平成1553日目

1993/04/09

この日のできごと(何の日)

【北朝鮮】金正日書記を国防委員長に選出

朝鮮中央通信によると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は9日の最高人民会議第9期第5回会議で、人民軍最高司令官の金正日書記(51)を国防委員会委員長に選出した。

これにより北朝鮮の党、政府、軍の三大勢力のうち、党総書記と国家主席は父の金日成主席が、軍は金書記が担うことになる。国防委員長はこれまで金日成主席が努めてきた。

金書記の国防委員長ポスト獲得により、金日成主席からの権力委譲が一層進み、北朝鮮の世襲体制が定着すると予想される。

金書記は1991年12月に金日成主席に代わって軍最高司令官に就任、昨年4月には元帥の称号を受けた。今回の国防委員長選出で、軍部をほぼ完全に掌握したといえる。

北朝鮮は長年の経済悪化状況に加え、核開発疑惑で米国など各国からの圧力にさらされている。92年には国際原子力機関(IAEA)との間の保障措置協定に調印、批准し、ことし初めまで6回にわたり特定査察を受け入れた。

しかし、IAEAが当初のリスト外の2カ所に対する特別査察を要求したことから態度を硬化させ、米韓合同軍事演習チームスピリットの再開に対抗して3月9日から準戦時体制を敷いた。さらに同12日、核拡散防止条約(NPT)からの脱退を表明、特別査察を徹底拒否する対決姿勢を示してきた。

こうした一連の“強硬策”を命じたのは、既に国内での実権をほぼ掌握した金正日書記といわれ、軍部掌握のための最後の詰め、ともみられていた。《共同通信》

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【宮澤喜一首相】所得減税「会期内に判断」

宮澤首相(自民党総裁)は9日午後、山花社会、石田公明、不破共産、大内民社の4野党委員長と首相官邸で個別の党首会談を行い、政治改革や景気対策など当面の重要課題について意見交換した。

首相は政治改革について、選挙制度改革や腐敗防止策などの関連法案を一括処理する考えを改めて示すとともに「今国会で成立を得る」との決意を強調した。各野党が求める所得減税については、今国会会期末までに答えを出す意向を表明した。

首相はカンボジアでの日本人国連ボランティア殺害事件を契機に今後、同種事件の被害者に対して何らかの補償措置を検討するよう河野官房長官へ指示したことを明らかにした。また、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)に対し安全への配慮を要請する考えを示した。

政治改革について首相は、山花氏らに対し「このままだと与野党とも泥船で沈むかどうかの瀬戸際だ」と危機感を表明、①今国会中に関連法案を一括処理②新選挙制度は次の総選挙から実施—との方針を示した。

所得税減税について首相は、来年の年金財政再計算に併せ抜本的な税体系の見直しを行う考えを示す一方、3月4日の幹事長・書紀長会談で「前向きに検討する」とした梶山自民党幹事長の発音を「重く受け止めている」と述べた。

大手建設業者などの談合や公共事業をめくる不正について不破氏が調査を要求したのに対し、首相は「公共事業は税金でやるもので政府は関心と責任を持つ」と前向きな姿時を示した。

首相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核拡散防止条約(NPT)脱退について、国連安保理による制裁措置は効果的でないとの考えを示した。また旧ソ連、ロシアによる日本海などへの放射性廃棄物の海洋投棄について、近く来日するコズイレフ外相に対し責任ある処置を求める考えを明らかにした。党首会談は昨年12月末以来3カ月半ぶり。《共同通信》

【加藤武徳・前参院議員】77歳で弁護士挑戦

自治相などを務めた加藤武徳・前参院議員(77)=岡山選挙区、自民=が9日、東京都文京区湯島の司法研修所で行われた第47期司法修習生の修習開始式に出席、閣僚経験者として初の修習生になった。最高裁によると、過去最高齢の司法修習生。2年間、同研修所のほか裁判所などで研修を受ける。修習終了後は弁護士になる予定だという。

加藤氏は中央大在学中の昭和17年、現在の司法試験に当たる旧高等試験司法科試験に合格し、内務省に採用された。24年に司法修習をスタートしたが、25年、参院選立候補のため途中で断念。自治相、北海道・沖縄開発庁長官を務め、昨年7月に高齢を理由に引退した。《共同通信》

【国連ボランティア・中田厚仁さん殺害事件】ポル・ポト派による犯行の疑い

国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)報道官は9日、国連ボランティアの中田厚仁さん(25)=大阪府東大阪市=が中部コンポントム州で殺害された事件について「(総選挙を拒否している)ポル・ポト派による犯行の疑いがある。しかし捜査は継続中で、確認には至っていない」と述べた。報道官が「ポト派の疑い」に公式に言及したのは初めて。

また、明石康UNTAC代表は同日「UNTACによるカンボジアの和平プロセスに対する重大な挑戦で一ある」との非難声明を発表し、政治的動機による犯行との見解を示した。UNTAC報道官は「ポト派の疑い」の根拠には触れなかった。

コンポントム州一帯は、ポト派の最強硬派タ・モク北部軍管区司令官の管轄地域で、中田さんが働いていた同州プラササンボ郡はポト派の支配地区と隣接している。

報道官はこれまでにUNTACのブルガリア兵ら3人が殺害されていることを指摘、今回の事件も特定の国を狙ったものではなく、UNTACを対象とした攻撃との見方を示した。《共同通信》

