平成4869日目
2002/05/08
この日のできごと(何の日)
【瀋陽日本総領事館駆け込み事件】
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を脱出した一家計5人が8日午後、中国・瀋陽の日本総領事館に亡命を求めて駆け込んだ。5人は夫婦と娘(3つ)、夫の母親と弟で、うち妻と娘、夫の母の3人は中国公安当局に総領事館入り口付近で拘束され、夫と弟の2人は総領事館の査証申請窓口の待合室まで入ったが、追いかけるように入ってきた中国の武装警官が連行、拘束した。
総領事館内は外交関係に関するウィーン条約で治外法権が認められている。武装警官に治外法権が侵された形となり、高橋邦夫駐中国公使が同日、中国外務省を訪れて抗議、連行された人物の引き渡しを強く求めた。
ほぼ同時に瀋陽の米国領事館にも別の2人の北朝鮮住民が壁を乗り越えて駆け込み、中国当局の拘束を免れて館内で亡命を求めているもようだ。亡命申請者に対する日米の扱いの違いも結果的に際立ち、国際世論からの批判も予想される。
北京の日本大使館によると、総領事館員は待合室まで入ってきた武装警官に駆け込んだ2人を移動させないように求めたが、武装警官は聞き入れず、瀋陽市公安局に連行した。高橋公使の抗議に中国外務省領事曲の邱紹芳・副局長は「上司に報告する。拘束者の身分は公安部門で確認中だ」とだけ答えた。
日本の在外公館にこれだけの数の北朝鮮住民が亡命を求め公然と駆け込んだのは初めてで、中国の地方の外国公館に公然と亡命を求めたのも例がない。
消息筋によると、5人は昨年6月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)北京事務所に駆け込み、韓国に亡命したチャン・ギルス君の親類。家長が政治的発言を理由に逮捕され、家族も監視される状況となったてめ1998年に中国に脱出したという。
中国では3月に北朝鮮住民25人が北京のスペイン大使館に駆け込み、フィリピン経由で韓国に亡命するなど、外国公館に北朝鮮住民が駆け込む事件が相次ぎ、中国政府が外国公館警備を強化するなど対応に腐心していた。《共同通信》
◇
小泉純一郎首相は8日夜、中国・瀋陽の日本総領事館に亡命を求めた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民を中国の武装警官が拘束した問題について「外国でのことだが、よく調査して冷静に慎重にやるようにと言った」と述べ、事実関係を詳細に調査するよう外務省に指示したことを明らかにした。首相官邸で記者団の質問に答えた。《共同通信》
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【皇太子殿下】一家で静養
皇太子ご夫妻は8日午後、生後5カ月の愛子さまを連れて、静養のため栃木県の那須御用邸に入られた。14日まで滞在する。東京駅の東北新幹線ホームで、雅子さまに抱かれた愛子さまは乗降客らの歓声を浴びてきょとんとした様子だった。那須塩原の駅では約1500人が出迎えた。《共同通信》
【衆院有事法制特別委員会】
福田康夫官房長官は8日午後、有事関連法案を審議する衆院有事法制特別委員会で、公海上の自衛隊艦船や民間船舶への攻撃について「組織的、計画的な攻撃と認定できるかどうかが問題。わが国への武力行使に当たるという場合も排除できない」と述べ、状況によって、法案が定義する「わが国に対する外部からの武力攻撃」に含まれるとの考えを示した。
ただ艦船や航空機が他国の領域にある場合や、在外公館などへの攻撃は「その国の治安維持に依存している。基本的にはな武力攻撃の定義に)入らない」との見解を示した。
私権制限の在り方について福田氏は「今後整備する個別法で、権利の内容、性質、程度、権利を制限することによって達成される公益の内容、程度、緊急性を総合的に勘案し、その必要性を検討すべきだ」と述べた。
津野修内閣法制局長官は今回の法案と憲法との関係について「公共の福祉の観点から国民の権利を制限する法律の制定は可能だ」とした上で、「旧帝国憲法下の戒厳令のように憲法秩序を一時停止するような国家緊急権の制度を図る法律ではない」と述べ、憲法との整合性はとれているとの考えを強調した。《共同通信》
【MLB】
