平成5043日目

2002/10/29

この日のできごと(何の日)

【日朝国交正常化交渉】再開

日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国交正常化交渉が29日午前、マレーシア・クアラルンプールの日大使館で約2年ぶりに開かれた。

日本側の鈴木勝也政府代表は冒頭で、日本人拉致事件をめぐる被害者家族の早期帰国や事件の全容解明、北朝鮮の核開発など安全保障問題の前進を最優先課題としたいとの立場を正式に伝え、前向きな取り組みを迫った。北朝鮮側の鄭泰和・同交渉担当大使は「私たちの間には見解上の差異がある」と述べ、日本側の要求に容易には応じない姿勢をにじませた。《共同通信》

日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国交正常化交渉は29日午後、クアラルンプールの日本大使館で続行し、拉致、核開発問題をめぐり双方の主張は激しく対立した。

日本側は帰国した拉致被害者5人の永住決定を受けて北朝鮮に残る被害者家族全員の安全確保、早期帰国の日程確定を求めたが、北朝鮮側は「5人を戻す約束を破った」と非難し、5人を戻して家族と相談させるべきだと主張した。北朝鮮側は核開発、ミサイル問題で「解決は米国との協議でのみ可要だ」と言明し、経済協力を優先すべきだと主張した。

ただ、拉致事件について少人数の集中協議を同日夜に開催、日本側が被害者家族から示された疑問点に回答を求めたのに対し、北朝鮮側は「可能な限り速やかに回答できるよう努力する」と答えた。30日に北朝鮮がどのように回答するかが焦点だ。

交渉で、鈴木勝也日本政府代表は拉致に関与したとされるよど号グループや辛光洙容疑者の引き渡しを迫ったほか、被害者・家族への補償を念頭に「拉致は違法行為で、(日本には)いろんなことを要求する権利がある」と述べた。

北朝鮮の鄭泰和・交渉担当大使は、金正日総書記が拉致を謝罪し再発防止を約したことを挙げ「誠実に対応しており、大筋で解決したと思っている」と指摘したが、鈴木氏は「まったくそうは認識していない」と強く反論。永住決定に関しても「平壌に戻ったら二度と会えなくなるという思いがある」と指摘した。《共同通信》

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から新潟県や福井県の故郷に戻った拉致被害者5人と北朝鮮にいる子供たちをめぐり29日、クアラルンプールで日朝国交正常化交渉の席上、激しい応酬が繰り広げられる中、被害者本人は黙り込み、交渉の成り行きを伝えるテレビのニュースをじっと見守った。

「交渉は平行線」「北朝鮮側は、5人が北朝鮮に戻り、子供たちと話し合うのが問題解決の近道と言っている」…。政府から断片的に交渉の経過が伝えられる中、家族は「とにかく子供たちをいつ帰すのか、決めてほしい」と訴えた。

福井県小浜市の地村保志さん(47)の父保さん(75)と妻(旧姓浜本)富貴恵さん(47)の兄雄幸さん(73)が29日夜、福井県小浜市役所で記者会見。保さんは「冷や冷やして落ち着かん気持ちだ」と話し「日本は(拉致を認め謝罪した)北朝鮮に強く出する理由がある。一歩も二歩も強気に出てほしい」と訴えた。

雄幸さんは、5人が北朝鮮に戻り子供たちと話し合うよう北朝鮮側が促していることについて「問題外だ。いっぺん水でもかけて頭を冷やしてほしい。絶対に帰さない。不誠実な北朝鮮に怒りを覚える」と吐き捨てた。

「日本政府が『日本に帰れ』と向こうの子供に会って言ってくれないといけない」と、新潟県柏崎市の蓮池(旧姓奥土)祐木子さん(46)の父一男さん(75)。政府から知らされた交渉の経過をめぐり「子供たちは日本人であることを知らされておらず、日本に進んで来ることはない」とした上で「心配なのは、いったん向こうに行くと、もう会うことができなくなる」と語った。《共同通信》

小泉純一郎首相は29日夜、日本と北朝鮮との国交正常化交渉が拉致や核開発問題で激しく対立していることについて「粘り強くやります」と首相官邸で記者団に述べ、決着に向け努力したいとの考えを示した。

北朝鮮側が拉致問題を「大筋で解決した」と強調していることについて首相は「(再開後の)第一回ですからね。両方の主張は主張として。言い張るでしょ。しかし、これからです」と、北朝鮮側に歩み寄りを求めた。《共同通信》

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【プロ野球・日本シリーズ】

プロ野球の日本シリーズ第3戦、西武(パ・リーグ)−巨人(セ・リーグ)は29日、西武ドームで行われ、巨人が10−2で大勝して3連勝とし、2年ぶりの日本一まであと1勝とした。第1戦からの3連勝は1996年のオリックス以来で、巨人では6連覇を達成した70年以来32年ぶり。

