平成5576日目
2004/04/14
この日のできごと(何の日)
【西武鉄道・堤義明会長】辞任
私鉄大手の西武鉄道役員らによる総会屋への利益供与事件で、西武鉄道グループの実質的オーナーで同社会長の堤義明氏(69)が14日、事件の責任を取って会長職を辞任すると発表した。代表取締役も辞任し、鉄道の経営から身を引く。
堤氏は事件後、経団連の理事を辞任しただけで、社内処分がなく、西武鉄道も「鉄道事業は社長に任せられていたから」などと話すだけで、十分な説明責任を果たさなかった。
このため経済界などからは、「鉄道事業という公益事業に携わる者として処分が甘い」との批判が出ていた。《共同通信》
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私鉄大手の西武鉄道役員らによる総会屋への利益供与事件で、西武鉄道グループの実質的オーナーで同社会長の堤義明氏(69)は14日、埼玉県所沢市内の本社で記者会見し「(事件を)防止できなかったことに重大な責任がある。(当時の)社長に対する監督不行き届きで、道義的責任を取る」として、同日付で会長を引責辞任すると発表した。同日午前の取締役会で決定した。
堤氏は、代表取締役も辞任し「鉄道の経営からは一切身を引く」としたが、同社の筆頭株主であるコクドの会長職やプロ野球西武ライオンズのオーナーは続ける。日本オリンピック委員会(JOC)名誉会長は「(要請があれば)辞任することもある」と述べた。
経営責任の取り方をめぐる迷走の末に、総帥の辞任で幕引きを狙った格好だが、失墜した同社の信頼の回復には、トップダウン経営で軽視されてきたチェック機能の確立など、社内改革が急務となっている。
堤氏は事件後、日本経団連の理事を辞任しただけで社内処分がなく、西武鉄道も「鉄道事業は社長に任せられていたから」などと話すだけで、十分な説明責任を果たさなかった。
この日、事件発覚後初めて記者会見の場に姿を現した堤氏は、事件の背景について「トップダウン経営で、若い人の意見が上に伝わらない状況を作ってしまった」と釈明。降格されていた戸田博之前社長も同日付で取締役を辞任するなど、過去の経営風土と決別する姿勢をアピールした。
堤氏は、当初「鉄道事業は社長に任せている」として、社長の辞任だけで事態を収束させる考えだったようだ。しかしこうした姿勢が批判を呼んで、グループの経営に影響する可能性もあると判断、辞任に踏み切ったとみられる。
今後は、小柳皓正社長を中心とした新体制が透明性の高い企業体質への転換のため、社内の組織見直しを進める。また1日付で設置したコンプライアンス(法令順守)室は、不正取引の再発防止に向けた企業倫理の徹底を図るとしている。
西武鉄道グループは、鉄道事業を核に、レジャー、不動産事業などを展開しており、連結対象は、約90社。レジャー施設の利用者の減少などで業績は低迷している。《共同通信》
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【J1】
Jリーグ1部(J1)第1ステージ第5節(14日・カシマスタジアムほか=8試合)磐田が柏を3−1で破り、開幕5連勝で勝ち点15と首位快走。G大阪−市原は2−2で引き分けた。市原が勝ち点10の2位、G大阪が同9の3位に続いている。磐田は中山と福西のゴールで前半を2−1とリードし、後半にグラウが決めて突き放した。清水は4−3で浦和を下して初勝利。昨季覇者の横浜Mは1−1で大分と引き分けた。東京V、広島、C大阪の3チームは未勝利。《共同通信》
【BSE問題】学術会議、全頭検査に疑問
牛海綿状脳症(BSE)で米国産牛の輸入が停止している問題で、日本学術会議は14日、牛肉の安全確保策を探る公開討論会を開催。輸入再開の条件として米国に牛の全頭検査を求めている国の姿勢に、専門家から疑問の声が出た。
