平成781日目

平成3年2月27日(水)

1991/02/27

【湾岸戦争】多国籍軍がクウェート解放

Embed from Getty Images

クウェート市を包囲していた多国籍軍部隊は26日夜から27日朝にかけて米海兵隊をはじめクウェート軍が市内に次々突入、解放した。これにより、イラク軍が昨年8月2日に侵攻して以来、約7カ月ぶりに首都がクウェート側に巻還された。

市を包囲していたのはクウェート、サウジ、カタールなど湾岸アラブ諸国の部隊が主力。市内ではイラク軍撤退開始後、国内の抵抗組織が行政本部を設置して、支配権を取り戻している。

多国籍軍の先遣隊とともに市内に入った外国記者団によると、残留イラク軍は同市郊外のクウェート国際空港を拠点に散発的な抵抗を続けたが同日夜までに沈黙したという。

サウジアラビア東部のダーランにあるグウェート情報省も27日未明、クウェート市内部に残留している市民から衛星回線を使った電話連絡の情報として、「イラク兵は退去し、クウェート市が解放されたことを確認した」と発表した。

しかし、イラクの残兵が市内に隠れているとの情報もあり、しらみつぶしの捜索が展開される見込み。地雷や仕掛け弾も多数放置され、この数日の間に、イラク軍が主要な建物を破壊し、放火したため市内は危険な状態が続いている。

市内では水や電気などの供給が止まっており、サウジ東部には完全解放後直ちに水、食料、薬品など緊急補給される物資が、トラック30台に分散され待機中だ。

亡命クウェート政府は26日午後、クウェート全土に3カ月間の戒厳令を公布し、イラクの占領状態から脱却し、政府のコントロール下に置く姿勢を明確に、打ち出した。閣僚数人が既に帰国の準備に入り、サウジ東部に移動、待機している。

クウェート当局者によると、地雷などの処理に少なくとも一週間かかり、その後本格的な復旧作業に入るが、避難しているクウェート市民の帰国は約3カ月後になる見通しという。《共同通信》

数カ月ぶりに会う夫に駆け寄る妻、息子を迎える父や母のほおを涙がつたうー。27日、解放されたクウェート市に凱旋したクウェート軍は、群衆の歓喜の声に迎えられた。

市内を進む軍用車の列と並んで走るクウェート市民のスポーツカー。ふだん、内気なクウェート女性たちが、かん高い声を張り上げている。クウェート軍戦車隊と装甲車の列はまるで、カーニバルのパレードのようにその中を通り過ぎた。

一方で、道端には捕虜になったイラク兵がしゃがんで並ぶ。毛布をかけられたイラク兵の死体が横たわり、路上にはブーツやヘルメットが散乱している。

かつて、中東で最も豊かだった首都は、今ゴミの山のようにも見える。街路に散らばるコンクリートの破片。爆撃を受けたビルが醜い姿をさらしている。それでも、クウェートとサウジアラビアの軍隊が市の中心部に到着した時は、帰還の祝いがこうした不幸を忘れさせた。

再会の喜びに抱き合い、涙を流す兄弟や親と子。あるクウェート兵は「イラクの人々や兵隊に問題はない。彼らはわれわれの兄弟だ。憎いのはサダム・フセイン(大統領)一人。彼は狂っている」と話した。《共同通信》

国営イラク放送は27日午後6時15分(日本時間28日午前0時15分)、フセイン大統領が26日革命評議会を開き、このあと国連安保理議長とデクエヤル国連事務総長に対し、イラクが①国連安保理決議に従いクウェート撤退を実施した②停戦を要請する③対イラク経済制裁の解除を求める―とのメッセージを伝達したと報じた。

同放送によると、多国籍軍側が停戦に応じればイラクはクウェート併合の無効を宣言した安保理決議662、クウェート侵略の賠償責任を定めた同674を受け入れる準備があるとしており、米側が求めていた停戦条件を満たすことになる。

