平成432日目

1990/03/15

この日のできごと(何の日)

【ミハイル・ゴルバチョフ氏】ソ連初代大統領に就任

ソ連の臨時人民代議員大会は15日、先の憲法改正で新設が決まったばかりの初代大統領にゴルバチョフ最高会議議長兼党書記長を選出した。直ちに、就任演説を行ったゴルバチョフ新大統領は「改革促進のため権限を行使する」と述べ、強力な権限を背景に難局の打開に取り組むことへの抱負を明らかにした。

しかし信任投票の得票率は代議員定数の59.2%と予想外に低く、大統領制と複数政党制を導入した新しい国家体制の下で党と国家の再生を目指すゴルバチョフ新政権の前途の多難さをうかがわせた。

予定を一日延長したソ連臨時人民代議員大会四日目の審議は、午前10時10分(日本時間午後4時10分)、クレムリンの大会宮殿で続開、ルイシコフ首相が開会を宣言、代議員の資格認定を確認した後、オシピヤン大統領選挙開票表委員会議長が前夜の秘密信任投票の結果を発表した。

結果は、投票総数1878票のうちゴルバチョフ議長への信任1329票、不信任495票、無効54票だった。選出に必要な定員2245人の半数1123票を206票上回ったものの、圧倒的信任には程遠く、また配られた投票用紙二千枚から計算すると、120票余りの棄権があったとみられ、将来への不安定材料を残した。

オシピヤン議長から当選を告げられたゴルバチョフ議長はにっこり笑って演壇に立ち、赤い表紙の新憲法原文の上に右手を置いて「崇高な義務を誠実に遂行することを厳粛に誓う」と宣誓、正式に初代大統領に就任した。これによりゴルバチョフ大統領は今後五年間、米、フランス両国大統領に匹敵する強大な権限を持つ最高指導者として、六年目に入ったペレストロイカ(改革)の成功に向けて全力を集中することになった。《共同通信》

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【海部俊樹首相】日ソ関係進展に期待

海部首相は15日夕、ソ連のゴルバチョフ最高会議議長が初代大統領に選出されたことについて報道各社のインタビューに答え「東西関係の本当の緩和、アジア太平洋地域の安定に指導力を発揮されることを期待する」と歓迎した。

特に今後の日ソ関係に対して首相は「北方領土問題や平和条約の問題があるが、幅広く拡大均衡の方向で一層の信頼・友好関係を深めていきたい」と進展に期待を示すとともに、1991年に予定されるゴルバチョフ大統領訪日は「歴史的意味を持つ訪日にしたい」と強調した。《共同通信》

【モンゴル】一党独裁に幕

大胆な民主化に向け12日から討議を続けていたモンゴル人民革命党(共産党)の第八回中央委総会は15日午前1時前(日本時間同2時前)、66年に及ぶ一党独裁体制放棄、バトムンフ書記長を含む政治局員5人全員の辞任を受けた大幅若返り人事などを決めるとともに新書記長に改革派のゴンボジャビン・オチルバト氏(61)を選出して閉幕した。

ソ連・東欧の改革の影響を受け、昨年末から民主化要求の声が国民の間で高まっていたモンゴルは、体制内外の改革派が全面勝利、人心を一新し、本格的改革に向け大きく踏み出した。モンゴル外務省のチミドドルジュ文化情報局長は「これは真の変革の始まりである」と高く評価した。

総会は4月10日に提案通りに臨時党大会を開くことも決め、この場で新書記長の就任、新政治局員などを承認するほか、一部を除き60歳以上の中央委員の一斉退陣を了承し大幅な若返りを断行する。

これより先、人民大会(議会)を今月21日に開催し、野党勢力の協力を取り付け済みの「党の指導性」を定めた憲法82条の削除と複数政党参加を容認する選挙法の制定を提案する。

