平成780日目
1991/02/26
この日のできごと(何の日)
【イラク・フセイン大統領】クウェート撤退完了を宣言
国営イラク放送はイラク時間26日午前1時35分(日本時間同7時35分)、通常番組を中断して、フセイン大統領がイラク軍に対しクウェートから撤退するよう命令を下した、と伝えた。同放送は、撤退開始の正確な時期については触れていない。
撤退はソ連の和平案に従って進めると表明するとともに、国営イラク通信によると、アシズ・イラク外相は25日夜、駐イラク・ソ連大使にこの決定を伝え、ゴルバチョフ・ソ連大統領に停戦の調停を進めるよう要請したことを明らかにした。軍事的劣勢の中でフセイン体制存続、軍事力温存を狙うイラク側の政治決断だが、米政府は戦争継続の姿勢を改めて表明した。湾岸戦争は開戦以来、41日目で終結に向け重大な転回点を迎えた。
今回の決定によると、イラク指導部は国連安保理決議660(無条件撤退)に基づき、イラク軍に対し、組織的な形で1990年8月1日以前の状態に戻るよう、撤退命令を下した。イラク軍は翌8月2日にクウェート侵攻を行っている。
撤退命令決定の発表はスポークスマン声明の形で行われ、同スポークスマンは放送の中で、イラク軍は撤退命令を履行中に、これを阻害する行動があれば反撃すると強調。その上でイラク軍は、整然かつ名誉ある撤退を行うために勇敢に戦うと宣言した。《共同通信》
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フセイン・イラク大統領は26日、国営放送を通じて演説し、同日中にクウェート撤退を完了すると宣言するとともに、クウェート併合の取り消し、パレスチナ問題と湾岸問題の関連付け放棄などを示唆した。
これに対し米政府は同日「フセイン宣言は従来と変わらず、戦争を継続する」との声明を発表。湾岸戦争はイラク軍の譲歩表明にかかわらず、続行が確実となった。
米軍を中心とする多国籍軍はクウェート市を実力で解放するとともにイラク軍最新鋭部隊である大統領警護隊の壊滅に全力を挙げるとみられる。《共同通信》
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【米・ブッシュ大統領】武装解除まで戦う
ブッシュ米大統領は26日、ホワイトハウスで演説、フセイン・イラク大統領の声明について「言語道断だ」と非難、イラクはクウェートに対する領有権を放棄していないと述べ、手を抜くことなく、イラク兵の武装解除まで戦争を継続する、と語った。《共同通信》
【海部俊樹首相】イラクの行動見守る
衆院予算委員会は26日午前9時すぎから、多国籍軍への90億ドル追加支援を盛り込んだ平成二年度第二次補正予算に対する総括質疑に入った。
海部首相は同日朝、国営イラク放送が伝えたフセイン大統領によるクウェートからのイラク軍撤退命令について「完全無条件撤退につながるのであれば、局面転換になる。そのような撤退に直結することを強く期待しているが、一方的放送だけなので全貌(ぜんぼう)をもう少し把握したい」と述べ、イラク側の今後の行動を慎重に見守る考えを示した。
中山外相は「イラクの正当な意思を国連安保理議長が受諾することによって、すべての解決に向かって動かなければいけない」として、イラクが直接国連に対し、国連決議受諾を通告することが停戦の前提であるとの認識を明らかにした。
この日午前は自民党の船田元、鳩山邦夫、社会党の佐藤敬治の三氏が質問に立った。
佐藤氏は米国の湾岸戦争に関する補正予算の中で、日本からの90億ドルが全額、米国向けとされていることについて「日本政府の説明と違うのではないか」か府い返金に日と追及した。これに対し首相は「米国は多国籍軍の中で中心的な活動を行っており、90億ドルの大部分は米国にいくだろう。しかし日本としては湾岸平和基金に拠出するのであって、基金の運営委員会の中で日本政府の意向を表明することにしている」と繰り返し強調。米国予算書の問題については「米側の期待とか思惑を込めているのかもしれない。しかし拠出者である日本の意向が尊重されるべきである」と述べ、90億ドル全額が米に対して拠出されるのではないとの認識を示した。
これに関連し外務省の松浦北米局長は「米予算書の参考資料の中に各国からの貢献額が入っているのであって、補正予算そのものに90億ドルを計上しているわけではない」と説明した。《共同通信》
【政界メモ】「蚊帳の外」の姿くっきり
○…フセイン・イラク大統領がクウェートからの撤退命令を出した26日朝、海部首相は国会内で記者団の顔を見るなり「どうだ(情報は)入ったか。こちらもテレビでしか分からんのだよ」と逆質問。「(ソ連とイラクが和平案を合意した)この前も一報を聞いて喜んでいたらいろんな条件が付いていたし」とつい四日前の教訓もあって「コメントのしようがないじゃないか」と苦笑い。
ソ連が新たに国連に示した和平案についても「それは確実かい。確実ならば新たな展開になるが…」と首をかしげ、情報不足を自ら認める首相の口ぶりに「蚊帳の外」に置かれている日本の姿がくっきり。
○…朝鮮労働党代表団と社民連の会談が議員会館で開かれ、社会党の田辺副委員長も「私は(社民連の)特別顧問だ」と同席した。金容淳書記が「朝鮮労働党も世界的に見れば小さな党だ」と社民連に気配りした発言をすると、かねてから社民連に合体を呼び掛けている田辺氏は「今度訪朝する時は、(社民連と)一つの政党として行きたい」と強調。
しかし、これを聞いた社民連の江田代表は「社会党とは議席数は違うが、それぞれ独立した政党。対等の立場で訪朝しようということだ」と切り返すあたり、東京都知事選の候補者問題をめぐる後遺症がありあり。《共同通信》
【公明党・石田委員長】北朝鮮・金容淳書紀と会談
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金容淳・朝鮮労働党書記は26日午前、都内の公明会館で石田公明党委員長と約30分間会談した。
石田氏は「南北朝鮮の平和的統一はアジア、世界の平和に貢献する」との認識から、朝鮮半島の緊張緩和一に向け韓国、北朝鮮、米国、ソ連、中国、日本の国会議員レベルによる六カ国平和会議(仮称)の開催を提案した。
これに対し金書記は「朝鮮半島の平和統一に寄与する提案であればいかなる提案も歓迎する」との意向を示したが、六カ国会議開催そのものには直接言及しなかった。金書記は石田氏の訪朝を要請、その際に六カ国会議について検討したい意向を表明した。
石田氏は昨年12月の韓国訪問の際、民主自由党の金泳三代表最高委員らとも六カ国会議をめぐって協議している。
公明党と朝鮮労働党の両党関係について石田氏が「交流を深くし、新しい時代に前進したい」と述べたのに対し、金書記も「公明党との関係を強化したい」と答え、両党間の関係強化の推進で一致した。《共同通信》
【皇太子殿下】立太子の礼終了を伊勢神宮に報告
皇太子さまは26日午前、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝し「立太子の礼」の終了を報告された。神宮参拝は皇太子となってから初めて。
午前9時すぎ、宿泊先の内宮斎館をご出発、約4キロ離れた外宮へ。モーニング姿の皇太子さまは9時半、神宮関係者の先導で約300メートルの参道の玉砂利を踏みしめ正殿へ向かい、正殿手前の瑞垣御門の前で玉ぐしをそなえてご参拝。続いて内宮へ戻って再び参拝し、報告を終えられた。《共同通信》