平成797日目
1991/03/15
この日のできごと(何の日)
【ソ連・ゴルバチョフ大統領】米・ベーカー国務長官と会談
訪ソ中のベーカー米国務長官15日午後(日本時間同夜)、クレムリンでゴルバチョフ大統領と会談した。これを挟んでベーカー長官は、ベススメルトヌイフ・ソ連外相と第二、三回会談した。湾岸戦争終結後、大統領が米指導部と会談したのは初めて。
ゴルバチョフ大統領は、会談の冒頭、記者団に対し「イラクのことはイラク人に任せるべきだ」と発言。これは反政府運動が続くイラクの国内情勢を見て、ソ連としてはフセイン大統領を擁護せず、米国の立場に寄ったものとみられる。
タス通信によると、第二回外相会談後、ベススメルトヌイフ外相はソ連人記者団に対し「最も難しかったのは欧州通常戦力交渉(CFE)問題だった」と述べ、CFEをめぐって依然大きな対立が残ったことを示唆した。
一方、外相は、アフガニスタン、中東、湾岸地域の安全保障問題については「最大限に見解が一致した」と述べた。
前日の第一回外相会談で、イスラエルの占領地撤退とアラブ側のイスラエル国家承認を抱き合わせた国連安保理決議242を基礎とした解決で原則的に一致したことから、さらに踏み込んで今後の中東和平への展望でも歩み寄りがあったことをうかがわせた。
ゴルバチョフ大統領は会談の冒頭、米ソ首脳会談の「早期開催を期待している」と述べ、早期開催への意欲を示した。またベーカー長官がソ連各共和国代表と会うことについては「何も言うことはない」と、介入しない態度を表明した。
ゴルバチョフ・ベーカー会談は、ソ連側が大統領と外相、米側が長官とロス国務省政策企画局長の4人だけで行われた。ベススメルトヌイフ外相によると、この会談では「米ソ関係の将来を中心にした広範な基本問題」が話し合われる見込みである。
会議ではCFE問題が、さらに突っ込んで話し合われるほか、延期された米ソ首脳会談の日程も協議されるとみられるが、CFEの対立が解けなければ、日程確定の難航は確実。
長官は、大統領との会談後の同日夜、米大使公邸でソ連各共和国のモスクワ常駐代表と会うほか、エリツイン・ロシア共和国最高会議議長とも会談する。《共同通信》
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中東諸国歴訪後訪ソしたベーカー米国務長官は二日目の15日、ゴルバチョフ大統領、べススメルトヌイフ外相らソ連指導部と会談し、公式の協議日程を終えた。懸案だった欧州通常戦力(CFE)条約問題や米ソ戦略兵器削減条約(START)問題では対立が解けず、延期されたままになっている米ソ首脳会談の日程の確定には至らなかった。
中東問題と湾岸紛争の戦後処理では既に初日の外相会談で「広範な一致点があった」(長官)が、タス通信によると、大統領は会談で長官に対し、湾岸戦争後処理に関して書面で書え方を示し、この中で紛争解決の第一次的当事国は地域諸国であることを強調し、戦争終結により多国籍軍の撤退の必要性に言及するなど戦勝を背景にした米国の中東への一方的な介入にクギを刺した。
しかし米ソ関係では、大統領がバルト問題の政治的解決と経済改革、民主化の続行を言明したことに対し、長官は会談後の外相との共同記者会見で「最近試練の時を迎えていた両国関係は生き残った」と高く評価し、大統領の保守化などで危ぶまれた米ソ体制の維持とゴルバチョフ政権支持の立場を示した。
ソ連軍部が戦車部隊をひそかに地上軍から海軍に移し、調印済みのCFE条約に違反しているとの問題では、タス通信によると大統領が新提案を示し打開を図ったが、長官は拒否した。新提案の内容は不明だが、軍縮問題の両国作業グループは16日も協議を続ける予定。
当初モスクワで2月に予定され、その後、ことし前半中までにと延期された米ソ首脳会談について、記者会見でべススメルトヌイフ外相は「ことし前半中に開かれるよう期待している」と述べ、ソ連が予定通りの開催を望んでいることを示した。外相は中東問題では、パレスチナ解放機構(PLO)を排除すべきではないと述べると同時にイスラエルとのソ連の国交正常化についても「中東問題の解決の一部」としながらも「遠い将来のことでない」ことを期待していると述べた。《共同通信》
