平成1995日目

平成6年6月25日(土)

1994/06/25

【羽田内閣】総辞職


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羽田内閣は25日、総辞職した。連立与党と社会党の政権協議決裂で内閣不信任案が可決され衆院解散・総選挙か総辞職かが必至の見通しとなったため、首相が衆院本会議での採決直前に決断した。中選挙区制での選挙回避と社会党の自主的総辞職要求にこたえることで同党の連立復帰につなげる狙いとみられる。政局は社会党の連立復帰か、自民・社会両党中心の自社政権か、社会・さきがけ主体の社民リベラル政権か、行方は不正明で、連立組み替えの可能性をはらみ後継首相指名選挙をめぐり一気に緊迫した。

首相は同日午前11時すぎからの緊急会見で「自主的に総辞職する。解散すると政治空白が生まれる」と述べ、先進国首脳会議(ナポリ・サミット)や円高対応の課題解決のための退陣決断の理由を明らかにした。後継に対して首相は「国会に従う」と述べ、自らの再登板にも含みを示した。

河野自民党総裁は各党に党首会談を呼び掛け、自民主体の連立政権樹立を表明、当面第一党の自民党と第二党の社会党との間で政権協議に入る方針だ。今のところ流動的だが、新党さきがけや自民党の一部に村山社会党委員長を首相候補に擁立することで、連立の枠組み変更を目指す動きがある。自民党の海部元首相、後藤田元副総理らのほか、武村さきがけ代表なども次期首相候補として取りざたされている。

与党内には、社会党が政権復帰の前提条件として求めてきた自主的総辞職を断行したとして、社会党との再連立をあらためて目指すべきだとの声もある。与党首脳は「総辞職は下野だ。自社が政権に責任を持つべきだ」と強調するが、新生党幹部は「羽田首相が次期首相候補そのものだと述べ、再登板を推進している。

社会党は村山委員長が、「羽田総辞職を評価する。自社連立は今のところ考えていないと述べた。久保社会党書記長は同日午前の代議士懇談会で「結果的には社会党が要求している自発的総辞職となった。第三次連立政権に向け、全力を挙げたいと述べ、社会党の政権復帰に強い意欲を示した。

ただ各党とも党内は一枚岩ではなく思惑の違いがある。連立の組み替えが継続かをめぐり、混迷状況にある。29日の会期末までの後継選出へ各党の駆け引きが活発化しそうだ。《共同通信》

羽田首相、第3期連立を強調

羽田首相は25日午前、首相官邸で緊急の記者会見を行い、内閣総辞職を表明した。

首相は、その理由として①内閣不信任案を否決できる確信がない②政治空白をつくってはならない③昨年、衆院解散後に先進国首脳会議(東京サミット)に臨んだことを繰り返せば国際的信用が地に落ちるーことを挙げた。

首相は「政策で合意できるみなが集まって新しい安定政権をつくるのが現下の急務だ」とした上で「自らの身を投じることで打開したい」と述べながら、再登板にも意欲をにじませた。

今後の首相指名選挙などについて首相は「社会党が単なる野党ではなく責任の一端を担ってほしい」と述べ、社会党の連立与党復帰による第3期連立政権樹立を目指す考えを強調、「野党第一党に渡すならまた少数与党になる」と自民党をけん制した。

自らの再指名の可能性に関しては「投げ出すことで道が開ける。一切考えていない」と述べながらも「国会の判断に従う」と繰り返し強調、場合によっては再び政権を担いたい意欲を示した。また「政争は避けねばならない。こんなことを続けたら政治がさらに国民から遠ざかる」と主張した。

解散・総選挙の選択肢を選ばなかったことについて首相は「国会と内閣が正面から対決する時は解散権は放棄しない。各党代表者と話して決断した」と述べ、一時は解散を検討したことを示唆した。首相は自民党の内閣不信任案提出に対し、「難題に政治が全力を挙げるべき時に、政策論議を十分せず不信任案を出したのは残念だ」と批判した。《共同通信》



