平成5004日目
2002/09/20
この日のできごと(何の日)
【北朝鮮による日本人拉致事件】5人目の生存者は佐渡出身
日朝首脳会談で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が初めて明らかにした5人目の生存者「ソガ・ヒトミ」は、新潟県真野町(佐渡島)の曽我ひとみさんとみられることが20日分かった。
1978年8月12日、母親と一緒に失踪しており、警察庁と新潟県警は母子ともに北朝鮮工作員に拉致された可能性が高いとみている。曽我さんは59年5月生まれ。当時19歳で現在は43歳。警察当局は最終的な身元確認を急いでいる。
70年代後半は全国各地で北朝鮮による拉致事件が起きており、同じ日には鹿児島県吹上町の海岸から市川修一さん=当時(22)=と増元るみ子さん=同(24)=のカップルも拉致されていた。
曽我さんは地元高校を卒業後、佐渡総合病院に看護師として勤務していた。母親の名前はミヨシさんといい、31年12月生まれで現在70歳。佐渡には曽我さんの父親茂さん(70)が1人で住んでいるほか、妹(37)も暮らしているという。
関係者によると、曽我さん母子は78年8月12日夜、近くの雑貨屋に買い物に行き、帰宅する途中に行方不明になった。翌日、地元警察や住民が捜索したが、発見できず、約10年前には2人の葬儀も済ませたという。
曽我さん宅は海岸から約200メートルで、水田に囲まれた集落にある。近所の人の話では、当時海岸では見慣れない木造船が度々目撃されていたという。
北朝鮮は日朝首脳会談で、5人目の生存者について「ソガ・ヒトミ」という名前しか伝えておらず、警察庁が全国の警察本部に該当の行方不明者がいないかどうかを調べるよう指示し、曽我さんが浮上した。
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「あのひとみさんが」。北朝鮮が伝えた5人目の生存者は、24年前に、母親のミヨシさんとともに行方不明になった新潟県真野町の看護師曽我ひとみさんの可能性が高まった。佐渡島にある小さな町は20日朝、突然の情報に騒然となった。
父の茂さん(70)と妹の看護師(37)は町役場に駆けつけた。茂さんは「テレビで名前が出ただけでは、実感がわかない。足が悪いので北朝鮮には行けないかもしれない」とぼうぜんとした様子。妹も「確認が取れるまで信じることはできない」と硬い表情を崩さなかった。
近所の人の話では、1978年8月12日の夜、母娘は自宅に夕飯の支度をしたまま突然姿を消した。お盆で帰省した人も含め、町民が総出で山中や海岸を大捜索したが、手掛かり一つ見つからなかった。「神隠しか」「北朝鮮に連れて行かれたんじゃ…」。町民はうわさしたが、確たる証拠は何もなかった。
ミヨシさんは「静かな働き者」、当時19歳のひとみさんは「丸顔で背が高く、器量のいいお嬢さん」と評判。「面倒見のいいお姉さんだった」と近くの男性(40)。結局約10年前、葬儀が行われたという。《共同通信》
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「一人暮らしで頑張ってきた。今すぐ会いに行きたい。(離れていたのは)10日や15日ではない、何十年なんだ」朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が伝えた5人目の生存者である可能性が高まった曽我ひとみさんの父茂さん(70)=新潟県真野町=は20日、新潟県庁で会見し、24年ぶりに聞いた妻子の安否情報に揺さぶられた心情を訴えた。
「優しい娘だった。仲良しだった妹も心配している」と、うつむき加減のほおを伝う涙をハンカチでぬぐった。
生死が分からない妻のミヨシさんについては、「よく一緒に田んぼや畑で仕事をした。何度も夢に出てきた」と思いを寄せた。
前夜のテレビニュースで「ソガ」と聞いたが、その瞬間は「どうしていいか分からなかった」という。朝になり地元の区長が町役場に連絡。事情を説明するため茂さんも親せきたちに連れられ役場に駆け付け、大騒ぎになった。
新潟県真野町の自宅では午後になって、仏壇の上に飾られていた2人の「遺影」を近所の人たちが畳の上に下ろし「やっぱり神隠しじゃなかったんだ」と、しみじみとのぞき込んでいた。《共同通信》
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小泉純一郎首相は20日、北朝鮮による日本人拉致事件で、日本側が把握していなかった5人目の生存者「ソガ・ヒトミ」さんに関し、「親も一緒に行方不明になっている。(親の安否など)まだ分からないところがある。確認作業をしているところだ」と述べ、看護師曽我ひとみさんと同一人物か最終確認中であることを明らかにした。《共同通信》
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【大相撲秋場所】