多国籍軍がクウェートを解放した後も、イラクの精鋭部隊である大統領警護隊を攻撃し続ける中で、追い込まれたフセイン大統領が生き残りを図るため、事実上の「無条件降伏」を示したものと言える。

また同放送はフセイン大統領が27日、革命評議会やバース党指導部の一部と会議を開き、現在の政治状況とイラクに対する米国やその同盟国の攻撃について協議した、と報じた。《共同通信》

ブッシュ米大統領は27日午後9時(日本時間28日午前11時)、ホワイトハウス執務室からテレビ演説し、「クウェートは解放された。イラクは敗北し、戦争目的は達成された」と戦争勝利を宣言、「今夜12時(日本時間28日午後2時)に多国籍軍は戦闘を停止する」と発表した。また、48時間以内に現地で正式な停戦取り決めをする方針を明らかにし、「この間にイラクがスカッド・ミサイルなどで攻撃すれば、作戦を再開する」と警告した。

湾岸戦争は開戦から43日、地上戦突入から4日足らずで多国籍軍の一方的な勝利で終結を迎えることになり、今後の戦後復興に焦点が移った。

このため大統領はベーカー国務長官を来週、湾岸地域に派遣すると述べると同時に、戦争終結について協議するため、国連安全保障理事会の招集を要請するようベーカー長官に指示したことを明らかにした。《共同通信》



【政府】湾岸戦争継続を支持

政府は27日朝の湾岸危機対策本部(本部長・海部首相)の8回目の本部会合で、イラクにクウェート正統政府の復権や賠償責任を求めたすべての国連安保理事会決議を受諾しない限り、多国籍軍の対イラク戦闘行動の継続を全面的に支持するとの方針を決定し、改めてブッシュ米大統領の戦争継続表明を日本として支持するとの意思統一をした。

坂本官房長官は会議後の記者会見で「イラクが国連決議660号の即時無条件撤退を受諾すると表明したのは重大な一歩であるが、不十分だ。一連の決議の完全な実行が必要であり、その時まで(戦争を)やめるというわけにはいかない。これが世界の世論だ」と、強い調子でフセイン大統領の対応を非難するとともに、米軍の行動への前面支援を強調した。《共同通信》

【政界メモ】委員会発言を報道してよ

○…海部首相は27日、国会内で記者団から湾岸情勢について質問を受けると、質問を途中で遮って「ここでのやりとりの一言一言はいろいろ書かれて困る。委員会でちゃんと言いますから」とぴしゃり。記者団が「クウェート市解放をどう受け止めるか」と執ように食い下がっても「やめようや、ここでのやりとりは。委員会での発言を報道してください」とクギを刺す徹底ぶり。

このところ記者団との応答内容を材料に「情報不足」「主体性を欠いた対米追従外交」などと手厳しい批判が紙一面をにぎわせているためか、ここは貝になるのが“得策”、と開き直った?

○…社会党の大出国対委員長はこの日、記者会見で、衆院予算委員会で平成二年度補正予算案が可決されたことを受け「三年度本予算の衆院通過は3月17、18日ごろ」と今後の国会日程の見通しをひとしきり説明。「暫定予算は必至だ。内閣の責任が問われる事態」と政府、自民党批判をぶち上げた。だが、威勢がよかったのはそこまで。

ここ数年暫定予算が常態化していることもあって「いささか暫定慣れがあるからなあ」とポツリ。多国籍軍への90億ドル追加支援や東京都知事選で自公民主導においてきぼりをくった社会党だけに、口八丁手八丁の大出氏も打つ手がない様子。《共同通信》

