平成5571日目

2004/04/09

この日のできごと(何の日)

【イラク日本人人質事件】小泉首相、自衛隊撤退を否定

政府は9日午前、イラクの日本人人質事件で対策本部(本部長・福田康夫官房長官)を設置、拘束された3人の解放に向けて「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」を名乗る犯行グループとの接触を急ぐとともに、米政府に情報提供など人質救出への全面的な協力を要請した。武装勢力から解放された韓国人牧師が「日本人も一緒にいた」と証言していることから、韓国政府にも詳しい状況説明を求めている。

小泉純一郎首相は同日、記者団に、犯行グループが要求している自衛隊の撤退には応じない考えを明言、3人の救出に全力を挙げると表明した。首相は午前の閣議で「無辜の邦人の拘束は許し難い行為であり、正確な情報把握に努め一刻も早い解放へ全力を挙げる」と述べ、閣僚が協力して取り組むよう指示した。

閣議後の対策本部の初会合では、川口順子外相が拘束場所の特定を含め米国や連合国暫定当局(CPA)に情報提供を要請したことや、逢沢一郎外務副大臣を首相特使としてヨルダンに派遣し、現地対応の態勢づくりを急ぐ方針を説明。小野清子国家公安委員長は国内でのテロ警戒を徹底する考えを表明した。

福田長官は記者会見で、犯行グループとの接触に関し「各方面に最大限の協力を要請しているが残念ながら連絡は取れていない」と述べ、3人の拘束ビデオを放映したカタールの衛星テレビ局アルジャジーラなどからの情報収集を念頭に接触を急ぐ意向を言明した。

また「相手は脅かすことを目的としており、思うつぼになってはいけない。テロに負けていいのか考えてほしい」と自衛隊撤退要求への拒否方針を重ねて強調した。

政府はイラクで最近、反米武装勢力によるとみられる民間の外国人を狙った拉致事件が相次いでいることにも着目。関係国に情報を求め、他の拉致事件やサマワの自衛隊宿営地を狙った砲弾攻撃などとの関連について解明を進める。《共同通信》

韓国のCBSラジオ(キリスト教放送)は9日、イラクで武装グループにより一時拘束され、解放された韓国人牧師7人のうちの一人、許瑛牧師が「拘束された際、日本人も一緒にいた」と証言したと報じた。牧師の言う「日本人」の名前や人数は不明だが、高遠菜穂子さん(34)ら3人と韓国人牧師らは同じグループに拉致され、一時は一緒にいた可能性が出てきた。

牧師の発言が事実とすれば、武装グループの特定につながる初の手掛かりとなり得る。

7人の同僚である金鍾成牧師は、7人を拘束した武装グループが当初「米国人、英国人、日本人は皆殺せ」と叫び、興奮していたと語った。

CBSによると、許牧師は「(拘束)当時、日本人もいたが、武装グループは日本人の物とみられる荷物を燃やし、(本人を)どこかへ連れて行き、生死は分からない」と述べた。拘束された直後は日本人グループと一緒に車に乗せられたという。

牧師らは、首都バグダッド西方約100キロにあるラマディ付近に到着、迂回路に入ったところで武装グループと遭遇した。武装グループが韓国人牧師グループを短時間で解放したのに対し、日本人3人の拉致を続けている背景は分かっていない。

牧師はまた「(武装集団は)われわれ(韓国人)は髪の毛一本傷つくことはなく、安全だと言った」とも語り、武装グループによる日本人と韓国人に対する扱いは異なっていたと語った。

許牧師は自らが拘束された当時の状況について「(イラク人)運転手と女性牧師は逃亡した。(武装グループは)目隠しをすると、殺してやると言い、われわれが米国のCIAのスパイではないのかと言った」と説明。「われわれは、絶対そんな人間ではなく(イラクを)助けに来たと言った。日本人が一緒に(車に)乗っていた」と述べた。《共同通信》

政府は9日午後、イラク日本人人質事件で拘束された3人の早期の救出活動に向けて、米国や連合国暫定当局(CFA)と緊密な連携を図りながら、「サラヤ・アル・ムジャヒディン(戦士旅団)」を名乗る犯行グループのメンバーや具体的な拘束場所の特定に全力を挙げた。

