平成4671日目
2001/10/22
この日のできごと(何の日)
【小泉純一郎首相】マレーシア首相らと会談
小泉純一郎首相は22日午前、上海市内で、マレーシアのマハティール首相、インドネシアのメガワティ大統領らと個別に会談、マハティール首相、メガワティ大統領は米軍などによるアフガニスタン攻撃に懸念を表明した。
マハティール首相は「ビンラディンはイスラムを代表していない。アフガニスタンでの武力行使は、ビンラディンが米国とイスラムの戦いを主張することを力づける可能性があり、懸念する」と米軍などの対応に批判的な見解を示した。
メガワティ大統領も「イスラムは暴力を容認する文化ではない。テロとの戦いは必ずしも暴力である必要はないのではないか。(米軍などが)アフガニスタンでしていることには、慎重であるべきだ」と指摘した。
これに対して小泉首相は、米国などの支援に自衛隊を派遣するテロ対策特別措置法案について説明した上で「テロに対する戦いでありイスラムとの戦いではない」と理解を求めた。タリバン政権後のアフガニスタン復興に積極的にかかわる方針も伝えた。《共同通信》
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【プロ野球・沢村賞】西武・松坂大輔投手
プロ野球創設期の名投手、故沢村栄治氏を記念した「沢村賞」選考委員会が22日、東京都内のホテルで開かれ、新人から3年連続最多勝の西武・松坂大輔投手が初めて選ばれた。今季の松坂投手は33試合登板、15勝15敗、防御率3.60。投球回数240−1/3、12完投、214奪三振はいずれもリーグ最多だった。《共同通信》
【日銀】支店長会議
日銀は22日、東京・日本橋の本店で支店長会議を開催。冒頭のあいさつで、速水優総裁は米中枢同時テロで「景気の先行きに対する不透明感は一段と高まっている」との認識をあらためて示した。
総裁は、景気調整が内需面に広がることは避けられないと指摘。輸出の減少で景気がさらに下振れする懸念も強まっているとした上で「内外資本市場の動きが企業や家計の心理面などを通じて実体経済に悪影響を及ぼすリスクにも引き続き留意が必要」との見方を示した。
また「わが国金融システムに対する内外の見方は再び厳しさを増している」と分析。来春のペイオフ解禁を控え、不良債権処理や株価下落リスクへの対応、収益力強化などで、より踏み込んだ対応を金融機関に求めた。《共同通信》
【自民党・麻生太郎政調会長】小泉首相の経済運営を批判
自民党の麻生太郎政調会長は22日夕、国債発行30兆円を堅持した形の本年度補正予算の編成方針について「経済成長がマイナスになるんだから、30兆円枠を守った方がいいと(政府が)考えているなら、どのみち赤点だから60点でも20点でも同じと言っているようなものだ」と述べ、小泉純一郎首相の経済運営を痛烈に批判した。
麻生氏は12月始めに発表される今年7−9月期の国内総生産(GDP)に関して「数字は4−6月期に比べてかなり悪くなる」と述べ、前期比0.8%減となった4−6月期をさらに下回るとの見通しを示した。《共同通信》
【エルサレム】短銃乱射
イスラエル放送によると、エルサレム南部の商業中心地で22日午前、パレスチナ人の男が短銃を乱射、少なくともイスラエル人4人が重軽傷を負った。男は近くにいたイスラエル兵に射殺された。警察当局はテロ事件として捜査している。男はヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘム近郊在住という。
イスラエル軍は17日のゼエビ同国観光相暗殺事件を受けて、西岸の自治区への侵攻と封鎖を拡大。ここ数日、ベツレヘムなどでの戦闘が激化しているが、新たなテロ事件発生で、イスラエルが態度をさらに硬化させることは確実だ。《共同通信》
【米・炭疽菌事件】被害拡大
米疫病対策センター(CDC)当局者は22日、ABCテレビに対し、ニュージャージー州で新たに炭疽菌感染者1人が出たことを明らかにした。これで、全米での炭疽菌感染者は今月に入って10人となる。
同当局者は、新たな感染者の職業や症状など詳細は明らかにしなかったが、ニュージャージー州ではこれまでに郵便局職員2人が感染、発症したことが確認されており、同州では3人目となる。
◇
米国のリッジ国土安全保障局長は22日記者会見し、首都ワシントンのブレントウッド郵便局員2人が、炭疽病が原因で死亡した疑いが強いと発表した。2人のうち1人から一次検査で炭疽菌が検出された。2人は肺炭疽の可能性が高い。