【女優・蓮佛美沙子さん】誕生日

【サッカー・指宿洋史さん】誕生日

Embed from Getty Images

【北朝鮮・金容淳書紀】国連加盟「南北で1議席目指す」

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金容淳・朝鮮労働党書記は27日午前、帰国に先立って都内のホテルで記者会見した。北朝鮮の国連加盟問題について、金氏は「国連は政府的な機構だ。北と南がそれぞれ(別個に)加盟するなら国際的に2つの朝鮮を認めるのと同じだ」と述べ、あくまでも北朝鮮が韓国と合わせて1議席を持つ形での加盟方式を強調。さらに南北統一に関しては「朝鮮民族自身が解決する問題」として、国連での論議にふさわしくないとの立場を示した。 米朝関保改善については「われわれは米国に対して、扉を開けているが、(折衝が)行われていないのはすべて米国側に(責任が)ある」と述べた上で、米韓合同軍事演習(チームスピリット)に対して強い反発を示した。 この記者会見の前に、社会党と朝鮮労働党は両党間の交流拡大に関する合意書を交わした。

【東京都知事選】磯村氏が選挙事務所開き

東京都知事選に自公民三党の推薦で出馬する元NHK特別主幹、磯村尚徳氏(61)の支援母体「創ろうみんなの東京の会」の事務所開きが27日午前、東京都新宿区内で行われた。 四選出馬する鈴木知事の選挙事務所は同区内の約800メートル離れた目と鼻の先に開設されており、保守・中道の分裂選挙となった都知事選は4月オープンの新都庁舎をバックにした「新宿戦争」となった。 午前11時からの事務所開きには自民党の佐藤幹事長代理、公明党の井上衆院議員、民社党の田渕参院議員らが駆け付けた。《共同通信》

自民党渡辺派は27日の総会で東京都知事選の対応について、党本部からの元NHK特別主幹磯村尚徳氏への支援要請に対し、協力していく方針を基本的に確認した。 山口事務総長が「党として自公民体制で戦う基本方針の下に磯村氏推薦を決めたのだから、協力してほしい」と要請、鈴木知事支持派の議員から反論が出たが了承された。《共同通信》

社会党の東京都知事選候補者として、同党都本部(斉藤一雄委員長)から出馬の意向を打診されていた上田哲衆院議員(東京二区)は27日午前、都内のホテルで斉藤委員長と会い「出馬は不可能と判断した」と最終回答した。 これを受けて都本部は同日、三役会議を開き、独自候補の擁立に向けて新たな選考作業に入る方針。

【長嶋茂雄さん】息子を指導

“ミスター”長島茂雄氏が27日、宮崎県西都市のヤクルト・キャンプを訪れ、息子の一茂内野手の打撃を指導。春季キャンプでは初めてという“英才教育”を公開した。

午後2時すぎ長島の一人だけのフリー打撃が始まった。父親はベンチから腰を上げ、野村監督と一緒にケーージの後ろからスイングを見守った。その後のティー打撃では自らバットを持って手本を示し、「顔の位置はボールをのぞきこむように」「左ひじを締めていけ」と身ぶり手ぶりを交えて約20分間指導した。

「ようやくプロらしい顔になってきた。ほおが落ち込んで、目がギラギラすれば、本物になるんだが…」。父親の感想に対し、息子は「今はおやじが来たからと周りの目を気にしてはいられない。自分には後がない」と必死の様子を見せた。

野村監督は四年目のシーズンを迎えた長島を「一番の頭痛の種」という。並外れた馬力を持ちながら、生かしきれずに伸び悩む長島。人気より実力を優先する同監督にとって、昨年出番の少なかった長島の起用法に対する批判はどうしても気になるところ。打開の道を求めて、直接指導を茂雄氏に要請したわけだが、「今のフォームでは打てないという点ではおやじさんと意見が一致した」と監督はポツリ。果たして“二世”の前途は―。《共同通信》

【草野大悟さん】死去

個性的な演技で舞台やテレビなどで活躍した俳優の草野大悟さんが27日午前0時10分、脳内出血のため東京都文京区の日本医科大付属病院で死去した。51歳。台湾・台中市出身。

24日夜、TBSラジオ「ラジオ図書館」の開高健作「戦場の博物誌」を収録中に倒れ、救急車で病院に運ばれ入院していた。《共同通信》



2月27日のできごと