国際獣疫事務局(OIE)の小沢義博名誉顧問は、現在使われている検査キットは感度が十分でないため、陽性と判定されるのは病原体の蓄積が進んだものに限られることを紹介。「感染牛のうちで陽性と出るのは半分以下。こんな検査に頼ってばかりでよいのかよく考えてほしい」と強調した。
その上で「脳や脊椎などの特定危険部位を除いていれば、感染していても安全。危険部位をどうやって取り除いているか確認していくことが安心のために絶対必要だ」と述べた。《共同通信》
【イラク日本人人質事件】邦人2人、新たに拉致か
日本の非政府組織(NGO)関係者によると、バグダッド郊外アブグレイブで日本人2人が14日、何者かに拉致されたとの電子メールが同日、この関係者に届いた。日本時間15日午前1時現在、外務省には具体的な情報は入っておらず、確認を急いでいる。
メールによると、2人に同行していたイラク人のNGO関係者が拉致を目撃した。被害者は「ヤスダ・ジャンベ」さんと「ワタナベ」さんという。現地の情報では、ヤスダさんはイラクで取材活動をしていたフリージャーナリストの安田純平さん(30)とみられる。
発生時間は14日午後2時(日本時間同日午後7時)ごろとの情報がある。メールや現地の関係者の情報によると、2人は13日に米軍ヘリコプターが緊急着陸した現場のアブグレイブに写真を撮りに行き、後ろから来た車に止められた。降りたところを連れ去られ、行方が分からなくなったという。
安田さんはバグダッド内のアパートで「ワタナベ」さんという男性と同居。アパートの住民によると、2人の部屋は荷物が置いたままになっており、アパートの近くで13日午後、知人によって目撃されてから2人とも姿が見えないという。
イラクでは武装組織「サラヤ・ムジャヒディン」(戦士旅団)に日本人3人が拘束されたことが8日、明らかになった。《共同通信》
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イラクで取材中のビデオジャーナリスト田保寿一さんは14日、バグダッド郊外で「日本人2人が拉致された」との情報がイラクの友人から電子メールで届いたことを明らかにした。2人は同日深夜になっても借りているバグダッド市内のアパートに戻っておらず、拉致を含む何らかの事件に巻き込まれた恐れが強まった。
政府は日本時間15日午前、情報収集を本格化、確認を急いでいる。2人が拉致されたとすれば、既に人質となっている高遠菜穂子さんら3人と合わせ、被害者は計5人となる。
メールなどによると、被害者の一人はイラクで取材活動をしていたフリージャーナリストの安田純平さん(30)とみられ、もう一人は、安田さんと同居している非政府組織(NGO)「米兵・自衛官人権ホットライン」メンバーの渡辺修孝さん(36)の可能性が高い。《共同通信》
【小泉純一郎首相】自衛隊イラク撤退を拒否
小泉純一郎首相は14日午後の党首討論で、イラクでの日本人人質事件と、混乱が続くファルージャ情勢に関連し「状況は厳しい。米国に対し一日も早い改善に向けた努力をお願いしているが、日本は人質を誘拐されており、そういう方面と密接に絡んでいる状況もある」と述べ、同地域の情勢悪化が米国との連携による人質救出難航の一因との見方を示した。
民主党の菅直人代表はファルージャ周辺での米軍の攻撃を自制するようブッシュ大統領に求めるべきだと主張。首相は「単純に自制を求めるかどうかではない。人質の問題と絡んでおり慎重な物言いをしている」と述べ、人質救出での協力関係上、自制要求は困難との考えを示した。
首相は、日本人人質事件の犯行グループが解放の条件として求めた自衛隊撤退について「テロの脅しに屈する形で自衛隊を撤退させてはいけない。今の段階では考えていない」と重ねて拒否した。
菅氏が「(自衛隊が活動するイラク南部)サマワを含め非戦闘地域とは言えない。法律で決めたことでも人質がある状況ではやらないと言うのか」と派遣の法的根拠が崩れていると追及したのに対しても、首相は「自衛隊は法律にのっとって活動している」と突っぱねた。
