平成5184日目
2003/03/19
この日のできごと(何の日)
【小泉純一郎首相】イラクの武装解除「無理」
小泉純一郎首相は19日午後、今国会2度目の党首討論で、米国の対イラク武力行使を支持した理由について「武力行使しない限りイラクは大量破壊兵器を廃棄しない状況がある。フセイン大統領に(平和的解決への)協力の意思がない限り、どんなに(査察を)延ばしても(武装解除は)無理だ」との考えを示した。
共産党の志位和夫委員長が「首相は米国支持の説明で『フセイン政権に武装解除の意思はないと断定した』と言っているが、誰が断定したのか」とただしたのに答えた。
首相は「国連決議1441で国際社会が断定していると言っても過言ではない」と述べ、昨年11月の国連安全保障理事会の決議で共通認識になっていると指摘した。
自由党の小沢一郎党首は、先の党首会談で首相が新たな国連決議なしの武力行使の是非について「その場の雰囲気で考える」と述べた点を指摘し、支持理由をあらためて質問。首相は「言葉尻でなく大局を見ていただきたい。あの時点では私が支持する、しないとの発言をするよりは、各国の状況をみながら判断していいのではないか(と考えた)」と反論した。
首相は「新しい決議はあった方が望ましいと言ったが、1441、678、687の一連の国連決議で米国の武力行使に法的根拠がある」と指摘し、過去の安保理決議が法的根拠になるとの考えを強調した。菅直人民主党代表への答弁。《共同通信》
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【大相撲】
大相撲春場所11日目(19日・大阪府立体育会館)優勝争いのトップを走る大関千代大海は関脇若の里に寄り切られて2敗目を喫した。若の里は7勝4敗。新横綱朝青龍は先場所唯一の黒星を喫した平幕海鵬に右小手投げで雪辱を果たして勝ち越しを決め8勝3敗。大関魁皇は平幕琴龍を左下手投げで下して7勝目。関脇琴光喜は岩木山休場で4勝目を拾い、小結は出島が勝って7勝4敗、土佐ノ海は敗れて5勝6敗となった。2敗の千代大海を追う3敗は朝青龍と時津海、雅山、北勝力の4人。《共同通信》
【地村保さん】早く孫の顔を見たい
北朝鮮による拉致被害者、地村保志さんの父親保さん(76)と、保志さんの妻富貴恵さんの兄浜本雄幸さん(74)が19日、京都市下京区のJR京都駅前で、支援者らとともに拉致問題解決を求める署名を呼び掛けた。
保さんは、今も北朝鮮に残る3人の孫について「一日も早く顔が見たい。保志には(子供と離れ離れになった)『自分たちの二の舞いをさせたくないから、父ちゃんは頑張る』と言っている」と話した。《福井新聞》
【この日の民主党】
[党首討論]イラク問題で説明責任を果たさない首相を追及
民主党の菅直人代表は19日、フセイン大統領と2人の息子に48時間以内の国外退去を求めた米国の最後通告の期限が目前に迫る中、小泉首相との党首討論に臨んだ。討論では、緊迫するイラク情勢への対応、および北朝鮮問題をめぐって、およそ20分間のやりとりがなされた。要旨は以下の通り。
菅 昨日10時のブッシュ大統領の演説は全世界の人々、全国民にとって、世界が曲がり角にあることをいやというほど知らしめた。演説のなかに「国連安保理が責任を果たしていないから、自分たちが代わって行動するのだ」という発言があった。確かにフセイン政権が大量破壊兵器をまだ隠しているのではないかという疑問を私も持っている。しかし、だからこそ民主党は、さらなる査察の必要性を主張しているわけだ。国連の多くの国々の意見を無視して、また新たな決議は採択されそうにないから、行動を起こすというブッシュ大統領の発言は、ある意味で国連を否定したとも受け取められかねない。新たな国連決議がないままでの武力行使には反対すべきだというのが民主党の一貫した姿勢だが、なぜ、総理は充分な説明もなく、米国を支持することにしたのか。国民に説明していただきたい。
