平成5575日目

2004/04/13

この日のできごと(何の日)

【イラク日本人人質事件】小泉首相「予断許さず」

政府は13日午前、イラク日本人人質事件でこう着状態となっている解放交渉の打開を目指し、3人が拘束されているとみられるファルージャ近郊の有力者への働き掛けを強め、犯行グループとの交渉ルート再構築に全力を挙げた。解放、安否の新たな情報は得られておらず進展はない。

小泉純一郎首相は同日午前の閣僚懇談会で「人質の無事救出に向けて政府一丸で取り組むので関係閣僚の協力を願いたい」と指示。同時に「情報が錯綜し予断を許す環境になく、冷静、慎重に対応する必要がある」と、情報の取り扱いや発言には細心の注意を払うよう求めた。

福田康夫官房長官も記者会見で「(個別の)情報を紹介すれば、いたずらに混乱を招くので表に出さない。交渉を行うためにもその方が好ましい」と述べ、情報管理を徹底することを明らかにした。人質の解放、安否については「今現在、確認していない」と述べた。

小野清子国家公安委員長は、インターネット上などで人質家族らへの中傷があることも踏まえ、北海道、宮崎県内の自宅近辺の警備を強化したと報告した。

政府は部族長や宗教指導者ら仲介者を通じた水面下の交渉で、一時は3人の安否情報を得ることができた。しかし、その後接触ルートは途切れたとみられ「事件は長期戦になるかもしれない」(政府関係者)との懸念も出ている。

このため連絡が絶えたことと、米軍と武装勢力の対立が深刻化しているファルージャの戦況との関連などを分析しながら、早期解放を促すための交渉ルートの立て直しを急いでいる。《共同通信》

小泉純一郎首相は13日夜、イラク日本人人質事件に関連し「(イラクからの)退避勧告を多くの日本国民は真剣に受け止めてもらいたい。従わないで入ってしまう人がまだいるようだが、ぜひともそういうことはしないでもらいたい」と、政府の呼びかけに応じるよう求めた。

首相は今年に入り計13回にわたり勧告を出したことを指摘したうえで「当地の状況は厳しい。日本人だけでなく、外国人も危険を感じている」と強調した。首相官邸で記者団の質問に答えた。《共同通信》

イタリア外務省当局者は13日、米国企業で働くイタリア人4人が、12日にイラクで行方不明になったと発表した。カタールの衛星テレビ、アルジャジーラは同日、「カタイバ・アル・ムジャヒディン(戦士大隊)」と名乗るイラクの武装組織が、イタリア人4人を人質に取り、駐留イタリア軍のイラク撤退を求める声明を読み上げるビデオを放映した。

組織名が日本人3人を拉致した「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」と酷似するなど、日本人人質事件との類似点が極めて多く、同一組織の犯行の可能性もある。

イラクで相次ぐ外国人拉致事件で、犯人側がイラク撤兵を明確に要求したのは、明らかになっている限り日本に続き二例目。イラク政策で米国に協力する各国の国民を標的にした同様の事件が続発したことで、米国の「有志連合」に動揺や亀裂を生じさせるという武装組織の狙いが明確になったといえる。

声明は、拘束した4人を「イタリア治安機関の要員」としている。イタリアのメディアは4人が拉致された場所について、日本人が拉致されたとみられる中部ファルージャと伝えている。

映像では、屋内に並んで座らされた人質4人の後方に武装組織のメンバーらが銃を構えて立ち、4人はカメラに向かってイタリアの旅券(パスボート)を見せた。床には人質が持っていたとみられる小銃1丁と小型のコンピューター、無線機のようなものが並べられていた。

メンバーの一人が読み上げた声明によると、「戦士大隊」はファルージャ周辺で活動。イラクに兵士約3000人を派遣しているイタリア軍の撤退のほか、イスラム教を侮辱したとしてベルルスコーニ・イタリア首相の謝罪などを要求している。交渉期限には触れていない。《共同通信》

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【レスリング】

レスリングのアテネ五輪代表選考会を兼ねた男子の全日本選抜選手権最終日とプレーオフが13日、東京・駒沢体育館で行われ、男子9人、女子4人の五輪代表が出そろった。

中京女子大勢で争われたプレーオフ女子48キロ級は、全日本選手権優勝の伊調千春がジャパンクイーンズカップ優勝の坂本真喜子に3−0で判定勝ちし、妹の馨(中京女大)とともに五輪代表になった。

男子グレコローマンで五輪出場枠を獲得した74キロ級の永田克彦(新日本プロレス)は全日本選手権で敗れた菅太一(警視庁)を決勝で破り、60キロ級の笹本睦(綜合警備保障)とともに2大会連続の五輪出場を決めた。