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【北乃きいさん】誕生日
【大相撲春場所】6日目
大相撲春場所6日目(15日・大阪府立体育会館)平幕の貴花田が全勝を守り、優勝争いの依然単独トップ。貴花田は右四つから大翔山を上手投げで下した。幕内初の米国人同士の対戦は、新小結曙が先輩の大関小錦を一方的に押し出し、ともに3勝3敗となった。
他の横綱、大関陣は安泰。横綱北勝海は平幕の貴闘力を無難に押し出し、大乃国は元気な関脇琴錦を落ち着いた取り口から左小手投げでねじ伏せ、ともに5勝目。旭富士も久島海に快勝、旭道山をつり出した大関霧島と同じく4勝目を挙げた。
全勝の貴花田を追う1敗は北勝海、大乃国と平幕の琴富士、逆鉾の4人。十両は小兵の新十両、舞の海1人が6戦全勝。《共同通信》
【自民党・小沢一郎幹事長】トーンダウン
自民党の小沢幹事長は15日朝の民放テレビ番組で、東京都知事選で同党推薦候補の元NHK特別主幹磯村尚徳氏が鈴木知事に負けた場合の小沢氏自身の責任問題について「基本的には幹事長あるいは総裁も含めて地方選で責任(を取る)という問題ではない。地方選で負けたからといって辞めていたら(総裁、幹事長が)何人いたってきりがない」と述べ、選挙結果が直ちに小沢氏や海部首相の責任問題に結び付くものではないとの認識を示した。
その一方で「僕個人としては結果としてこういうこと(保守分裂選挙)になったことについては非常に責任を感じているから(選挙後)その時々の状況できちんと判断する」とも語り、敗戦の場合の幹事長としての進退は具体的な得票差や党内状況を見極めた上で決めたいとの意向を示した。
小沢氏は2月8日の総務会で「生じた結果の一切は私が責めを負う」と都知事選問題での責任を明確にしていた。それに比べて、この日の発言は「地方選」という一般論の形をとりながらも、明らかにトーンダウンした。
このところ、金丸元副総理が小沢氏擁護論を唱えるなど、竹下派を中心に幹事長の責任論を封じ込めようとする動きがあることを踏まえての発言とみられる。同時に小沢氏が幹事長だけでなく総裁の責任の有無にも言及したことは「敗北の場合、総裁、幹事長は一連托生」という印象を強める狙いがあると受け取られている。《共同通信》
【中山太郎外相】首相の早期訪米を促す
中山外相は15日午前の閣議後の記者会見で、海部首相の訪米時期について「3、4月中にもなるべく早く行ってほしい。私の(20日からの)訪米で日程調整したい。首相はたとえ短い期間でも行ってきたいとの意思だ」と述べ、国会日程との調整についても「四日間あれば往復できる」として、早期訪米の可能性を示唆した。
外相は、首相の外交日程について①(5月の連休など)まとまった期間については東南アジア訪問を最優先する②そのためにもそれまでに訪米しておく必要がある、との考えを示した。《共同通信》
【海部俊樹首相】掃海隊派遣「慎重に対処」
海部首相は15日午後の衆院外務委員会で、ペルシャ湾への掃海隊派遣について「あの地域の実情や機雷がどうなっているのか、除去の必要性など分からないことが多いので、情報を集めている。慎重に対処していきたい」と述べ、政府、自民党内に積極論が目立つ中で慎重な態度に終始した。《共同通信》
【海部俊樹首相】ソ連共産党国際部長らと会談
ソ連のファーリン共産党国際部長(中央委書記)とラビョーロフ副首相(国家科学技術委員会議長)は15日午前、首相官邸で海部首相と会い、来月に予定されているゴルバチョフ大統領の来日について「大統領は日ソ関係の突破口を開くことについて心構えがある」と強調し、日ソ関係の抜本的な打開、改善に意欲を持っているとの大統領の姿勢を伝えた。
さらにファーリン氏は「この可能性を100パーセント活用するようにしていきたい」と述べ、日ソ首脳会談への期待感を表明した上で、「大統領来日は天気と桜の話だけではなく、両国、世界が関心を示している極めてまじめな意見交換をしたい」と述べた。
