平成4870日目

2002/05/09

この日のできごと(何の日)

【瀋陽日本総領事館駆け込み事件】中国大使に厳重抗議

外務省の竹内行夫事務次官は9日午前、中国の武大偉駐日大使を同省に呼び、瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民を中国の武装警官が日本側の同意なしに連行したことについて「ウィーン条約の公館の不可侵に違反する。強く抗議する。速やかに身柄を引き渡し、詳細な説明を求める」と厳重に抗議した。

武大使は「総領事館の安全確保のために取った措置だ。ウィーン条約を順守している。申し入れは本国に伝える」と述べるにとどまり、両国間の認識の違いが表面化、日中関係の大きな問題ともなりそうだ。

竹内次官は、総領事館員が館内に入った人物から事情聴取したいと警官に主張したのを無視して連行したことを強調、館内に駆け込んだ2人の身柄引き渡しと、館外で取り押さえられた3人を現場に連れ戻すよう要求「早急に誠意ある回答と説明を求める」と述べた。

小泉純一郎首相は記者団に「(ウィーン条約)違反と思っている」と述べ、遺憾の意を表明。川口順子外相も衆院有事法制特別委員会で「中国側の対応は問題で遺憾だ」と指摘、館員が身柄を移動させないよう求めたが聞き入れられなかった経緯をあらためて説明した。《共同通信》

中国・瀋陽で8日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)脱出一家が日本総領事館に駆け込む瞬間の様子がビデオ撮影されていたことが9日、分かった。この映像で、一家5人のうち妻と娘(3つ)、夫の母の3人が総領事館の敷地に入り、追いかけて入った武装警官に敷地外に引きずり出されていたことが確認された。

また、この騒ぎの最中、日本人副領事ら少なくとも4人が気付いて正門まで出てきたが、正門にしがみついて抵抗する女性らに声を掛けるくらいで、ほとんど傍観していたこともビデオ映像から判明した。

この映像によって、中国の武装警官が総領事館の敷地内で男性2人だけでなく、一家5人全員を連行していたことが明らかになった。日本政府は中国当局の連行を領事関係に関するウィーン条約に違反するとして、5人全員の身柄引き渡しをお止めた。

一方、5人のうち、夫と夫の弟の男性2人は門を通り抜けて領事館の査証(ビザ)申請待合室まで駆け込んだ。北京の日本大使館関係者によると、5−6人の武装警官が総領事館内に侵入、待合室のいすに座っていた2人を連行した。警備担当の日本人職員が「総領事館として事情聴取する」「移動させるな」と抗議したが、武装警官は聞き入れなかったという。

映像は正門にしがみつきながら大声を上げて助けを求める女性たちや、通りかかった車が抗議するかのように鳴らすクラクションの音も鮮明にとらえている。

映像はわずか2−3分。男性2人を連行する様子は撮影されていないが、日本大使館関係者によると、武装警官侵入から2人を連れ出すまで14−15分だったという。《共同通信》

小泉純一郎首相は9日午後、首相官邸で、中国人民政治協商会議の胡啓立副主席と会談、中国・瀋陽の日本総領事館への朝鮮民主主義人民共和国住民駆け込み事件について「中国側に誠意ある対応を求めたい」と要請した。

胡氏は「詳細を承知していないので(武大偉駐日)大使を通じて話をしてほしい。中国側はきちんと対応する」と述べるにとどまった。《共同通信》

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【宇多田ヒカルさん】シングル「SAKURA ドロップス」発売

【愛子内親王殿下】那須の牧場へ

栃木県の那須御用邸付属邸で静養中の皇太子ご夫妻は9日午後、長女愛子さまを連れ、御用邸近くの南ヶ丘牧場を訪問された。小雨が降る中、愛子さまを一目見ようと約100人が集まった。

白いベビー服を着た愛子さまは傘をさした。雅子さまに抱かれ、初めて馬や羊を「見学」。来合わせていた7カ月の女の赤ちゃんと顔を合わせ、お互い笑い合ったり、飼育員に抱かれたウサギを見て触ろうとする場面もあった。

