平成4057日目
2000/02/16
この日のできごと(何の日)
【参院憲法調査会】初会合
参院憲法調査会(村上正邦会長)は16日午前、初会合を開き、国会での憲法論議を本格的にスタートさせた。同調査会は、現行憲法下では初の憲法に関する国会常設機関。同日は憲法論議に臨む各党の基本姿勢や同調査会の運営方法などを中心に約2時間の自由討議を行った。この中で「憲法改正」うや「論憲」「護憲」など、憲法論議に臨む各党の基本的なスタンスの違いが明らかになった。
席上、自民党の小山孝雄氏は「一切のタブーを設けず調査研究を行うべきだ。憲法が一字一句変えられていないのは異常だ」と憲法改正も視野に入れた論議を主張。自由党の平野貞夫氏も「国民主権、平和主義、基本的人権の精神を継承、発展させ新しい憲法をつくることこそが日本再生のカギだ」と指摘した。
一方、共産党の橋本敦氏は「調査会を憲法改正の足掛かりにすることは許されない。憲法の平和的、民主的精神を擁護する」と護憲の立場を主張。社民党の大脇雅子氏も「三原則は世界に広められ、暮らしに生かされるべきだ」と主張した。《共同通信》
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【民主党・江田五月氏】小渕首相を批判
民主党の江田五月元科技庁長官が16日、都内の外国特派員協会で講演し、小渕恵三首相秘書官のNTTドコモ株譲渡問題をテーマに首相批判を展開した。裁判官出身で同党「ドコモ株疑惑解明プロジェクトチーム」座長の江田氏は首相が「首相が郵政族のドン」であると強調。親族も含め「首相周辺の人が(時価総額で)70億円にもなるドコモ株を持つこと自体がスキャンダルだ」と述べた。
さらに首相側の「説明がくるくる変わって不明朗だ」とも指摘したが、新味のある材料はなく、会場の反応もいまひとつだった。《共同通信》
【東海道新幹線】女性運転士のこだま出発
新幹線で初めてとなる女性運転士がJR東海で誕生し、16日、東海道新幹線の東京発名古屋行きこだま453号(16両編成)に乗務した。
運転士は東海道新幹線東京運転所所属の辻内理枝子さん(25)。新幹線の運転勤務は泊まりがあるため男性に限られていたが、昨年の労働基準法改正で女性運転士の乗務が可能となった。
辻内さんは工学系大学院を修了し昨年、JR東海に総合職で入社。新人研修の一環として、同期の佐藤友香さん(23)と2人で男性社員に混じって約9カ月の学科や見習い訓練を終え、15日、新幹線の運転免許を取得した。
辻内さんは独り立ちして初めての運転に緊張感もある中、「努力してきたのでうれしいです。運転の仕事には男女差もないから基本動作をしっかりして普段通りを心掛けたい」とこだまに乗り込んだ。雪の影響で約1分遅れで出発するまでの間、運転席でブレーキの確認など点検作業をてきぱきとこなした。《共同通信》
【毛利衛宇宙飛行士】児童らと交信
米スペースシャトル「エンデバー」で飛行中の毛利衛さん(52)は16日、北海道・余市町や、鹿児島県の屋久島、黒島などの小中学生らと交信し「地球環境問題への取り組みは今からでも遅くない。宇宙を視野に入れた強い意志で、生命全体を考えてほしい」とメッセージを送った。
毛利さんは8年ぶり2回目の飛行の感想を聞かれ「前回と違い全く宇宙酔いにならなかった。たくさん食事を食べられました」とベテランの余裕を見せた。
宇宙から見た地球環境の変化について「東シナ海など海の汚れが目立った」と話した。一方で「前は緑の森林に覆われていたシベリアが雪で真っ白になっていた。カナダ上空で見たオーロラもとても幻想的だった」と自然の美しさで受けた感動も語った。
故郷の余市町の人たちが毛利さんに向けてライトで送った「M」の字のメッセージは「よく見えないうちに通り過ぎてしまった。また上空を通るので確かめたい」と話した。
交信は南大西洋の上空230キロを飛行中のエンデバーと米ジョンソン宇宙センター(ヒューストン)を通信衛星で結び、さらに回線を屋久島などとつないで約20分行われた。《共同通信》
【民主党ニュース】
[衆院予算委]ゼロ金利のままでは景気回復しない=岩國哲人衆院議員