政府としてはグループの目的が自衛隊撤退にあることから、要求を拒否する日本政府との接触、交渉に応じる可能性は低いとの見方を強めており、米国などの全面支援を得て捜索活動を加速化させたい考えだ。

特に、拉致の瞬間を目撃したとのイラク出身運転手の証言や、武装グループに一時拘束された韓国人牧師の目型証言について、発言内容を確認するため韓国政府などに協力を要請。また(1)拘束ビデオを放映した衛星テレビ・アルジャジーラからの情報収集(2)ビデオの解析(3)バグダッドに向けて3人が手配した車の運転手の所在確認−を本格化させた。

小泉純一郎首相は同日午後の衆院厚生労働委員会で「犯人(グループ)がどこにいるのか、どんな組織なのか確認し、政府を挙げて救出に当たりたい」と表明。同時に「(自衛隊を)撤退してテロリストの思うつぼになることは避けねばならない」と強調した。

福田康夫官房長官は午後の記者会見で、韓国人牧師の証言について「鋭意情報収集中だ」と指摘。犯行グループについて「接触できていない。(居場所の)情報はあるが断定的に言える状況にない」と述べた。《共同通信》

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【三菱自動車】四輪駆動車8万台をリコール

三菱自動車は9日、軽乗用車「ミニカ」など5種の四輪駆動車の後輪装置に欠陥があり、車輪が脱落する恐れがあるとして国土交通省にリコール(無料の回収・修理)を届けた。昨年9月に長野県内、同年12月に群馬県内、今年3月に山形県内と3件の脱落事故が起きているが、いずれもけが人はいない。

ミニカのほかは「トッポBJ」「eK-ワゴン」「eK-クラッシィ」「eK-スポーツ」で、2001年9月-今年2月製造の計約8万1500台。ミニカとトッポBJはバンタイプのものも含む。

後輪車軸のシャフトのねじ加工が不適切なほか、シャフトにブレーキドラムを固定するロックナットの締め付けが不十分なため、発進や旋回の繰り返しでロックナットが緩む。最悪の場合、ブレーキドラムごと車輪が外れる恐れがある。《共同通信》

【吉野家】今季も44%減益に

吉野家ディー・アンド・シーが9日発表した2005年2月期連結決算の見通しは、米国産牛肉の禁輸が続き、牛丼販売が再開できないことを前提に、売上高は前期比で8・5%減の1290億円、純利益は44・5%減の31億円と大幅な減益に落ち込むとしている。

同日記者会見した安部修仁社長は「代表者の場合、(減益になった)結果責任がある」として、自身と村田光穂会長の報酬を今月から2割カット、他の役員賞与を一律1割カットすることを明らかにした。

04年2月期連結決算は、売上高が前期比3・4%減の1410億円、純利益は33・8%減の56億円だった。牛海綿状脳症(BSE)発生による米国産牛肉の輸入禁止で主力の牛丼販売が中止に追い込まれたことが響いた。《共同通信》

【衆院厚生労働委員会】

衆院厚生労働委員会が9日午後開かれ、政府の年金制度改革関連法案と、民主党の年金改革推進法案の本格的な審議を始めた。与党側は民主党案を給付水準などの数学がなく「ごまかし法案」などと激しく批判。民主党も政府案は「抜本改革に程遠い」と攻撃し、年金制度改革をめぐる本格論戦は、与野党の全面対決による幕開けとなった。

公明党の北側一雄政調会長は、民主党案が財源に3%程度の年金目的消費税を盛り込んだことについて「保険料を払い終えた高齢者は二重払いになる」と批判。これに対し、民主党の枝野幸男政調会長らは「保険料に比べて逆進性が少なく、国民年金の空洞化も解決する」などと反論した。

小泉純一郎首相は、自らの年金一元化発言について「一元化の共通認識を得るだけでも1、2年はかかる。仮に合意できても実施は20年、30年だ」と述べ、政府案成立後に一元化の議論を行うことに矛盾はないと重ねて強調。「対案を出してきたので胸襟を開こう」と、民主党との協議を呼び掛けた。