皇太子さまは、雨にぬれた愛子さまの髪をポケットから出したハンカチでふいてあげたり、愛子さまがぬれないよう傘を差しかけたりして「パパぶり」を発揮。集まった人から「殿下に似ていますね」と声を掛けられ「口元は雅子似です」と笑顔で答えていた。《共同通信》

【大相撲・貴乃花関】6場所連続の休場決定

大相撲の西横綱貴乃花(29)=東京都出身、二子山部屋=が、痛めている右ひざの回復が遅れているため、夏場所(12日初日・両国国技館)を休場することが9日、決まった。休場は6場所連続で14度目。

横綱在位中の休場も14度目で、大鵬、曙の13場所を上回り、史上最多となった。次の出場は進退を懸けてのものとなる。

昨年5月の夏場所で右ひざを負傷し、翌名古屋場所から休場を続けている貴乃花は、夏場所出場に向けてけいこを続けてきたが、6日の横綱審議委員会のけいこ総見で申し合いを見合わせるなど、調整が間に合わなかった。《共同通信》

【明石花火大会歩道橋事故】明石署前署長ら12人書類送検

兵庫県明石市で昨年7月、花火大会の見物客らが歩道橋上で転倒、11人が死亡、247人が負傷した事故で、兵庫県警捜査本部は9日、業務上過失致死傷の疑いで、雑踏警備を担当した明石署前署長(59)=警務部付に更迭=や主催者の明石市、警備会社「ニシカン」(福岡市)の責任者ら計12人を書類送検した。

捜査本部は明石署、市、警備会社が準備段階から直前まで事故防止義務を怠り、三者の過失が重なって大惨事を招いたと判断した。兵庫県警によると、雑踏警備で警察官が刑事責任を問われ、書類送検されるのは初めて。神戸地検は事故から1年となるまでに刑事処分を決める方針。《共同通信》

【自民党】旧加藤派、再出発

自民党の旧加藤派は、加藤紘一元幹事長の議員辞職を受けて東京・永田町のビルに派閥事務所を移転し、9日昼、事務所開きを行った。小里貞利会長代行はあいさつで「一枚岩、運命共同体として(同派の)14人で団結していきたい」と結束を呼び掛けた。

ただメンバーの外遊や弔事などが重なり、出席議員は衆参でわずか8人。堀内派出身の堀内光雄総務会長に旧加藤派離脱の意向を伝えている金子一義衆院議員(岐阜4区)は連絡なしに欠席し「前途多難」を予感させる再出発となった。

小里氏は加藤氏の議員辞職を踏まえ「短い期間に起伏があった。まさに今は苦しいところだ」と強調。その上で「小泉政権を支え大任を果たしたい」と述べた。《共同通信》

【小泉純一郎首相】「IT施策を強力に推進」


https://www.kantei.go.jp/

5月9日、官邸でIT戦略本部(第12回)が開催された。この日の会議では「e-Japan重点計画-2002(案)」として、世界最高水準の高度情報通信ネットワークインフラの形成、電子商取引等の推進など、重点政策5分野について、世界のIT化のスピードに負けないようe-Japanをさらに加速・前倒し、実施までの期限を区切って317の施策を推進するといった内容を盛り込んだ案が議論された。

締めくくりに、小泉首相は「世界最先端のIT国家の実現に向けて、IT施策を強力に推進していきたい」と挨拶した。《首相官邸》

【ロシア・ダゲスタン共和国】爆弾テロ

ロシア南部ダゲスタン共和国の主要都市カスピースクで9日朝、対ドイツ戦勝利を祝うパレードの最中に地雷による爆弾テロがあり、パレードに参加していた軍人ら34人が死亡、約150人が負傷した。死者には見物などをしていた子ども少なくとも12人が含まれている。