共産党の志位和夫委員長が「占領軍による無法は許さないとの立場をとるべきだ」と求めたのに対し、首相は「実際にどういう戦闘方法が良いか知識を持たない」と述べるにとどめた。《共同通信》
【イラク情勢】
陸上自衛隊派遣部隊が活動するイラク南部サマワで14日、イスラム教シーア派の強硬派指導者ムクタダ・サドル師を支持する学生ら約300人が米国主導の占領統治に反対し、駐留オランダ軍や自衛隊のサマワ撤退を要求するデモをした。陸自部隊の撤退を求めるデモがサマワで行われたのは初めて。陸自が13日、中断していた宿営地外での活動を9日ぶりに一部再開した直後の抗議行動となった。
目撃者によると、デモ参加者の大半は大学生で、サドル師の肖像などを掲げながらムサンナ州庁舎に近いサドル師の事務所前などを行進。拡声器で「自衛隊と占領軍を区別するのは困難。陸自部隊はイラクに駐留する連合軍の傘下で活動すべきではなく、サマワから出て行くことが(日本にとって)最善の選択だ」などと訴えた。
サマワのシーア派聖職者マード・アルワイリ師は13日、自衛隊を「占領軍」と区別し、保護を呼び掛けるファトワ(宗教令)を出しており、サドル派がこれに反発した可能性がある。《共同通信》
【森喜朗前首相】ロシア・プーチン大統領と会談
ロシアを訪問中の森喜朗前首相は14日午後(日本時間同日タ)、モスクワ市内のクレムリンでプーチン大統領と会談し、北方領土問題の解決に向け具体的な協議を開始すべきだとの認識で一致した。大統領は「両国関係の発展を妨げているすべての問題を取り除くべきだ」と述べ、早期解決に強い意欲を表明した。
森氏は「そろそろ外交レベルでも専門家レベルでも両国が具体的に一番良い知恵を出し合う時ではないか」と提案。これに対し大統領は、領土問題に直接の言及は避けながらも「私もそう思っている。(日ロ間には)複雑な問題が存在し、取り組むだけでなく、本当に解決したい」と応じた。ただ、大統領は解決の道筋について「ロシアにも日本にも受け入れられる方法で検討したい」と従来の立場を繰り返した。
森氏は、大統領が3月の選挙で再選されたことを受け「ロシアが安定した民主国家として、国際社会に対し友好的な立場を築いてほしい」と、指導力発揮を求めた。
また、森氏が小泉純一郎首相の言葉として、プーチン大統領の早期訪日を促した。大統領は6月に米国で開催される主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)などで、小泉首相と会談の機会があるとした上で、「よく検討して連絡したい」と述べるにとどまった。
大統領は、イラクの日本人人質事件について「非人道的な話だ。少しでも早く解決し(3人が)帰れるよう、情報が得られれば提供したい」と協力を約束した。
日本側要人が再選後のプーチン大統領と会談したのは初めてで、同大統領が2期目に対日関係を重視していることをうかがわせた。会談にはルシコフ・モスクワ市長も同席し、約1時間行われた。
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森前首相は14日昼(日本時間同日夜)、日ロ協力関係の発展に貢献をしたとして、モスクワ市内のクレムリンでプーチン大統領から友好勲章を授与された。
勲章の授与は両氏の会談後行われ、大統領が森氏の胸元に直接、勲章をつけ謝意を述べた。森氏は「日本とロシアの友好協力のためこれからも力を尽くしていきたい」と礼を述べた。《北國新聞》
【米・チェイニー副大統領】中国指導者と会談
訪中しているチェイニー米副大統領は14日、胡錦濤国家主席ら中国指導者と相次いで会談し、北朝鮮が少なくとも3個の核爆発装置を開発したとする新たな証拠を提示、核問題解決に向け6カ国協議の早期進展を中国側に要請した。AP通信などが米政府高官の話として伝えた。
