平成5584日目

2004/04/22

この日のできごと(何の日)

【北朝鮮・竜川駅列車爆発事故】

韓国の通信社、聯合ニュースは22日、中国・丹東の消息筋の話として、北朝鮮北西部の平安北道竜川郡の竜川駅で同日午後2時ごろ、石油とLPガスを積んだ貨物列車同士が衝突、大規模な爆発が起こったと報じた。多数の死傷者が出ているという。

韓国のニュース専門テレビYTNは「目撃者は死傷者が最高3000人余に達すると語った」と報じた。現場は中朝国境の都市、新義州から平壌方向へ約15キロで、被害者には華僑も含まれ、丹東に運ばれ治療を受けているという。

聯合ニュースは、北朝鮮当局が現場一帯に非常事態を宣言、事故が外部に伝わらないよう国際電話回線を切り、現場は外部との通話が不可能になっていると報じた。

事故は中国訪問を終えた金正日総書記の乗った特別列車が同日早朝に通過して約9時間後に起きたとみられ、YTNによると、韓国政府関係者は「単純な事故で、政治目的はないとみられる」と述べた。

聯合ニュースによると、韓国国防省高官は「竜川駅周辺で強い爆発が起きた事実が確認された」と事故発生を確認したが「事故原因や人命被害の状況などについては把握できていない」としている。

竜川駅周辺は爆撃を受けた廃虚さながらになり、事故の破片が空中高く舞い上がり、気流に乗って新義州周辺まで広がったという。《共同通信》

中国国境に近い北朝鮮北西部の平安北道竜川郡の竜川駅付近で22日起きた列車衝突、爆発事故で、中国遼寧省丹東市の当局者は23日、北朝鮮から救援要請があったことを明らかにした。北朝鮮が事実上事故があったことを認めた。ロイター通信が伝えた。

現場から約15キロ離れた丹東市の鉄道病院関係者は同日、負傷者の緊急治療の準備を市内の各病院がしていると語り、多数の負傷者が出ていることを間接的に確認した。

一方、米政府筋は22日、竜川駅付近で「大きな爆発」が発生したことを米情報機関が確認したことを明らかにした。同筋は「(原因は)不明で被害の詳細は把握していない。分かっているのは駅付近で大きな爆発が起きたことだ」と語った。

米政府は、中国訪問を終えた金正日総書記の乗った特別列車が現場付近を通過していることなどから、爆発の原因や被害状況を注視。偵察衛星などを使って情報を収集しているとみられる。

北朝鮮の国連代表部筋は22日、「マスコミで伝えられた情報以外は得ていない」と述べ、本国政府から爆発の詳細について連絡を受けていないことを明らかにした。

韓国メディアは同日、石油とLPガスを積んだ貨物列車同士が衝突して、大規模な爆発が起き、目撃者の情報として死傷者は最高3000人余に達すると報じた。

バウチャー米国務省報道官は22日、詳細を確認できる情報はないとしながらも「非常に悲しむべきことだ。傷ついた人に同情の念を禁じ得ない」と述べた。

中朝国境に近い北朝鮮北西部の竜川駅で22日起きたされる貨物列車衝突、爆発事故で、23日付の韓国紙、中央日報は韓国政府関係者などの話として、同駅には事故当時、多数の乗客を乗せた中朝間の国際列車が停車中だったと報じた。事実であれば、乗客らが巻き添えになった可能性がある。

同じく韓国紙の東亜日報は、商取引のため北朝鮮を訪問し22日に帰国した中国人の話として、駅周辺はアパートの密集地で、多数の犠牲者が出ているとの見方があると伝えた。

一方、京郷新聞は、現場近くの住民が「駅を中心に半径100メートルの地域が、まるで爆撃を受けたように焦土と化した」と話した、と報じた。この住民と携帯電話で話した親せきの中国消息筋の話として伝えた。《共同通信》

22日午後1時、北朝鮮・新義州から平壌側に50キロ離れた場所にある平安北道竜川郡竜川駅で大規模な爆発事故が発生、多数の人命被害が生じたと、中国国境都市・丹東の中国消息筋らが伝えた。

