平成748日目

平成3年1月25日(金)

1991/01/25

【湾岸戦争】イラク、ペルシャ湾に大量の「原油」

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米国防総省のウィリアムズ報道官は25日の定例記者会見で、イラクが過去24時間にわたってペルシャ湾に大量の原油を排出しており、その総量は少なくとも数百万バレルと推定され、1989年3月に米アラスカ州バルディス湾で起きた米石油タンカー座礁事故の際に流出した基(推定約26万バレル)の十数倍に上るとみられる、と発表した。

原油排出が今も続いているかどうか不明だが、ウィリアムズ報道官は「明白な環境破壊テロ」であると強く非難した。米政府は国務、国防、エネルギー各省と民間の石油、環境問題専門家による緊急会議を開いて、対応策を検討している。米軍高官は、石油排出でペルシャ湾の環境破壊が強く懸念されるが、軍事的には米海兵隊の上陸作戦計画を含め、「砂漠のあらし」作戦には影響がない、と強調した。

報道官によると、原油排出源はクウェート沖約16キロにある「シーアイランド」海上石油基地とクウェニートのアフマディ港に停泊中のイラクの原油タンカー5隻。シーアイランドとアフマディ港の間はパイプラインで結ばれている。またタンカーはペルシャ湾西北部にあるイラクのバクル石油基地で原油を満載、昨年10月以降アフマディ港に停泊していた。

報道官は、排出された原油が既にサウジアラビアの港町カフジ沖まで南下したと述べるとともに、今後、原油流出海域が海流の影響で拡大することへの懸念を表明した。《共同通信》

サウジアラビアのリヤドで25日夜、イラクが発射したスカッド地対地ミサイルを米軍のパトリオット迎撃ミサイルが撃墜した際、両ミサイルの胴体や破片が市中心部の6階建ての建物を直撃した。建物は全壊し、サウジ内務省によると1人が死亡、30人が負傷した。

リヤドに対するイラクのミサイル攻撃はこれで4度目だが、これまではすべてパトリオットが迎撃するか砂漠にそれており、死傷者や建物被害が出たのは今回が初めて。《共同通信》

イスラエルが25日午後6時(日本時間26日午前1時)ごろ、イラクから5度目のミサイル攻撃を受けた。軍当局は米軍から緊急供与されたパトリオット迎撃ミサイルを発射したが、6発前後のスカッド・ミサイルが撃ち込まれたテルアビプでは、1、2発が着弾、迎撃されたスカッドも空中爆発を起こし、市民1人が死亡、69人が負傷した。うち1人は重体という。

北部のハイファ地域では飛来したスカッド1発をパトリオットが破壊、被害は免れた。

軍当局の調べでは、スカッドには今回も化学兵器弾頭は装着されていなかった。軍当局は夜明けを待って、合計7発とみられるミサイル数を確認し、うち何発が着弾して爆発したかを調べる。

テルアビプでは警報のサイレンに続いて2回目の爆発音が聞こえ、パトリオットの発射音がこれに続いた。約15分の間に数回の爆発が起き、地上から多量の白煙と青白い火柱が上がるのも目撃された。パトリオットは数発のスカッドに命中したものの、空中で爆発したミサイルの破片が燃えながら落下、駐車中の乗用車数台が全焼した。《共同通信》



【海部俊樹首相】「湾岸貢献は当然」

海部俊樹
https://www.kantei.go.jp/

海部首相は25日午後1時すぎから、第120通常国会再開に当たって衆院本会議で施政方針演説を行い、湾岸戦争ぼっ発で揺れる世界情勢を受けた日本の外交課題、内政への所信を明らかにした。

首相はイラクのクウェート侵攻を厳しく非難するとともに、米国を中心とする多国籍軍の武力行使への「確固たる支持」を改めて表明、日本の貢献は「当然の責務であり、怠れば国際孤立化への道を歩む」との強い危機感を表明した。

多国籍軍への90億ドル追加支援に関連して首相は「国民の応分の負担」との表現で増税に踏み切らざるを得ないことに理解を求めさらに難民輸送に自衛隊輸送機使用を決断したことを強調。「人道的、非軍事的な面で責任を率先して果たしていくのは憲法の基本理念に合致する」と訴えた。