84キロ級の松本慎吾(一宮運輸)、プレーオフを制した55キロ級の豊田雅俊(警視庁)はともに初の五輪出場。

フリースタイルでは84キロ級の横山秀和(秋田・秋田商高)がアトランタ五輪以来2大会ぶりの代表。60キロ級は井上謙二(自衛隊)が初優勝で代表を決めた。《共同通信》

【卓球】

卓球のアテネ五輪アジア予選最終日は13日、北京で男女ダブルス決勝リーグが行われ、女子の福原愛(ミキハウスJSC)小西杏(ミキハウス)組が五輪出場権を獲得した。福原はシングルスに続く代表で、小西はシドニーからの連続出場。

男子の田崎俊雄(協和発酵)鬼頭明(東京アート)組と坂本竜介(青森大)岸川聖也(宮城・仙台育英高)組は出場権を得られなかった。

五輪ダブルスの出場権はペアではなく、シングルス出場権を獲得した選手を除く上位6人に与えられる。日本は福原が出場権を獲得しているため、小西が6枠の対象。福原、小西組は1勝6敗の7位だった。1−5位までの各組はいずれも1人がシングルスで出場権を獲得。シングルスでの出場権を2人とも獲得していない6位の台湾ペアに出場権を与えると6枠を超えるためこれを除外。福原、小西組が繰り上がりで五輪出場権を得た。《共同通信》

【衆院3補選】告示

衆院の埼玉8区、広島5区、鹿児島5区の統一補欠選挙が13日告示された。与野党は夏の参院選の前哨戦と位置付け、25日の投票日に向けた選挙戦をスタートさせた。イラクでの日本人質事件に対する政府の対応や、与野党が激しく対立する年金制度改革などが争点となる。昨年の衆院選後、最初の国政選挙で、後半国会での与野党攻防にも影響しそうだ。

3選挙とも自民、民主、共産の3党による争い。埼玉8区は、比例代表北関東ブロックからくら替えした民主党前職の木下厚氏(59)と自民党公認の新人、弁護士柴山昌彦氏(38)=公明党推薦、共産党新人の元県議柳下礼子氏(57)の対決。広島5区は、自民党公認の元内閣府参事官寺田稔氏(46)=公明党推薦=と共産党公認の元竹原市議松本進氏(51)、民主党公認の元識員秘書三谷光男氏(44)のいずれも新人が激しく争う。鹿児島5区は、共産党県委員茅野博氏(60)と、自民党公認の前参院議員森山裕氏(59)=公明党推薦、民主党公認のハンセン病原告団副会長堅山勲氏(55)の3新人が争う構図となっている。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・麻生太郎総務相は13日の閣議後の記者会見で、解決が長引くイラクの日本人人質事件に「卑劣な状況が継続している」と沈痛な表情。イラク国内で日本人以外の人質事件も多発していることを挙げながら「家族も心配していると思うが、こういった話はなかなか簡単に決着することはない。重苦しい状況が続いているなあ、という感じだ」と口調はさえないまま。見通しが二転三転しているだけに、身上の歯切れの良さも封印の様子。《共同通信》

【イラク情勢】

ブッシュ米大統領は13日夜、ホワイトハウスで記者会見し、イラク各地で拡大する反米武装勢力との衝突に対処するため、米軍を追加投入する考えを明らかにした。6月末のイラクへの主権移譲日程については「守ることが重要だ」と堅持する方針を表明。米軍増強により現在の治安悪化を力で抑え込み、主権移譲を予定通り進め、イラク安定化を目指す戦略を強調した。

日本人3人をはじめ、多数の外国人が武装勢力に拘束されている事件について大統領は、人質を取っているテロリストは「狂信的な政治イデオロギーを抱いているにすぎない」と述べ、人質事件にかかわらず米国や米同盟国がイラク戦略を推進する決意を示した。

大統領は、イスラム教シーア派の強硬派指導者サドル師の民兵らとの戦関で、4月だけで米兵80人以上の死者が出た事態を重視。「必要な兵力はいつでも送る」と述べ、アビザイド中央軍司令官らの追加投入要請に応じる意向を表明した。追加規模は1万−2万人になる見通しだ。サドル師に対しては、民兵解散を強く要求した。

主権移譲について、大統領は「誇り高く独立したイラク国民は無期限の占領を望んでいない。米国も同様だ」として、予定通り6月末で占領統治を終える方針を示した。国連と協力して受け皿となるイラク暫定政権づくりを急ぐ意向も表明した。

