平成1969日目
1994/05/30
この日のできごと(何の日)
【東京都新宿区】右翼の男、細川前首相に発砲
30日午後7時ごろ、東京都新宿区西新宿、京王プラザホテル3階ロビーで、玄関に向かっていた細川護熙前首相(56)の後方から男が短銃を出し、天井に向け一発発射した。弾は天井に当たり、前首相は警護のSPらに守られ、ホテルを出、無事だった。近くにいた警視庁新宿署員らが男を取り押さえ、銃刀法違反の現行犯で逮捕、短銃と実弾3発を押収した。
調べによると、男は東京都町田市、右翼団体幹部N容疑者(52)で「前首相の戦争責任発言や経済政策に腹が立ってやった」と供述している。
警視庁は平成4年3月の金丸信自民党副総裁銃撃事件以来の要人襲撃事件に衝撃を受けており、前首相を銃撃する意図があったのかを含め動機、犯行計画を厳しく追及、短銃の入手経路を調べている。警察庁は要人警護に万全を期すよう全国の警察本部に緊急通達を出した。
調べや関係者によると、細川前首相は同日午後6時から同ホテル5階ホールで開かれた日本新党の東京支部組織連合体「日本新党・東京」の設立パーティーに出席した。しかし途中で会場を出て、エレベーターで3階のロビーに降り、玄関へ向かおうとしたところ、N容疑者が前首相の後方約10メートルまで近づき、短銃を取り出し無言で天井に向け、発砲した。
周囲にいた警護のSPなどがN容疑者を取り押さえるとともに、前首相をガードして玄関から車に押し込み、現場を脱出した。
襲撃時、細川前首相は比較的冷静な表情で、パーティー会場に残っている夫人のことを側近に依頼したという。事件当時、前首相周辺にはSPや新宿署員ら約60人が警備にあたっていた。
パーティーには招待客の鈴木俊一東京都知事、江田五月科学技術庁長官、鹿野道彦・新党みらい代表など約1200人が出席、盛況だったが、襲撃場所が会場外だったため、出席者は事件を後で知った。《共同通信》
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【新生党・小沢一郎代表幹事】社会党に連立復帰を呼び掛けへ
新生党の小沢代表幹事は30日夕、国会内で記者会見し、羽田内閣の自主的な総辞職を条件とする社会党の再連立方針について「真意がわからない。いずれ予算が通ったら話を聞いてみなくてはいけない」と述べ、予算の衆院通過直後に社会党に連立復帰の協議を呼び掛けたいとの考えを示した。
自民、社会両党の一部にある連携の動きに対しては「社会党とは長い時間をかけて政策合意をした。自社であれ、われわれと自民であれ、政策の基本的一致は最重要だ。単なる数合わせで糊塗すべきでない」と政策抜きの自社連携を批判した。《共同通信》
【経団連・豊田章一郎会長】首相に規制緩和要請
経団連の豊田章一郎会長は30日午前、首相官邸に羽田首相を訪ね、会長就任を報告するとともに「本年度予算を早期に成立させ、小選挙区の区割りなど政治改革を着実に実行してほしい。規制度和、対米関係の再構築も課題だ」と要請した。会長は規制緩和について「(羽田政権の)目玉であり、チェック機能の確立が必要だ」と指摘した。
これに対し、首相は「国民全体が新しいものを作り出す意気込みでやらねばならない。市場開放と規制緩和は外国から言われてやるのではなく、自らのために成し遂げなくてはならない」と答えた。政治改革について首相は、「痛みを伴ってもやる必要がある。(次の総選挙は小選挙区の)新しい選挙制度でやるべきだ」と強調した。《共同通信》
【羽田孜首相】党首会談「応じる」
羽田首相は30日夕、自民党の政策集団「グループ新世紀」が党首会談などを提唱していることについて。河野自民党総裁、村山社会党委員長、武村新党さきがけ代表の名を挙げて「いつだってあるよ。予算成立後だって、前だって」と述べ、党首会談には応じる用意があることを示した。《共同通信》
【共和汚職事件】阿部文男元長官に懲役3年
鉄骨加工会社「共和」(破産)が手掛けたリゾート開発などに絡み、M元同社副社長(51)=有罪確定、服役中=から現金9000万円のわいろを受け取ったとして受託収賄罪に問われた元北海道、沖縄開発庁長官の前衆院議員阿部文男被告(71)の判決公判が30日、初公判から2年ぶりに東京地裁で開かれた。
山田利夫裁判長は、贈賄を認めたM元副社長の供述の信用性が高いと判断。「国民の政治不信に一層の拍車を三掛けた」として、懲役3年、追徴金9000万円(求刑懲役3年6月、追徴金同額)を言い渡した。収賄に問われた国会議員への実刑判決は、ロッキード事件の田中角栄元首相=死亡のため公訴棄却=以来。 阿部被告は控訴するとともに、保釈請求手続きを取った。
判決理由で山田裁判長は、阿部被告に請託を重ねたとされたM元副社長の供述が、具体的かつ詳細で迫真性があると指摘。加えて阿部被告が、札幌市に計画された全天候型多目的施設「ホワイトドーム」への事業参入をめぐり、共和関係者を北海道開発庁や札幌商工会議所の幹部に紹介するなど、請託を受けて行動したと認定。「M供述は信用できない」としていた弁護側主張を退けた。
その上で山田裁判長は、阿部被告が事務所の維持や選挙での借金返済のため、ためらいもなく請託に応じ、見返りに繰り返し多額の現金を受け取ったと認定。「大臣就任のための運動費を負担させるなど、共和との癒着ぶりは常軌を逸しており、自己の職責に対する自覚を欠く。起訴後、共和の破産管財人に計1億6000万円余を返済していることを考慮しても、実刑が相当」と述べた。 初めて法廷で争われた北海道開発庁長官の職務権限についても検察側主張通り認めた。
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阿部文男被告は30日午後、東京地裁から保釈を認められた。保釈保証金は6000万円だが、うち5000万円は起訴後の平成4年2月の保釈の際納めた保証金を充当、新たに1000万円を納付して保釈された。《共同通信》