米政府高官は北朝鮮の核問題で「時間がたてばたつほどわれわれに不利だ。もっと積極的に動くことが重要だ」と指摘。開発の証拠はパキスタンのカーン博士から入手したものとされ、5年前に博士が訪朝した際、地下の秘密施設で目撃したと米紙が報じていた。新たな証拠の提示は、6カ国協議で議長を務める中国に対し北朝鮮に働き掛けを強めるよう圧力をかけたものといえる。
一方、新華社電によると、胡主席は台湾問題で、「独立勢力の分裂行動が台湾海峡の平和と安定にとって最大の脅威」と台湾の陳水扁総統を批判、台湾独立に反対するよう求めた。副大統領は「台湾海峡の現状を変える一方的な行動に米国は反対する」とのブッシュ政権の基本姿勢を強調した。
経済問題で副大統領は、人民元を事実上ドルに固定している中国の為替制度を取り上げ、改善を要求した。《共同通信》
【この日の民主党】
[党首討論]菅代表、米包囲作戦に自制求めるよう要求
今通常国会で2回目の党首討論が14日に行われ、民主党の菅直人代表が現在のイラク情勢と自衛隊派遣の根拠、年金制度一元化に関する無責任発言などについて、小泉首相を厳しく追及した。
党首討論の主なやりとりは、次の通り。
■イラク戦争の無条件支持は間違い
菅 イラク戦争を始めてから1年。米国の当初の見通しがまったく違っていたのは明らかだ。今のイラクの状況は、米軍対イラク国民という構図になるギリギリのところだ。また、いまだにイラクに大量破壊兵器があると考えているのは、地球上でブッシュ大統領と小泉首相の2人だけではないか。ブッシュ米大統領が国際社会の支持も無視して進めたイラク戦争を無条件に支持したのは間違っていたのではないか。
小泉 判断は間違っていない。復興支援も失敗したとは思っていない。厳しい状況はあるが、イラクの復興に責任を果たしていかねばならない。
菅 復興支援の問題ではない。ブッシュ大統領の一国主義的戦争が失敗し、それを支持した政府の判断も誤りだったということだ。問題をすりかえるな。
■ファルージャ包囲作戦に自制求めよ
菅 米軍のファルージャ包囲作戦で多くの一般国民を含む1000人もの人々が殺されている。これに抗議してイラク統治評議会の議員を辞任する人も出ている。しかも、この作戦は新たなテロを誘発している。3人の日本人の人質がファルージャ近辺で拘束されていると見られることからも、政府として米軍の自制を求めるべきではないか。
小泉 ファルージャの状況は厳しいものがある。(米軍の包囲作戦が)イラク国民の反発を買っている向きもある。イラクの治安状況改善に何が必要か。われわれもいろんな方面に働きかけていく。
菅 ある期間、自制を求めるべきだと言っている。
小泉 単純に自制を求めることではない。人質問題など微妙な状況がからんでいる。
■サマワはまだ「非戦闘地域」なのか
菅 首相は先の党首討論でも、サマワ周辺地域が非戦闘地域だという前提が崩れた場合は自衛隊を撤退させると言った。現に自衛隊は宿営地の外で活動できない状況に追い込まれている。撤退を含めて検討すべき時期にきている。
小泉 そうは思っていない。人質が誘拐されている現状で(撤退と)言ったら、犯行グループの思うつぼになる。
菅 法で決めたことでも、やらないと言うのか。
■なぜ人質家族と会わないのか
菅 3人の人質の家族たちは精神的にも厳しい状況に置かれている。なぜ会わないのか。
小泉 家族のつらい立場は察している。救出のために何が効果的か。会うことがいい結果に結びつくかどうか。そういう意味で会う状況にはないと判断している。
菅 会うこと自体を拒否するのは分からない。家族の生の声を聞くのはつらい、避けたい、ということか。さらに会うよう要請する。
■年金一元化か、14年連続保険料引き上げ法案か
菅 首相は「一元化が望ましい」「民主党が対案を出したら1年程度で話し合いたい」と発言していた。ところが9日の厚生労働委員会では「一元化は2、30年先のこと」などと発言が変わっている。一元化は本当にやる気があるのか。
小泉 曲解している。将来一元化できれば望ましい、と言った。一元化について共通の認識を持つまでに1、2年、その後、新制度で給付を受けるまでには2、30年かかる。
