平成5185日目
2003/03/20
この日のできごと(何の日)
【イラク戦争】開戦
米軍はイラク時間20日午前5時半すぎ、トマホーク巡航ミサイルなどでバグダッド近郊を攻撃した。フセイン大統領殺害を狙った限定的な攻撃で、ブッシュ米大統領は20日夕にも地上軍投入を含めた米英軍による大規模軍事行動に踏み切る方針だ。
ブッシュ大統領は米東部時間19日夜にホワイトハウスからテレビ演説を行い、英国などとの連合による軍事作戦の開始を宣言。米国は国際社会の反発を押し切り、開戦に踏み切った。
ロイター通信によると、米軍はクウェート駐留の第三歩兵師団に現地時間20日午後7時半(日本時間21日午前1時半)までに地上戦のためにイラクに進撃するよう命じた。進撃を前に大規模空襲を開始した。
イラクのフセイン大統領は第一波の攻撃開始後、テレビ演説し徹底抗戦を表明。テレビに登場したのが大統領本人か、収録されたのが攻撃の前か後かは不明。イラク側は攻撃で市民1人が死亡したと明らかにした。《共同通信》
◇
小泉純一郎首相は20日午後、米国などのイラクへの攻撃開始を受け、首相官邸で緊急記者会見し「武力行使を理解し、支持する」との日本政府の立場を表明した。併せて「わが国を取り巻くアジア地域も大量破壊兵器の拡散問題と無縁ではない」として、北朝鮮の脅威も視野に、国民に理解と協力を求める首相談話を発表した。
政府は安全保障会議、臨時閣議を開き首相を本部長とする「イラク問題対策本部」を設置。(1)法人の安全確保(2)国内警戒態勢の強化・徹底(3)世界、日本の経済システムの安定–など5項目の緊急対処方針を決定した。《共同通信》
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【フジ系連続ドラマ・美女か野獣】最終回
【石川銀行】60年の歴史に幕
一昨年末に破たんした石川銀行は20日、最後の営業を行った。1943(昭和18)年の発足以来、60年の歴史に幕を下ろし、24日に北陸銀行など5つの受け皿金融機関に分割して営業を譲渡する。
金沢市香林坊2丁目の本店では午前9時にシャッターが開き、行員が普段と変わらぬ様子で窓口対応に当たった。
通帳記入に訪れた金沢市内の会社員の男性は「加州相互銀行時代からの付き合いで、なくなるのは寂しい」と話した。《北國新聞》
【大相撲】
大相撲春場所12日目(20日・大阪府立体育会館)単独トップの千代大海は海鵬を押し出して連敗を免れ、10勝目を挙げた。横綱朝青龍は関脇若の里を一方的に押し出し、3敗をキープした。若の里は5敗目。大関魁皇は旭鷲山を寄り切って勝ち越し、かど番を脱出した。関脇琴光喜は5勝目。小結は出島が勝ち越しを決め、土佐ノ海は星を五分に戻した。2敗の千代大海を3敗で追うのは朝青龍、平幕の雅山の3人。《共同通信》
【プロ野球・中日】近鉄・大塚晶文投手の獲得を発表
中日は20日、近鉄の大塚晶文投手(31)を金銭トレードで獲得したと発表した。大塚はこの日、年俸9500万円(推定)で近鉄と契約を更改。両球団の合意通り、すぐに中日移籍の手続きが取られた。21日に東京都内のホテルで入団会見を行う。背番号は64。
大塚は昨年、ポスティングシステム(入札制度)を利用して米大リーグへの移籍を試みたが入札球団がなく失敗。その後、近鉄でのプレーを拒否し、近鉄は国内での移籍先を探していた。1年契約を結んだ中日は同投手の米球界希望を承知しており、来オフの挑戦を認める可能性が高い。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・民主党の野田佳彦国対委員長は20日の記者会見で、イラク問題で激しい攻防があった19日の党首討論について「今までで首相が一番逃げた党首討論」と酷評。「『米国を支持する根拠は何か』との質問に明確に答えることはなかった。最後までかわしながら時間稼ぎの姿勢だった」と強調した。最後は「クリンチの多いボクシングのように判定を期待した姿勢。不誠実な態度だった」と、格闘技好きだけに「逃げの姿勢」が腹に据えかねた様子。《共同通信》