【連立与党】緊張一転

「だれとでも会う」と表明した社党の村山委員長は25日午後、新党さきがけの武村代談と会談。武村代表は「両党の真剣な意見交換」と連携を強調した。自民党の河野総裁も早速、村山委員長、武村代表に会談を申し入れ、政権取りの綱引きが始まった。

午後4時すぎから国会内で開かれた連立与党などの代表者会議。「今はヤ党とヨ党の中間のユ党だよ」と冗談が飛ぶほど和やかな雰囲気。時折大きな笑い声が響き、前日までの緊張した感じから様変わり。会議は約1時間ほどで終わり、公明党の市川書記長は「帰りますよ。まっすぐに」と言い残して、議員の待つ公明党控室に。新生党の小沢代表幹事は「何もない、何もない」と、控室にも寄らず、足早に車に乗り込んで国会の外へ消えた。しかし会談では「第一党の自民党の政権づくりを見守る」と、“自民つぶし”の構えをしっかりと決めた。

一方、総辞職会見した羽田首相は、久しぶりに公邸でゆっくりと昼寝。首相官邸の職員も早々と帰り、閑散としていた。

総辞職で、解散風が一応遠のいたものの、議員らの心配は次の総選挙。小選挙区になって選挙地盤の変動も予想される事態だけに、当選回数の少ない若手を中心に午後は地元に帰った議員が多く、政界激変があったのがうそのように議員宿舎は静まり返った。《共同通信》

【社会党、新党さきがけ】共同構想で一致

羽田内閣が25日、総辞職したのを受け、次期政権の基軸はさきがけが媒介となり、自社両党が組む自社連立政権で動き出した。社会・さきがけは両党主導で自民党を加えた安定世間づくりを目指している。

連立与党は緊急代表者会議で、社会党との政権協議打ち切りを確認、自社両党の一部を巻き込んだ新連立構築を推進している。

自民党は社会、さきがけ両党との連立による政権奪還に意欲を見せ、両党い党首会談開催を申し入れた。「安定政権」樹立を目指した新政権の枠組みをめぐる攻防は会期末の29日を控え、一気に緊迫感が高まった。後継調整が難航すれば短期の会期延長が浮上しそうだ。

村山社会党委員長と武村さきがけ代表は25日午後会談、新政権樹立を目的に、共同で政権構想策定を目指し、週明けに各党に示すことになった。構想の柱は非軍事分野での国際貢献を中心としたハト派政権と位置付けている。

武村氏は村山氏を首相候補に推薦、村山氏は「ほかに候補はいる」と即答を避けた。社会党内には武村氏擁立の声がある。しかし、党内には事実上の「自社連立」に警戒心が根強く、右派幹部は「自民本体とやろうとしてもできない。武村氏を信用していない、社会党は連立復帰になるだろう」と反発、連立復帰への期待感を示した。

自民党は新政権づくりの主導権確保のため、河野総裁と森幹事長が社会、新生、公明各党を訪ね、政権構想を提示するとともに党首会談開催を提案した。特に河野、村山両氏は混乱政局の早期収拾で認識が一致した。

自民党は「政権決定の閉鎖性排除」を政権構想の主に据え、小沢新生党代表幹事の政治手法を批判、社会党との連携を重視する姿勢を示した。自民党内には村山、武村両氏を後継候補とすることに強い異論は出ていない。《共同通信》

【朝日新聞大阪本社】右翼の街宣車が突入

25日午後5時15分ごろ、大阪市北区中之島、朝日新聞大阪本社1階の北通用口に右翼団体の街宣用ワゴン車が突っ込み、ガラス戸(高さ4メートル、幅1.8メートル)2枚を割って止まった。運転していた男1人が後部ドアから出ようとしたところを、警戒中の大阪府警天満署員が器物破損の現行犯で逮捕した。けが人はなかった。《共同通信》



6月25日のできごと