米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手は8日、シアトルのブルージェイズ戦で4打数3安打、8試合連続安打をマークした。イチローは第2打席で中前打、第3打席で三塁バント安打、七回の第5打席は中犠飛で打点1。延長十回の第6打席では一塁バント安打を決め、二進後に三盗。オルルードの内野ゴロで生還し、足の威力で5−4のサヨナラ勝ちを導いた。佐々木投手が1点リードの九回に登板。失策絡みで同点とされたが、2回を投げ、2安打、1失点(自責点0)で2勝目(7セーブ)。
ジャイアンツの新庄外野手はメッツ戦で4打数1安打1打点だった。打率は2割2分4厘。ブルワーズの野村投手はレッズ戦の六回に登板、1/3回で2失点(自責点1)。エクスポズの吉井投手はロッキーズ戦の九回に登板し、1回を1安打、1失点。《共同通信》
【この日の民主党】
松崎議員、財務省の泥棒被害で霞ヶ関の危機管理問う
平成10年度および11年度決算他2件に対する締めくくり総括質問が8日行われ、民主党から松崎公昭議員と、木下厚議員が質問に立った。決算は与党の賛成多数で承認された。
松崎議員は前日財務省に泥棒が入ったことを取り上げ、「財務省の4つあるマスターキーのうち1つが1ヶ月前から行方不明で、昨日泥棒が入り、しかも、何が盗まれたか分からない。おまけにマスターキーが不明になったことを財務省は隠していた。有事法制の前に霞ヶ関の危機管理はどうなっているのか」と質した。
これに対して小泉首相は「初めて聞いた。しっかりしてもらわないと困る。全省庁に再度点検させる」と答えた。松崎議員はほかに、郵便事業への民間参入問題をめぐり、特に信書の定義について質問。首相は「民間参入ができる信書の定義を片山総務相に指示している」と答え、片山総務相は「ガイドラインで、具体的に定義する」と回答した。
木下議員は、軟禁状態におかれていたアウンサンスーチーさんの解放について触れ、ミャンマーへの援助が軍事政権強化にならないように求めた。杉浦副外相は「仰せの通り」と回答した。また、外務省・内閣官房の機密費について透明性を高め、機密でないものは公開するよう求めた。さらに、「対ロシア政策について変更はないのか」と質問した。首相は「変更はない」と明言した。
採決に先だって木下議員は「公金の管理・使用に適切を欠いた事例が数多く認められ、政府に対する国民の信頼を大きく損なった」として民主党・無所属クラブを代表して反対討論した。
五島議員、健保法改正案の問題点をつく
8日、衆議院の厚生労働委員会で、民主党の五島正規議員が質問に立ち、健康保険法等の一部を改正する法律案をめぐり、診療報酬改定の諸問題、市場主義導入による影響、高額療養費償還払い制度の行方などについて質した。
平成14年度社会保険診療報酬等の改定概要では、長期入院に係る保険給付の範囲の見直しとして、患者側の事情により6カ月を超えて長期入院している患者については特定療養費制度の対象とし、保険給付の範囲を見直し、患者の自己負担を医療機関が自由に徴収していいとしているが、他方で、同一医療機関内であっても一度、3カ月以上介護療養病床に移った後に、改めて医療療養病床へ転床させた場合はリフレッシュしたものと見なされ、改めて6カ月は保険給付の削減はしないとされている。こうした改定概要の内容について、五島議員は「同じ病院内で、介護療養型と医療療養型との間で、患者を転床させてたらいまわしにすることを暗にすすめることにつながるのではないか」と指摘した。
坂口厚労相は「現時点でもたらいまわしは起きている」などとし、病院に居続けるという状況を避けるという考え方に基づき、症状に応じて行う対応だと説明。それに対して五島議員は、介護保険と医療保険の問題が整理されているとは思えないと批判した。
また、五島議員は腎透析患者の取扱いをめぐって、短時間透析へ移行させようとしている点を問題視し、短時間透析が必ずしも透析医療費抑制にはつながらないと指摘した。そもそも短時間透析と長時間透析の医療効果はイコールではなく、短時間透析の標準化は透析予備軍を適切な医療によって抑制しようとする医療機関の努力を弱めることにもなりかねず、結果として透析医療費を押し上げることになるとの見方を示した。
こうした問題を指摘した上で五島議員は、「こうしたバカげた提案がなぜ出てきたかを考えると、経済財政諮問会議及び総合規制改革会議の答申に戻らざるを得ない」と言及。国民が等しく、様々なコントロールによって健康な状態を維持する健康寿命の延長を望んでいるなか、医療は強い規制のもとに置くことが必要だと指摘し、その意味では政府が提案する市場主義の導入は、国民皆保険制度の崩壊につながると批判した。