プーチン大統領は急きょ、イワノフ国防相、ハトルシェフ連邦保安局長ら関係閣僚を集め対応を協議。「テロであることに何の疑いもない」と述べ、同長官を団長とする関係省庁の合同捜査チームを結成することを明らかにした。

ダゲスタンはロシア軍とイスラム武装勢力との戦闘が続くチェチェン共和国に隣接。さらにカスピースクには多くの国境警備隊が駐屯しており、ロシア当局はイスラム武装勢力による犯行の可能性が強いとみている。《共同通信》

【MLB】

米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手は9日、シアトルのブルージェイズ戦で6打数2安打。連続試合安打を「9」とし、打率は3割4分1厘で6位に上がった。

イチローは第3打席で右前打。1点を追う九回二死二塁では左前に貴重な同点適時打を放ち、延長十一回、8−7のサヨナラ勝ちにつなげた。長谷川投手は八回の一死満塁で救援登板。2/3回を無安打、無失点だった。

レンジャーズの伊良部投手はホワイトソックス戦で4−1の九回に登板。1回を3者凡退に抑え、8セーブ目(1勝2敗)を挙げた。ジャイアンツの新庄外野手はメッツ戦に「7番・中堅」で出場し、4打数無安打だった。《共同通信》

【この日の民主党】

桑原議員、有事法制と憲法の関係など質す

9日、衆議院の武力攻撃事態対処特別委員会で、民主党の桑原豊議員が質問に立ち、武力攻撃事態法と憲法の関係など、政府の有事法制関連法案の基本問題について質した。

質問の冒頭、桑原議員は、中国・瀋陽の日本総領事館に対する中国警官の侵入事件について触れ、政府の対応を質した。川口外相は、在外公館への現地国官吏の許可なき立ち入りを禁止したウィーン条約に違反するとして中国政府に抗議し、事態の詳細な説明を求めたことを明らかにするとともに、亡命を求めて総領事館内で拘束された北朝鮮住民2人については、身柄の引き渡しを求めていく意向を示した。

桑原議員はまず、小泉首相が有事法制について「備えあれば憂いなし」と発言していることを取り上げ、「現行憲法にも備えはある」と反論。基本的人権の尊重、平和主義、国際協調といった諸原理の実現によって有事を起こさせないというのが憲法の有事に対する考え方だ、とする見解を述べた。

その上で、武力攻撃事態法案の第3条(武力攻撃事態への対処に関する基本理念)において武力攻撃の発生の回避が盛り込まれたことの意味は大きいと指摘し、回避のための具体的な手段を質した。福田官房長官は、外交交渉や国際社会への働きかけなどを一般的に挙げつつ、具体的には今後検討していくとした。

続いて桑原議員は、有事における基本的人権の制約をめぐって質問。同法案第3条で国民の自由と権利の制限を包括的に規定しているのは憲法違反にあたるのではないか、と質した。福田官房長官は、制限を加えることが趣旨ではないとし、有事においても、集会や報道の自由など国民の権利は公共の福祉に反しない限り確保される、と述べた。

これに対して桑原議員は「公共の福祉というのは抽象的だ。基本的人権は有事下でも何の変わりもなく守られるのではないか」と詰め寄った。津野内閣法制局長官は、有事でも基本権が尊重されねばならないのは当然だとしながらも、「権利の制約の範囲は一般的には言えない」と答えた。桑原議員は「どう考えても、有事における人権制限がまだまだ課せられてくる」と批判した。

国と地方公共団体との役割分担をめぐっては、地方公共団体が対処措置を行わなかった場合の代執行を国に認めているのは地方自治法に抵触するのではないか、と質問。片山総務相は「特定の場合に限って、法律にしっかり書いて行うのだから抵触しない」としたが、桑原議員は、国による代執行の要件規定が地方自治法のそれよりも拡大されていることを指摘し、「悪用されることが心配だ。有事における国と地方公共団体との役割分担は地方自治法でも対応できる」と述べた。