総会では、異例とも言える国家の役職である人民大会幹部会議長(国家元首)や首相の進退が議題として取り上げられ、ソドノム首相が辞意を表明した。ウランバートルの西側外交筋によると、首相が辞任を申し出たことで、バトムンフ氏の幹部会議長としての去就に焦点が移り、これらの国家人事が21日の人民大会で最終的に審議されることになった。《共同通信》

【海部俊樹首相】米商務長官と会談

来日中のモスバカー米商務長官は15日午前、首相官邸に海部首相を訪ね、約30分間会談した。この中でモスバカー長官は、「日米の貿易問題を緊急に解決しなければならない。日本も日本のやるべきことをやってほしい」と述べ、日米間の最大懸案となっている日米構造協議で日本側の努力を強く迫るとともに、包括貿易法スーパー301条(不公正貿易国と行為の特定・制載)の対象であるスーパーコンピューター、人工衛星、木製品の三分野と半導体、電気通信の計五分野を具体的に挙げ「具体的成果が出ることが極めて重要だ」と日本側の努力を強く要請した。

首相は個別分野については「両国で協議中」とし、構造協議に関して「(日本が米国の要請について)できることとできないこと、今できないが将来できることを整理している。何ができないかでなく、何ができるか知恵を出せと指示した」と強調、将来にわたって日本の取り得る改善措置にも踏み込んで明示する方針を明らかにした。

首相は四月上旬の構造協議中間報告取りまとめに当たっては「自分としての判断を下す」と政治決断する決意を改めて表明し、米側の理解を求めた。

モスバカー長官は「日米関係は全体としては素晴らしいが、貿易問題で将来危機が起こらないよう緊急に解決しなければならない」と述べ、米国も経済の競争力強化、貯蓄率向上などに努力することを強調した。

これに対し首相は構造協議について「日米関係の重要性、日本の消費者のため、という二つの視点で議論している。日米双方の努力によって成功させねばならない」と述べた。モスバカー長官は「首相の積極的な姿勢をブッシュ大統頃に報告したい。スーパー301条問題についても両国で解決できることを確信している」と述べた。《共同通信》

【社会党】「社会主義革命の達成」削除

社会党は15日の中執委で「社会主義革命の達成」などが盛り込まれていたこれまでの党規約文の全面改正案を決定した。4月の党大会で正式に採択する。改正案は「社会主義革命の達成」の字句を削除して革命政党のしっぽを断ち切り、議会制民主主義のもとでの社民主主義政党であることを明確化している。さらに現行の党規約で「労働者階級を中核」としていた党の性格を「国民に開かれた自由で民主的な政党」と規定し、階級政党から国民政党への脱皮を図ったのが特徴。

全体の基調は、党の綱領的文書「愛と知と力による創造」(新宣言)が掲げた社会民主主義に沿ったもので、「人間解放」を目標に、日本国憲法に盛り込まれた「公正と平等」「自由と連帯」「民主主義と人権尊重などの理念の具体化」を目指すことを明記した。

改正案では「社会主義」と「社会民主主義」の二つの用語が使用された。「疎外、差別、抑圧、摂取などの地球上からの除去」が「社会主義の理念」とした上で、社会主義と社会民主主義の関係を「社会主義の最も民主的な姿である社会民主主義」と説明し、社会党が社会民主主義を選択することを明記した。

一般には区分のあいまいな社会主義と社会民主主義の両用語が併存したのは、党内最左派の社会主義協会が「社会主義」という用語を残すよう強く主張したためとみられる。《共同通信》

【イラク】英紙記者を処刑

イラク国営通信によると、昨年9月イラクの兵器工場が爆発し700人が死亡したとされる事件で現場潜入を試みてスパイ容疑で捕まり、イラクの革命裁判所から10日死刑宣告を受けていた英日曜紙オブザーバーのファルザド・バソフト記者(31)が15日、絞首刑を執行された。英国、国連、一部アラブ諸国までが助命運動を始めた矢先のスピード処刑だった。