カンボジアで8日射殺された国連ボランティアの選挙監視員中田厚仁さん(25)の父親武仁さん(55)=大阪府東大阪市=、母親の敬子さん(50)、妹の順子さん(23)は9日夕、大阪空港から現地に向かい、同日午後9時(日本時間同11時)すぎバンコクのドンムアン空港に到着した。

空港には藤井駐タイ日本大使らが出迎えた。武仁さんは「息子はやりたいことをやったと思う。褒めてやりたい」と話し、機中では厚仁さんの「短い一生」をずっと振り返っていたという。武仁さんは「(死亡の)連絡を受けてから気持ちはふっ切れている。遺体と早く対面したいというような気持ちは特にありません」と語った。

また、敬子さんは数個の花を付けた自宅の桜の小枝を持参し、順子さんとともに沈痛な表情をのぞかせた。武仁さんらは10日午前、タイ国際航空機でプノンペン入りする。《共同通信》

【河野洋平官房長官】5原則崩れていない

河野官房長官は9日夜の記者会見で、武藤外相がカンボジアで日本人の国連ボランティアが殺害された事件によって国連平和維持活動(PKO)協力法の参加5原則が崩れたかどうかについて、事件の事実関係を確認したいと発言した点に関連して「パリ和平協定の枠組みは崩れていない。(それは)選挙が行われていることからみても明らかだ」として、改めて停戦合意などの5原則は維持されているとの見解を示した。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮澤首相は9日、外遊か国内で静養かに関心が集まっている4月末からの連休の過ごし方について「休みじゃなくて、どうも仕事を当て込まれているみたいだぞ」と思わせぶりな発言。記者団が「海外でか」と突っ込むと「それはよく分からないんだ。(事務方で)検討はしているだろう」とかわした。ただ先日、別荘がある長野県・軽井沢に「行ければいいが」と漏らしていた首相だけに、連休中の仕事は避けたい様子がありあり。「生活大国」を掲げる手前、後ろめたさもあってか、最後は記者団に「(批判が出ないよう)協力して」と筋違いのお願い。

○…社会党の赤松書記長はこの日、党本部で新人職員に訓示。祖父から3代続けて党本部入りしたという職員を含む9人のフレッシュマンを前に、44歳の若さが売り物の書記長もやや戸惑い気味で「適材適所でどんどん仕事をしてもらう。頑張れば一年で部長に抜てきすることも考えている」と、古参職員が聞いたら怒り出しそうな発言。もっとも、党勢衰退や人材不足が公然と指摘されている同党だけに6月の都議選と次期衆院選の試練をくぐった一年先は書記長自身を含めて社会党全体の運命がやみの中かも。《共同通信》

【台湾・李登輝総統】国連復帰目指す

台北からの報道によると、台湾の李登輝総統は9日の国民大会臨時大会の演説で、国連加盟を積極的に推進する方針を初めて表明した。総統は「3年以内にこの問題が国際的に重視され、真剣に考慮されるよう希望する」との表現で、3年以内の加盟申請に向けて、国際的な働き掛けを強める意向を示した。

台湾は1971年、中国の加盟に伴って国連を脱退している。昨年の外交白書は、復帰を長期の努力目標とすることを打ち出していた。3月末には銭復外交部長(外相に相当)が、2、3年以内に国連加盟を申請すると述べているが、総統自身が表明したことで、常任理事国の中国が「二つの中国」になるとして反発するのは必至。

台湾は91年にアジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)に中国、香港とともに加盟を果たした。総統は「今後もさらに多くの国際組織加入を推進する」と述べ、こうした積み重ねによる国連への復帰を構想しているとみられる。

総統はまた対中政策について、歴史的に複雑な問題で、穏健かつ実務的に徐々に進めるべきだとし、中国の武力侵攻の脅威は消えていないと指摘した。《共同通信》

【米軍】イラクを爆撃

米国防総省は9日、イラク時間の同日午後(日本時間同日夕)イラク北部の飛行禁止空域を警戒中の米軍戦闘機4機がイラク地上部隊の対空砲火を受け応戦、うち2機がクラスター爆弾4個を投下したと発表した。米軍機に損傷はなく、間もなくトルコのインジルリク空軍基地に帰還した。イラク側に被害が出たかどうか明らかにしていない。

国防総省は「攻撃を受けたため爆撃した」として、自衛目的だったことを強調した。またイラク側の意図は「不明」と述べた。

クルド人保護のため、米政府は湾岸戦争直後の1991年4月、北緯36度線以北でのイラク機の飛行を禁止すると通告、米、英、フランスの空軍機が警戒に当たっている。対空砲火を受けたのは、今年2月3日にフランス軍の戦闘機2機が攻撃されて以来約70日ぶり。

米国務省のバウチャー報道官は「この事件で、イラクが一連の国連決議や国際社会における義務を無視し続ける姿勢がはっきりした。義務を果たさない場合に起こる重大な結果の責任はイラク側にある」と非難した。

米欧州統合軍の発表によると、対空砲火を受けたのは、ニネベ州にあるサダム・ダムの約3キロ東方の地点。米軍機はF16が3機とF4が1機で、通常の警戒監視飛行に就いていた。地上からの攻撃を受ける前にレーダー照射を受けたという。《共同通信》



4月9日 その日のできごと(何の日)