【この日の民主党】
「小泉首相の態度はきわめて不誠実」野田国対委員長
民主党の野田佳彦国会対策委員長は、20日朝の定例記者会見で、19日の党首討論での小泉首相の対応について「今までのなかで、小泉首相が一番逃げた党首討論だった。菅代表はじめ野党の4人の党首は、小泉首相が米国を支持する理由・根拠を一貫して質したが、小泉首相は最後までかわしながら時間稼ぎに終始していた。きわめて不誠実な態度だ」と感想を述べた。
野田国対委員長はまた、野党側がイラク問題での本会議質疑を開戦前に行うとともに、イラク問題の平和的解決を求める国会決議を行うよう求めているにもかかわらず、与党側がこれを拒み続けていることについても、「英国でも9時間半の集中審議で激論を戦わせていた。開戦前の審議を避け続け、小泉首相がぶら下がりの記者会見(注)で突然重要な方針を表明するのは、本当に民主主義の国と言えるのか」と厳しく批判した。
与党側の提案によれば、開戦と同時に小泉首相が記者会見、その後、政府の安全保障会議、閣議を開いて対応を協議したのち、福田官房長官が記者会見。そのうえで、衆院本会議で首相が政府の方針を報告、参院本会議でも同様に報告したのち、それぞれ6時間程度の質問通告時間、答弁作成時間をおいて衆参両院の本会議を再開、各党が質問を行う。米国がいつ武力行使を開始するかにもよるが、本会議質疑は夜半以降になる見込み。
「攻撃の即時中止を」菅代表
民主党の菅直人代表は20日昼過ぎ、米国などによるイラク攻撃が開始された直後の代議士会で挨拶し、「強く抗議し、ただちに中止することを申し入れる」と述べるとともに、日本の対応について国会での議論を避けてきた小泉首相を厳しく批判した。
菅代表は、米国などによる攻撃が開始されたことに対して「大変残念だ」とし、関係国に攻撃の即時中止を申し入れる考えを示した。同時に、小泉首相が米国による決議なき武力攻撃への対応についていっさい国民に説明せず、ブッシュ大統領の最後通告が行われた時点でいきなり支持表明を行ったことについて、「こういう姿勢がわが国の自主的な外交が育つことを妨げている」と強く非難した。
さらに菅代表は、イラク問題が焦点になっている時こそ北朝鮮が瀬戸際外交を強めてくる可能性があることを指摘し、「いろいろな問題がわが国を襲ってくる。党として方向性を間違うことなく、しっかり対応していきたい」と呼びかけた。
「一刻も早い攻撃中止を米英に求める」菅代表緊急記者会見
米英両国によるイラクへの攻撃開始という事態を受けて、民主党の菅直人代表は20日午後、緊急に記者会見し、両国が武力行使を一刻も早く中止するよう表明するとともに、両国の駐日大使を通じて抗議の申し入れを行っていることを明らかにした。
菅代表は、同日昼前に始まった米国などの武力行使について、「反対してきた民主党としては大変残念な展開。少なくとも、査察の継続を求めるのは、わが党だけではなく、おそらく国連安保理の多数意思でもあった。米国等の行動は、戦後、国連に国際紛争を解決する機関としての機能を持たせてきたことを踏みにじるもので、今後の国際協調に大変大きな影を落とした」と表明した。
午後の本会議で小泉首相が行った報告については、「率直に言って、胸に迫ってくるような言葉は何一つ感じられず、役所の作った文章を読み上げているにすぎない。『イラクが国連を侮辱した』という言い方もしていたが、同時に米国の行動も国連の権威を高めるものではなく、これを無視した行動であり、矛盾に満ちた説明だった」と強く批判した。
菅代表はまた、19日の党首討論で小泉首相が「民主党は日米関係を重視していない」と述べたことについて、「日本にとって日米関係が外交政策の基軸であるという前提ですべてのことに当たっている。そういう関係の米国だからこそ、米ソ体制が崩れて唯一の超大国になり、ユニラテラリズム、一国主義的な行き方をすることに対しては、パートナーとしてたしなめることが必要。米が一国で仕切ることを容認することは、米国にとっても望ましくないこと」と反論した。