小泉 まず、国連決議を無視し続けてきたのはイラクだということを忘れてはならない。12年間以上にわたって、何回も決議を無視し続けてきた。これに対して、国際社会は結束して対応しなければならない。イラクの協力が不十分だったということでは、国際社会(の意見は)一致している。昨年11月に最後の機会をイラクに与え、この決議をいかに実行させるかについて、国際社会は努力をはかってきたが、再度の機会をイラクは軽視し続けた。これを守らなければ武力行使も辞さないと、米国はじめイギリス等が軍事的圧力をかけてきた。そういう意味において、イラクはあまりにも国連の決議を無視し続け、国際社会の一致結束した意向を甘く見すぎたのでないか。そういう意味において、米国の主張に理解を示し、支持している。あとわずかであるが、イラクが全面的に協力すれば、平和的解決は期待できるけれども、その可能性は極めて小さい。今日はいい機会だから、国家の基本問題にかかわることだが、先月、仙台市の集会での菅さんの発言も取り上げる。ブッシュ政権は危険な政権だ。同時多発テロでアフガニスタンを攻撃、次はイラク、場合によっては次は北朝鮮だ。ずっと戦争をやっていれば大統領選挙は勝てる、イラクの石油利権を握りたいという思惑も見えると語ったと朝日新聞に報道されているが本当か。
菅 今日は総理が元気がよくて、なかなか結構。ただ、質問にはきちんと応えるから、私の質問にも答えてほしい。イラクが充分に協力していないことは私もその通りだと思うが、だからと言って、国連安保理事国の9カ国の賛成が得られない決議案を取り下げ、「安保理が責任を果たさないから自らが勝手にやるんだ」という行動・考え方に対して(総理が)支持するのはどういう理由かを聞いているのだ。私が仙台で発言した趣旨は、日米関係そのものを否定してもいないし、その信頼関係の重要性を否定してもいない。ただ、ブッシュ政権はクリントン政権を全部ダメだというように、その姿勢はやや危険なところがあるとの個人的感想を申し上げた。日米関係がどうなってもいいなどと申し上げていない。逆に、総理にもう一度明確に聞く。米国に賛成するのか。少しやりすぎと思わないのか。
小泉 私ははっきり答えている。アメリカは国連決議を無視していない。法的に、昨年11月の1441の決議、あるいは一連の678、687、これによって米国の声明は国連決議を無視していない。国連憲章にも違反していない。
菅 川口外相は答弁のなかで1441は武力行使の理由にならないとはっきり述べられている。それから678、687は、12年前のイラクのクウェート侵攻を行ったときの決議で、米国同時多発テロ後の決議ではない。いま問題になっているのは、米国同時多発テロ後、テロ組織に大量破壊兵器が渡るのではないかという議論があるなかで、その二つの決議は時期的にもズレがあるため、新たな決議があることが望ましいということになったのでないか。総理自身も言ったではないか。国連憲章第7章によれば、一般的には国連の要請に応えて行動するものだ。今回の米国の行動は国連の要請があっての行動か。
小泉 私は確かに新しい決議がある方が望ましいと言った。しかし、法的根拠を問われたから、1441、678、687の一連の決議で、アメリカの武力行使は法的根拠はあると理解を示し、支持を表明した。この問題に関して、確かに違った見解を示している国があることも承知している。米国同時多発テロ以降、戦争、テロ行為、大量破壊兵器等に対する世界の観念は変わった。世界の情勢の変化は見極めなければならないが、過去の決議を無視し続けてきたイラクの姿勢を問わなければならない。過去の決議はどうでもいいということとは違うのではないか。協力してこなかったイラクにこそ問題がある。安全保障、、大量破壊兵器の脅威、日米同盟の重要性を考える上でも、重い大きな問題だと思う。
菅 総理も認められた通り、今回の米国の行動は国連憲章に違反すると主張する国もある。アナン事務総長さえ、今回の行動は正当性に疑問があると明言している。何度も言うが、イラクが大量破壊兵器をもっと早く破棄すべきだったのは当然だが、更なる査察の継続によって平和的な解決がありうるこの段階で、その道を一方的に閉ざして、米国が軍事的行動に踏み切る決定は国連の考え方に照らしておかしいと言っておきたい。
菅 日朝平壌宣言に関して福田官房長官が廃棄もありうるとの答弁を昨日の予算委員会や本日の記者会見でされている。ということは、9月の日朝首脳会談は失敗だったと認めたことになると思うが、総理も同じ見解か。
小泉 そんなことは言っていないと思う。日朝平壌宣言は政治文書として重い文書だと思っている。宣言は有効。なおかつ北朝鮮との国交正常化交渉にむけて、これを誠実に実行に移す。北朝鮮側も成果だと認めている。今後とも実施に向け努力を続けていかなければいけない。北朝鮮側も誠実に守ってもらえるように働きかけていくことが重要。