また、周辺事態法に規定されている「周辺事態」と武力攻撃事態法案における「武力攻撃が予測されるに至った事態」(予測事態)との併存状態への対処をめぐっても質問。周辺事態下で米軍支援に出動した日本の艦船に攻撃が加えられた場合を想定し、周辺事態法に基づけば退避することになるが、予測事態ととらえれば対応が変わってくるのか、と質した。中谷防衛長官は、その場合は、周辺事態法による対処が基本となるとの見解を示した。

さらに、武力攻撃事態の際に自衛隊と共同で対処にあたる駐留米軍の法的身分についても質問。米軍は日米地位協定によって国内法の尊重義務を負っているが、実際に国内法を犯した場合はどうなるのか、と質した。川口外相は「尊重するのが前提」としか答えられず、内閣法制局長官は「法が適用されるわけではないので、違反もありえない」とした。桑原議員は「地位協定は主に平時段階を対象にしたもの。有事の時の取り決めは考えているのか」と追及したが、外相は今後検討すると答えるにとどまった。

枝野議員、実効性なき有事法案を鋭く批判

民主党の枝野幸男政調会長代理は、9日の衆議院武力攻撃事態特別委員会で質問に立ち、有事関連法案について中身が伴っていないと厳しく批判した。

まず枝野議員は、自衛隊法の改正で「工事する場合、道路管理者や、港湾管理者に事前通知が必要となっているが、有事の際にそんな余裕があるのか。そもそも管理者を探している間に殺されてしまう」と指摘した。中谷防衛庁長官は「携帯電話などを利用し速やかに連絡、通知できるようにする」と答弁。枝野議員は納得せず、「但し書きで、事後通知を認めるべきだ」と修正を迫った。中谷長官は「乱暴な提案。どうぞ対案を出してください」と開き直った。

さらに枝野議員は自衛隊法88条を取り上げ、「違法阻却の規定がある。88条は不十分ながら有事法制なのではないか。88条を具体化させ、戦争犯罪が起きないようにするのが有事立法ではないか」と指摘し、具体的に「橋やビルをあらかじめ軍事上の作戦で壊す場合の根拠は何か」と質した。中谷長官も「88条」と回答。枝野議員は「それなら88条で、今回の法案が通らなくても何でもできることになる」と法案の不必要性を指摘した。

また枝野議員は、今回の改正によって、対処方針を閣議で決定しないと首相の防衛出動命令が出せなくなることを取り上げ、「1分1秒でも早く防衛出動命令を出せるようにするのが、有事法制ではないか」と質した。中谷長官は「速やかにできるようマニュアルをつくる」と有事を全く理解していないかのような答弁。枝野議員は「総理も1大臣という行政法規になっている。トップリーダーの判断でできるようにしないと有事法制にならない」と厳しく欠陥を指摘した。

さらに枝野議員は、防衛庁職員による会計検査院の公文書偽造・同行使を取り上げ「公務員には告発義務がある。どうして告発しないのか。処分しないのか」と迫った。中谷長官は「お詫びする。職員は厳しく注意した」などと述べ、告発は考えないとの答弁に終始した。枝野議員は「このような順法精神の持ち主が責任者では有事法制は任せられない」と長官の罷免を要求した。

渡辺議員、有事の判断基準のあいまいさを追及

9日、衆議院の武力攻撃事態対処特別委員会において、民主党の渡辺周議員は「武力攻撃のおそれのある場合」と「予測されるに至った事態」とがわかりにくいと指摘。98年に起きた北朝鮮のテポドン発射を例に、「この客観的事実をもってすれば『予測』なのか『おそれ』なのか」と、具体的内容の説明を求めた。

中谷防衛庁長官は「そのときの国際情勢と具体的事象をふまえて判断する。一概に今の時点では言えない」などと、抽象的な答弁に終始。さらに「当時の政府は、当事国がわが国を武力攻撃する意志と能力はあるか、日本を直接の標的にしたかどうかを総合的に判断し、武力攻撃の予測される事態ではないと判断したものと思われる」などとした。