小泉政権のイラク攻撃支持に抗議 新橋で街頭演説会
民主党は20日夕方、米軍などによるイラクへの攻撃開始を受けて、東京の新橋駅前で緊急の街頭演説会を行った。
菅代表は、「イラクのフセイン政権に非があるのは当然のこととして、それでもアメリカによる国連安全保障理事会決議なしでの攻撃は国連を踏みにじるものだ」と、アメリカの武力行使を強く非難した。
また、羽田孜最高顧問、石井一副代表らは、アメリカの武力行使開始後、間髪を入れずに支持を表明した小泉首相の、国民への説明責任の放棄などを厳しく批判した。
そのほかこの日の演説会では、鎌田さゆり、中村哲治両衆議院議員、羽田雄一郎参議院議員らもマイクを握り、小泉政権の外交姿勢の問題性などを訴えた。
米英両国大使館にイラク攻撃中止を申し入れ
米英軍が中心になってイラク攻撃を開始した20日、民主党の伊藤英成副代表・ネクスト外務大臣、前原誠司ネクスト安全保障大臣・イラク問題プロジェクトチーム座長、中川正春政調会長代理の3名が米英両国大使館を訪れ、武力攻撃の中止、一般市民の犠牲回避のための緊急措置実施などを求める申し入れを行った。
申し入れは、アメリカが国連安保理決議のないままイラクへの武力攻撃を開始したことに対して、武力攻撃を中止し、国連安保理における国際社会の一致協力した取り組みに立ち返ること、イラクの一般市民の犠牲を回避するために緊急措置をとること、国連によるイラク問題の平和的解決に改めて努力を傾注することなどを要求するもの。
米国大使館では、ダニエル・シールズ公使代理が対応し「民主党の意見を重く受け止め、大使にしっかりと伝える」と約束。その後、空爆の状況、北朝鮮情勢、フランス政府の対応等について意見交換を行った。
英国大使館では、コリン・ロバーツ臨時代理大使が対応。「民主党の考え方は理解できる」などと語ったが、攻撃の国際法上の根拠について質すと「法律顧問の見解があり、日本政府と同じだ」と釈明。また、国連の枠組みの重視を求めたことに対しては、「武力攻撃を除いては、民主党の考えに賛成である」などと答えた。
「戦争は多くの罪なき命を奪う」岡田幹事長
米国などのイラク攻撃開始を受けて20日夜に開かれた衆院本会議で、民主党からは岡田克也幹事長が質問に立った。岡田幹事長は、小泉首相が国際協調をあきらめ日米同盟を選択したこと、米国の攻撃支持を表明するに至る過程で国民への説明責任をまったく果たしてこなかったことについて、小泉首相の重大な失政を指摘し、謝罪を要求するとともに、米国のイラク攻撃支持の撤回を強く求めた。
「とうとう戦争が始まった。この戦争によって多くの犠牲が生まれ、罪のない命が奪われることは確実。何とかこの戦争を回避し、イラク問題の平和的解決ができなかったのか、本当に残念に思い、同時に無力感を感じる」と前置きして質問に入った岡田幹事長は、まず、「民主党は、イラクがこれまで累次の国連決議を守らず、大量破壊兵器に関する疑惑を自ら払拭してこなかったことを強く批判してきた。同時に、査察を強化し継続することで大量破壊兵器の完全廃棄を行うことは可能であるし、そうすべきだと主張してきた」とイラク問題への民主党の基本姿勢を表明。今回、ブッシュ政権が開始した武力攻撃については、「国連安保理での問題解決を放棄し、単独主義的な武力行使を開始したことは国連憲章など国際法の原則に違反する行動であり、これを容認することはできない」と厳しく批判し、武力行使の中止を強く求めた。
続いて岡田幹事長は、小泉首相に対し、国際社会が一致してイラク問題に対応すべき、日米同盟と国際協調の両立をめざすことが重要–という首相の外交目標がいずれも達成されず大失敗に終わったことを率直に反省すべきだとし、答弁を求めた。小泉首相は、自らの失政には触れず、「残念なことにイラクは国際社会の真摯な努力に応えず、自ら平和の道を閉ざした。大量破壊兵器の廃棄の先頭に立ってきた米国に同盟国として可能な限りの支援を行うのは当然」だと開き直った。
