平成1854日目

1994/02/04

この日のできごと(何の日)

【 H2】初の純国産ロケット打ち上げ成功

100パーセント国産技術で造った初の大型ロケットH2の1号機が4日午前7時12分、宇宙開発事業団の種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。H2は順調に飛行し、搭載した性能確認用衛星(VEP)を地球周回軌道に投入。もう一つの積み荷の軌道再突入実験機(OREX)も計画通り大気圏再突入を果たし、打ち上げは完全に成功した。

同事業団はOREXを「りゅうせい」、VEPを「みょうじょう」と命名した。

世界でも最高水準のH2の性能が確かめられたことで、日本はロケット技術で宇宙先進国に肩を並べた。日本初の大気圏突入にも成功したことで、日本版スペースシャトルの実現に展望を開いた。

H2は今後、日本の主力ロケットとして国の観測、技術開発衛星打ち上げなど宇宙開発の基盤となるほか、海外を含めた民間衛星打ち上げも目指す。 H2は全長50メートル、重量260トンの二段式。静止軌道に2トンの大型衛星を打ち上げる能力を持つ。

一段目の主エンジンとニ段目エンジンの燃料には液体水素と液体酸素を使用。新開発の主エンジンLE7には二段燃焼方式と呼ばれる、燃料を無駄なく燃焼し高い出力を出せる方法を採用した。機体も徹底して軽「量化し、欧州の主力ロケット、アリアン4と同じ能力ながら重量は半分という高性能を達成した。

同センターの吉信射点から打ち上げられた一号機は約6分後にLE7の燃焼を無事終え、一段を切り離した。その後、高度454キロの太平洋上で「りゅうせい」(重量865キロ)を分離。さらに14分後、ハワイ南東沖上空でH2の打ち上げ性能を確認する「みょうじょう」(同2.4トン)を地球を周回する長円軌道に投入した。

「みょうじょう」は4日間運用され、H2の軌道投入精度などを確かめる。「りゅうせい」は地球を一周した後の同日午前9時20分ごろ、中部太平洋のクリスマス諸島上空で大気圏に再突入、同30分すぎ着水した。データは1999年にH2で打ち上げを計画中の日本版スペースシャトル技術試験機の開発に生かされる。H2の総開発費は2700億円。《共同通信》

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【連立与党代表者会議】福祉税、減税ともに「白紙」

細川首相が提示した国民福祉税の見直し問題を協議する連立与党代表者会議が4日午前11時すぎから開かれた。しかし、首相構想にはあくまで反対の社会党と、他の連立各党の間で調整はつかず、新税の扱いに加え約6兆円の減税についても白紙撤回し、今後時間をかけて議論することで一致した。

首相は会議の報告をした園田さきがけ日本新党代表幹事に対し、改めて各党間の協議を要請するとともに、武村官房長官らと政府としての対応協議に入った。

新税では与野党間でなお溝が深く、仕切り直しでも短期間で結論を得るのは困難だ。一方、減税は政府の総合景気対策の柱であり、首相は10日の訪米出発までに減税だけ切り離して処理するかどうかの結論を迫られることになろう。同時に、首相裁断が与党の同意を得られなかったことで、今後の政局運営に大きな不安要因を抱えた。《共同通信》

【自民党】首相の政治責任も追及

自民党は4日、連立与党が減税と国民福祉税創設を白紙撤回したことについて「政治責任のない無政府状態を露呈した」(森幹事長)として、細川首相らの責任を追及するとともに、政府の総合経済対策に対しては、所得税減税、財源としての増税を切り離すよう求めていく方針だ。

政治責任の追及については、小里国対委員長が藤井蔵相への不信任案提出を検討する考えを示唆し、橋本政調会長は「国会審議を通じて問い掛ける」と、代表質問や予算委で取り上げる構えを示した。ただ衆院解散につながる恐れのある内閣不信任案については「解散は景気対策上、好ましくない」(幹部)と消極的で、追及の決め手がないとの印象は否めないようだ。