菅 官房長官が言っていることを総理が知らなかったというのが驚き。私が総理の立場であれば、イラクの問題についても、こういうギリギリの段階になるまで「その時点になるまで答えられない」の一点張りではなく、国会で自らの考えをきちんと示すべきだった。何一つ説明せずに、最後の最後になって、事実上、米国の単なる追従の理屈しか説明しないのは、国民に対する説明不足だ。国会できちんと説明すべきだった。日朝問題についても、日米韓の間で共通の提案をきちんとしたらどうかと予算委員会で私は申し上げたが、総理はすべて、丸投げ、投げやりで、何一つ国民に説明し、説得していない。ブレア・イギリス首相やシラク・フランス大統領が立場はちがうが、明確に国民にメッセージを送っているのと比べると、あまりにも情けない。
小泉 そのときどきできちんと説明している。今日の党首討論でもはっきりと日本の立場を説明した。時期が来れば国会でも説明する。(野党と)意見が違うと説明していないというのは勝手すぎるのではないか。
菅 国民のみなさんが一番よくお分かりだと思う。昨日、ブッシュ大統領の最後通告があったあと、13時から衆議院本会議が開かれているのにインタビューを受け、そのときに初めて米国支持を明らかにした。それ以前に支持するという言葉を示したとすれば、いつ言ったのか。少なくとも私が先週の党首会談で「新たな国連決議がないまま攻撃がある場合、賛成するか」と聞いたところ、「その時点にならないとわからない」と言ったではないか。無責任な態度を続けてきて、前から態度を明確にしてきたと発言をするのは国民を欺くことだ。
「小泉首相は終始一貫話をすりかえている」菅代表
民主党の菅代表は、19日午後の党首討論の感想を記者団に問われて、「小泉首相は終始質問に応えていない。私が質問したのは、国連安保理決議がないままに米国が武力行使することには正当性がないのではないかということだったが、、小泉首相は、「悪いのはイラクだ、イラクはけしからん」という答弁を長々と繰り返すだけだった。小泉首相には、国民を説得する自信も能力もないのか、終始一貫話をすりかえている」と語った。
野党4党がイラク問題の平和的解決を求める決議案を提出
米国ブッシュ大統領が対イラク武力行使を最後通告し、小泉首相がこれに支持を表明したことに対し、民主党など野党4党は19日、「イラク問題の平和的解決を求める決議」(案)を衆議院に提出した。参議院でも野党4会派が同様の決議案の提出を検討している。
衆議院で提出した決議案の内容は以下の通り。
イラク問題の平和的解決を求める決議(案)
アメリカのブッシュ大統領が、イラクへの最後通告をした今、国連安保理決議なきイラクへの武力行使が強行されようとしており、断じて容認できない。二度の世界戦争の悲惨な体験から、人類は、国際連合を生み出し、紛争の平和的解決に努力してきた。日本は、国連憲章及び日本国憲法に定める理念を最大限に生かすため、大量破壊兵器がもたらす脅威また新たな武力の行使に対して、国際社会が一致協力してイラク問題の非軍事的解決を図るよう、主導権を発揮していかなければならない。
ここに、日本をはじめ、各国が国家間の対立を超え、あくまで平和的手段で問題の解決を図るよう、世界に向けて強く訴えるものである。
右決議する。
[次の内閣]「イラク問題に関する考え方」を発表
民主党の『次の内閣』は19日の閣議で「ブッシュ大統領の最後通告を受けたイラク問題に関する考え方」を決定。小泉政権に国連決議なきイラク攻撃への支持表明を撤回するよう求める立場を明確にした。
「考え方」は、国連査察の継続・強化によってイラクの大量破壊兵器の完全廃棄を実現することは依然として可能だとし、米国による国連決議なきイラク攻撃を国連憲章など国際法の原則に違反するものだと批判。小泉政権に攻撃支持表明の撤回を求めている。また、武力行使に伴う戦費や戦後占領に関わる経費の負担も行うべきでない、としている。
閣議後の会見で枝野幸男政調会長は、今回のイラク問題にかこつけて“有事法制を急げ”という声が与党内で上がっていることに触れ、「政府の法案は、テロ・ミサイルなどの脅威に対応したものではまったくない。分かって言っているなら大ペテン師だし、分からずに言っているのなら無責任だ」と厳しく指弾した。
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2003年3月19日
ブッシュ大統領の最後通告を受けたイラク問題に関する考え方
民主党