この日の事故は、金正日国防委員長が汽車でこの駅を通過してから約9時間後に発生したもので、注目を集めている。

正確な事故原因や内容、具体的な人命被害は確認されていないが、丹東の中国人らは事故地域に住む親戚らの安否を憂慮していると、消息筋らは伝えた。《中央日報》

世界主要メディアは、北朝鮮竜川駅の列車爆発事故を一斉に特筆大書し、大きな関心を示した。各外信は「竜川と中国丹東の間の国際電話の回線が切れ、現場の正確な状況を把握しがたくなっている」としたうえで、事故関連情報の大半を韓国マスコミの報道として伝えている。

また、北朝鮮・金正日国防委員長一行が、事故発生の10時間前に、竜川駅を通過した事実も報じた。AP通信は「北朝鮮は、秘密に包まれた国であり、今回の事件もやはり永遠の謎になりそうだ」とし「金委員長の竜川駅通過とかかわりがあるのでは、との推測も排除できない」と報道した。

CNNテレビとBBCテレビも、22日夜、緊急ニュースとして初めて報じた後、毎時間、速報を伝えた。BBCテレビは、とくに、竜川駅一帯が火炎に包まれた場面や、事故発生から18時間後も黒い煙が出ている場面を盛った現場写真を、出処を公開しないまま、電子版に掲載した。

BBCテレビは「事故となった列車に載せられていたLPガスは、中国を訪問した金委員長に中国が送った帰国の贈り物だった可能性がある」と報じた。米ニューヨークタイムズ紙など各紙も、韓国マスコミの報道内容として、事故の経緯を伝えた後、韓国国防部の論評内容と非常警戒令が発令された北朝鮮の状況などを伝えた。

人命被害のニュースを最も先に伝えたのは、中国の新華社通信(23日報道)だった。同通信は、北朝鮮の中国大使館の集計として、中国人死者がいるとの事実を報じた。《中央日報》

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【ゴルフ・青木功選手】殿堂入り

日本男子プロゴルフの第一人者、青木功選手(61)がゴルフの世界殿堂入りすることが22日、明らかになった。日本選手の殿堂入りは昨年の樋口久子・日本女子プロゴルフ協会会長に次いで2人目で、男子選手では初めて。

青木選手は日本ツアーの賞金王に5度輝いたほか、1978年の世界マッチプレーなど欧州、米国、オーストラリアの各ツアーで優勝。80年の全米オープン2位など海外での輝かしい実績を残し、現在は米国プロゴルフのシニアツアー(チャンピオンズツアー)で活躍している。《共同通信》

【競泳・日本選手権】

アテネ五輪代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権第3日は22日、男女計4種目の決勝などを行い、男子200メートル自由形は奥村幸大(近大)が自己の持つ日本記録を更新する1分48秒87で2連覇した。奥村は、日本水連が設定した派遣標準記録突破で2位以内の条件を満たし、アテネ五輪代表入りを決めた。

実力者がそろって注目された女子100メートル背泳ぎは、1分0秒98で初優勝した中村礼子(日体大)と、2位に入ったバルセロナ、シドニー五輪代表の稲田法子(セントラルスポーツ)が五輪出場を決めた。シドニー五輪銀メダルの中村真衣(JSS長岡)は3位に敗れた。

女子100メートル平泳ぎは3大会連続五輪出場を狙った田中雅美(SAT北海道)が1分9秒04で2年連続8度目の優勝を遂げたが、0秒03差で派遣標準記録に届かなかった。女子200メートル自由形で2連覇の永井奉子(OKSS)も標準記録を突破できなかった。《共同通信》

【靖国神社】衆参84人が参拝

超党派の国会議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(瓦力会長)は22日朝、春季例大祭に合わせ、靖国神社を参拝した。森喜朗前首相、綿貫民輔前衆院議長、斎藤十朗元参院議長、竹山裕参院議員会長ら自民党を中心に民主党、無所属を含めた衆参議員計84人(ほかに代理82人)が参加。閣僚本人の参拝はなかった。

瓦会長は参拝後の記者会見で、福岡地裁が小泉純一郎首相の靖国神社参拝に違憲の判決を下したこと対し「それはそれとして、国会議員の参拝は多くの国民の心をとらえており続けていきたい」と強調。日本遺族会副会長の森田次夫参院議員は「あくまで地裁判決なのでほかの裁判に影響しない」と述べた。《共同通信》