2月16日の衆議院予算委員会で、民主党から岩國哲人、古賀一成、肥田美代子の3議員が質問にたった。
岩國議員は、15日の一部朝刊に通産省が深谷通産相の写真入りで「中小企業対策」の広告を出したことを取り上げ、「公費を使った選挙アピールだ」とただしたが、青木官房長官は「中小企業対策を一生懸命やっているということ」などと答え、深谷氏の写真を入れた理由は答えなかった。
岩國議員は日本長期信用銀行の米リップルウッド社への売却問題に言及。「約4兆円もの公的資金が投入された後に米国の銀行となるが、将来、再建が成功して株が放出された際のキャピタルゲインは米国に所属するのか」と見解を求めた。宮澤蔵相は「株を買う米国民への課税権は日本にない」と述べ、越智金融再生委員長は「調査させる」と回答。岩國議員の「国民の税金が投じられた結果が、米国のみの利益になるのはおかしい」との追及に対しトは、2人とも回答を避けた。
このため岩國議員は「外国の一企業に約4兆円もの税金を付けて(銀行を)売り飛ばす例は世界にない」として、長銀と同社が交わした契約書など、すべての関連資料を委員会に提出するよう求めた。越智委員長は「秘密合意があり全部は困難だ」とごねたが、島村委員長は「委員会で協議する」と引き取った。
ゼロ金利問題について岩國議員は、「庶民のカネが利子もつかずに死んだままになっている。国民の莫大な利子所得が銀行に移転した形で、これでは景気は回復しない」と政策転換を要求。速水日銀総裁は「プラス面もある」と述べたが、岩國議員は「ゼロ金利だからといって雇用を増やす企業はない。国民サイドに立って政策を考えるべきだ」と主張した。
[衆院予算委]内閣の問題認識能力に疑義=古賀一成衆院議員
古賀議員は、財政・経済問題について大きな視点から政府を追及。赤字公債が3年前には476兆円だったのが645兆円に増えるなど、短期間に大幅に増加していることを挙げ、「空恐ろしい予算案だ。このほかにも地方交付税の特別会計に38、1兆円の借金が隠れている。景気を回復したうえで、財政改革に取り組むには容易ならざる決意と知恵が必要だが、小渕内閣には問題を認識する能力すらないのではないか」と、小渕首相の認識能力に疑義を呈した。
古賀議員は小渕内閣が標榜している一兎論(まず景気を回復して、その後に財政再建に取り組むというもの)を「全くの虚構」と断定。大蔵省が出した「中期財政展望」で示された、経済成長すればするほど公債発行が増えるという試算を示し、「一兎論の論拠が崩れているのではないか。景気がよくなったら財政再建と言うほど、ことは容易ではない」と指摘。宮沢蔵相は「財政再建が容易とは思わないが、現状を続けていてもどうにもならない。できるだけ早く財政再建路線に切り換えたい」と願望を述べた。
古賀議員は公職選挙法の改正にも言及し、「国民が期待していたのは、定数削減ではなく、小選挙区で法定得票も取れなかった候補者が比例区で当選する重複立候補や在日外国人の地方参政権の問題だ」と指摘、政権枠組み維持のため、いたずらに結果を急いだ政府の姿勢を批判した。
[衆院予算委]児童虐待防止法の制定が急務=肥田美代子衆院議員
肥田議員は、新潟県の少女監禁事件について「もっと早期に発見できなかったのか。容疑者の母親も暴力を振るわれ保健所に相談に行っている。ほかの公的機関との連携の不十分さなど、警察組織のたるみが原因ではないか」とただした。田中警察庁長官は、「初期捜査で容疑者の前歴が警察のパソコンに入力されておらず、各所轄署ごとの連絡も不足していた」と認め、保利国家公安委員長も「京都での容疑者取り逃がしもあり、特令を出して(たるみを)ただしたい」と答えた。
さらに肥田議員は、「この事件は明らかに児童虐待だが、現行の児童福祉法では家庭への立ち入り調査ができない。負傷した子どもを診察した医師が警察に虐待と届けたくても誤認した際の免責事項がなく、なかなか通報できない。衆院の青少年特別委員会でこうした欠陥を埋める『児童虐待防止法』制定が決議されたが、厚生省は前向きに制定に取り組むべきだ」と迫った。だが丹羽厚相は「すべて法律で片づくと思わない。現在の法制度内でもやるべき課題が多い」と消極的な姿勢に終始。このため肥田議員は、「全国の児童福祉相談所の8割が現行法では児童虐待に対応し切れないと回答している。『防止法』があればこの種の事件の再発を予防できる」と法制定を重ねて要求し、丹羽厚相も検討を約束した。