さらに五島議員は高額療養費償還払い制度について、償還額が政令事項とされ、国会で審議されることなく年々引き上げられている点を批判。また、入院医療費についても今改正案で3割自己負担としていることについて「3割負担を導入しても短期の一部を除いて高額療養制度により医療費全体への影響はほとんどない。政府は長期療養を優遇して短期入院を圧迫するつもりなのか。それとも最終的に高額療養制度を廃止するつもりなのか」と追及し、そもそも高額療養費償還基準額は政令ではなく、健保法本体で決めるべきだと強く主張した。
辻議員、小泉内閣は「改革なしなし成長なし」
8日、参議院本会議で民主党・新緑風会の辻泰弘議員が質問に立ち、平成12年度決算に対する質疑を行った。
辻議員はまず「平成12年度の日本経済を顧みる時、同年度に最悪を更新した失業率と倒産負債総額に象徴される景気低迷が今日まで続いている事を改めて痛感する」と述べ、小泉内閣発足以来1年、「改革なくして成長なし」というスローガンも今や色あせ、「改革なしなし成長なし」だと現状を痛烈に批判した。その上で、辻議員は、経済・財政問題、小泉政局、12年度に関わる重要政策課題、靖国参拝問題、官房機密費問題など、改革の実効性が上がらない小泉内閣を追及した。
経済・財政問題については、構造改革のスピードと景気回復をもたらすプロセス、経済活性化策、雇用創出の対処、国債30兆円枠の方針変更の点を質した。小泉首相は全ての面において「改革は着実に進んでいる」と何ら具体性のない答弁にとどまり、塩川財相においては「国債30兆円枠」は構造改革の表れとしながらも歳出各分野の方向性は明確さに欠ける答弁であった。
続いて、医療制度改革について辻議員は「平成12年までの抜本改革を約束した時の厚生大臣として、医療制度の実質的な改革にもっと責任を持ち精力を尽くすべきだ」と強く訴えた。ここでも、小泉首相は「基本方針を本年中にまとめる」と終始官僚的な答弁であった。
最後に、辻議員は戦後2番目の企業倒産、最悪の失業率、それらに伴う内閣支持率の低下から、「ライオンが沈みゆく夕陽に向かって空しく咆吼するがごとく、今や小泉内閣に、物悲しき黄昏時が迫りくることを予感する」と締めくくった。
金子議員、有事の際の地方公共団体の責務など質す
8日、衆議院の武力攻撃事態への対処に関する特別委員会において、民主党の金子善次郎議員が質問に立ち、武力攻撃事態への対応における自衛隊員の出動手当、国と地方公共団体との関係などについて政府の方針を質した。
金子議員はまず、昨年の奄美沖での不審船事件で停船業務に出動した海上保安庁職員の出動手当が旧防衛庁職員給与法に基づく規定を遡及適用して支払われた(1回7700円)ことを挙げながら、改正給与法に基づいた危険業務に対する特別勤務手当の基準策定を急ぐよう指摘。関連して、防衛出動に関わる出動手当の基準についての現在の考え方を質した。
中谷防衛庁長官は、脅威の形態、対象地域の範囲、危険度などを参考に判断するなどとあいまいにしか答えられなかった。金子議員は、基準策定について、国民にオープンな形で進めることも要請した。
次に金子議員は、政府の武力攻撃事態法案に規定された地方公共団体の責務について質問。「武力攻撃事態への対処に関し、必要な措置を実施する」(第5条)という条文の「必要な措置」とは何か、と質した。福田官房長官は、「国民の生命、身体、財産の保護に関して必要な諸措置」などと述べたが、金子議員は「漠然としている」と批判し、原発が所在する地方公共団体の場合などを挙げながら「これで対応できるのか」と指弾。同時に地方公共団体との意見の交換・聴取がなさすぎたのではないか、と指摘した。
また金子議員は、北朝鮮拉致問題に対する政府の取り組み姿勢についても質し、小泉総理が「拉致問題の解決なしに、食糧支援は困難だ」と語ったことを取り上げて、「拉致問題の解決なくして援助なし」というのが内閣の見解ということでいいのか、と迫った。福田官房長官は、「(食糧支援は)現在は国民感情として許されないだろう。北朝鮮の拉致問題への姿勢を見て判断すべきだ」などと答えた。金子議員は、「何としてでも行方不明者を取り戻すという厳しい姿勢で臨んでほしい」と要請した。
山田議員、台湾秘密工作資金疑惑を追及