1.イラク問題への基本認識
● 民主党は、国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であるとの観点から、武力行
使によらない平和的解決を訴えてきた。イラクは、これまで累次の国連決議を遵守し
ておらず、イラクに対して、改めて大量破壊兵器の完全な廃棄を促す。米国等に対し
ても、国連憲章に定める武力行使に関する国際法の原則に基づき、単独主義的な行動
をとらないよう強く自制を促し、慎重な対応をとるよう要請してきた。
● イラクの大量破壊兵器に関する疑惑は完全に払拭されたとは言い難いものの、装備
や人員など査察体制を抜本的に強化し、数ヶ月の期限を切って国連査察を継続すれ
ば、国連安保理決議1441が意図したイラクによる大量破壊兵器の完全廃棄は十分可能
だと考える。2.当面の対応
● 国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であり、平和的解決の途を最後まで真摯
に働きかけるべきである。
● ブッシュ政権が、国連安保理での問題解決を放棄し、一方的に48時間の期限を設け
て武力行使への最後通告を行ったことは、国連軽視であるばかりでなく、国連憲章な
ど国際法の原則に違反する行動となる。また、国連安保理の機能不全を招来しかね
ず、この単独主義的行動は容認できない。
● 小泉政権は、湾岸戦争時の国連安保理決議、及び武力攻撃を容認していない国連安
保理決議1441を根拠に、ブッシュ政権の対イラク武力行使への支持表明をしたが、戦
争の正当性などについて疑義・批判の声があがる中、国民に対して全く説明責任を果
たしていない。小泉政権の対応は、国益等の観点からも極めて問題であるとともに、
国連中心主義と国際協調主義から逸脱した行為であり、支持表明の撤回を強く求め
る。
● 新たな国連安保理決議がないままの武力行使に際しては、戦費の負担は言うに及ば
ず、開戦の経緯から、戦後の占領に係る経費についても支出すべきではない。
● 政府に対して『テロ特措法』の厳格な適用を求める。
● 情勢の推移を注視し、邦人保護をはじめとした危機管理体制に万全を尽くすべきで
ある。ブッシュ大統領の最後通告を受けたイラク問題に関する考え方 2003/03/19
1.イラク問題への基本認識
* 民主党は、国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であるとの観点から、武力行使によらない平和的解決を訴えてきた。イラクは、これまで累次の国連決議を遵守しておらず、イラクに対して、改めて大量破壊兵器の完全な廃棄を促す。米国等に対しても、国連憲章に定める武力行使に関する国際法の原則に基づき、単独主義的な行動をとらないよう強く自制を促し、慎重な対応をとるよう要請してきた。
* イラクの大量破壊兵器に関する疑惑は完全に払拭されたとは言い難いものの、装備や人員など査察体制を抜本的に強化し、数ヶ月の期限を切って国連査察を継続すれば、国連安保理決議1441が意図したイラクによる大量破壊兵器の完全廃棄は十分可能だと考える。
2.当面の対応
* 国連安保理等を通じた国際協調体制が重要であり、平和的解決の途を最後まで真摯に働きかけるべきである。
* ブッシュ政権が、国連安保理での問題解決を放棄し、一方的に48時間の期限を設けて武力行使への最後通告を行ったことは、国連軽視であるばかりでなく、国連憲章など国際法の原則に違反する行動となる。また、国連安保理の機能不全を招来しかねず、この単独主義的行動は容認できない。
* 小泉政権は、湾岸戦争時の国連安保理決議、及び武力攻撃を容認していない国連安保理決議1441を根拠に、ブッシュ政権の対イラク武力行使への支持表明をしたが、戦争の正当性などについて疑義・批判の声があがる中、国民に対して全く説明責任を果たしていない。小泉政権の対応は、国益等の観点からも極めて問題であるとともに、国連中心主義と国際協調主義から逸脱した行為であり、支持表明の撤回を強く求める。
* 新たな国連安保理決議がないままの武力行使に際しては、戦費の負担は言うに及ばず、開戦の経緯から、戦後の占領に係る経費についても支出すべきではない。
* 政府に対して『テロ特措法』の厳格な適用を求める。
* 情勢の推移を注視し、邦人保護をはじめとした危機管理体制に万全を尽くすべきである。《民主党ニュース》