また、保険料の無駄遣い問題で首相は「今までの使い方に問題があったのは認めざるを得ない。(今後は)厳しく検討すべき問題だ」と述べた。《共同通信》

【衆院国土交通委員会】

道路関係4公団民営化法案を審議している衆院国土交通委員会は9日午後、小泉純一郎首相が出席し民主党などの質問に初めて答弁した。小泉首相は「道路の民営化を1とすれば、郵政は100にもなる大きな改革。特殊法人や財政投融資、国債管理、会議にもかかわる」と述べ、道路公団民営化の実現に自信を示した。

民主党の主張する無料化案には「道路は基本的に無料という考えも分かるが、特別な便益があるので通行料金を取ってもいい道路もある」と批判した。

4公団の債務が計40兆円にまで膨らんだ責任については「選挙区で無理に道路を造れば選挙民からは評価される。住民が喜ぶことを何でもするのが政治家のさが。政治の責任で債務を大きくしたのなら政治の責任で返すべきだ」と説明した。

質疑では民主党の岩國哲人氏が「借金ではなく、国が紙幣を発行して、直接建設すべきだ」などと質問したが、民主党が民営化案をまだ国会提出していないこともあり攻め手を欠き、議論はかみ合わないまま終わった。《共同通信》

【MLB】

米大リーグ、ドジャースの石井投手は9日、ロッキーズ戦に先発で今季初登板し、6回を4安打1失点と踏ん張り、日本人投手で今季初めて勝利を挙げた。

メッツの松井稼内野手はエクスポズ戦で2安打3四球と活躍。マリナーズのイチロー外野手は今季初の3安打を放ったがアスレチックスに敗れ、開幕4連敗となった。

ヤンキースの松井秀外野手はホワイトソックス戦で、九回に大リーグ初登板の高津投手から右翼線二塁打を放つなど2安打1打点。高津は後続に本塁打を浴び、1回を2安打2失点のデビューだった。

カージナルスの田口外野手はダイヤモンドバックス戦で七回から右翼の守備に入り、1打数無安打だった。《共同通信》

【この日の民主党】

[衆院厚労委]年金抜本改革、保険料流用などで論戦

衆議院厚生労働委員会で9日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案に対する実質審議がスタートした。

委員会の冒頭、1日の本会議で年金一元化について小泉首相が答弁を拒否した問題をめぐり、再質疑が行われた。質問に立った民主党の枝野幸男政調会長は、テレビ番組での1年後に一元化する(のが望ましい)という発言と、現行制度を前提とした政府の年金関連法案とがなぜ矛盾しないのか、と改めて小泉首相に質した。ところが首相は、「一元化するには2、30年かかる。今回の法案を通しても十分間に合う」などとトンチンカンな答弁。枝野政調会長は、「年金不信を解消し安定した制度にするためにどういう改革が必要だと考えているのか。一元化が望ましいというなら、せめてその骨格を示せ。民主党は一元化の枠組みを示している」と詰め寄ったが、首相は「政府案の制度でも50年から100年はもつ。国民が一元化がいいと言うならそれもいい」などと、驚くべき無責任な態度をさらけ出した。

続いて、民主党案と政府案に対する質疑が行われた。民主党案提出者からは、枝野政調会長、古川元久『次の内閣』ネクスト厚労相、五十嵐文彦ネクスト経済財政・金融相、山井ネクスト副厚労相が答弁に立った。

自民党議員は民主党案と政府・与党案のページ数の多寡を示して「民主党案は数字が1つも書いていない」と批判。これに対し古川議員は「与党案のデータを作ったのは、年金保険料流用などで問題となっている厚生労働省の官僚。ボリュームが厚ければ抜本改革であるかのように錯覚している自民党政治は、まさに官僚支配に乗っかった政治だ」と痛烈に反論。枝野会長も「民主党案は腐りかけた家の土台から作り直す、新しい枠組みを作る抜本改革であり、与党案は壁のペンキの色をどうするかの暫定的措置に過ぎず、抜本改革ではない」と喝破。「与党案の数字は虚像であり、そもそも政府は基礎データの信用できる情報を出していない」と指摘した。

公明党議員は「民主党案には障害年金や遺族年金が盛り込まれていない。年金目的消費税ではすでに保険料を払い終わっているお年寄りには二重払いになる」と質問。障害年金と遺族年金の問題については山井議員が「最低保障年金と2分2乗方式という新方式導入により全ての人に安心感を保証している」、二重払いについては枝野会長や五十嵐議員が「保険料よりも消費税の方が逆進性が小さい。若い世代にのみ過去のツケをお願いするのは不公平。消費税の方がより公平だ」と説いた。