またワシントン市当局は、既に肺炭疽で重症となっている郵便局員に加え、別の局員1人も肺炭疽を発症したことを明らかにした。米国で炭疽病発症が確認されたのはこれで計10人となった。死亡した郵便局員2人は含まれていない。
市当局は、これらのケースとは別に計9人が炭疽病発症の疑いがあると発表した。9人が郵便局員かどうかは不明。
米国を襲った炭疽菌テロは、死亡率が非常に高い肺炭疽の発症者が首都で拡大、深刻な様相を呈し始めた。《共同通信》
【MLB】
米大リーグのア・リーグ優勝決定戦(7回戦制)ヤンキース−マリナーズ第5戦は22日、ニューヨークで行われ、ヤンキースが12−3で勝ち、4勝1敗で4年連続38度目のリーグ制覇を果たし、27日からのワールドシリーズでナ・リーグ覇者のダイヤモンドバックスと対戦することになった。
ヤンキースは三回、一死二、三塁からジーターの中犠飛、ジャスティスの二塁打、B・ウィリアムズの左中間本塁打で一挙4点を先制。四、六回にも加点してマリナーズを突き放した。
マリナーズのイチローは、3点を返した七回の第4打席で投手のグラブをはじく適時打を放ち、この日は5打数1安打1打点。公式戦で首位打者、盗塁王のダブルタイトルを獲得した輝かしいシーズンの全日程を佐々木とともに終えた。《共同通信》
【この日の民主党】
大塚耕平参議院議員が初代表質問
参議院本会議で22日、「銀行法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明と代表質問が行われ、民主党・新緑風会からこの夏初当選した大塚耕平参議院議員が登壇、18年間日本銀行に勤務してきた経験に基づき、中小企業金融対策を中心に問題点を質した。
大塚議員は、「金融再編論議自体は10年も前から行われており、遅きに失した感はあるが、漸く具体的に動き始めたという印象だ」と指摘。同時に「再編の直接の契機が、不良債権処理への対応余力の捻出という後ろ向きの要因であることが、大きな問題を発生させている」とした。
大塚議員はさらに、“銀行自体の正常化”が金融行政の最終目的ではなく、“金融機能の正常化”こそが最終目的だと指摘。そして、“銀行自体の正常化”のために、金融当局が行っている「激変緩和措置」は、“金融機能の正常化”のためにこそ必要ではないかと問題提起した。
そして、「不良債権処理に起因した“貸し渋り”“貸し剥し”の横行については、話題に事欠かない」と指摘。「不良債権処理に起因して、銀行が突然“今回から継続しません”と企業に宣告し、多くの中小企業が困惑しているのが実情だ」とし、「少なくとも、銀行側の申し出が合理的であるか、銀行法第1条に基づき、チェックする仕組みが必要だ」と述べて、柳沢金融相の見解を求めた。
これに対し、柳沢金融相は「個々の融資対応は各銀行の自主的な判断によって決定されるべきもので、監督当局が介入して継続融資の打ち切りをチェックする機能をつくることはむずかしい」とした。
次に、大塚議員は、竹中経済財政担当相が著書『竹中教授のみんなの経済学』で述べている“日本の銀行貸出は対GDP比で100%以上あり、貸し過ぎ。この比率を70%まで下げることが必要である。米国ではこの比率は35%であり、70%でもなお貸し過ぎだ”との主張について、「100%を70%まで下げるといえば、金額にして150兆円の銀行貸出を削減することになる。いつまでにすべきと考えるのか」と迫った。また、「銀行貸出を代替する直接金融市場などの整備も必要」とし、そのビジョンとプランの提示を求めた。
竹中大臣は「100%を超える水準は高すぎると今でも思う。これがバブルに向かう要因となった」とし、「従来型の相対型の間接金融に過度に依存した状況を、市場型の間接金融に改めていくことが重要だ」との持論を展開。政府の「改革先行プログラム」で、個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備などを行っていくとしたが、具体的期間については「相当の長期を要する」と述べるにとどめた。
また、竹中大臣が6月の記者会見で、「不良債権の処理は特定業種の大企業の問題」と答えている点に言及。中小企業への影響をどう考えているのか、4月の「緊急経済対策」でも、不良債権処理に関連して、中小企業に対して金融面で適切に対処すると明記されているとして、大臣の認識の甘さをついた。