施政方針に続き中山外相、橋本蔵相、越智経企庁長官が外交、財政、経済演説。午後3時から参院本会議でも政府4演説が行われる。

内政面の重要課題である「選挙制度改革を含む政改革問題では、昨年3月の施政方針と同様に「不退転の決意」で取り組むと繰り返したが、公職選挙法改正案の目途については「できるだけ早く成果を得、国会においてご審議いただけるよう努力する」と触れたにとどまった。《共同通信》

【政府】政令を閣議決定

政府は25日の閣議で、湾岸戦争への貢献策として決定された自衛隊機による避難民輸送に関する自衛隊法上の暫定措置を定めた政令を決めた。「湾岸危機に伴う避難民輸送に関する暫定措置政令」で、28日にも公布、施行される。

これにより防衛庁は、輸送機C130を中東へ派遣するための根拠法令が整ったとして準備作業を急ぐ。しかし、民社党を除く野党側はこれまで政府が国会答弁で、自衛隊の海外派遣について「法律上の規定がなければできない」としてきたことと矛盾すると批判、厳しく追及する構えだ。

閣議決定された「政令」は、国賓や総理大臣などの自衛隊機による輸送を定めた自衛隊法100条の5に基づき、特例的に今回の湾岸戦争による避難民に限り輸送対象に含めるもの。

その要件として政令は①湾岸危機で生じたイラク、クウェート、その周辺国からの避難民であること②避難民輸送に当たる国際機関(国際移住機構IOM)からの要請―を規定している。

この政令は湾岸危機が平和解決し、避難民の輸送需要がなくなれば、廃止手続きによらず自然消滅するもので、こうした特例的政令により自衛隊海外派遣という重大な政策決定の根拠とするのは極めて異例だ。《共同通信》

【中国・梅里雪山遭難事故】捜索打ち切り

中国雲南省の未踏峰・梅里雪山(6740メートル)に登頂中、今月3日夜に連絡を絶った京大学士山岳会の11人と中国側隊員6人の合同登山隊計17人について、左右田健次総隊長は25日午後、昆明で記者会見し「生存は全員絶望と考えざるを得ず、捜索隊の二次遭難の危険性も高まった」として捜索を打ち切ると発表した。

17人は第3キャンプ(5100メートル)で雪崩に襲われたとみられるが、捜索では結局同キャンプの発見に至らなかった。日本の海外登山史上最悪の遭難となり、左右田総隊長は「無念だ。隊員のことを考えると何も手につかない」と話した。《共同通信》

【政界メモ】のどの調子が気にかかる

○…海部首相は、国会再開初日の25日朝「のどの調子が悪いんだよ。きのう(自民党大会)の演説で汗をかいたまま、外でのレセプションに出たもんで風邪にやられたよ」と記者団に説明。この日は衆参両院で施政方針演説をするとあって、衆院本会議前に二回も医務室に。その後「命に全く別条はない」とジョークを飛ばす余裕をみせたものの「聞いていて(声の調子は)どうかね」と記者団に逆取材。

弁舌のさわやかさが売り物の首相にとって、湾岸戦争の支援問題で激しい論戦が予想される再開国会は、のどのハンディを負った苦難のスタート。

○…この日午前、記者団が下条厚相の閣議後記者会見を待っていた国会内控室に突然、浜田幸一自民党広報委員長が飛び込んできて湾岸戦争についてひとくさり。

日本の支援策を「おれは、海部首相が韓国へ行く前の政府与党首脳会議で、米国にいわれる前に,決めておかねばいけないと言っていたんだ」と、対応の遅さを批判した上で「(日本の支援策は)まあ、60点だな」と、こき下ろした。さらに対イラクの米国の出方について解説「原爆を一度、使った国はまたやる。米国は核を使うのをじいっと待っているんだ」と大胆な予測、依然毒舌は衰えず。《共同通信》

【大相撲初場所13日目】旭富士が3敗目

大相撲初場所13日目(25日・両国国技館)横綱北勝海と大関霧島がそろって1敗を守り、優勝争いは完全にこの2人に絞られた。北勝海は横綱同士の対戦で大乃国を終始攻め込んで引き落とした。大乃国は4敗。

初優勝を目指す霧島は横綱旭富士に切れ味鋭い左上手出し投げで快勝した。旭富士は3敗となって優勝争いから脱落。

関脇琴錦は平幕の大翔山を寄り切り、5連敗を免れて9勝目。若花田、貴花田はそろって勝ち、若花田が6勝7敗、貴花田は5勝8敗となった。《共同通信》



1月25日のできごと