平成2228日目
1995/02/13
この日のできごと(何の日)
【野茂英雄投手】ドジャース入団会見
米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースは13日、ロサンゼルスのホテルで前近鉄の野茂英雄投手(26)の入団を正式に発表した。マイナーリーグ契約で背番号で「16」。正式契約は12日に交わされており、契約金はマイナーリーグとしては史上最高の200万ドル(約2億円)と推定される。発表にはド軍のピーター・オマリー会長も同席した。
ロサンゼルス市内のホテルで、100人を超える報道陣、関係者を前に行われた記者会見で野茂は「(メジャー入りの)自分の夢をかなえるための、一番近い立場のところに来られてうれしく思う。日本での実績は関係なくゼロからやる」と話した。
同投手はいったん帰国し、2月下旬に再渡米。フロリダ州ベロビーチでもキャンプに途中から合流する。フレッド・クレアー・ゼネラルマネージャーは「一軍ローテーションの枠に入れるチャンスを与える。野茂の新しい旅立ちを応援している」と語った。
大リーグ挑戦の決意を固めた野茂投手は1月9日に近鉄退団を表明した。30日に渡米し、マリナーズの身体検査を受けるなど数球団と接触。2月3日からドジャースと交渉を始め、9日に合意に達していた。《共同通信》
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前近鉄の野茂英雄投手(26)が米大リーグ、ドジャースと契約を交わし、夢の大リーグ登板へ向けて大きな一歩を踏み出した。4年連続最多勝を獲得した速球派投手は、ジャイアンツで1964年から2年間プレーした村上雅一則氏以来、2人目の大リーグを目指すが、これからいくつかの試練を乗り越えていかなければならない。
野茂は15日に一度帰国した後、2月下旬に再渡米し、フロリダ州ベロビーチで行われているドジャースのキャンプに参加する。ここで3A以下のマイナー球団に振り分けられるが、ド軍関係者によると3Aアルバカーキ(パシフィック・コースト・リーグ)入りが確実だ。
キャンプで高い評価を受けても、問題なのは大リーグの労使紛争の現状。米移民・帰化局はストライキ中は大リーグに就労するためのビザは発給しないとしている。ストが解決しなければ大リーグへの道は開かれない。
野茂は昨シーズン、酷使からか右肩に炎症を起こしている。しかし、故障は昨シーズン後半の休養で回復した様子だ。契約前にドジャースの投球テストをパスしたことでもまず心配はないだろう。
会見にはド軍のピーター・オマリー会長が同席し、自ら野茂にユニホームを手渡した。背番号は「16」、推定契約金はマイナーの選手契約としては史上最高と言われる200万ドル(約2億円)。破格の待遇はド軍の期待の大きさを表している。
ピーター・オマリー・ドジャース会長 野茂は長い間、メジャーで投げることを夢見てきた。彼の勇気と情熱を尊敬している。彼をドジャースに迎え入れられることを喜ばしく思う。
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日本の三振奪取王が夢の実現に向け、第一歩を踏み出した。会見では緊張からか無表情で淡々と話す場面が多く見られたが、ユニホームを手渡された瞬間、野茂の顔に笑顔が広がった。
―ドジャースと契約した理由は。
「オマリー会長のことを気に入ったから。他球団を断ったのは“オマリー会長”がいなかったから」―いつから大リーグで投げたい気持ちがあったのか。
「1990年の日米野球で大リーガーと対戦してから(米国に)行きたいという気持ちが生まれてきた」―米国のファンにどうアピールしたいか。
「特にこれというのはない。ただ自分に魅力を感じ、球場に足を運んでくれるような投手でありたい」―ストライキが続いていれば、実力が認められても大リーグで投げられ、ない場合もあり得るが。
「そのあたりはすべて理解した上でのことです」―日本のファンにひと言。
「次の世代にも希望を一持たせることができるように頑張りたい」《共同通信》
【春の園遊会】取りやめ
宮内庁は13日、今年の春の園遊会の開催を取りやめると発表した。同庁は理由について「阪神大震災を憂慮する天皇、皇后両陛下のご意向に沿うもの」としている。《共同通信》