処刑直前に在イラク英大使館員が最後の接見を許され、処刑後遺体は英大使館に引きされた。英国が大使召還、経済制裁、国交断絶などどのような対抗措置をとるか不明だが、共犯として懲役15年を宣告されたイラク在住英国人のパリシュ看護婦(52)の安全を考慮して、慎重な対応になる可能性もあると伝えられる。

イラクのジャシム文化情報相は処刑後「サッチャー英首相は彼を生きたまま引き渡せと求めてきたが、箱に入れて返すことにした。イラクは圧力に屈するほど弱気になっていない。英国はそれをはっきり知るべきだ」と語った。

バソフト記者はイラン生まれだが、現在は英国の永住権を持っていた。英国はハード外相を近くイラクに派遣し、善処を迫ろうとしたが、イラクが受け入れ拒否を英政府に通告していた。

イラク国営テレビは14日、フセイン大統領が農民グループに向かって「英国は昔の(宗主国としての)主人気どりでいる」と話す場面を放映した。イラクの政府系新聞は15日付の紙面にバソフト記者自筆のスパイ行為を認める告白文を掲載している。《共同通信》

【ブラジル・コロル大統領】就任

中南米の「病める大国」ブラジルで15日、フェルナンド・コロル新大統領(40)が就任し、新政権が発足した。コロル大統領は昨年末、29年ぶりに実施された大統領直接選挙で当選。経済再建を最優先課題として取り組むことになる。任期は5年。

本格的な民主政権であるコロル政権は中道右派。中南米のほぼ全域に行きわたった民主政治は90年代前半、保守化の方向で安定すると予測されるが、コロル大統領が中南米のニューリーダーになれるかどうかは経済再建の成否にかかっている。

コロル政権は当面、財政赤字削減に力を入れる方針で、コロル大統領は従来22あった省を12に減らす行政改革を断行。今後の改革実施には議会の支持取り付けが不可欠。新大統領の与党、国家再建党は上下両院議席が合計30に満たない小党で、自由戦線党など保守勢力の支持を得て、両院で辛うじて過半数に達しつつある。

就任式には日本から竹下元首相が、政府特使として出席した。《共同通信》

【北朝鮮・金日成主席】中国・江沢民総書記と会談

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問中の江沢民中国共産党総書記は15日、平壌で金日成朝鮮労働党総書記(国家主席)との第二回会談に臨み、双方は両国間の友好関係を強調した。江総書記は金主席に適当な時期に訪中するよう要請、金主席は快諾した。会談には14日に続き、子息の金正日書記が同席し、後継者であることを改めて印象付けた。

第一回会談は主に中国側が内外情勢についての見解を説明したのに対し、今回は北朝鮮側が主に見解表明を行った。新華社電によると、金主席は「朝中両国関係は歴史のさまざまな試練に耐えて来た。江同志の今回の訪朝は、朝鮮人民にとって大きな支援であり、両国党、国家、人民の友好関係をさらに発展させるであろう」と述べた。

これは朝鮮戦争で培われた両国の団結を強化することで、ソ連、東欧で進む改革にもかかわらず、両国が社会主義の原則を堅持する意思を表明したものとみられる。《共同通信》

【横綱千代の富士関】通算999勝

大相撲春場所五日目(15日・大阪府立体育会館)横綱千代の富士は巨漢の小結水戸泉を右外掛けで仕留めて土つかずの5連勝。通算勝利を999として、史上初の1000勝の大記録にあと1勝と迫った。

横綱北勝海は平幕花ノ国を挿し倒して全勝を堅持。大関陣は小錦が関脇琴ケ梅を寄り切って全勝を守ったが、旭富士は苦手の平幕安芸ノ島の左上手投げに屈して痛い初黒星を喫した。北天佑は陣岳に順当勝ちして3勝2敗。十両は大乃花が全勝を守り、新十両の若花田ら四人が1敗。貴花田は2敗目を喫した。《共同通信》



3月15日 その日のできごと(何の日)