平成4171日目
2000/06/09
この日のできごと(何の日)
【森喜朗首相】ASEAN首脳と会談
森喜朗首相は9日午前、官邸で東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の首脳らと会談し、ASEANの新規加盟国(ベトナム、カンボジア、ミャンマー)への支援などを目的とする「日・ASEAN総合交流基金」を創設する方針を表明した。
また、世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交渉(新ラウンド)について「発展途上国を含め各国の幅広い関心に対応できるよう早期立ち上げに努力しており、主要国首脳会議(沖縄サミット)で新ラウンドに向け、力強いメッセージを発したい」と強調した。
総合交流基金は、ASEAN内の各国の経済格差が大きいことから、新規加盟国やASEAN中央事務局を支援するのが狙い。日本政府は初年度として約250万ドル拠出する。
ASEAN議長国タイのチュアン首相は沖縄サミットに向け、①国際金融システムの改革②主要国にアジアの発展の潜在力を知らせる③途上国に配慮した世界貿易機関(WTO)新ラウンドの立ち上げ−などを要請。また、アジア通貨基金(AMF)創設を真剣に検討するよう求めた。首相はAMF構想について「さまざまな角度から可能性を検討したい」と述べた。
会談にはワヒド・インドネシア大統領、エストラダ・フィリピン大統領、チュアン・タイ首相、マハティール・マレーシア首相、フン・セン・カンボジア首相らが出席した。《共同通信》
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【西鉄バスジャック事件】少年の審判開始を決定
西鉄高速バス乗っ取り事件で、佐賀家裁(永留克記裁判官)は9日、強盗殺人などの容疑事実で送致され、佐賀少年鑑別所に収容されている佐賀市の無職少年(17)について、審判開始を決定した。近く第1回審判が開かれる見込み。
捜査段階の簡易精神鑑定は、重い精神障害の可能性を指摘して「責任能力は即断できない」とし、広島家裁も移送決定理由で「責任能力が大きな争点になると想定される」と指摘。佐賀家裁は審判開始後、観護措置を中断して少年を1−3カ月程度鑑定留置し、正式な鑑定をするとみられる。
審判は成人の裁判と異なりすべて非公開。事件の事実関係や犯行時の少年の精神状態、動機などを解明した上で、少年院送致などの保護処分が、成人と同じ裁判を受けさせるため検察官へ逆送するかなど、処遇を決める。
少年は5月3日、乗客らを包丁で脅してバスを乗っ取り、女性客1人を殺害、2人に大けがをさせるなどしたとして、今月5日に強盗殺人などの容疑事実で広島家裁に送致された。
しかし、同家裁は「少年の生活環境を綿密に調査し、担当医や被害者らから事情を聴くには佐賀の方が適切」などとして少年を佐賀家裁に移送した。
広島地検は家裁送致の際、少年には責任能力があったと判断して「刑事処分が相当」との意見書を付けたが、少年には理解困難な言動が目立つため、付添人弁護団は「精神障害の疑いがある」として正式な精神鑑定の実施を申請している。《共同通信》
【名古屋5000万円恐喝事件】愛知県警、署長ら処分
名古屋市緑区の少年(15)が中学三年当時に約5000万円を脅し取られた事件で、愛知県警は9日、少年の母親らから相談を受けた地元の緑署の事件への対応が不十分だったとして、相談の窓口だった同署少年係長(54)を本部長訓戒に、上司だった小林孝・前署長(59)と二木浩文署長(57)を本部長注意にするなど計5人の処分を決めた。
同県警監察官室は「明らかに違法な行為はなかった」として地方公務員法に基づく懲戒処分を見送った。そのうえで「電話一本入れるなどもう一歩踏み込んでフォローしていれば、被害拡大は防げたかもしれない」と判断、「軽微な規律違反」として処分を決めたと説明している。
ほかに、鈴木康夫・前同署生活安全課長(50)が本部長訓戒、前少年係専門官(51)が所属長訓戒とされた。
監察官室によると、少年係長は昨年7月1日に被害者少年側から、今年3月6日には主犯格少年(16)=中等少年院送致=の親から相談を受け、事件の端緒を得たが、積極的に動かなかった。同専門官は昨年7月6日、中学校側との連絡会で加害少年らの名前が出たのに上司に報告しなかった。上司だった鈴木前課長は、加害少年が関与した別の3件の恐喝事件の捜査を長期間放置した責任も問われた。
昨年7月当時の署長で監督責任を問われた小林前署長は、被害少年の母親からの相談について部下から報告を受けておらず、二木署長は今年3月、主犯格少年の親からの相談後に捜査を指示したという。《共同通信》
【自民党・鳩山邦夫氏】「兄はカメレオン」
自民党の鳩山邦夫元文相は9日夜、横浜市内で開かれた公明党主催の講演会で、民主党の鳩山由紀夫代表について「兄はカメレオンのように自分の色が変えられる。右の人といると右になり、共産党と一緒にいると赤くなる。民主党をつくった一人として大きな責任を感じている」と批判した。《共同通信》
【与党3党首】衆院選勝利へ結束確認