また、「その時に考える」「その場の雰囲気で決める」などと繰り返し、国民への説明責任を果たしてこなかったことに謝罪すべきとの問には、「自分の考えと一致しないと『答になっていない』。見解が違うと『説明していない』。いくら説明してもお気に入りの説明責任を果たしていないというが、政府には政府の立場がある」と気色ばんでみせた。その上で、支持表明の撤回を求められた小泉首相は、「武力行使なしに大量破壊兵器が廃棄し得ない状況では、今般の行動を支持することが国家利益に適うと考えており、撤回する意思はない」と言い切った。
岡田幹事長はさらに、小泉首相が米国の攻撃を支持する根拠に上げた(1)国連決議1441号など一連の国連決議が武力行使の根拠であり、国連憲章違反でない(2)大量破壊兵器が独裁者やテロリストの手に渡った場合、何十万人の生命が危機に直面する(3)日米関係の信頼性を損なうことは、北朝鮮問題も含む国益に反する–という3点について、「いずれも説得力に乏しい」とし、一つ一つについて首相の見解を質した。
2月3日の岡田幹事長の代表質問の再々質問に「1441号の決議を守らなかった場合に自動的に武力行使を容認しているものではない」と答弁したこととの齟齬を問われた首相は、「イラクは1441号で求められる義務を履行しておらず、停戦条件を定めた687号のさらなる重大違反となり、678号に基づいて武力行使が正当化される」と湾岸戦争当時の安保理決議まで持ち出して理屈を述べ立てた。
大量破壊兵器の廃棄のために「なぜ数ヶ月の査察の継続が待てないのか。総理の論理は飛躍がありすぎ粗雑すぎる」との批判に対しては、「イラクの小出しの協力は、米国の軍事的圧力あってのこと。イラクの姿勢が根本的に改められない限り、査察の継続は有効たり得ない」。
「同盟国であればこそ率直に語り、ブッシュ大統領を説得すべきだったのではないか。国連安保理の手続きを無視し、国連の権能と機能を弱めることこそが国益に反するのではないか」との問には、「日本国民の多くが反対していることは承知しているが、大量破壊兵器の脅威は決して他人事ではない。武力行使なしでは廃棄がなし得ない中では、同盟国として米国の行動を支持することが国家利益に適うと考える。これからも日米の緊密な連携のもと、国際協調を図っていきたい」と述べ、米国追従の姿勢をあらわにした。
「平和国家日本をこそアピールする時」広中議員
米国などのイラク攻撃が開始された20日、これを支持する態度を表明した小泉首相の報告に対する質疑が参議院本会議で行われ、民主党・新緑風会を代表して広中和歌子議員が質問に立った。広中議員は、米英などによる今回のイラク攻撃が国連憲章違反であり、イラク市民および世界に深刻な悪影響をもたらすものであることを指摘。直ちに米国に攻撃中止を申し入れるよう、小泉首相に強く迫った。
広中議員は冒頭、今回の武力行使でイラクの多くの一般市民が犠牲になり、また何十万という難民が発生することを指摘、それをどう受け止めるかを小泉首相に質した。しかし首相は、この問いには答えられなかった。
広中議員は、今回のイラク攻撃が、自衛権行使あるいは安保理決議による容認以外の武力行使を禁じた国連憲章に違反していることを明らかにし、これを支持する根拠を問い質した。しかし小泉首相は、10数年前の湾岸戦争当時の国連決議(678、687)や武力行使を想定していない決議1441をイラクが履行していないことをもって、今回の攻撃には根拠がある、などと強弁した。