渡辺議員は当事国の意図がわからず、日本にミサイルが向かっているという場合は「予測」か「おそれ」かと重ねて質したが、中谷長官は「仮定の話には応えられない」とし、客観的な情勢に基づいて判断するとの答弁にとどまった。渡辺議員は「予測」「おそれ」の明示の必要性を指摘し、理事会での対応を委員長に求めた。

続いて渡辺議員は、「武力」の定義を質し、米国同時多発テロで使われた旅客機は武力か、と質問。中谷長官は「武力となり得る」とし、同様の事態が日本で起きた場合は武力攻撃事態に該当することもあり得ると説明した。渡辺議員はさらに踏み込んで、テロリストに乗っ取られた航空機が自爆目的で飛行しているとき、突入直前に撃墜するか否かの判断を、誰がどのような情報をもとに下すのか、と質問。福田官房長官は「法律の範囲内でできる限りの措置をとる。仮定の話なので判断するのはむずかしい」とするにとどまった。渡辺議員は「武力攻撃事態に該当することもあり得るとしたからには、撃墜することもあり得るはず」と指摘し、当然検討しておくべき事項だとクギをさした。

また渡辺議員は、武力攻撃事態の認定後の国民への公布について質問。福田官房長官は、緊急度によって記者会見の場合もあるし、官報等で公示することもある、などと悠長な答弁。渡辺議員は「一種の非常事態であるからには、すみやかに、あらゆるメディアを使って公示しなければならないはず」と指摘し、具体的な対処内容が何ら検討されていない実状を批判した。

さらに、地方公共団体の責務および国と地方公共団体との役割分担についても質問。片山総務相は「まだ具体的な役割が想定されていない。想定されてから予算措置や体制がどうなるか明らかになる。十分に協議していく」とするにとどまった。渡辺議員は民間防衛など具体的イメージがつかみにくいとし、言葉での定義だけではなく速やかな国民への周知を求めた。

最後に渡辺議員は、安全保障会議の位置づけをめぐって「今まで審議機関であったが、性格が変化し、実際の指揮運用機能を有する機関となる」との見方を示した上で、その人選も討議内容も計画も知らされないのは戦前の枢密院のような存在になるおそれがあると分析。再考の必要性を指摘した。

末松議員、最悪ケースへの対処マニュアルの欠落を追及

9日、衆議院の武力攻撃事態対処特別委員会において、民主党の末松義規議員が質問に立ち、最悪ケースへの対処マニュアルという観点から政府の有事法制を批判した。

末松議員は、外交官時代の湾岸戦争の体験をふまえ、「危機管理の本質は、時間・人・解決するシステムなど当然にあるべきものがなく、それでも対応しなくてはならないということ」「考えるのもいやになるような最悪の事態を想定して様々なシミュレーションを繰り返し、マニュアル化と訓練を行っておくことが重要だ」と前置きしたうえで、まず昨年9月11日の米国でのテロ事件と同種の事件を想定し、日本での対処策をハイジャック機の撃墜の可否を含めて質した。

小泉首相は「ケースバイケースだ。今の時点でああするこうすると言える状況にない」と答えたが、末松議員は「それは、何もせずにそのままハイジャック機を突っ込ませることを容認する発言だ。政治家である首相は『マニュアルを考えてみろ。最後は私が責任を取る』と言うべきではないのか」と追及。首相は「ハイジャック機の撃墜は、事件が発生してからでなければ検討できない」と消極的な姿勢を崩さなかった。

末松議員はまた、「北朝鮮から核や生物兵器を載せたミサイルがあと6分で飛んでくることが判明したらどうするのか」と質した。小泉首相は「そういうものは想定しておらず、一撃を受けたあとでないと対応できない。もしそのような攻撃を受ければ、自衛隊と米軍が共同して対処することになり、大きな抑止力になる」と答えた。末松議員は、「一番想定したくない危機だが、もし今そのミサイルで国会議事堂が攻撃されれば、閣僚全員と国会議員の大半が死亡することになる。そのような状況で誰が指揮をするのか」などとさらに詰め寄った。