菅 負担の部分はどうなのか。現在の法案に基づいて14年間毎年保険料を引き上げた後に一元化するということか。
小泉 今の政府の法案を通した後でも一元化の議論はできる。
菅 一元化が望ましいと自ら言ったのだから、政府案を3、4年のつなぎ法案に変えるならまだ分かる。14年間連続値上げ法案は撤回すべきだ。(昨年の総選挙時の)小泉改革宣言には「2004年に年金制度の抜本改革を実施」と書いてあるではないか。
[衆院厚労委]党の年金抜本改革案の現実性を示す
衆議院厚生労働委員会で14日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案の質疑が行われ、民主党案に対する与党議員の質問に対して、提出者の枝野幸男政調会長、古川元久『次の内閣』ネクスト厚労相、五十嵐文彦ネクスト経済財政・金融相が答弁に立った。
自民党議員は民主党案に対して「民主党案は5年間の空白期間があり、後世に大変な負担をかける」などと批判。民主党が提案する3%の目的消費税について「提案者の五十嵐議員は30年間は大丈夫というが、制度を40年かけて移行するからには移行期間にダメになるということか」などと意図的に曲解してみせた。
枝野政調会長は「07年には消費税3%を上げると明言している」として批判を否定。また「五十嵐議員は30年はもつと発言したのであり、30年でだめになるとの発言はない」として発言の撤回を求め、自民党議員は「調べて正確でなければ撤回する」などとした。
古川議員は5年間という当面の財政措置にすぎない政府案を「現行制度に対する国民の不信感・不公平感を解消する法案になっていない」と指弾。にもかかわらず「抜本改革」「100年安心プラン」などと鳴物入りでアピールする政府・与党の姿勢を厳しく批判し、国民・厚生・共済年金を、議員年金も含めて一元化する公平な制度を具体的に提案したのが民主党案であることを答弁を通じて明らかにした。
また、3%の目的消費税について自民党議員が「(年金保険料との)二重取りだ」などと批判したのに対して、五十嵐議員は「もともと政府の年金制度の計算が不充分だったため、負担部分に大穴が空いている」と指摘。民主党案ではその不足分の負担を若い世代だけでなく、年金目的消費税化することで公平に求めたと説明。五十嵐議員は「年金に限定しないまま消費税も上げる、保険料も上げる、給付は下げるという政府こそ、3重取り、4重取りだ」と逆に指摘し、持続可能な制度確立に向けた民主党案の現実性を明らかにした。
「取材拒否と情報管理は違う」野田国対委員長
民主党の野田佳彦国会対策委員長は14日午前、国会内で記者会見し、イラク人質事件について「膠着状態だが、一日も早く3人が無事保護されるよう心から祈っている」と述べるとともに、この件で小泉首相が情報管理を徹底するよう指示し、政府対策本部が取材拒否していることについて「極めておかしい。日本の危機管理とはこういうやり方なのかと思ってしまう」と苦言を呈した。
さらに野田国対委員長は、「人命にかかわるので情報管理は当然だが、一切取材拒否では違う。政府は直接情報なら出せるか出せないか管理できるが、間接情報に頼っていては管理できない。いま有事法案を審議しているが、一朝有事があれば管制統治になる懸念がある」と批判し、「危機管理のあり方について抜本的見直しの必要性が今の政治に見られる」と強調した。
また、「閣僚らの年金の加入・納付実績について調査を求めており、加入は当然のことだが、本当に義務を果たしているか注目している」と述べた。
高速道路事業改革基本法案を提出
民主党は14日、高速道路事業改革基本法案を提出。同日の衆議院国土交通委員会において提案理由説明を行った。
同法案は、民主党が先の総選挙におけるマニフェストで掲げた「高速道路原則無料化」を実現するための方向性と枠組みを示したもので、高速道路の3年以内の原則無料開放、道路関係4公団の解散と国への債務・資産の承継、高速道路を管理するための法人の設立、などを骨子としている。
