平成1550日目

平成5年4月6日(火)

1993/04/06

【渡辺美智雄外相】辞任

渡辺副総理兼外相は6日、病状が回復しないため辞任する意向を宮澤首相に伝えた。首相は同日の閣議で、後任が確定するまで外相臨時代理に河野官房長官を指名、直ちに梶山自民党幹事長らと人選について協議に入った。首相は外相の後任に同党羽田派代表の羽田前蔵相に就任要請、同日正午すぎ首相官邸で会談した。羽田氏は「総理の気持ちはよく分かった。同志と相談したい」と留保、改めて会談することにした。

宮澤首相は6日午後、病状回復が思わしくない渡辺副総理兼外相から正式に辞表を受理、後任の外相に武藤嘉文自民党税制調査会長(66)を任命した。認証式は7日午前11時半をめどに皇居で行われる。副総理は当分、空席とする。武藤氏は農相、通産相を歴任、官邸で首相の要請に受諾を伝えた後の記者会見で「渡辺外交を継承し、新しい世界秩序をつくり上げていきたい」と抱負を語った。

首相は武藤氏への要請に先立ち、自民党羽田派代表の羽田前蔵相を二度にわたり官邸に招いて外相就任を強く要請した。羽田氏は「野にあって自由な行動をとりたい」として拒否した。ポスト宮沢の一番手につけていた渡辺外相の病気辞任と、政治改革の行方次第で脱党・新党結成の動きを見せている羽田氏の入閣拒否は、秋の自民党総裁選や政界再編など今後の政局に重大な影響を与えよう。

河野官房長官は武藤新外相の任命を発表した6日夕の記者会見で「武藤氏は通産相など豊富な経験を持つ。(対口支援の)先進7カ国外相・蔵相会議など外交日程が詰まっている」と述べ、外交交渉の経験などから首相が適任と判断したとの考えを示した。さらに渡辺氏が武藤氏を推薦したため同じ渡辺派から起用することで派閥のバランスをとったとみられる。武藤氏は認証式を経て正式に外相に就するが、14、15両日に東京で開く対口支援閣僚会議の議長が当面、最大の課題となる。

河野長官は首相が羽田氏起用に固執したのは、閣内に取り込むことで脱党を防ぐ狙いがあったのではないかとの見方について「全くそういうことではないようだ。国際情勢や政治改革など現在の厳しい状況について二人(首相と羽田氏)の認識は共通している」と述べた。

一昨年11月に宮沢政権が発足して以来、改造以外の閣僚辞任は初めて。首相は5日に渡辺氏から電話で「体調の完全回復に努めたい」と伝えられ、6日の閣議で取りあえず河野長官を外相臨時代理に指名した。渡辺氏は昨年5月末、胆のう胆管結石で都内の病院で手術を受け、公務復帰まで1カ月半入院、ことし2月の訪米から帰国後、再入院した。《共同通信》

羽田前蔵相は6日午後、外相就任要請を辞退する意向を宮澤首相に伝えた後、官邸で記者団の質問に答え「今、一番緊急なことは政治改革だ。私はむしろ野にあって、自由な行動をとれる方が重要と考えた」と辞退の理由を述べた。 羽田氏は蔵相として先進国首脳会議(サミット)に同行経験があり、ロシア支複問題にも携わっていたことが、就任要請の最大の理由だったことを明らかにした。その上で「私たちは今、本当にこの国を変えようとしている。それが使命だ」と述べ、政治改革に優先的に取り組む考えを改めて表明した。

新外相に決まった自民党渡辺派の武藤嘉文氏は6日夜、首相官邸で記者会見し「新しい世界秩序をつくるための日本の国際貢献を渡辺さんと話をしながら進めたい」と述べ、渡辺外交の継承を強調した。 渡辺氏が外相を辞任したことについては「誠に断腸の思い、残念でいっぱいの気持ちだ。一日も早い全快を祈っている」と語った。



【カンボジアPKO】第一陣が帰国の途

昨年安芸から約半年の間、自衛隊初の国連平和維持活動(PKO)に参加、カンボジアで道路の補修作業などに当たってきた第一次の施設部隊(渡辺隆隊長ら600人)が任務を終え、6日朝から順次プノンペンをたち帰国の途についた。

同じ第一次の停戦監視要員8人は3月下旬、一足先に第二次要員と交代、帰国しており、自衛隊のカンボジアPKOは予定の派遣期間1年の後半に入る。《共同通信》

【政策集団シリウス】政策提案

社会党など超党派の政策集団「シリウス」(代表・江田社民連代表)は6日、幹事会を開き、安全保障、エネルギー、女性問題などの政策についての基本方針を確認した。

このうち、外交・安保政策では、軍縮を前提とした安全保障基本法(仮称)を制定した上で、自衛のための自衛隊は合憲とすると位置付けている。またエネルギー問題については、稼働中の原発は容認した上で、脱原発のクリーンエネルギ―政策を推進するとしている。《共同通信》

【河野洋平外相臨時代理】英・ハード外相と会談

河野外相臨時代理(官房長官)とハード英外相は6日、外務省飯倉公館で会談し、対ロシア支援について「エリツィン大統領に代表される改革努力を実際に役立つ支援で支持していくことが重要」との認識で一致した。ハード外相はまた「英国は北方領土問題に対する日本の立場に同感だ」と述べた。

14、15両日の対ロ支援先進7カ国(G7)外相・蔵相東京会議では、国際通貨基金(IMF)の対口融資条件緩和を協議すべきとの考えを示した。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮澤首相は6日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年センターで開かれた国家公務員合同初任研修の開講式に出席。エリートの卵約1200人を前に「諸君は2、3年たつと大変な権限を持つことになる。諸君の持っている権力、権限を間違わないで使ってほしい」とのっけからクギを刺す、辛口の訓示をした。さらに「消費者や生活者の観点から国民に奉仕する良きガイドであってほしい」と注文。自分も大蔵官僚出身なのに、モザンビークの国連平和維持活動(PKO)参加問題をめぐって「官僚主導」に振り回されただけに“政治家・宮沢”をアピールしたかった?

○…この日、自民党の梶山幹事長は、横浜市内で開かれた党神奈川県連大会に出席、あいさつした。旧中曽根派の重鎮で親友でもあった故小此木彦三郎元通産相に触れた梶山氏は「苦しい時の神頼みだったが、私の盟友の小此木さんの墓をこの足で参った。何とかいい知恵はないものか、死んだ者に聞いても返事は返ってこないと思うが…」と切々と心境を吐露。小此木氏といえば、2年前に政治改革関連法案を衆院政治改革特別委員長として梶山氏と謀って廃案を決断、海部内閣退陣の引き金を引いた張本人。梶山氏の“仏頼み”をさて、どう聞いたか。《共同通信》



4月6日のできごと