イラクの現状に関しては「ごく一部の者が民主主義の破壊を試みている」として、「内戦」や「民衆蜂起」の状態ではないと強調した。

治安回復のために、北大西洋条約機構(NATO)に「より公式な役割」を求めていく姿勢も表明。イラク安定化に向けアーミテージ国務長官を近く中東に派遣すると発表した。

ブッシュ大統領の公式記者会見は今年初めて。大統領がイラク情勢悪化の説明責任を果たしていないとの批判が高まったのを受け、夜の時間帯に会見が設定された。《共同通信》

米NBCテレビによると、イラクで9日から行方不明になっていた米民間人7人のうち少なくとも4人の遺体が13日、バグダッド西方アブグレイブと中部ファルージャの間の幹線道路沿いで見つかった。米国務省も身元が特定されていない4遺体が発見されたことを認めた。

米中央軍によると、4人は他の民間人3人、米兵2人とともにアブグレイブ周辺で、燃料輸送の車列を組んでいた際に襲撃を受け、輸送車が炎上、行方不明になっていた。遺体は襲撃現場近くに理められ、切断された状態だったという。襲撃後、人質として拘束され殺害されたのか、襲撃時に既に死亡し、遺体だけ別の場所に移されたのかなどの詳しい状況は不明。日本人人質事件などが続発した先週以降、襲撃された外国民間人の死亡が確認された初のケースとみられる。

NBCによると、米軍当局にイラク人から「外国人の遺体が埋められている」と通報があった。連合国警定当局(CPA)のスポークスマンは13日、米連邦捜査局(FBI)も事件を捜査していると語った。

4人を含む民間人7人はいずれもイラク復興で米政府から多額の事業を受注している米石油関連大手ハリバートンの関連会社「ケロッグ・ブラウン&ルート」の関係者。国務省は、行方不明者の家族と連絡をとっているとしている。《共同通信》

【この日の民主党】

小沢代表代行、広島5区補選で応援演説

衆議院広島5区の補欠選挙が告示された13日、民主党の小沢一郎代表代行が呉駅前で行われた党公認候補の演説会に参加し、「参議院選、来るべき総選挙に向け、自民党政治にピリオドを打ち、新しい政権を打ち立てる一歩にしなければならない」と熱っぽく訴えた。

また、夕方から同地で開かれた街頭演説と集会には岡田克也幹事長も駆けつけ「これからの10年、20年を考えた選挙になる。イラクでの人質事件にしても、政府にこうした場合への備えがない。これは厳しく問われるべき」と述べ、党公認候補への支持を訴えた。

菅代表、埼玉8区補選出陣式で力強く挨拶

衆議院補欠選挙が13日、埼玉8区、広島5区、鹿児島5区の3選挙区で告示された(投開票25日)。買収などの公職選挙法違反で起訴された自民党議員の辞職に伴い補選が行われる埼玉8区では午前9時すぎ、所沢駅東口で民主党候補の出陣式が行われ、菅直人代表はじめ、鳩山由紀夫前代表、細川律夫、大島敦、高山智司、石田勝之、小宮山泰子各衆院議員、次期参院選埼玉選挙区の嶋田ちやこ公認予定候補、同比例区の家西悟公認予定候補が応援にかけつけた。

マイクを握った菅代表は後半国会で本格審議が始まった年金制度改革をめぐり、政府の年金改革案は国民負担増を強いるものであり、また正社員の保険料負担増に対応できない企業が正社員からパートやアルバイトへ切替え、新たな雇用不安を生み出すことになりかねないと指摘。菅代表は「何としても政府年金法案を葬り去らねばならない。その気持ちを込めて一票を」と訴えた。

イラクでの日本人人質事件について「脅しに屈しての方針転換はできない」としながらも、一般国民を巻き込んでますます悪化するイラク情勢を考えたとき、何のための自衛隊派遣だったか疑念を抱くと指摘。「治安の悪化に伴い、自衛隊が駐留地から一歩も外に出られない情勢はまさに人道復興支援もできない状態だ」として、イラク特別措置法でいう「非戦闘地域」が存在しないところまできたときには、当然ながら撤退しなければならないと指摘した。

菅代表、鹿児島5区補選第一声に駆けつける

民主党の菅直人代表は、3つの衆議院補欠選挙が告示された13日、埼玉8区に続いて鹿児島5区に飛び、鹿屋市で第一声をあげた公認候補の応援演説を行った。

演説会場には、降りしきる雨の中にもかかわらず、数百人の聴衆が集まった。マイクを握った菅代表は、「かつて、この鹿屋や知覧から多くの人々が特攻隊として飛び立った。政治家や軍部首脳のまちがった判断が、純粋な若者を戦場へ送り出してしまった。今、小泉政権も当時と同じように判断を誤っているとは言えないか」と述べ、今回のイラクへの自衛隊派遣を批判。