政府案に対する質問に立った民主党の城島正光議員は、政府が年金財政破綻の打開策として法案で14年間の保険料アップを打ち出しているにもかかわらず、一方、平成16年度予算では社会保険庁の事務費等への充当分として年金保険料からの流用分約1000億円を計上した点を追及。「以前は一般会計から充てていたものを、(国民が)大変な状況から納めた年金保険料からの流用を決める。この政府判断は理解できない」と厳しく批判。小泉首相の認識を質した。首相は「年金の保険料は年金に当てるべきとの指摘は真摯に受け止める。より効率化を図っていく」などと答弁するにとどまった。

続いて質問に立った長妻昭議員は、年金保険料の総額5.6兆円にものぼる流用実態について追及した。長妻議員は「政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる」とした厚生年金保険法第四章第七十九条、国民年金法第四章第七十四条があるために、その拡大解釈によってグリーンピアに代表される無駄な施設建設や社会保険庁舎整備費や公用車維持費、職員の交通事故賠償金等への流用が可能になっていることを指摘し、条文の削除を求めた。小泉首相は「その指摘も含めて検討したい」との意向を示した。長妻議員は重ねて、流用された保険料は返済すべきと指摘。坂口厚労相は「財務大臣とよく話し合う」とし、国庫への返済を視野に入れて検討するとした。

[衆院国交委]道路族に妥協した公団改革案を追及

衆議院国土交通委員会で9日、政府提出の道路公団関連4法案に対する質疑が小泉首相の出席のもとで行われ、民主党から玉置一弥、岩國哲人、古賀一成の各議員が質問に立った。

玉置議員は、政府案で新たに設立するとされる民間の新会社について、国が30%の株式を保有し、発言権や人事権も持つようになることを指摘し、「これで国や自治体などからの要望をセーブし、採算の枠内で抑え込みながら道路建設を進めていけるのか」と質問。しかし小泉首相は、「今までの方式で(高速道路計画の)9342kmは全部できない。そのできない部分を民間会社でどうやるか、ということ」などと話をすり替えた。

岩國議員は「国の財産である基幹道路は借金の上に金利を払って作るものか。政府紙幣・通貨を堂々と発行して作ればいい」と提案。「財源確保のためには欧米でもやっていないのではないか。大きな問題を残す」と答えた小泉首相に対し、岩國議員は「米・独・仏では高速道路は無料で、日本では税金と料金の2度払いだ。日本でもできるという発想の転換が必要であり、金利変動に左右されず、そのまま現金で使え、金利コストゼロの国債ともいうべき政府紙幣を発行すべきだ」と再考を求めた。さらに岩國議員は「基幹道路という公共財を所有してあまねく国民に最大限のサービスを提供する。こういう仕事こそ民でなく官がやるべきだ。官だとサービスが悪くなるのは官のあり方の問題だ」と説いた。

古賀議員は「新会社は株式上場を目指すとしているが、料金収入で利潤を上げられないで、どうして上場できるのか」と質した。石原国土交通相は「サービスエリアの売上が期待できる。また、幅広く事業を行うことが可能」とあいまいに答弁した。さらに古賀議員は、金利を4%と設定し45年間で負債を返済するという政府案の想定に対して、それ以外の金利を設定した場合のシミュレーションを提示するよう求めたが、後日理事会で協議することとなった。

円副代表らが新橋駅頭で政府の年金改革案を批判

民主党は9日昼、持続可能な年金制度への抜本改革を進めようとする民主党の方向性、負担増・給付削減のみを推し進めようとする政府・与党の年金改革の問題点を直接有権者に訴えるため、東京・新橋駅頭で街頭演説会を行った。

マイクを握った円より子副代表は冒頭、イラクで3人の邦人が拘束された事件の解決に向け、民主党でも8日夜半、イラク邦人拘束事件対策本部を設置したことを報告し、「早急に3人の拘束を解くべく、正確な情報収集に努めるよう政府に要請する」と述べ、政府の責任追及以前に3人の安全確保に向け全力を挙げていくとの民主党の姿勢を示した。