自民党が今回の事態で特に重視しているのは①記者会見で発表した首相発言の重み②連立与党内部の政策決定の不透明さーの2点。

河野総裁は、記者団との懇談で「わずか数人の意思によって方針が決められたことは、政権の性格をはっきり示している」と、小沢新生党代表幹事らの主導権で政策決定が行われる細川政権の在り方に懸念を表明した。《共同通信》

【羽田孜外相】米・カンター通商代表と会談

羽田外相とカンター米通商代表は4日朝、東京・飯倉公館で会談し、難航している日米包括経済協議の次官級分野別交渉を来週早々、ワシントンで開くことを決めた。会談後、外相は「カンター代表は日本の内需拡大努力を高く評価した。一つの方向が見えてきた」と述べ、包括協議打開の兆しが見えてきたことを示唆した。外相とカンター代表による会談は2日に続き2回目。

会談で外相は、政府が同日策定した政府調達の行動計画(アクションプログラム)や内需拡大を目指す景気刺激策の概要を説明。さらに、規制緩和策や輸入促進のための展示場建設など日本が貿易不均衡是正に努力していることを強調した。市場開放の度合いを測る数値目標に関しカンター代表は、日本での外国製品輸入比率を他の先進国並みとするよう改めて求めた。これに対し外相は、対外公約になるような数値目標は受け入れられないと反論、議論は平行線をたどったもようだ。《共同通信》

【政界談話室】

○…大内民社党委員長(厚相)は4日午前、臨時中央執行委員会であいさつし、国民福祉税問題について「細川首相の決断を尊重すると言ったが、決断の内容は寝耳に水の奇異なものだった」と首相らを批判した。さらに矛先は「党からは何の連絡もなかった。なぜ相談しないのか。民社党の存在意義がないじゃないか」と党務を預かる米沢書記長、神田院内総務の方へ飛び火。この発言は小沢新生党代表幹事と市川公明党書記長の「一・一ライン」に近い米沢書記長へのけん制とも受け取れ、新税構想は政権基盤を揺るがしただけでなく、大内氏の党に対する不満も誘発させた?

○…自民党の小里国対委員長もこの日の記者会見で、国民福祉税構想をやり玉に挙げ「新税なるものを一夜で決断し国民に約束したが、また、数時間たたずして約束を白紙に返した」と朝令暮改ぶりを批判。さらに・「国民に重大な迷惑と不安を与えている」「政権の一部の諸君が瞬時に決定し、大失策をした」と“指弾”した。小里氏は会見の15分間、記者団にかんで含めるように持論を展開、一時浮上していた「大連立」などどこ吹く風といったふう。《共同通信》

【参議院】与党2会派が合併

参院の連立与党第二会派の「日本・新生・改革連合」(=連新=松尾官平代表、27人)と同第四会派の「民社・スポーツ・国民連合」(吉田之久会長、11人)が4日午後合併し、新たな統一会派「新緑風会」を結成、参院事務局に届けた。代表には新生党の松尾氏が就任、メンバーは鈴木栄治(森田健作=国民連合)氏を除く両会派の計37人。参院に自民、社会両党に次ぐ勢力を擁する第三会派が誕生した。

新緑風会は、戦後の参院発足当初、無所属議員が結成、活躍した「緑風会」に範を置き「原則として党議拘束はしない」(松尾氏)ことをうたっている。

細川連立政権を支えるため社会、公明も参加する参院連立与党の大合同も目指しており、政界再編の流れを加速するとみられる。新緑風会は2会派の合併であると同時に、両会派を構成する民主改革連合、参院新生党、民社党・国民連合、日本新党、スポーツ平和党の5党派(他に無所属1人)の参院統一会派でもある。このため今後週に一度全議員総会を開き意見交換する予定。民主改革連合の粟森喬国会調整委員長は参院与党各会派連絡会議に新会派を代表して出席する。鈴木栄治氏は民社・国民連合を離れて無所属になった。《共同通信》



2月4日 その日のできごと(何の日)