記者会見した岩國哲人『次の内閣』ネクスト国交相は、「自民党は32年間前に30年後の高速道路無料化を打ち出したが、できなかった。自民党が守れなかった公約を、民主党が新しい手法で、3年で実現しようという法案だ。高速道路を無料にするというのは、国民すべてが受益者という考え方に立つものであり、アメリカ、ドイツ、イギリスなど世界の先進国の常識だ」と強調した。
[衆院厚労委]底なしの年金保険料流用を追及
衆議院厚生労働委員会で14日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案の質疑が行われ、民主党の長妻昭、中根康浩、馬淵澄夫の各議員が社会保険庁による年金保険料の不正運用問題などを追及した。
長妻議員は、「国民年金特別会計と厚生保険特別会計の支出は厳密に分けられるべきだが、ドンブリ勘定の疑念がある」として、グリーンピアなどの福祉施設や社会保険庁職員用マンションの建設費、コンピュータ経費などに対する両特別会計の支出割合が厚生年金の方に大幅に偏っている根拠を追及した。しかし、坂口厚労相や森副厚労相は「財政事情を勘案し」などと曖昧な答弁で根拠を明らかにしなかったため、委員会はしばし中断。厚労省側は「改めて調べ直して答弁する」としたが、長妻議員は「特別会計間の融通は法律違反」と厳しく迫った。
中根議員は、社会保険庁が導入した金銭登録機、印刷システムが1社の随意契約になった理由を質した。金銭登録機は平成14年度で4億3469万円にも上る巨額な調達。金銭登録機、印刷システムとも株式会社カワグチ技研のものが、社会保険庁、全国の社会保険事務所、自治体の国民保険課に導入されている。
中根議員はまず、「見積もりを取った会社の数、決定した理由」を質した。森副厚労相は「年度内に納めることができたのがカワグチ技研だった。他にはできなかった」と答弁した。中根議員はカワグチ技研を訪問したことを明らかにし、その際、「名刺が必要な仕事をしていないので名刺もない。会社のパンフはない」と対応した職員が述べたことを示し、このような会社と保険料を財源として契約したのは納得できないとして、同社の川崎義幸社長の参考人招致と会社についての詳細情報の提示を求めた。坂口厚労相は「調査して答弁します」と答弁、参考人招致は理事会で協議することとなった。
馬淵議員は、数年前に厚生省局長の諮問機関から歯科衛生士の養成期間を2年から3年に延長する意見書が出されながら、見解が2転3転したことを取り上げ、このような厚生労働省の仕事ぶりでは、年金の抜本改革などできないと批判した。これは、当時の局長と厚生委員長の木村義雄議員(自民)が、厚生省の見解を歯科医師会の意向を受けて曲げたのではないかというもので、馬淵議員は日本歯科医師会、大阪歯科医師会からの木村議員への献金額も示して追及した。
「年金問題の政府答弁は審議時間に入れられない」枝野政調会長
民主党の枝野幸男政策調査会長は14日の『次の内閣』閣議後に記者会見し、与党との緊急事態基本法の制定に関する合意を了承したことなどを報告するとともに、衆議院厚生労働委員会における年金法案審議での政府側答弁について「審議時間にカウントできる代物ではない」と厳しく批判した。
枝野政調会長はまず、同日の『次の内閣』閣議の報告として、次期通常国会会期末までの緊急事態基本法の制定を謳った民主、自民、公明3党の合意、政府提出の商品取引所法一部改正案に対して不当な勧誘・取引を禁止する修正を実現したことの報告などを了承したことを明らかにした。
また枝野政調会長は、衆議院厚生労働委員会の年金法案審議における政府・与党の問題について言及。委員会審議において、大臣らがいちいち官僚と相談しなければ答えられないこと、与党が事実関係をわざと曲解した質問を堂々と行っていることなどを挙げ、「議論にならない」と厳しく批判するとともに、その分の審議時間を追加して要求する意向を示した。《民主党ニュース》