次に広中議員は、今回のイラクへの先制攻撃が武力行使の連鎖を生み、ひいてはテロの脅威の蔓延や文明の衝突を引き起こす危険があることを指摘したが、小泉首相は「武力行使が一刻も早く、被害も少なく終結することを私も求めている」などと欺瞞的な答弁。国際間の問題は辛抱強い外交努力で解決すべきだと指摘されると、「イラクの対応(大量破壊兵器の完全廃棄を受け入れない)を根本的に変える見通しが見出せない状況のもとで、武力行使はやむを得ない選択だった」などと居直った。
また、戦争による日本経済への悪影響や環境破壊について質したのに対して、小泉首相は「経済・金融市場は安定的に推移している」「さらに原油の安定供給、金融システムの安定確保に努める」などと楽観的な発言に終始した。日本として戦費の負担などを行う意思があるかについては、「戦費の負担は考えていないし、そのような要請もない」とした。
さらに広中議員は、米国を支持するのは北朝鮮問題への協力が必要だからか、と追及。首相は、「米国はかけがえのない同盟国」「米国が大量破壊兵器の廃棄という国際社会の大義に従って自ら大きな犠牲を払おうとしている今、可能な限りの支援を行うのは当然」などと、尋常でない米国への追従ぶりを披瀝した。
広中議員は最後に、「日本は世界最初の大量破壊兵器の被爆国であり、武器輸出をしたことがないという特質を生かして『平和国家』を今こそ世界にアピールする機会だ」と力強く提起。速やかに米国にイラク攻撃中止を申し入れるべきだと首相に要請して、質問を締めくくった。
対イラク武力行使に関する考え方
1.基本認識
* 民主党は、国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であるとの観点から、武力行使によらない平和的解決を訴えてきた。イラクは、これまで累次の国連決議を遵守しておらず、イラクに対して、改めて大量破壊兵器の完全な廃棄を促してきた。米国等に対しても、国連憲章に定める武力行使に関する国際法の原則に基づき、単独主義的な行動をとらないよう強く自制を促し、慎重な対応をとるよう要請してきた。
* イラクの大量破壊兵器に関する疑惑は完全に払拭されたとは言い難いものの、装備や人員など査察体制を抜本的に強化し、数ヶ月の期限を切って国連査察を継続すれば、国連安保理決議1441が意図したイラクによる大量破壊兵器の完全廃棄は十分可能だったと考える。
* ブッシュ政権等が、国連安保理での問題解決を放棄し、武力行使に至ったことは、国連軽視であるばかりでなく、2度の大戦を経て、「力の支配」から「法の支配」へ移行しようと努力してきた国際社会の真摯な取り組みに逆行し、国連憲章など国際法に違反する行動である。さらに、今回の武力行使は、国連安保理の機能不全を招来させるとともに、その権威の失墜につながり、断じて容認できず、武力行使の中止を求める。
* 小泉政権は、湾岸戦争時の国連安保理決議、及び武力攻撃を容認していない国連安保理決議1441を根拠に、ブッシュ政権の対イラク武力行使への支持表明をしたが、戦争の正当性などについて疑義・批判の声があがる中、国民に対して全く説明責任を果たしていない。小泉政権の対応は、国益等の観点からも極めて問題であるとともに、憲法の理念である国連中心主義と国際協調主義から逸脱した行為であり、支持表明の撤回を強く求める。さらに、このような重大な問題について、判断を誤った小泉総理の政治責任を厳しく問うものである。
2.当面の対応
* 国連安保理の機能回復のためにも、早急に米国等を国連の場に引き戻す働きかけを行うべきである。
* このような緊急時に、内外で不測の事態が起こらぬよう、国連などと連携しつつ、十分な監視体制を敷くとともに、邦人保護をはじめ、危機管理体制に万全を尽くすべきである。
* 新たな国連安保理決議がない武力行使については、戦費の負担は言うに及ばず、開戦の経緯から、戦後の占領に係る経費についても支出すべきではない。
* 人道的見地から、食料・医療支援などの避難民対策、トルコ・ヨルダンなど周辺諸国の安定化に努めるとともに、中東和平問題や国際経済への影響など、戦争に伴う被害を最小化するための多国間の協調体制を重視する。