末松議員は、前日の山田敏雅議員の質疑を引き継ぐ形で、台湾の国家安全局の秘密資金による対日工作疑惑についても言及。橋本元首相にも「お歳暮」として1万ドルが渡ったという疑惑を指摘した上で、このような外国のロビー活動を通じて秘密資金が日本に流入し、政策決定が歪められている現状を放置すべきでないと主張した。小泉首相は「そのようなロビー活動が頻繁に行われていることは、国会議員なら皆知っていること。そのなかで情報を取りながら各自の見識や経験を高めている」と平然と言い放った。質問の最後に末松議員は、ハーバード大学への留学費用として同資金から10万ドルの提供を受けた疑惑を持たれている秋山前防衛事務次官を参考人として委員会に招致することを求めた。

鳩山代表が城山三郎氏、角川歴彦氏と個人情報保護法で意見交換

9日、民主党の鳩山由紀夫代表は、作家の城山三郎氏、角川書店社長の角川歴彦氏と党本部で懇談し、国会で審議中の個人情報保護法案について意見交換した。

意見交換後の記者会見で鳩山代表は、「城山さんは今の個人情報保護法案は治安維持法より悪いとおっしゃている。民主党の考え方を決めるためにご高説をうかがった。今の法案は政治家をスキャンダルから保護する法案になった。元々の個人データ取扱い法にすべきというお話だった」と述べた。

城山氏は「今日ここに来る時、地下鉄で私と同年配の方から頑張ってくださいと言われ、拍手も受けた。この方は戦争の怖さ、戦争へ向かう時代の暗さを経験された方だろう。あの時代に育った人間はとんでもないと思う。この法案では後々の人たちがとんでもない所に追い込まれる。代議士は分かっているのか。国のことを考えればおかしいと、党を飛び出すべきだ。政治家はもっと国のことを考えるべきだ。戦前の浜口首相や、井上蔵相が本物の政治家」と、法案を厳しく批判。小泉内閣についても「やるべきことせずに、やってはならないことをしている」と断じた。

角川社長は「雑誌協会として最初からこの法案に反対してきた。新聞協会とも歩調が合い、喜んでいる。データ取扱い法ならいい」と述べた。

4野党、政治資金規正法改正案を共同で提出

民主党の堀込征雄・政治改革担当ネクスト副大臣は9日、記者会見を行い、政治資金規正法等の一部を改正する法律案を野党4党で共同提出したことを明らかにした。

同法案は、野党4党政策責任者会議のもとに設置された政治倫理確立実務者会議において政治とカネに関わる腐敗防止に資する方策を協議し、合意に至った事項を1つの法律案にまとめたもの。合意事項は、寄附を受領できる政党支部の制限、公共事業受注者や利子補給対象の融資を受けている法人の献金禁止、後援会等の機関紙誌等への広告規制、収支報告書等の保存期間の5年への延長・インターネットによる収支報告書等の公開の4項目。

大田徳島県知事、民主党本部を表敬訪問

先の徳島県知事選挙で民主党の推薦を受けて当選した大田正知事が9日、民主党本部を訪れ、民主党の協力に対して謝意を表した。

「選挙期間中、お忙しいなか2回も徳島入りしていただいたことに感謝したい」とする大田知事に、鳩山由紀夫代表は「徳島県民は賢い選択をなさった」と応答。また大田知事が、知事として新しい県政をスタートさせ、腐敗構造を打破すべく急ハンドルを切ってみたがハンドルはなかなか重い、と述べたのに対し、鳩山代表は「反対する県議会議員に対してもきちんと話をし、なさりたいことを進めるべき」と提案した。

選挙公約である国の吉野川第十堰可動堰化計画完全中止についても、事務当局との話し合いを始めたことを報告。鳩山代表は「すべての県民にとって公正な政治を」と要請し、今後の大田県政への期待を伝えた。《民主党ニュース》



5月9日 その日のできごと(何の日)