【小泉純一郎首相】イラク復興は国連主導で

小泉純一郎首相は22日午後、首相官邸で内閣記者会のインタビューに応じ、イラクの治安情勢の深刻化を踏まえ、復興や民主化プロセスを国連主導で進めるよう米国への働き掛けを強めていく意向を明らかにした。《共同通信》

【北朝鮮】拉致被害者家族の無条件帰国を否定

北朝鮮の鄭泰和日朝国交正常化交涉担当大使は22日、平壌の人民文化宮殿で共同通信などと会見、4月初めの山崎拓・自民党前副総裁らとの接触で拉致被害者家族8人を無条件で帰す立場を示したとされることについて「事実ではない」と否定した。

さらに、拉致被害者5人を「政府間の約束通り、(北朝鮮に)戻す」よう要求し「これ以外に解決方法はない」と言明したが、家族の帰国問題を今後、日本政府と協議する意向を示し、政府間協議の再開時期は「いつとは特定できない。拉致問題だけの協議なら応じない」と述べた。

鄭大使が日本マスコミの取材に応じたのは2002年10月末にクアラルンプールで行われた日朝国交正常化交渉以来。

日朝間の懸案である拉致問題で原則的立場をあらためて示し、山崎氏との接触後に日本で広まった「軟化」の感触を打ち消す一方、今後は日本政府の求める政府間協議で拉致問題を含めて交渉する用意があることを示す狙いがあるとみられる。

鄭大使は「拉致問題も(日朝間の)数多い懸案の一つ。それなりの重みはある」としたが、日本の植民地支配を清算する必要性も強調。「日朝平壌宣言の履行問題を討議しようというのなら反対しない」と話し、政府間協議を再開する用意のあることを強調した。4月中の再開説については「うそだ」と否定した。

山崎氏との接触について「日本側からの申し入れだった」とし「日朝関係全般について深い議論をした。今後の関係改善に肯定的に作用すると信じる」と評価したが、具体的なやりとりについては「話す時期ではない」と言及を避けた。《共同通信》

【ダイムラークライスラー】三菱自への支援停止

ドイツ・米国の自動車大手ダイムラークライスラーは22日、経営再建中の三菱自動車への支援について-「解決策が見いだせなかった」として増資引き受けに協力せず、今後財務面での支援も停止するとの声明を発表した。

三菱グループ主要各社一は23日、支援打ち切りを受け緊急協議を開始、対応を協議しているが、ロイター通信によると、ダイムラーのスポークスマンは23日、三菱自の約37%の保有株を売却することになると述べ、全面撤退もあり得るとの考えを表明。筆頭株主のダイムラーが追加支援打ち切りを決めたことで三菱自は存亡にかかわる重大局面を迎えた。

ダイムラーは、三菱重工業や三菱商事など三菱グループと協力して再建策を模索、増資引き受けなど総額7000億円規模の資金支援と人員削減を柱に調整を進めていた。

ダイムラーの7日の株主総会で、業績低迷の三菱自への支援に大口株主から批判が相次いだことから、収益重視の観点から方針転換を図ったとみられる。支援停止は22日開かれたダイムラーの臨時の取締役会、監査役会が決定。声明は、三菱グループとともに再建の道を模索してきたが「ダイムラーにとって受け入れ可能な解決策は見いだせなかった」と結論付けた。

ダイムラーの株価が1998年11月の旧ダイムラー・ベンツと旧クライスラー合併時に比べ40%以上も下落しているため、株主らの不満が募っていた。

三菱自は04年3月期連結決算の純損益が720億円の赤字に転落する見通しを示しており、ダイムラーは子会社「スマート」社長のレンシューラー氏を訪日させ、再建策を模索していた。《共同通信》

ドイツ・米国の自動車大手ダイムラークライスラーは22日、経営再建中の三菱自動車の増資引き受けに応じず、今後財務面の支援も停止すると発表した。三菱自への出資(37%)についてダイムラーは23日の記者会見で「最終的な決定をしておらず、他の大株主の行動次第だ」とし、三菱グループの支援の行方を見守る姿勢を示した。

三菱自とのエンジン共同生産など業務提携と、グループのトラック部門である三菱ふそうトラック・バスとの資本提携は継続する。三菱自のエクロート社長の後任社長に内定していたアンドレアス・レンシュラー氏派遣も白紙撤回した。