* イラクの戦後復興のあり方については、国際的枠組みを踏まえつつ、わが国として果たすべき役割を主体的に検討していく。その際、国連安保理及び国際社会の動向を注視しつつ、慎重に判断していくものとする。
* 『テロ特措法』が拡大解釈なされぬよう厳格な適用を求める。
* OPEC等の産油国に対し、石油の安定供給に向けた取り組みを求めるとともに、日本やアジアにおいて、エネルギーの安定供給への対応を検討する。
武力攻撃に抗議し、平和的解決の道に立ち戻るよう求める(党声明) 2003/03/20
民主党
本日、米国等は国連安保理決議がないままでイラクに対する武力攻撃を開始した。これは明らかに国連憲章に反する行為であり、断乎反対し抗議する。
民主党は、一貫して国連を中心とした平和的解決をめざし、査察の強化・継続によるイラクの大量破壊兵器の完全廃棄を主張してきた。この事態に対して、国連安保理が、武力攻撃の中止と一般市民の戦争犠牲を回避するための緊急措置をとるよう強く要請する。また、米国等の武力攻撃参加国に対して、武力攻撃を中止し、国連を中心とした国際協調の枠組みに立ち返るよう求める。
米国等の安保理決議なき武力行使について、いち早く支持表明をした小泉政権と自民党・公明党・保守新党の連立3党に、民主党は強く抗議し、その撤回を要求する。日本政府は、あくまで国連を中心に、国際社会が一致協力して平和的解決をめざす姿勢を貫くべきである。同時に、国民に対して、状況、対応方針などを適切かつ明確に説明するよう求める。
民主党は、この悲惨な戦争を一刻も早く終わらせ、世界におけるテロと大量破壊兵器の脅威が、国際社会の一致した平和的な努力によって解消されることをめざす。国民のみなさんとともに、今回の安保理決議のない武力行使に反対する声を大きなうねりとし、一日も早く解決に至るようあらゆる努力を尽くしていく。
中央教育審議会答申について(談話) 2003/03/20
民主党・文部科学ネクスト大臣
牧野聖修本日、中央教育審議会より「あたらしい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画のあり方について」と題する答申が行われた。
答申では冒頭、教育の現状と課題について記述しているが、いじめや不登校といった子どもたちをとりまく多くの問題に関する原因についてはほとんど言及していない。原因究明なくして政策立案はありえず、不充分さは否めない。
また答申では、「個人の自己実現と個性・能力、創造性の涵養」や「自然や環境とのかかわり」のほか、「『公共』に主体的に参画する意識の涵養」、「郷土や国を愛する心」などの新たな理念を盛りこんだ教育基本法の改正が必要としている。さらに、「教育振興基本計画」策定のための法的根拠を明確にすることもあわせて打ち出している。
答申のなかで述べられている個別の問題意識については民主党としても共有できるものが少なくない。しかし、全体を通して強く感じるのは、「教育の地方分権」という視点が極めて希薄なことである。改正基本法で規定するという「新たな理念」のなかでは「分権」という表現はまったく見当たらず、各論でわずかに「地方分権の観点から国と地方公共団体が適切に役割分担していくことが重要」と述べているに過ぎない。理念や原則の具体化に向けた「基本計画」の策定についても、その内容次第では今まで以上に中央集権的な教育行政につながることも懸念される。
民主党では一昨年、「21世紀の教育のあり方について」を発表し、教育政策の基本方針を打ち出した。そのなかでまず訴えているのは、「教育の多様性と地方分権の徹底」である。教育改革の実現にあたっては、従来型の中央官庁主導では何も期待できない。教育改革の鍵を握るのは各地域や学校の創意工夫であり、地方自治体を主体的担い手とする教育行政の推進である。このような観点に立ち、民主党は今後の基本法改正論議に臨んでいく考えである。《民主党ニュース》