大相撲秋場所13日目(20日・両国国技館)単独トップだった横綱武蔵丸が敗れ、横綱貴乃花と大関魁皇の3人が11勝2敗で並んだ。魁皇は武蔵丸を右外掛けで破り、貴乃花は立ち合いの変化から大関千代大海を引き落とした。千代大海は場所後の横綱昇進が絶望的となる3敗目を喫した。大関朝青龍は関脇若の里に寄り切られて4敗に後退。若の里は勝ち越した。大関武双山は琴光喜に突き落とされて7勝6敗。琴光喜は白星を2けたに乗せた。関脇土佐ノ海は、小結貴ノ浪とともに6勝目。小結高見盛は10敗目を喫した。《共同通信》
【東京電力・原発トラブル隠し】さらに8件
東京電力の原発トラブル隠しで、これまで発表した29件以外に、原発8基に8件の隠ぺいがあったことが20日、分かった。いずれも、炉心の冷却水が通る再循環系配管の溶接部にあったひび割れの兆候を国に報告していなかった。
また同日、東北電力女川原発1号機、中部電力浜岡原発1、3号機でも、再循環系配管のひび割れ兆候を国に報告していなかったことが発覚した。
再循環系配管の破損は冷却水漏れ事故につながるため、圧力容器内の炉心隔壁(シュラウド)より、安全上、重要な機器とされる。
経済産業省原子力安全・保安院は、電気事業法に基づく技術基準適合義務や報告義務の違反がないか調査する。平沼赳夫経産相は「(法に基づく)立ち入り検査などを含め、厳格に対処したい」と語った。
東電によると、8件の隠ぺいは29件の公表後に行った過去の点検、補修作業の調査の中で見つかった。兆候があったのは、福島第一1、2、3、4、5号機、同第二3号機、柏崎刈羽1、2号機。1993年以降、自主点検での超音波検査で確認した。確認数は2−12カ所でいずれも配管継ぎ手部分。配管の肉厚40ミリに対し、傷の深さは最大で13ミリだった。
点検を請け負った東芝と日立製作所は、ひび割れの兆候を記載した報告書を出したが、東電は強度などを評価して「安全上問題ない」と判断。国への定検報告書では、兆候の存在を報告していなかった。
福島第二3号機と柏崎刈羽1号機は現在停止中だが、同2号機は運転中で、東電は同日午後にも運転を停止して緊急点検する。中部電力も浜岡3号機を同日中に停止し、緊急点検する。《共同通信》
【下関駅通り魔殺人事件】38歳被告に死刑判決
山口県下関市のJR下関駅で1999年9月、5人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、殺人罪などに問われた同県豊浦町、運送業A被告(38)の判決公判が20日午後、山口地裁下関支部で開かれた。並木正男裁判長は、A被告の刑事責任能力を完全に認め「計画的、確定的殺意をもって行われた、犯罪史上まれにみる凶悪な事案。動機に酌量すべき事情もない」として求刑通り死刑を言い渡した。
判決理由で並木裁判長は、証拠採用された二つの精神鑑定書のうち「人格に偏りはあるが、対人恐怖症か神経症性うつ病などの範囲内」とする保崎秀夫・慶応大名誉教授(精神医学)の鑑定を採用。
弁護側が論拠とした福島章・上智大名誉教授(犯罪心理学)の「統合失調症か妄想性障害(パラノイア)のため、心神喪失か、少なくとも心神耗弱だった」との主張を退けた。
その上で並木裁判長は「自らの不遇を周囲に責任転嫁し、身勝手、理不尽な怒りを正当化した。冷静な計算のもとに、何の落ち度も関係もない5人の命を奪い、極刑をもって臨むことはやむを得ない」と理由を述べた。
弁護側は「被告と両親の意思を確認し控訴するかどうか決める」とした。
判決によると、A被告は99年9月29日午後4時25分ごろ、JR下関駅にレンタカーで突っ込み、歩道や駅構内で7人をはね、用意していた刃渡り約18センチの包丁を持ち同駅改札口から侵入。階段やホームにいた乗客ら8人に切りつけるなどして、5人を殺害し、10人に重軽傷を負わせた。
弁護側は、事件で負傷し同年11月になって死亡した女性=当時(43)=について「死因は持病によるもので、殺人未遂罪に相当する」としていたが、判決はこの主張も退けた。《共同通信》
【NHK連続テレビ小説・さくら】1話飛ばし放送
NHKが放送中の連続テレビ小説「さくら」で、21日放送予定の第150回を誤って20日午前8時15分から総合テレビで放送した。NHK広報局によると、テープの取り違えが原因で、こうしたミスは極めて珍しいという。全国から電話などで7000件を超す問い合わせが殺到した。《共同通信》
【川口順子外相】「拉致は領土主権の侵害」
川口外相は20日の衆院外務委員会で、北朝鮮による日本人拉致事件について、「北朝鮮による拉致は、領土主権の侵害に当たる。どういう状況で行われたか真相究明がまず必要だ。国交正常化交渉で拉致問題を最重要課題として取り上げたい」と述べ、拉致被害者が拉致された状況や経緯の解明に取り組む考えを強調した。