続いて登壇した古賀一成国民運動委員長は「政府の年金改革案はむこう14年間にわたる負担増と、給付カットを行おうとする、国民からすればとんでもない法案だ」と指弾。経営不振等で正社員の保険料引上げという負担増に対応できない企業は、正社員からパートやアルバイトへの切替えを行い、新たな雇用不安を生み出すことになりかねないと指摘した。さらに、5、6兆円もの年金保険料がグリーンピアに代表されるムダな施設、社会保険庁の宿舎維持費などに流用されてきた実態を指摘。「国民無視、国民不在の政治は長期政権がもたらした腐敗だ」と厳しく批判し、政権交代こそが未来を開く鍵になるとして民主党への支持を訴えた。

[衆院本会議]民主党の年金抜本改革法案を趣旨説明

民主党の「高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案」(年金抜本改革推進法案)の趣旨説明と質疑が、9日の衆議院本会議で行われた。趣旨説明は古川元久『次の内閣』ネクスト厚生労働相が行い、答弁には五十嵐文彦ネクスト経済財政・金融担当相、山井和則ネクスト副厚生労働相が立った。

趣旨説明で古川ネクスト厚労相はまず、政府案が毎年1兆円ずつ保険料を上げるもので「空洞化、不信の解消になっていない」とした上で、民主党案は年金制度の一元化によって「同じように負担し、給付を受ける。議員年金もこれに吸収する」こと、公平で透明な年金目的消費税の創設、所得比例年金と最低保障年金の2階建てとすることを説明した。

これに対して、自民党の大野議員、共産党の山口議員が消費税の大増税では、と質問。五十嵐ネクスト担当相は「保険料こそが逆進性が高い。3%の年金目的消費税で30年間は年金財政は健全。年金改革は持続可能な年金制度をつくること」と民主党案の優位性を強調した。山井ネクスト副厚労相は「保険料の値上げを中心とする政府案は、リストラ推進法案で、雇用と経済を崩壊させ、結果として年金制度を崩壊させる」と政府案を批判した。

連合の年金改悪阻止集会で固い連帯誓う

国会内で9日、連合主催の「年金改悪阻止緊急院内集会」が開かれ、およそ200人が参加して、政府年金関連法案の撤回・廃案をかちとる決意をうち固めた。民主党からも山岡賢次・党年金改革推進本部事務局長を始め多くの国会議員が参加し、連合と連帯して年金制度の抜本改革を実現することを誓った。

集会では、まず連合の笹森清会長が挨拶に立ち、民主党の年金抜本改革推進法案について「連合が求めている形におおむね近い」と評価。政府法案を廃案にし、「安心と信頼の制度」を実現するために、民主党と連携しながら本格的国民運動をスタートする、と語った。

続いて発言に立った民主党の山岡衆院議員は、冒頭、イラクの邦人拘束事件について「一刻も早い邦人の解放のため、総力を挙げて取り組む」との立場を表明した。その上で、政府の年金法案について、基礎年金の国庫負担分の1/2への引き上げを棚上げにし、14年間にわたって年間1万円づつ保険料を上げていくものであることを指摘し、「年金制度を破壊し、国民生活を破滅させ、日本経済を破綻させる」と厳しく批判。税方式による基礎部分と一元化した報酬比例部分とによる2階建て制度を唱える連合案は民主党案に「限りなく近い」とし、政府案阻止に向けて連合と力を合わせ全力でたたかう、と力強く宣言した。

また、集会の最後に、衆院厚生労働委員会の理事を務める民主党の城島正光議員も発言し、「与党は数を頼みに強行、強行で押し通そうとしているが、あらゆる手段で撤回・廃案をかちとる」と決意を表明し、大きな拍手を受けた。

「3人の邦人救出を最優先に」野田国対委員長

民主党の野田佳彦国会対策委員長は9日、国会内で会見し、イラクにおいて邦人3人が拘束された事件を受け、「大変厳しい状態に陥っている」との所見を示した。

この事態を踏まえて野田国対委員長は、8日夜の段階で自民党の中川国対委員長に対し、3日以内に結論をといった犯人側の要求がある中、小泉首相や担当大臣を拘束することが判断に支障をきたすことのないよう、外務委員会での外務大臣への質疑、本会議・厚生労働委員会・国土交通委員会における小泉首相への質疑等、9日の国会日程には柔軟に応じる意向を伝えたことを明らかにした。自民党の中川国対委員長は9日の時点で、「粛々と審議を進める」と伝えてきているという。