竹中大臣は「今も本質は特定業種の特定大企業に集中している」としたものの、「同時に中小企業にもある程度の影響が及ぶのは避けられない」と言葉を重ね、状況認識の深まりは何ら感じられなかった。
続けて、塩川財務相に対し、「現在、バブル期以上の金融緩和が行われ、マネーフローは企業金融市場に向かわずに、事実上、国債のファイナンスに回っている」との見方を示し、見解を質した。
さらに大塚議員は、柳沢金融相が最近、銀行の不良債権問題に関連して“公的資金の再投入の必要はない”と発言していることに触れ、「このように公言して憚られない以上、金融庁による特別検査を実施し、例えば、来年3月決算において公的資金再投入ということになれば、その発言責任には重いものがある。金融担当大臣として現状認識が甘かったという謗りは免れない」として、公的資金再投入が必要になった場合の責任の所在を質した。
金融相は「個別行において自己資本の充実が必要となった場合は、早期是正措置の枠組みのなかで当該行自らが資本の充実を図るべき」とし、「万一増強を行う場合は法令に従い、経営責任を明確化することが前提」と断言。制度の的確な運用こそが自分の責務だと述べた。
大塚議員は「関係大臣のご答弁が十分に納得できない場合には、再質問させて頂くことを、予め申し添えさせて頂く」と通告して、質問を終了した。しかし、各大臣の答弁終了後には答弁を不足と見て、「中小企業金融が非常に逼迫していて、ここに何か手を打つ必要はないのかとトータルとして質問したのだ」として、マネーサプライが増えているのに銀行貸し出しが減り、国際の銀行の保有高が倍増していることへの解決策などを再質問した。
また与党席からの激しいヤジに対し、最後に「与党席からやじっていただき、国会議員になった気がした」とし、新人議員とは思えない堂々とした余裕の質問を展開した。
山村健議員、パキスタン現地で状況視察
民主党の山村健衆議院議員は22日、1週間にわたるパキスタン現地視察を無事に終えて帰国した。今回の視察は、被災民支援活動などを計画するには現地の生の状況を把握することが不可欠として、山村議員が自ら党に提案し、実現したもの。
視察では、パキスタンの政治状況はムシャラフ大統領の指導下で比較的安定しているものの、米軍の陸上作戦開始で転機を迎えており、現地で今も親近感を持たれている日本の政治的な役割が非常に重要になっていることが明らかとなった。
■“国連旗より日の丸の方が安全”
山村議員は、15日に日本を発ち、その夜にイスラマバード着。翌日から、ユニセフ現地事務所の活動に同行しつつ、情報を収集し医療支援などの状況を視察した。17日には、アフガニスタンとの国境に近い西部の町、クエッタへ飛行機で移動。アフガンの首都カブールなどに向けたユニセフの援助物資運送隊の出発式に立ち会った。(写真上)
反米意識の強いアフガン人の中では“UN=US”といった見方さえ広まっており、危険の伴う物資輸送にあたることができるのは現地人の職員のみとなっていた。ところが、人口の4割がアフガン人であるクエッタにおいても、日本(人)に対する印象はきわめて良好で、町行く市民が「ジャパン、ジャパン」といって握手を求めてくるのには、山村議員も驚いたという。
■アフガン副大使と会見
19日にはイスラマバードに戻って、アフガニスタン大使館を訪問。シャヒール副大使と会見した。副大使はアメリカの一方的な軍事攻撃を非難し、「タリバンは話し合いで解決したかったのだ」などと述べた。山村議員は、日本からの救援物資をアフガン国内の避難民に届けたいという意向を伝えた。(写真下)
そこから車で2時間半、今度は国境の町、ペシャワールへ。いきなりこの間最大の反米デモ(数万人規模)に遭遇し、反米意識が高揚してきていることを実感した。20日に訪れたアフガン難民キャンプでも、アメリカの陸上侵攻が始まった直後で難民が興奮しており、近づいただけで石を持って威嚇される状況だったので、キャンプ内の様子を見ることはできなかった。山村議員は、翌日イスラマバードに戻り、帰国の途に着いた。
■民主党としても独自の外交を
視察を終えた山村議員は、「パキスタンの多くの人々はタリバンを心情的に支持している。鍵を握っているのは、米国支持を表明したムシャラフ大統領だ。タリバン穏健派を含めた各勢力による和解政権をつくるために、その要となるムシャラフ大統領を政治的にバックアップしていく必要がある。そこで大きな役割を果たせるのが日本だ。政府・与党は米国追従一辺倒で外交能力の欠如を露わにしているが、野党第一党の民主党だからこそできることもあるはず」と語っている。《民主党ニュース》