三菱グループは23日、東京都内の三菱重工本社で同社の西岡喬会長、三菱商事の佐々木幹夫会長、東京三菱銀行の三木繁光頭取、三菱自のロルフ・エクロート社長が緊急協議し、「事業再生特別チーム」を編成し、1カ月以内に中期経営計画を策定する方針を決定した。

新計画では、タイムラークライスラーの増資引き受けがなくなった穴を埋めるため、三菱自に対する三菱グループの財政支援を強化する。グループ全体で当面、総額2500億円程度を支援する見通し。グループ内で2000億円程度の増資を引き受けるほか、三菱自が保有する三菱ふそうトラック・バス株をグループ企業へ売却し500億円程度を確保する。《共同通信》

【この日の民主党】

「国民負担を求める資格があるのか」年金審議で野田国対委員長

民主党の野田佳彦国会対策委員長は22日午前の記者会見で、与党が23日に年金関連法案の委員会採決を行うよう求めていることについて「論外だ」と強く批判した。

与党は、22日の衆議院厚生労働委員会の理事会で23日の採決を申し入れたが、野党側は拒否している。これに対して野田国対委員長は、「十分な審議がが尽くされていないだけでなく、国民の負担を求めていく資格があるのかというそもそも論が問題になる」と述べ、年金保険料の流用問題、日歯連をめぐる贈収賄事件など、次々と表面化している社会保障行政関連の不祥事について解明することが不可欠だとの考えを強調した。

[衆院本会議]小泉議員、政府の金融失政を問う

衆議院本会議が22日開かれ、政府提出の信託業法案に対して民主党の小泉俊明議員が質問に立った。

小泉議員ははじめに「経済の現状や実態を無視した官僚主導による小泉改革は、経済や国民生活を直撃し、まさに死屍累々の結果を招いた」として小泉内閣3年間の評価を主要大臣に質し、「閣僚として責任を感じないか」と迫った。特に小泉内閣最大の失敗が金融政策であると指摘、「結局、金融機関は巨額の公的資金の投入を受けながら、国債を買うだけの『国債消化銀行』になっており、実態経済に全く流れていない」と批判。さらに、ここ15カ月間で35兆円にも上る巨額のドル買い・円売りの為替介入について「そもそも必要性も合理性もなかったし、巨額介入を今後も持続することは不可能ではないか」と痛烈に断じた。

その上で、「信託可能な財産の範囲を23兆円の市場規模を持つ特許権や著作権などの知的財産権などにも広げることにより、大企業ばかりでなく、中小企業やベンチャー企業にも多様な資金調達の道を開くとともに、金融市場の活性化を図るものだ」と81年ぶりの抜本改正となる同法案の意義を説き、知識財産権への投資環境の整備など同法案が十分有効に機能するための方策を質した。

谷垣財務、竹中経財・金融、中川経産の各大臣は「小泉改革は着実に浸透しつつある」「金融政策は失敗との指摘はまったく当たらない」などと答弁した。

[衆院厚労委]参考人質疑で年金不信の解消策を議論

衆議院厚生労働委員会で22日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案をめぐる参考人質疑が行われた。午前中の質疑では一橋大学経済研究所の高山憲之教授ら4名が意見陳述した後、民主党から古川元久『次の内閣』ネクスト厚生労働相が質問に立った。

高山参考人は(1)公的年金における約600兆円の債務超過をどう負担するかの構造改革が必要(2)公的年金制度の信頼回復につながる的確な回答が必要(3)15年間にわたる毎年1兆5000億円前後の負担増を求める政府案が実現すると、企業は従来より厳しいリストラを強行せざるを得ず、厚生年金の空洞化、若年層の労働市場からの閉め出し、消費支出の低迷、失業率の上昇等を招き、経済成長を阻害(4)お年寄りも今後20年間、給付が実質目減りする(5)政府案は保険料水準と給付水準双方を固定方式とするとしているが、2つを同時に実現するのは容易ではなく、受給開始年齢の更なる引上げに追いこまれる可能性がある(6)政府案による国庫負担引上げが実現すると、税金の無駄遣いが増える(7)拠出した掛け金は必ず年金給付の形で返ってくるスウェーデン流のみなし掛け金立てへの切替えが最善――などを指摘した。