森喜朗首相、公明党の神崎武法代表、保守党の扇千景党首は9日夕、首相官邸で会談し、13日公示の衆院選に向け、3与党が結束して選挙戦に臨む方針を確認した。森首相は景気動向について「公共事業の落ち込みが大きく、心配している」と懸念を表明、2000年度補正予算編成も含め景気対策のてこ入れを早急に検討することも確認した。《共同通信》
【小渕千鶴子さん】手記寄稿
脳こうそくで死去した小渕恵三前首相の夫人・千鶴子さんが、9日発売の月刊誌「文芸春秋」に、小渕氏の入院の経過や闘病生活に関する手記を寄稿した。
それによると、後に問題となった4月2日午後7時すぎの青木幹雄官房長官の面会前後の病状について、夫人は面会の場に立ち会わなかったとした上で、「このころ、主人(小渕氏)はしきりに『起きたい、起きたい』と口にしました。病院の先生が、安静にしていてくださいと言うのに、全身の力を使って起きようとするのです。私は『あなた、安静にしてください。もうちょっと寝ててください』と、止めるのに必死でした」と記している。青木氏が帰った後、容体がだんだん悪化し、CTスキャン検査に向かったという。
小渕氏は首相公邸で体調不良を訴えた1日深夜には、左半身が少しまひし、「トイレに行きたい」「水が飲みたい」などと訴えた。言葉ははっきりしていたため、それほど重大な病気とは思わなかったという。主治医を呼び、点滴を受けてから病院に向かった。車までは秘書の肩につかまり自分で歩いた。
入院後も医師から「長くても1カ月くらい入院すれば、また首相の激職にも復帰できます」と伝えられ、2日夕までは楽観的な見通しが示されていたようだ。
また、夫人は写真週刊誌が掲載した小渕氏の「病床写真」について「主人のものではない」と否定するとともに、こうした写真を公表したことは「私たち家族を傷つけた」と訴えている。《共同通信》
【この日の民主党】
「今こそ知的財産の創造・権利化を」知的財産権戦略PTが提言発表
民主党の知的財産権戦略プロジェクトチーム(PT)の簗瀬進座長は9日、国会内で記者会見し、特許制度を基盤とする日本の知的所有権政策の強化を提言する『知的財産権についての21世紀戦略』を発表した。
「はばたけ知的冒険者たち」という副題のついた同文書は、第1章で来世紀には国家の運命まで決定するとされる特許権や著作権などの知的所有権の重要性について解説。第2章では、コンピューターの心臓部である「システムLSI」、デリバティブなどの金融ビジネス特許、経済上もっとも重要な遺伝子工学の分野での特許数で、日本が米国に決定的に遅れをとっている現状が紹介されている。
これを受けて第3章では、(1)知的財産権にかかわる行政を内閣で一元的に統括する「知的戦略会議」の設置(2)特許係争に巻き込まれた弱小ベンチャー企業の保護を目的とする司法のセーフネットの設立(3)先端技術開発の先行投資に対する優遇税制の新設――などが提起されている。
簗瀬座長は、「米国は80年代の日本との競争で製造業が打撃を受けたさいに、技術など知的財産を豊富に創造し、それを迅速に権利化するよう求めた『ヤング・レポート』を発表し、経済を回復させた。今こそ日本もこうしたやり方に学ぶべきだ」と述べた。
なお、10日発売の『中央公論』7月号に、この提言を解説した「これが民主党“日本版ヤング・レポート”だ」が掲載されている。
森内閣疑惑解明PTが「憲法学者へのアンケート」結果を発表
森内閣疑惑解明プロジェクトチームの江田五月座長は9日、国会内で記者会見し、学者・研究者など憲法の専門家に対しておこなった「小渕首相の首相臨時代理指定」に関するアンケート結果を発表した。
日本公法学会学会員のうち法学部もしくはそれに類する学部・学科に所属する専任講師以上の大学教員475人に5月26日に郵送し(うち8人は不明で返送)、6月1日までに31人から回答が届いた。
その結果、前首相の入院から青木官房長官による臨時代理指定に至る経緯に、「問題があった」が30人、「なかった」が1人となるなど、「回答数は少ないが、憲法上も法律上も問題ありと考える研究者が多数派」(江田座長)である傾向が明らかになった。
1999年度GDP0.6%増達成できず「森内閣の退陣こそ、最大の景気対策だ」と談話発表
民主党の菅直人政調会長と足立良平消費者・産業ネクスト大臣は9日、経企庁が同日発表した今年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値で、1999年度実質GDPが政府見通しの0.6%増を達成できなかったことを受け、「重大な公約違反で、政府の責任を厳しく追及する」との談話を発表した。
菅会長らはこのなかで、1999年度の実質GDPが前年度比0.5%増と3年ぶりにプラス成長に転じたことについて、「バラマキ公共事業乱発や異常な低金利政策によって強引につくられたもの。多くの勤労者や中小企業の景況感には未だ厳しいものがあり、政府の甘い経済分析は大本営発表と言わざるを得ない」と指摘。また、国の内外から経済統計の正当性を疑う声が出ていることについて「責任の所在を明らかにすべき」と述べたうえで、「もはや政府に経済運営を任せることはできない。次期総選挙で民主党が勝利し、森内閣を退陣させることこそ最大の景気対策であることを強調したい」と政権交代への意欲を改めて示した。《民主党ニュース》