訪米日程をほぼ終えた感想などを文書で回答された。

この中で天皇陛下は「多くの米国民が日本に対して持っている友好の気持ちを感じました。温かい心に触れた訪問でした」と今回の訪米を振り返られた。 訪米前、体調に不安があった皇后さまは「無事に旅の終わりを迎えることができ、うれしく思っています。初め、時差(の疲れ)がとれるまではとても眠く感じましたが、少しずつ慣れました」と答えられた。

天皇陛下は24日午前の国立太平洋記念墓地(パンチボール)訪問について「米国を築く上で国に命をささげた多くの人々を思いながら献花しました。戦争が人々の心に刻み付ける傷の深さを思い、命を失い、傷付き、苦しみを受けた人々に対して心の痛みを感じています」とされた。

また真珠湾訪問の是非が論議される中で一部に靖国神社参拝を要望する声が起きたが、陛下は「戦争で亡くなった人々の死を無にすることなく、日本が平和の道を築いていくことを切望していますが、靖国神社のことについては私から触れることは控えたい」と言及を避けられた。

陛下は印象に残ったこととして、ニューヨーク郊外の障害者福祉施設での交流やロッキーマウンテン国立公園の自然に触れたことを挙げられた。皇后さまはローサンゼルスのハンティントンライブラリーで見たリンカーン大統領の展示が心に残ったとし「英語は負担に感じましたが、通訳の人たちがよく助けてくれました」と感想を述べられた。《共同通信》



【連立与党、社会党】消費税で調整続く

社会党と連立与党は24日午前の政権協議で消費税率引上げ問題をめぐり対立、難航した。羽田首相は閣議後の閣僚懇談会で「身を捨ててやらないと新しいものは始まらない」と述べ、社会党の連立復帰に向けて総辞職に柔軟に対応する意向を重ねて示唆、午後の村山委員長とのトップ会決へ意欲を示した。

社党内には消費税問題や党側の政治手法に対する不満が強い。与党は午後の協議で譲歩案を示し、最終結論を出す方針。内閣不信任案の採決と絡み、与野党攻防は緊迫した局面に入った。

野坂社会党国対委員長は24日朝、森自民党幹事長と会談し、自社トップ会談について「直ちに応じる段階にはない」と回答、当面は連立与党との政権協議を進める姿勢を表明した。森氏は「新生党から政策協議の呼び掛けが来ている」ことを明かし、与党との協議打ち切りで社会党の決断を促した。

これに続く社会党の中央執行委員会では、消費税問題は譲歩しないとの方針を確認。村山氏は早期決着への意欲を示した。野坂氏は与党が社会党との協議と並行して他党との接近を強めていることについて「信義に反する行為だ」と反発、今後の政権協議の進め方をめぐって意見が対立した。

社会党と与党との政権協議では、与党側が消費税問題について先進国首脳会議(ナポリ・サミット)前の引き上げ率明示を重ねて求めたが、社会党は拒否した。社会党は政策面での全面譲歩に加え、与党側の「保・保連立」を目指す動きに反発し、小沢新生党代表幹事の影響力排除など政権運営の民主化を強く要求した。

一方、衆院議運委理事会は24日午前は開けず、内閣不信任案を採決する衆院本会議の日程設定を持ち越した。午後の理事会での折衝は、与党と社会党の政権協議をにらみ難航するとみられ、同日中の採決をめぐり緊迫している。《共同通信》

【自民党】「村山首相」構想も浮上

自民党は24日、内閣不信任案の採決に向け党内結束を図る一方で、新政権づくりのため社会党の村山富市委員長を首相候補に擁立する構想が党内の各政策集団の中で浮上してきた。

執行部は村山首相擁立について「目の前の壁を突破するためいろんな意見があっていい。しかし今は党の任意団体がやっていること」(首脳)と、党機関としての方針ではないとしつつ、党内からの問題提起に「一緒に手を携えて新しい政権をつくっていこう」(森幹事長)と理解を示した。

村山首相擁立構想は既に新党さきがけが表明しており、自民党内の動きはこれに呼応した形。社会党を連立与党との政権協議から離脱させ、新たに自民、社会、新党さきがけで新政権を構成しようという狙いだ。

河野総裁は党本部で、不信任案提出に拒否の姿勢を強めている津島雄二政調会長代理と会い、「党執行部の一員として公的な仕事を優先してほしい」と懸命の説得を繰り返した。津島氏は態度を明確にしなかった。政策集団「グループ・新世紀」(加藤紘一代表)は、議員会館で総会を開き、「自社連立」について「半年前にはだれも考えなかったが、自民党も変わり、社会党との連携に抵抗感もなくなっている」「『ストップ・ザ一・一ライン』という共通認識がある」との意見が多く、村山氏擁立も「重大な選択肢」との認識で一致した。《共同通信》

【羽田孜首相】解散辞さず

羽田首相と小沢新生党代表幹事ら与党代表者は24日夜から25日未明にかけ、自主的総辞職か解散かをにらんだぎりぎりの対応を協議、不信任案が可決する前に解散を断行するとの強気論も浮上している。

羽田・小沢会談と並行、松岡日本新党代表幹事らは社会党に対し、羽田氏再登板を前提に総辞職要求を受け入れるとの折衷案を示した。久保書記長は「誠意を持って対応する」と応じた。しかし首相は再登板の具体的な担保がないとの理由で総辞職を拒否、社会党との協議は事実上決裂した。《共同通信》

【政界談話室】

○…羽田首相は24日、首相官邸に激励に訪れた地元の堀内長野県農協中央会会長と会談。終わって出てきた堀内氏が「“首相は心鉄石のごとし”といっていた」と記者団に紹介した上で総辞職拒否の考えのようだと解説。驚いた記者団がその後、国会に向かおうとする首相に真意をただすと「いやあれは(執務室の)額を見て堀内さんに意味を聞かれたので説明したんだ。書だよ、書の話」とはぐらかし。しかしこの日の朝には「だれが総辞職するんだ、何も決まっていない」といらだちを見せていただけに心中は「鉄石」とは程遠いよう。

○…この日の連立与党と社会党の政権協議のカメラ撮りの際、フィルムの巻き戻しの音が緊張した中で響いた。すかさず民社党の中野書記長が「政権協議だって巻き戻しには騒音がいる」と冗談を飛ばしたのをきっかけにカメラ談義。公明党の市川書記長が「最初の巻き方に問題があった。フィルムを装てんする時が大事なんだ」と笑いを誘うなど和やかな雰囲気に。しかし市川氏が「どんなにピントが合ってもぶれては駄目だな」と社会党を当てこすり、同党の山下国対副委員長が「社会党のことですか」と切り返したため一転しらけムードに。《共同通信》

【明石海峡大橋】メーンケーブルの架設作業開始

世界最大のつり橋として平成10年度に完成予定の明石海峡大橋(神戸ー淡路島)で24日午前、橋げたをつるメーンケーブルの架設作業が始まった。極細のワイヤ127本からなる直径約6センチのストランドというケーブルを、海峡上の空中作業足場を使って次々に渡し、これを290本束ねて直径1.1メートルの巨大なメーンケーブルを作り上げる。

この日午前10時半すぎから、神戸市側の橋台に取り付けられた大型の“糸車”に巻かれたストランドが送り出しローラー機で足場上を淡路島に向け延ばされた。11月上旬にはメーンケーブルが完成する予定。《共同通信》



6月24日のできごと