この発言は、ソ連側が大統領の初来日を単なる友好関係強化だけでなく、より実質的、実務的な両国関係改善の協議の場にしたいとの期待を伝えたものだ。
海部首相は「日ソ両国が隣国として懸案である領土問題を解決し、平和条約を締結し、信頼に基づく両国関係を発展させたい。科学技術、経済、文化などの幅広い分野でダイナミックな交流発展を期待している」と、北方領土問題解決を含む関係改善を改めて強調した。
また、ラビョーロフ副首相は「ソ連の基礎科学と日本の応用面がかみ合えば、さらに発展していくと感じた」とし、日ソ間の技術交流拡大を訴えた。《共同通信》
【政界メモ】「悪役」指摘に開き直り
○…自民党の小沢幹事長は15日、民放テレビ番組に出演。都知事選の候補者選びなどを通じ「悪役」のイメージが浸透しているという司会者の指摘に、「何かをやろうとすれば、賛成の人も反対の人もいる。いい子ぶるなら“ご無理ごもっとも”と何もしなければいいが、それでは時代に対応できなくなっいている」と反論。
「多少、悪いとか生意気、剛腕と批判されても、国の大事なことはやらなきゃいけない」と開き直った小沢氏、最後には「悠長に考えているだけの時間を与えてくれない」と口にし、自らを鼓舞していた。
○…この日午後開かれた与野党国対委員長会談は、自民党の梶山国対委員長にとってデビュー戦。社会党の大出国対委員長から「しばらくですね」と声を掛けられると、「いや初めてですから」とかわしながら梶山氏が国対委員時代、与野党委員長会談で発言したら、当時の社会党国対委員長だった山口書記長からつるし上げられ、恥をかいたとエピソードを披露。
「そういうことを前例にするのはやめましょう」と自由な議論の場とするよう提案したものの、「そういえば先月の与野党党首会談の際、山口さんは委員長でもないのにべらべらしゃべっていた。ああ、(記憶とは)そんなものかな」と痛烈な一撃を加えるあたり、武闘派の面目躍如。《共同通信》
【金沢市】「脱スパイクタイヤ」呼び掛け
本格的な春の訪れを前に、金沢市内で15日、スパイクタイヤから普通タイヤへの交換を呼び掛けるキャンペーンが実施され、ミス百万石のお嬢さんらがドライバーに粉じん公害防止への協力を訴えた。
キャンペーンは県、警察、タイヤ販売店協会などが合同で実施した。今冬の寒波襲来の影響で、昨年より12日遅いキャンペーンとなった。-
金沢市元町二丁目の金沢東警察署そばで行ったキャンペーンでは、ミス百万石の能崎晶子さん、木村裕子さんと関係機関の職員ら27が「道にも人にもおもいやり」と書いたタスキを掛け、通行の運転手にタイヤの早期交換を促すチラシとティシュペーパー約300組を配った。
13日に県庁と金沢市役所の両駐車場で実施したタイヤの装着調査によると、スパイクタイヤが9.9%、スタッドレスタイヤが33.3%の装着率となっている。キャンペーンは18日は七尾市、19日には小松市でも実施する。《北國新聞》
【ユーゴスラビア】連邦解体の危機
首都ベオグラードで戦後最大規模のデモ騒ぎが続いていたユーゴスラビアのヨビッチ連邦幹部会議長(国家元首、セルビア共和国選出)は15日午後、国営テレビを通じ、辞任を発表した。ベオグラードからの報道によると、セルビアおよび国軍が提案していた緊急治安措置が、ほかの共和国の反対でつぶれたための辞任で、これにより各共和国間の対立はさらに激化、連邦解体の危機は一段と強まっている。議長代行にはメシッチ副議長(クロアチア選出)が決まった。
この日開かれた緊急連邦幹部会では、9日から14日まで続いたベオグラードでの数万人規模のデモ騒ぎを受けて、デモ規制など強硬な治安維持措置が提案されたが、スロベニア、クロアチアなど反セルビア派共和国が強く反対し退けた。
これに対しヨビッチ議長は、多数派共和国は軍の手を縛り、国家解体を望んでいると厳しく非難するとともに「幹部会議長として、国家を破壊し破局に導くような決定の共犯者とはならない」と辞任理由を述べた。
一方、共産主義色が強く、連邦解体の危機に反発している国軍幹部は、独自に善後策を協議しているといわれ、その動向が注目されている。《共同通信》