8日、衆議院武力攻撃事態対処特別委員会で質問に立った民主党の山田敏雅議員は、防衛庁への信頼を揺るがすような事件が台湾で報道されていることを取り上げた。この問題は、李登輝総統時代、台湾国家安全局が対米対日工作費として約130億円(1000万ドル)を支出したとするもので、そのうちの10万ドルが秋山前防衛事務次官のハーバード大学への留学費用として提供されたと指摘されている。
山田議員は台湾で現地調査した結果を踏まえて、指摘されている問題の真偽を質した。田中外務省アジア大洋州局長は「報道がなされていることは事実。しかし、その報道が事実であるという情報はない」と答えた。
山田議員はさらに外務省の情報収集能力の欠如、防衛庁の責任を追及したが、中谷防衛庁長官は「退職した人には司直の手で調査を」と述べ、防衛庁として調査する必要性を認めなかった。山田議員は納得せず秋山氏の参考人招致を求め、理事会で協議することとなった。
金田議員、医療制度抜本改革の方向性を質す
8日、衆議院厚生労働委員会において、医療費の自己負担を3割に引き上げる政府提出の「健康保険法等改正案」、民主党提出の「医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案」(患者の権利法案)等についての本格的審議が開始され、金田誠一議員が質問に立った。
金田議員はまず、医療制度抜本改革の方向性について「小泉改革は市場原理、競争原理至上主義のアメリカ型。日本は生活大国のヨーロッパ型を目指すべき」と質した。坂口厚労相は「改革なくして成長なしという小泉首相の意見は、その通りと思う。アメリカ型やヨーロッパ型、北欧型などがあり日本は日本型を目指す」と医療改革の方向性についての明言を避けた。
更に金田議員は「日本の医療改革は、ヨーロッパの中でも保険方式を採っているドイツ型がモデルになる。ドイツでは突き抜け方式を採っている、保険者が自立している、保険者間で競争の原理が働いている、エイジズムを排除しているなどが特徴であり、日本も検討すべき」と質した。坂口厚労相は「保険と国庫負担と自己負担がどうあるべきか、財政負担を考えることが先と思う。抜本改革の方向性は年内に出す」とし、医療改革の具体的方向性について示すことはなかった。
金田議員は「医療制度の抜本改革を行うには理念と制度設計が先。財政負担が先という坂口大臣の意見は問題。損得で医療改革をやろうとするからいつまでたってもできないし、今回の改正案も抜本改革とは程遠い。ドイツのように理念に基いて医療制度の抜本改革を行うべき」と突き抜け方式の導入やエイジズムの排除、リスク構造調整の導入などを提唱したが、坂口厚労相は最後まで抜本改革についての明確な答弁を避けた。
石井議員、イージス艦派遣裏工作問題を追及
民主党の石井紘基議員は、衆議院武力攻撃事態対処特別委員会で8日、海上自衛隊幹部が米軍に対し、海上自衛隊の保有するイージス艦やP3C哨戒機のインド洋派遣を米側から要請するよう裏工作していたと報道された問題などを質した。
石井議員は冒頭、「防衛庁や外務省は国民の命や国の将来に責任を持っている。場合によっては戦争状態になるという法案の議論をするからには、きちっと答弁しないと国民は納得しない。海自幹部が在日米海軍にイージス艦派遣を要請してくれと働きかけたという報道は、事実とすればシビリアンコントロールの観点からきわめて重大な問題」と前置きした上で、働きかけがあったとされる4月11日の海自幹部と在日米海軍チャプリン司令官との会合について、事実関係、会合の内容の説明を求めた。
中谷防衛庁長官は、「海上幕僚監部防衛部長と在日米海軍司令官が月に1、2度意見交換などのために会合をすることがある。5月6日の新聞報道について確認したところ、イージス艦派遣を働きかけたことはないと確認した」と答弁。会合の内容については「私に伝わってきたのは、報道のような事実はないということだけだ」と答えた。
川口外相も、「海幕の件は承知していない。4月29日に与党幹事長らがワシントンでウォルフビッツ米国防副長官に会った際に『日本のイージス艦やP3Cの派遣は有用だ』との発言があったが、これは要請ではなく考えを述べたもの」などと答弁した。
石井議員は、「防衛庁長官や同庁幹部の知らないところで幕僚幹部がこのようなやりとりを直接行っているというのは、シビリアンコントロールの関係で非常に心配だ。十分に全体の情報を把握してもらわないといけない」と防衛庁長官らの態度を厳しく批判した。
