平成879日目
1991/06/05
この日のできごと(何の日)
【雲仙普賢岳火砕流災害】新たに22遺体を収容
長崎県雲仙・普賢岳(1359メートル)の大規模火砕流災害で、行方不明者が残る島原市北上木場町では五日朝から、陸上自衛隊の捜索活動が再開され、午前中に13遺体が収容された。うち3遺体は九州管区機動隊員、A巡査(25)と、KTN(テレビ長崎)カメラマンBさん(44)、KTNソサエティー社員、Cさん(31)と確認された。
これで遺体が収容されたのは17人、うち4人の身元がわかった。また、長崎県警のヘリコプターによる上空捜索などから、4日までに確認されている28遺体とは別に4遺体が発見され、現場での行方不明者はこれまで公表されていたよりも1人増えて32人だったことがわかり、病院での死者5人を含め、犠牲者は37人となった。遺体の損傷はひどく、身元確認は難航している。
地上活動に先立ち、この日朝から長崎県警による上、空捜索が行われ、眼鏡橋と平原橋の中間の水無川左岸の道路や畑などから、新たな4遺体が見つかった。現場での不明者はこれまでより1人増えたが、同県警では、届け出のない行方不明者がいるものとみて、調べている。
自衛隊の作業は午前8時から始まり、陸自第四施設大隊(長崎県大村市、大隊長・池田正大二等陸佐)の装甲車(装甲付きブルドーザー)1台で、4日の捜索で多数の遺体を確認した水無川の眼鏡橋付近から上流約1キロにわたり、同川北岸沿いに障害物を除去した。
工作隊の活動は、遺体捜索を目的としたものではなかったが、上空から遺体が集中して発見されている地区で作業中、北上木場町農業研修所跡付近にあった焼けたパトカーの助手席に一体を発見して収容。警察官とみられることから、上司が確認した結果、さる3日火砕流の発生直後、危険地域にいる報道陣らに避難を呼び掛けに行ったまま不明になっていたA巡査と判明した。《読売新聞》
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長崎県雲仙・普賢岳(1359メートル)の地獄跡火口東側斜面に新たな溶岩塊が舌状にせり出しているのが5日午前、本社ヘリから確認されたが、気象庁雲仙岳測候所は同日午後3時に臨時火山情報を出し、このせり出しが崩落して大規模な火砕流を引き起こす恐れがあるとして、厳重な警戒を呼びかけている。 気象庁によると、せり出しは5日昼の機上観測段階で幅80メートル、長さ約100メートル。斜面には、3日の大規模火砕流で火口から320メートルほどにわたってV字形の溝ができており、舌状のせり出しが落下した場合、溶岩塊はこの溝を一気に滑り降りる可能性が高い。
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雲仙・普賢岳の火砕流災害で、5日午後も陸上自衛隊による遺体収容作業が続けられ、22人(うち女性1人)を収容、これで計26人となった。このうち読売新聞大阪本社写真部記者Aさん(53)ら13人の身元が確認され、身元判明者は計14人。また、やけどで入院していた消防団員が同夜死亡、病院で亡くなった人は6人となった。 自衛隊は空からの捜索で「28遺体を確認」としていたが、この日の作業で「地表に見えたすべての遺体は収容した」として、午後3時前、作業を打ち切った。しかし、夕方捜索に出た自衛隊のヘリコプターが遺体らしい1人を発見、現場での犠牲者数は33人に上る可能性も出てきた。《読売新聞》
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【海上自衛隊・掃海隊】ペルシャ湾で機雷除去作業開始
海上自衛隊のペルシャ湾掃海派遣部隊=落合畯司令=は、5日午前7時(日本時間午後1時)から、クウェート沖約100キロの機雷原で初の掃海作業に入った。掃海作業を始めたのは、「ゆりしま」「あわしま」「さくしま」「ひこしま」の4隻の掃海艇で、海上自衛隊幕僚監部に入った連絡によると、同日の作業は、感応型機雷に対する複合海作業から始まったという。
同作業は船舶のスクリュー音や磁気などに反応、爆発する海底に仕掛けられた沈底型の機雷を除去するもので、掃海艇の後尾から、磁気を発生する掃海電線や、船のスクリュー音を発する発音体を引いて、約6ノットの速度で航行、海底の機雷を爆発させる仕組み。
防衛庁によると、掃海部隊は、今月末ごろまで水深の深い同海域での掃海作業を実施、その後は、クウェートやイラク側の了解が出ればイラクの沿岸に近い水深の浅い海域に移って、より難しい掃海作業に当たるという。《読売新聞》
【上原謙さん、大林雅子さん】離婚
俳優の上原謙さん(81)と大林雅子さん(45)が5日、正式に離婚した。
雅子さんは昭和51年、俳優の加山雄三さん(54)の父親でもある上原さんと結婚、38歳という年齢の差で話題となり、2人の女の子も生まれた。
雅子さんは5日、東京都の港区役所に離婚届を提出、2人の子供は雅子さんが引き取り、慰謝料や養育費なども上原さん側に請求しないという。《共同通信》
【海部俊樹首相】「新しいものが生まれるのが議会政治の本来の姿」
海部首相は5日夜、民放テレビ番組の録画撮りの中で政治改革について「いろいろな案が出てきて、より高い、新しいものが生まれるのが議会政治の本来の姿だ。それを成し遂げるために臨時国会を開く」と述べ、政府、自民党が政治改革関連法案をまとめた後、臨時国会での論議を通じ野党側の出方によって修正にも応じる柔軟な姿勢を示した。《共同通信》
【社会党】「影の内閣」了承
社会党の党改革委員会(田辺誠委員長)は5日、7月の臨時党大会後から実質的なシャドーキャビネット(影の内閣)を一部スタニートさせることなどを盛り込んだ「シャドーキャビネット検討小委員会」(主査・伊藤茂政審会長)の報告をほぼ原案通り了承した。
ただ、影の内閣の設置にともなう書記局機構の改編が、「党務改革に関する検討小委員会」で行っている作業の行方とも絡むため、最終的には党務検討小委の作業の行方を見た上で、11、12日の改革委員会で決定することにしている。
他の野党が、将来、影の内閣に加わることなどを考慮し、臨時党大会後に設置する当面の影の内閣の具体的な内容は明記していないが、とりあえずは、大蔵、外務、防衛など5省庁が対象とされている。《読売新聞》
【中山太郎外相】仏・デュマ外相と会談
訪仏中の中山太郎外相は5日(日本時間6日未明)、パリの仏外務省で、ロラン・デュマ外相と夕食を共にしながら約2時間会談した。
デュマ外相はソ連情勢について「内政、経済ともますます難しくなろう。今後5、6か月はゴルバチョフ政権に重要な時期だ。対ソ支援をやらないと困ったことになる」との認識を示し、ゴ政権を支える意味からも金融分野も含め積極的な対ソ支援を行うべきだとの立場を強調した。
これに対し、中山外相は、「ゴルバチョフ大統領の来日で対ソ感情は良くなったが、日ソ間の問題解決の糸口さえ見えなかったことに日本国民は失望している」と、日ソ関係改善はソ連次第との見方を示すなど、対ソ金融支援には慎重な姿勢を変えなかった。また中山外相は、ミッテラン仏大統領が核拡散防止条約(NPT)加盟の方針を打ち出したことを高く評価した。
会談では、このほか中山外相がデュマ外相の早期訪日を招請、デュマ外相も応じる意向を表明した。中山外相は6日午前(日本時間同日午後)、軍縮会議で演説するため、パリから空路ジュネーブに向かう。《読売新聞》