また、悪化するイラク情勢をめぐって「自衛隊が戦闘に巻き込まれる状況が近づいているなら、一時的にせよ自衛隊をクウェートまで移動させるといった判断を行うべきだ。そういう時期にきている」と指摘し、政府は日本人の人質3人の解放とともに自衛隊員の犠牲を出さないよう全力をあげるべきだと訴えた。

年金問題についても菅代表は、14年間にわたって1兆円づつ保険料を上げていくという政府の「改革」案が国民生活と年金制度を破壊するものであることを明らかにし、一元化した所得比例年金と税による最低保障年金の二階建て方式によって公平で安定した制度を確立する民主党の抜本改革案の優位性を力説。「この補欠選挙で日本の政治を変えようという皆さんの意志を示してほしい」と力強く呼びかけた。

演説会には、川内博史衆院議員も参加した。

[衆院本会議]首藤、長島議員、有事関連法案の欠陥質す

衆議院本会議が13日午後開かれ、有事関連7法案3条約の趣旨説明がなされ、民主党からは首藤信彦議員と長島昭久議員が質問に立った。

首藤議員は質問の冒頭、イラクでの3人の日本人拘束事件に触れ「危機管理の要諦は、プリペアードネス、すなわち事前に準備するかである。準備なき泥縄の対応は危機管理ではなく、管理危機である。今回の日本政府の対応はまたまた管理危機を具現化した」と批判。

その上で、国家総動員法と国民保護法との違い、緊急事態での人権保護、日米安保条約の改正の必要性、一元的な指揮権はだれが持つのか、などを質した。井上担当相は「国民保護の法案であり、総動員法とは違う。指揮権は米軍、自衛隊それぞれが持つ」と答弁。川口外相は「安保条約は有効に機能しており、改正の必要はない」、野沢法相は「基本的人権は有事・平時かかわりなく尊重される」と答えた。

首藤議員は質問の最後に「いずれの法案、条約も国会の全会期を使って議論してもおかしくない重大法案。これを一括審議としたことは神をも恐れぬ行為」と政府の態度を厳しく批判した。

長島議員は質問の冒頭、イラクでの人質事件について触れ「再発防止のため邦人保護に万全を期すよう」に求めた。長島議員は特に「報道の自由は重要である」として、基本的人権の尊重について詳細な規定を盛り込むよう求めるとともに、危機管理庁の設置、国の現地対策本部の設置、民間防衛組織の設置などを盛り込むべきだと提起した。

野沢法相は「基本的人権は永久の権利」、麻生総務相は「民間防衛組織は考えていない」、井上担当相は「危機管理庁など新しい組織をつくることは考えていない」と答えた。

長島議員は最後に「有事法制の本質は、国民の生命・身体を守るため、一時的にではあれ、時の政府に国民の権利を制約する権限を委ねることにある。それには国民の信頼にたる政府であることが大前提」とし、小泉政権の実態がそうでないことを批判。「国民の皆さんが本当に信頼できる政府をつくり、私たちの手で緊急事態法制の総仕上げをなし遂げる」と結んだ。

イラク人質家族、民主党本部に要望書を提出

イラク人質家族と民主党対策本部との12日の面談で出された家族側からの要望がまとめられ、家族の手で13日夕、民主党本部に届けられた。

要望は各政党に共通のもので「何よりも尊重すべき『人命』を守るために次のことを切に要望致します」として、
(1)犯行グループの要求を最大限受け入れるよう、日本政府への働きかけ
(2)総理への面談への力添え
(3)安否情報の提供・開示
(4)イラク国内でのすべての戦闘行為の即刻中止に向けた政府への働きかけ
の4点からなっている。

「ファルージャはベトナム化の手前」アンマンから報告受ける

民主党イラク邦人拘束事件対策本部の第5回会議が、13日夜開催され、これまでの情報整理が行われるとともに、昨日の代表談話が再確認された。

会議に合わせて、ヨルダンのアンマンに派遣されている藤田幸久国際局長から国際電話による報告があった。藤田局長によると、ファルージャの状況は相当に悪く、ベトナム化の一歩手前である。自衛隊の宿営地のあるイラク南部のサマワからアンマンに引き上げてきた人の情報によると、サマワもこのままいくと数日のうちに厳しい状況となりかねないという観測であったという。《民主党ニュース》



4月13日 その日のできごと(何の日)