石井議員はまた、一連の外務省不祥事で更迭された歴代事務次官の林・柳井・川島氏らの退職金額について外務省が公表を拒んでいる問題を取り上げた。外務省の北島官房長は「特定職員の退職金額は個人情報にあたるので公開できない」「公表していないのは外務省だけではない」などとして、在職年数などに応じた一般的な退職金額の説明にとどめた。
石井議員はこの答弁に納得せず、審議が数度にわたって中断。昼休みをはさんだ石井議員の質問時間の最後に、川口外相が「総務省人事局と相談したが、個人のプライバシーなので公表しないというガイドラインがあるとのことだった」とし、A氏・B氏・C氏と個人名を伏せた上でそれぞれ9100万円、8900万円、9500万円であると答弁した。
松野議員、民有地収用の補償基準を質す
8日、衆議院の武力攻撃事態への対処に関する特別委員会において、民主党の松野頼久議員が質問に立ち、有事の際の国による私有財産収用の損失補償に関連して、沖縄軍用地の借料算定基準の不透明さを追及した。
松野議員はまず、有事の際の民有地収用に対する損失補償の基準が地方公共団体の公共用地借り上げに伴う算定基準に準じることを確認した上で、沖縄の軍用地(駐留米軍基地用地、防衛施設用地)の借料が不透明な算定基準の下で年々大幅に増額している(30年間で6倍)問題を指摘。借料の算定基準、防衛当局が実際に算定した評価額などについて質した。
防衛施設庁の嶋口長官は、固定資産税額に土地利回りをプラスして算定することを旨とする昭和27年の閣議了解が基準になっているとしたものの、過去の実際の評価額については「地主側との今後のやりとりに影響を与える」などとして明らかにしなかった。
松野議員は、「それではクリアな基準に基づいて算定が行われているかどうか、判らない」と批判。加えて、沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)が防衛施設庁の概算要求額をアップするために「関係国会議員の全面的バックアップ」を受けたとしていること、政治連盟を通じて毎年政治家に献金していることなども指摘し、「これで公平に借料が算定されていると言えるか」と厳しく断罪した。嶋口長官は、「土地連の内部事情は関係ない」などとあいまいな答弁に終始した。
松野議員は、公正でクリアな借料算定ルールの策定を要求するとともに、「私権制限にあたってのモラルをしっかり確立しなければ、有事法制の議論も進められない」と厳しく指摘した。
鳩山代表「ずさんな欠陥法案は審議に値しない」
民主党の鳩山由紀夫代表は8日の定例会見で、同日の野党4党幹事長・書記局長会談において個人情報保護法案の撤回、健康保険法改正案の廃案などで結束を確認したことを報告。
また有事法制に関して「まともな答弁がなされていない中、有事法制の議論もまともに行えない。まさに喜劇的議論だ」と述べ、「有事の定義すらあいまいで不誠実。ずさんでノンルールな欠陥法案では、継続審議をするレベルではない。出直してくるべき」と政府の有事法制関連法案に対し、一刀両断にした。
4野党、政治資金規正法改正案の共同提出などで一致
野党4党は8日、幹事長・書記局長会談を行い、今国会の終盤において、以下の事項で共同、結束して国会活動を展開することを確認した。
(1)公共事業受注企業等の政治献金禁止、企業・団体献金を受領できる政党支部制限等を盛り込んだ「政治資金規正法改正案」を衆議院に共同提出し、その成立をめざす。
(2)4党で衆議院に共同提出している、親族・私設秘書を処罰対象に加える等の「あっせん利得処罰法改正案」の今国会中の成立を期す。
(3)4党政策責任者の合意確認にもとづき、自己情報コントロール権が明記されていないこと、公権力による民間への不当介入、報道活動規制などの問題点をもつ「個人情報保護法案」の撤回、健保本人の医療費の3割負担を盛り込んだ「健康保険法改正案」の廃案をめざす。
(4)武力攻撃事態法等3法案については、慎重かつ徹底的な審議を求める。会談後の記者会見で民主党の菅直人幹事長は、政治とカネにまつわる腐敗問題について「鈴木宗男議員や井上裕前参院議長らの個々の問題を超えた制度的課題として取り組む。政治資金規正法改正案を明日提出し今国会中に成立をめざす」と述べた。
また、同法案に盛り込まれた公共事業受注企業からの政治献金禁止等については「小泉首相も提起し、それに野党4党が同調して、4党政調会長で4月5日に福田官房長官に申し入れた経緯がある」と説明。その際、官房長官が「そんなことできるわけがない」などと発言したことを指摘し、政府の「閣内不一致」を強く批判した。《民主党ニュース》