「論憲の立場であらゆる問題を議論する」衆参両院の第1回「憲法調査会」
今国会から開設された衆参両院の憲法調査会が相次いで第1回の会議を開いた。
16日の参院憲法調査会では、まず各会派の代表が運営方針について所信を表明。民主党・新緑風会の江田五月理事は「はじめに憲法改正ありきの立場はとらない。同時に憲法改正をしてはならないとの立場もとらない。21世紀の『この国のかたち』を構想する立場からあらゆる問題について議論していく」「私たちは『論憲』の立場に立ち、論議を避けたり、先送りしたり消極的な立場をとらない」と表明。
続いて自由討議にうつり、民主党・新緑風会から5議員が発言した。笹野貞子議員は「女性に関する問題で、憲法の理念に現実が追いついていないことを十分に調査すべき」、高嶋良充議員は「社会の現実と憲法のかい離があるのは事実。どの条文がかかわるのか、どこに不備があるのか明らかにする必要がある。国民の中に入って議論できる場を設けたい」、簗瀬進議員は「明治憲法、太平洋戦争の敗戦で終わる憲法成立過程前史の総括が必要。明治憲法は当時すぐれた憲法だったが、その中からなぜ軍部の独走が生まれたのか分析が重要」、直嶋正行議員は「国民世論の理解や後押しがなければ現実に新しいものはできない。はじめに出口を決めるやり方ではなく、議論を深める中でまとめるタイミングはおのずと決まってくる」、浅尾慶一郎議員は、「学識経験者も交え、憲法とは何か、何をするものか、何のためにあるのかという議論もしていただきたい」と提案した。
小渕首相株疑惑解明で江田PT座長が講演
民主党「小渕総理・株疑惑解明プロジェクトチーム(PT)」の江田五月座長と小川敏夫委員(ともに参議院議員)は16日、日本外国特派員協会に招かれ、総理大臣秘書官の古川俊隆氏がNTTドコモの未公開株を不正に取得したのではないかとされる疑惑について講演し、「疑惑解明に向け、PTを中心に全党を挙げて努力する」と決意を表明した。
江田座長は、「もっとも気になるのはドコモ株が急騰したこと、その株を首相の関係者が2人購入していることだ」と指摘。そのうえで、(1)首相の兄である小渕光平氏と古川秘書官が600万円程度の元手で手に入れた株が現在は約70億円になっていること。(2)のちにNTTドコモ株に化ける上毛通信サービスが幾度かの合併を経ていることを挙げ、「ある種の政策決定がおこなわれてきたと推測される。郵政族のドンである小渕総理が政策決定に関与し、あるいは政策決定を知る立場を利用し、巨億の富を形成していったのではないか。このような行為はグローバル・スタンダードからは大きく外れるのではないか」と問題提起。「私たちはこういう人がサミット開催国の議長を務めることに耐えられないとの立場で、この事件を問題にしている。巨億の富を手にしながら、“世界一の借金王”と居直っている小渕総理の政治的責任を厳しく追及する」と決意を表明した。
鳩山代表も同日の定例会見で、「総理が答えられないなら、本人の出席を求めざるを得ない。野党3党の協力で、証人喚問の実現を図っていく」と述べた。
中国共産党の対外連絡部と懇談
中国共産党中央委員会対外連絡部の劉洪才アジア2局局長らが16日、民主党本部を訪れ、鳩山代表らと意見交換した。ネクストキャビネット(NC)の伊藤英成外交・安全保障大臣、簗瀬進国際交流委員長、大畠章宏NC消費者・産業副大臣、国際交流委員会の近藤昭一中国局長が出席した。
劉局長は、昨年の日中間の貿易総額が記録的な額に達したことを取り上げ、日中関係の良好さを強調。また、日本では民主党が中国との交流に最も熱心だと述べ、日中交流をさらに盛んにするため、青年交流を企画・実現していくことを提案した。これを互いに確認し、11月をめどに中国から青年団を受け入れ、日本でのホームステイを実現することなどを話し合った。