巨人は二回に清原の2号ソロ本塁打で同点に追いつき、三回は清水と松井の適時打で3−1と勝ち越した。四回には二岡に満塁本塁打が出るなど前半で打線が爆発。西武は一回にカブレラの二塁打でシリーズ3戦目にして初めて先制した。しかし、この日も先発投手が不調で張誌家が四回途中で降板。攻撃陣も二回以降、工藤に押さえ込まれた。《共同通信》

【草加事件】元少年ら再び「無罪」

埼玉県草加市で1985年、当時15歳の女子中学生が殺害された「草加事件」をめぐり、被害者の遺族が、実行犯として少年院送致となったSさん(33)ら元少年3人側に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決で、東京高裁は29日、自白の信用性を否定しSさんらを「無罪」として請求を退けた一審浦和地裁判決を支持、遺族側の控訴を棄却した。

少年審判で殺人の実行犯とされた元少年の事実上の再審となった訴訟で、事件から17年余を経て再び少年審判と逆の判断が示された。判決は警察官の誘導で自白が創作された可能性を指摘、真実解明に課題を抱えていた当時の少年審判の問題を浮き上がらせた。

判決理由で矢崎秀一裁判長は、唯一の直接証拠とされた捜査段階の自白について「殺害場所や状況など重要な点で変遷し、遺留品など裏付け証拠もない」とした一審判決を「是認できる」と指摘。

さらに被害者の着衣に付いたAB型の体液が元少年らの血液型と一致せず「犯行はAB型の者によるとの疑念を抱かせる」とした一審の判断も支持した。その上で「警察官の誘導で虚偽の自白が創作されたことも十分考えられ、その供述から元少年が被害者を殺害したと認めることはできない」と述べた。

最大の争点だった自白の信用性については、既に最高裁が「客観的証拠と符合せず、漫然と信用性を認めたのは誤り」とし、Sさんらを「有罪」として約4600万円の賠償を命じた差し戻し前の二審東京高裁判決を破棄していた。《共同通信》

【東京大気汚染訴訟】国側に賠償命令

自動車の排ガスによる東京の大気汚染で健康被害を受けたとして、患者、遺族計99人が国やディーゼル車のメーカー7社などに総額22億円余りの損害賠償と汚染物質の排出差し止めを求めた東京大気汚染訴訟の判決で、東京地裁は29日、7人の被害を認め国と都、首都高速道路公団に計7920万円の賠償を命じた。

うち1人は公害健康被害補償法(公健法)の認定を受けていない患者で、未認定患者の救済は初めて。大気汚染訴訟で初めて被告に名を連ねたメーカーについては、被害の予見可能性を認めたものの「過失はない」として責任を否定、汚染物質の排出差し止めも認めなかった。

西淀川2−4次公害訴訟の大阪地裁判決(1995年)など道路管理者の責任を認めた司法判断を基本的に踏襲したもので、未認定患者救済の点では一歩前進となった。患者側は控訴を検討するとしている。《共同通信》

国や東京都、首都高速道路公団に計7920万円の損害賠償を命じた東京大気汚染訴訟の判決に対し、石原慎太郎都知事は29日午後、記者会見し「判決内容には承服できないが、都は控訴しない」と発表した。

知事は「訴訟の対応に労力を割くのではなく、排ガス規制の強化と健康被害者の救済が本当に必要な行政の使命」と理由を述べた。

また、石原知事は会見で、汚染の実態を訴えるときに持ち出す、ディーゼル車から排出された真っ黒なすすの入ったペットボトルのふたをこじ開け、中のすすを会見場にまき散らしながら「これを首相も、生まれたての赤ん坊もみんな吸っている。国は何をやっているのか」と国を批判した。

都は石原知事の旗振りで、国に先駆けてディーゼル車対策などを推進。控訴断念は、これまでの政策との一貫性を図り、積極姿勢をアピールする狙いもありそうだ。《共同通信》

【富士通】1474億円赤字

富士通が29日発表した9月中間連結決算の純損益は、1474億円の赤字となり、当初予想の400億円の赤字から大きく悪化した。追加リストラの実施などで特別損失が1546億円発生したため。中間期の赤字は2期連続。

リストラの柱である追加の人員削減は計9000人に上り、富士通は経営立て直しに向けて厳しい取り組みを迫られている。

また巨額の赤字計上に伴って、同社の資本勘定のうち過去の利益の蓄積を示す利益剰余金は809億円の欠損に転落した。利益剰余金の払底は戦後の混乱期を除けば初めて。今後、資本増強が大きな経営課題になるのは必至だ。《共同通信》