古川ネクスト厚労相は「損得の議論ではなく、持続可能な年金制度の構築に向けた議論を」として、公平・公正な年金制度を確立するのが民主党案だと前置き。現行制度の枠内で負担の構造改革を行う政府案で、年金制度への不信を払拭できるかを質問。高山参考人は公的年金が直面する問題は負担の構造改革と信頼回復の2点であることを改めて提示。現行制度の枠内での負担の構造改革だけでは信頼回復にはつながらないとし、改めてスウェーデン方式への切替えが望ましいとする考えを示した。

午後は、日本経団連の矢野弘典専務理事や連合の笹森清会長らがそれぞれの立場から意見陳述を行った。笹森会長は、年金制度抜本改革の眼目は制度不信と空洞化の悪循環を解消することにあるとし、政府案については「基礎年金の土台の建て直しに触れていない。負担と給付の数字合わせだけ」と批判。連合の改革案に沿いながら、「基礎年金を税方式にすれば負担率15%、給付率60%でできる」と提起した。

質問に立った民主党の山井和則議員は、まず政府案のように保険料を引き上げた場合の影響について質した。笹森会長は、負担率が15%を超えると労使ともにもたなくなるとし、政府案への賛成を表明した矢野理事も、18.3%までノンストップで上がれば企業ももたないことを認めた。また、雇用や経営を支えるためには民主党案のように年金目的消費税を導入する方が負担が少ないとする山井議員の主張に対し、矢野専務理事も「消費税を仕組みの中に積極的に採り入れていくべき」と述べた。

イラク邦人拘束事件対策本部、全議員報告会開く

イラク邦人拘束事件対策本部は22日、国会内で全議員報告会を開き、藤田幸久国際局長がヨルダン派遣団の活動報告を行った。藤田国際局長は事件の起きた9日の深夜、羽田を飛び立ち、翌朝、ヨルダンのアンマンに到着。以降、17日夜帰国するまで現地で情報収集・分析にあたった。報告の概要は以下の通り。

(1)日本政府は、バクダッド、アンマンの両日本大使館とも、ありとあらゆるルートに働きかけをしたと思われるが、「他力本願」の活動が中心であり、最後まで犯人グループの特定、人質の所在確認、直接交渉等はできずに終わったと思う。

(2)結果的に功を奏したのは、イスラム聖職者協会はじめ多くの宗教者が犯人グループに解放を促す働きかけを行ったことと、人質の家族がアルジャジーラやイラクの地元メディアなどで解放を訴えたことが広くイラク、ヨルダンの一般市民に伝わったことである(藤田国際局長もバクダッドのNPOや党本部と連絡を取り、高遠さんのイラクでの活動や家族のビデオが現地で放映されるよう仲立ちした)。

(3)ファルージャは米軍によって1週間で700人近くが殺されたため、全イラク的反米活動のシンボルとなった。悲惨な戦闘の中で連帯意識の強い住民たちが犯人グループを守っていたと見られる。小泉首相が犯人をテロリスト呼ばわりした際、地域住民も反発したと言われる。

(4)イラク情勢は悪化しており、バグダッド市内もグリーンゾーンを除いては無法地帯の様相。今や全イラク国民対アメリカという戦いの様相であり、これにパレスチナやイランも含むアラブ世界全体の反米感情が急速に高まっている。

(5)日本人人質の行動には稚拙で注意不足な面があり、家族の言動も一部身勝手だったことは否めないが、人質及び家族に対する日本でのバッシングは異常に思える。自己責任も重要だが、イラクで1万人の無辜の市民を殺した戦争を始めたアメリカを支持し、自衛隊を派遣した「政府責任論」も重要だ。

(6)短期間ではあるが、海外紛争地域に拠点を設けての党活動はコソボ、アフガニスタンに続いて3度目であり、今後の調査、拠点活動にこれらのノウハウを活かすべきだ。中東全体に不安定要素が劇的に拡大している状況であり、民主党としてのイラク問題の取り組みを考えるとき、イラクのみならず中東情勢の推移を党全体として日頃から情報収集にあたる必要がある。《民主党ニュース》



4月22日 その日のできごと(何の日)