田中均アジア大洋州局長は、17日に北朝鮮側が提示した拉致被害者の安否リストを伏せていたことについて、「非公式のものとは言え、家族に情報がすぐ伝わらなかったことは大変反省している。おわびしたい」と陳謝した。《読売新聞》
【イスラエル・パレスチナ情勢】
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラにある自治政府議長府に侵攻したイスラエル軍の戦車部隊は20日も、アラファト議長が滞在する官邸の包囲を継続、議長は依然監禁下に置かれている。
軍は同日総長、議長府内に残る治安部隊の建物などを爆破、議長府のパレスチナ警官1人を軍の狙撃手が射殺した。
一方、軍は同日未明にガザ市にも一時侵攻し、金属加工工場などを爆破、パレスチナ人の男女計2人が軍の銃撃で死亡した。軍は西岸ジェニン、ナブルスなどの封鎖を強化するとともに、指名手配者約20人をかくまう議長府を孤立させたと発表、緊迫した状態が続いている。
アラファト議長はエジプトのムバラク大統領やヨルダンのアブドラ国王らに電話し、軍の包囲解除に緊急介入を要請した。
イスラエルは手配者約20人の身柄引き渡しを要求、20日朝までに議長府内からパレスチナ人計20人が投降したが、手配者はこのうち一部にとどまっている。《共同通信》
◇
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの自治政府議長府官邸の包囲を続けるイスラエル軍は20日夜、戦車で官邸の建物を砲撃した。被弾したのは議長がいた場所の上の階だったが、議長にけがはないもよう。
軍は戦車のほかブルドーザーなどを投入し攻撃を実行、議長執務室などがある官邸の2棟をつなぐ渡り廊下が破壊された。2棟は行き来が不能になり、監禁下に置かれているアラファト議長はさらに狭い建物内に隔離された。
官邸内からは多数のパレスチナ人が同軍に投降。官邸内にいる側近のアブルデイネ報道官は、投降したのは26人で議長府の職員だと述べたが、治安部隊メンバーとの情報もある。
軍報道官は作戦目的について、官邸内にいる自治政府のティラウィ総合情報局長官(西岸地区)ら、イスラエルが指名手配している20人の投降を促すためと言明。同長官らが投降するまで包囲や攻撃を続ける構えだ。
イスラエル政府は議長に危害を加えたり、強制的に追放することはしないと強調しているが、大掛かりな包囲作戦が長引けは議長が戦闘に巻き込まれる恐れもある。《共同通信》
【米・ブッシュ政権】新戦略発表
ブッシュ米政権は20日、敵対国家やテロ組織に対する単独の先制攻撃を認め、他国を寄せ付けない圧倒的な軍事的優位を将来に渡って維持するとの包括的な新政策文書「米国の国家安全保障戦略」を発表した。
「ブッシュ・ドクトリン」と呼ばれる新戦略は米中枢同時テロの経験から、抑止政策は安全保障の維持には役立たないと判断し、冷戦時代以来続いた抑止力重視の安保戦略からの抜本的な転換となった。先制攻撃の容認はイラク攻撃の政策的裏付けとなるほか、大量破壊兵器開発の疑惑がもたれる朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)にも大きな力となりそうだ。
国家安全保障戦略は、歴代大統領が対外政策を包括的に説明するため議会に提出しているが、ブッシュ政権は、発足以来1年8カ月にして初めてまとめた。《共同通信》
【この日の民主党】
外務省の拉致問題への対応を厳しく追及
民主党の伊藤英成ネクストキャビネット外相は、20日に開かれた衆議院外務委員会で、17日の日朝首脳会談をめぐる外務省の対応を厳しく追及した。
伊藤議員はまず、「日朝平壌宣言に“拉致”“謝罪”の言葉が入っていない。これで解決したとの誤解を与えたのではないか」と質した。川口外相は「これで終わったとは思っていない。交渉の中で徹底的に追及していく」と答え、質問にはまともには答えなかった。
さらに伊藤議員が宣言について原案の修正があったかを質したのに対し、田中均アジア大洋州局長は「修正はない。総理は総合的に判断されて署名された」と回答。伊藤議員は「交渉の結果、宣言が出される。重要なことがあれば反映されるべきではないか。外務省は人間の命を軽く見ているのではないか。安否情報のリストの翻訳にはどれくらいの時間がかかったのか。総理はいつ知ったのか」と厳しく追及した。
田中局長は「朝の準備会合で、年月日が入ったものを非公式なものとして受け取った。公式なものは赤十字から通知文を渡すということで、それには年月日がなかった。従ってこの正式なものを採用した。翻訳に長時間かかったということはない。総理が知ったのは午後の会談の直後」と回答。伊藤議員は「交渉ではすべてを頭に入れてしなければならない。こんな重要な話がなぜすぐに耳に入らないのか。国民を守る意識があるのか」と外務省の外交姿勢そのものを強く批判した。
この日の外務委員会では、首藤信彦、金子善次郎、渡辺周の各議員もそれぞれ外務省の姿勢を追及した。《民主党ニュース》