【長野地方気象台】「大雪注意報」発令

冬型の気圧配置が強まった29日、長野、新潟、群馬の県境や岐阜県北部の山間部などは雪となった。

長野県北部の大町市では18センチ、隣接の白馬村でも8センチの積雪を記録し、長野地方気象台は、10月としては同県内で14年ぶりとなる大雪注意報を一時発令した。《読売新聞》

【政界談話室】

○・・・自由党の藤井裕久幹事長は29日の代議士会で、衆参統一補選の低投票率について「4人に1人しか意見を表明しないようで、果たして機能しているのか」。民主主義の危機とばかり、有権者の選挙離れを嘆いてみせた。すぐに「結果は結果として受け止めなければいけないが」と平静を装ったが、野党の「1勝6敗」に終わったショックはありあり。要の民主党のごたごた続きで逆風にさらされただけに、本当は「民主党は機能しているのか」と言いたかった?《共同通信》

【ベトナム・ホーチミン】ビル火災

ベトナム最大の商業都市ホーチミンの繁華街にある6階建てビル「国際商業センター」で29日午後1時半ごろ、火災が発生。国営ベトナム通信は、54人が死亡したと伝えた。郵政・通信省系ウェブサイトによると、死者に外国人2人が含まれ、負傷者が100人以上になる見通し。

約6時間後には鎮火したが、地元紙記者によるとビルには200人以上が閉じ込められており、関係者は「死傷者が大幅に増える恐れもある」と述べた。外国人の死者の国籍は明らかにされていないが、ホーチミンの日本総領事館は「現時点では日本人が被害に遭ったという情報はない」としている。

出火原因は漏電との見方があり、防災設備の不備も指摘されている。ビル内にあるディスコが出火元との情報もある。警察・消防当局は30日朝から、本格的な現場検証を行う。

出火当時、米大手保険断グループ「AIG」傘下の生命保険会社アメリカン・インターナショナル・アシュアランス(AIA)が同ビル2階で100人以上を集め研修を開いていたほか、結婚式も催されていた。同ビルには米国、フランス、オーストラリア、シンガポールなどの外資系企業など約50の事務所や店舗、宴会場、ディスコがあり、当時は500人以上が内部にいたという。

一時は爆発言を伴う激しい火勢のために消防隊員がビルに立ち入ることができず、窓から飛び降りる人が相次いだという。負傷者は現場近くのサイゴン病院に運ばれたが収容し切れず、他の病院に搬送された。《共同通信》

【サッカー】

サッカーの20歳以下(U20)アジア選手権は29日、カタールのドーハで準決勝を行い、19歳以下(U19)日本代表はウズベキスタンを1−1からのPK戦で4−2と振り切り、3大会連続5度目の決勝進出を果たした。もう一方の準決勝は韓国がサウジアラビアを2−1で破り、日本は初優勝を懸けた31日の決勝で韓国と対戦することになった。

日本は前半20分、セットプレーを起点に先制されたものの、同41分に右からのパスを受けた坂田(横浜M)が振り向きざまに同点ゴールを挙げた。その後はお互いに得点を奪えないまま延長戦も終了、PK戦では川島(大宮)が相手シュートを立て続けに防ぎ、日本を勝利に導いた。《共同通信》

【この日の民主党】

「次の選挙に向け、勝てる態勢を」岡田幹事長代理

民主党の岡田克也幹事長代理は29日の定例会見で、統一補欠選挙の結果をめぐって、「6カ月後の補選、次の総選挙で同じ結果を繰り返さないためにどうしていくか。執行部の実行力が問われている」と語った。

補選の敗因について岡田代理は、「投票率が予想以上に低かったため、与党の組織票が効いた。投票率を上げるだけの運動ができなかったということ」と指摘。また、執行部に対する責任論が出ていることについて、「一般論として執行部に責任があるのは事実だが、ただちに執行部やその一部の人が退陣せよというのは筋が違う。6カ月後の補選、次の総選挙で同じ結果を繰り返さないためにどうしていくか。そこに執行部としての責任の取り方がある。実行力が問われている」と述べた。

当面の課題として岡田代理は、候補者擁立を急ぐとともに、比例区の扱いについての方針を具体化することなどを挙げた。また、自身が委員長を務める政権戦略委員会では、候補者支援強化策を盛り込んだ答申を年内中に取りまとめることを明らかにした。

党憲法調査会長に仙谷議員が就任

民主党の鳩山由紀夫代表は29日の党常任幹事会で、代表の諮問機関である党憲法調査会の新会長に、仙谷由人衆議院議員を充てることを報告し了承された。同職はこれまで慣例として衆議院憲法調査会の筆頭幹事が兼任しており、今回、前会長の中野寛成衆議院議員の幹事長就任に伴い交代したもの。《民主党ニュース》



10月29日 その日のできごと(何の日)