野田委員長は「年金改革について民主党が対案を出し、本格的質疑ができる環境が整った段階ではあるが、何と言っても人質にされておられるみなさんの解放・救出が最優先。その意味で政府をサポートしていきたい」と語った。

[衆院厚労委]菅代表、邦人救出に全力傾注するよう首相に要請

小泉首相出席のもとで年金改革案の審議が行われた9日の衆議院厚生労働委員会の冒頭、前日に起こったイラクでの邦人人質事件を受け、民主党の菅直人代表が急遽質問に立った。

菅代表は、「民間人を拉致して人質にするという卑劣なやり方に、体が震えるほどの怒りを覚える。断じて許すわけにはいかない」と表明。その上で、同日、人質にされた3人の家族らと面会したことを報告し、首相に直接面会したい、自衛隊の撤退も含めて3人の命を守る最善の方法を検討してほしい、という家族らの2つの要望を小泉首相に伝えた。しかし首相は、「気持ちを大事にする」「面会については外務省が対応している」などとそっけない答弁に終始した。

また菅代表は、自衛隊宿営地近辺に砲弾が打ち込まれ、自衛隊も活動を停止しているサマワの状況について、「非戦闘地域などと言えるのか」と改めて追及。しかし首相は、「現時点で戦闘地域という状況にない」などと繰り返した。菅代表は最後に、「3人が無事に帰るように、首相の責任で全力を傾注してほしい」と強く訴えて質問を終えた。

「3人の救出のため政府に全面協力する」岡田幹事長

民主党の岡田克也幹事長は9日の定例記者会見で、イラクで日本人3人が拘束され、自衛隊の撤退が要求されている事件を受けて民主党イラク邦人拘束事件対策本部(本部長・菅直人代表)を前日に立ち上げたことを発表した。

また岡田幹事長は、この日の午後に対策本部の第1回会合を開き、拘束された3人の家族らと面会し話を聞いたこと、代表名の談話を決定したこと、藤田幸久国際局長を同日アンマンに派遣する旨決めたことを明らかにした。

そのうえで「残念ながらわれわれが考えていたことが現実のものとなりつつある。しかし、今は責任を糾すことよりも、3人を無事に取り戻すことに全力を傾注すべきであり、言いたいことは横において、政府に全面的に協力する」とした。

また、小泉首相が同日の委員会審議に出席していることについて「疑問に思う。こういう時にこそ国のリーダーとしての資質が問われる」と苦言。民主党が、今は首相として事件解決に陣頭指揮を執るべきであり、審議日程の変更には柔軟に対処する用意があると提案したにもかかわらず、首相が委員会出席にこだわったことを批判した。

邦人拘束事件対策本部、菅代表談話・国際局長派遣を決定

イラクでの日本人人質事件発生を受けて8日夜に設置された民主党イラク邦人拘束事件対策本部(本部長・菅直人代表)は9日、第1回会合を開き、拘束された3人の家族らを招いて話を聞くとともに、当面の取り組みについて協議した。

拘束された日本人の家族らからは、小泉首相と直接面会したい、3人の命を優先し、自衛隊の撤退も選択肢に入れて対応してほしい、などの要望が出された。これについては、菅直人代表が同日の委員会質問で首相に直接伝えることとした。

また、3人の即時解放を求め、その救出のために与野党を越えて政府に全面協力する意向を表明した菅代表名の談話を決定するとともに、同日中に藤田幸久国際局長をアンマンに派遣し、現地での情報収集と救出活動への協力に当たることを確認した。

「イラクから撤退する時期が近づいている」菅代表

民主党の菅直人代表は9日夕、イラク情勢について記者団の質問に答え、「イラク特別措置法に基づく自衛隊が活動できる条件が満たされなくなった場合、撤退すると総理が答弁している。最近のイラクの情勢は少なくともその状況に近づいている」と言及。サマワおよびイラク全土の状況が、もはやイラク特措法で規定されている「非戦闘地域」ではなくなっているとの認識を示した。《民主党ニュース》



4月9日 その日のできごと(何の日)