【兵庫県】全中学校で授業再開
阪神大震災で授業を中止していた神戸市立の中学校9校と小学校29校が13日、授業を再開した。これで中学は兵庫県内の全校が震災以来初めて授業を再開した。この日神戸市では市立の5幼稚園が保育を再開、高校1校も授業を再開した。《共同通信》
【政界談話室】
○…村山首相は13日、特殊法人見直しが期限をオーバー、11日未明まで閣僚折衝がもつれ込んだことについて記者団から「細川内閣と似てきたのでは」と質問され、「そんなことはない。大詰めになると仕方ない」。首相は細川内閣当時、度重なる深夜の重要政策決定に「夜騒ぐ男じゃのう」と批判していただけに、「みんな真剣に議論してくれたんだから…」と反論も弁明調。ところが記者団が「政権の末期症状では」と意地悪質問で追い打ちをかけると、日ごろ温厚な首相には珍しく「そんなことはない」と、途端に強気の弁。
○…新進党「明日の内閣」の西岡武夫・総合調整担当はこの日の記者会見で、阪神大震災の復-興財源問題に関して「増税は、アクセルとブレーキを同時に踏む財政政策になりかねない」「増税ではなく公債で、というのは党全体で決まっている」と、党方針の「増税なき復興」を歯切れ良く説明。ところが党首脳らの一部にある増税容認論への見解を求められると「(党方針と)矛盾しているとは思わない」と一転、言葉少なに。「財政全体をどうするかは一義的には政府の問題だ」と、政府の対応にげたを預けるなど「明日の内閣」を掲げるわりには苦しい答弁。《共同通信》
【加納典明さん】逮捕
警視庁保安課は13日、竹書房(東京都千代田区飯田橋)出版のヘアヌード写真集「きクぜ2!」がわいせつに当たるとして13日、わいせつ図画販売の疑いで、撮影した写真家加納典明(52)、竹書房社長A(50)と編集者ら計4容疑者を逮捕した。露骨な性器描写について発行人らが逮捕されたケースはあるが、ヘアヌード掲載で逮捕されたのは初めて。
加納容疑者は逮捕前の記者会見などで写真集のわいせつ性を否定、「(立件されれば)裁判で争う」としていた。調べでは、加納容疑者らは昨年11月22日からことし1月25日までの間、書籍取次会社15社に「きクぜ2!」約6万9000冊を計約1億5000万円で販売した疑い。同課は「性器周辺をアップにし、性器そのものを描写した」と判断した。
「きクぜ2!」は加納容疑者撮り下ろしヌードを掲載した月刊写真誌「ザ・テンメイ」の総集編で約300ページ。保安課は昨年7月「ザ・テンメイ」8月号がわいせつだとして、竹書房に警告したが、うち数枚が「きクぜ2!」にそのまま掲載された。
保安課は「全体がわいせつ」と判断し1月、わいせつ図画販売容疑で加納容疑者の事務所や竹書房を家宅捜索していた。ヘアヌードが問題となって以来、警視庁はヘア写真を掲載したとして隔週刊誌スコラなどの編集者を書類送検しているが、いずれも調べの過程で出版側が、わいせつ性を認めている。
写真集のわいせつ性をめぐり争われたケースは、著者と出版元の社長が起訴された「愛のコリーダ」事件(昭和57年無罪確定)がある。《共同通信》
【チェチェン、ロシア】砲撃停止で合意
ロシア国防省当局者は13日、チェチェン進攻作戦の責任者であるクリコフ・ロシア合同司令官とチェチェン共和国のマスハドフ参謀総長が同日、隣接するイングーシ共和国で会談し、重火器による砲撃の停止で双方が合意したと語った。
同日の停戦交渉は5時間にわたり、砲撃停止のほか①捕虜の交換②戦死者の引き渡しーなどについても話し合われた。交渉は同日いったん終わり、15日に再開するとしている。また、イングーシ共和国のアガポフ副大統領の側近は13日、共同通信に対し副大統領の仲介で停戦交渉が実現したことを確認した。
エリツィン政権はこれまでドダエフ大統領との対話を拒否する姿勢を貫いてきたが、前線レベルでの対話は拒否していない。今回の合意がさらに停戦合意に向け前進すれば、泥沼化の様相を呈しているチェチェン紛争の解決へ向けた転機になる可能性もある。
ロシア軍のチェチェン進攻から2カ月以上経過した現在、ドダエフ大統領勢力は首都グロズヌイを放棄し、南部の山岳地帯でのゲリラ戦に転換している。《共同通信》